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変換なしの雑食夢

ran

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片思いの三成

「殿」
「何だ?」
「側が身籠ったそうです。ので準備致しますがよろしいですか?」
「…は?」
「あら、思い当たる節がございませんか?大阪屋敷の。」
「い、や」
「無いのでしたら、それはそれで問題ですが…彼方から連絡がありまして産婆などの手配をしようかと思い、ご許可いただこうかと」
「…」
「殿?」
「節は、ある」
「そうでございますか。」
「許可する、ので万事うまく取り計らってくれ」
「あいわかりました。」
「…奥」
「何でございますか?」
「その、だ」
「目出度い話ではございませんか。歯切れの悪い言い方は宜しくありませんよ」
「う。…そのだ」
「殿」
「何だ!?」
「お箸が止まっておいでです」
「…」




凶惶と呼ばれる男に嫁ぎ早二年。無欲な男で私は太閤殿下からの命で、側は竹中様からの命で側に置いたが私とは何も無い。そういうものかと思っていたら側には手を出す男らしく、あちらに子が産まれる。男の子なら良いのだけれどもと産着を見繕っていると凄い音が聞こえて思わず部屋の外を見る。
まぁいつもの事でしょうと言いながら産着を幾つか指定して着物屋に言うと奥方様のお着物は?と尋ねられるので丁重に断る。この男の所の生地は良いの多いが、この男は根っからの商売人だから些か草臥れる。そうですかと残念そうなので側の方に行って差し上げてと言うと嬉々として立ち上がるあたり私には社交辞令らしい。買わぬのをよく知っている。ちなみにこの側はあの側と違う別の人だが妹にあたる。姉妹を貰うのだから何とも言えないし、大谷様いわく私と違い女性らしく華やからしい。地味で質素な私には耳の痛い話だ。




「おお、奥」
「あら、大谷様」
「…産着か?」
「ええ。」
「主の」
「側の。ああ、大阪のでございますよ。まぁ、こちらも早々にでしょうが」
「左様か」
「左様でございます。で」
「ああ、そうよ。三成が暴れて手こずっておる」
「その鉄球をおぶつけになられば宜しいのでは?」
「恐ろしいことを言うな。」
「にしても元気なことでございます」
「ん?」
「殿ですわ」
「元気というかの何というか。いやはや。」
「あら、宜しいのですか?貴方様が手がつけられないのならば他なら無理でしょうに」
「ちと我も疲れた。」
「左様でございますか。お茶を淹れます」
「すまんな」
「いいえ」




産着を侍女に渡してお茶の準備をすると破壊音が大きくなる。悋気よ悋気言うので私は笑う。



「笑うかえ?」
「え?」
「悋気の相手。気になるか?」
「ああ、いいえ。どちらでも。知ったところで意味ありませんもの。…笑った理由はこれですわ」
「?」
「菓子。可愛らしいなと。」
「花か」
「ええ。お茶請けに出しますから少々お待ちを」
「三成にやらぬで良いのか?」
「側の所で頂いていますでしょ?一応室ですから朝食は共にしておりますがそれ以外はあいませぬから」
「はぁ…」
「あら、お嫌いでしたか?」
「いや、いただく」
「大分お疲れのようでございますね」
「本に…主は如何か?」
「平々と」
「左様か…三成とはどうか?」
「いつ離縁されてもおかしく無い程度に冷められております」
「…」
「何か?」
「それで良いのか?」
「?」
「…主は三成を好いておらぬのか?」
「好き嫌いで嫁げる訳ではございませんよ。好きでも嫌いでもございません。殿は私には無関心ですから」
「無関心?」
「枕を交わさぬ室ならばそう言えましょう?」
「二年よの?」
「はい」
「…まさかとは思っていたがここまでとは」
「そんなこのより、大谷様」
「ん?」
「お茶が冷めてしまいますわ」







片思いの三成









「奥方様〜!!!」
「あら左近様」
「助けてくださいっす!」
「ひどい格好ですね。何を言ったのですか?」
「おめでとうございますって!」
「左近んんんん!!!!!!」
「ひぃっ!」
「殿」
「お、奥?!」
「配下の者をいじめて如何するのです」
「し、しかし!」
「しかも祝いの言葉に御怒り遊ばすとは。父親になるのです。少し落ち着いてくださいませ」
「っ!」
「左近様もごめんなさいね。」
「いいいいいいいいえ!!!!!」
「殿やその子まで末長く忠誠をお誓いくださいね。」
「はい!」
「…奥」
「何ですか?」
「その、だ。すまん」
「?」
「その」
「こちらの側にも子が出来ましたか?」
「い、いや!違う!!!その。だ。」
「手狭になりましたので屋敷を変わったほうがよろしければおっしゃってくださいませ。」
「そういうことではなくだ…また大阪に行ってくる。」
「お気をつけて」
「その、だ」
「滋養のつくものを用意させておきます。」
「お、く」
「何か?何か用意した方が良いなどありますか?」
「い、や…すまなかった。左近!行くぞ」
「は、はいっ!」

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