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変換なしの雑食夢

ran

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片思いの三成 10

「奥!っ!」
「だから言っておっただろう。先程から縁側でうつらうつらしておったと。」
「…愛らしい」
「…主も程々性格が変わったよなぁ」
「でも見ろ!あんな無防備な奥を見たことが私はない!」
「普通の奥は皆は知っておるがなぁ…まぁいい。ほれ、主も強行で帰ってきておるゆえ寝やれ寝やれ」
「そうする」
「何処にいかしゃる?」
「己が部屋だ。」
「ここでうたた寝たら良い」
「は?」
「何の問題がある?」
「何も…ないが…」
「ひひひ」
「ええぃっ!」
「しばし休ましゃれ。起きたらまた呼ばしゃれ」
「ああ」









目が覚めたら殿がいた。如何いうことかと考えつつも此れは夢だということに結論付けてもう一度目を瞑る。





「ん…。何時だ?」
(夢ではなかったのね…)
「まだ寝ているのか…」
(起きることが出来ない…)
「…本当に幸せそうに寝るな」
(平常心)
「…」
(平常心)
「…愛している」
(…)
「やはり起きていたか」
「?!」
「顔が赤い」
「…」
「諦めて目を開けろ」
「申し訳ありません…夢か何かかと」
「で、再び目を閉じたと」
「はい…」
「馬鹿か」
「否定でしません」
「貴様が寝ている横で私がぐっすりと寝られるか」
「?!」
「違うぞ、嫌っているのではない。おい、こちらを見ろ!」
「良いのです。本心とはこういう時に出るものですから」
「何が良いのだ!私は…そうだ!奥」
「?」
「此れを」
「???」
「開けてみろ」
「わ…」
「奥の欲しがるものは消耗品ばかりだからな」
「文箱…綺麗」
「好みに合うか?」
「はい。とても…ですが良いのですか?このように高価なものを」
「ああ。奥の為に探してきた。…此れからあの紙で文を書いてくれ。」
「はい」
「そして私の返事をこの文箱に入れてくれれば良い。」
「はい」
「奥」
「?」
「半兵衛様にご教授をお願いした」
「竹中様に?何を???」
「私は…いいか。今から恥を捨てて話をするぞ」
「?」
「…奥を初めて見た折から。懸想している。」
「はぁ」
「何だ!その気の抜けた返事は!!!」
「いや、だって」
「ぐ…まぁいい。奥を泣かせたり傷付けたりする事はしたく無い」
「それは、ありがたいことでございます」
「だから、だ。その」
「?」
「お前を抱くことが出来なかった」
「………」
「初めての女を抱くにはあまりにも…だから」
「だから…竹中様にご教授頂いたのですか?」
「そうだ」
「婚礼をして3年。室を抱いたこと無いと…」
「お、怒るな!私としてもこれ以上は…」
「呆れているのです。何とまぁ。外聞の悪い。」
「ぐ…その事は半兵衛様にも言われた。が、」
「?」
「お前に負担のなる事を私は…出来ない」
「殿」
「すまない。お前の気持ちを聞きもせず。唐突すぎた。3年。放置したのでは無いとだけ知っていてくれたらいい。それで十分だ」
「十分なのですか?」
「…では無いが。辛抱する」
「…本当に?」
「…善処する」
「ふふふ」
「?」
「私、殿の事好きでございますよ」
「は?」
「知りませんでしたか?」
「あ、ああ」
「では知ってくださいませ」
「!」
「…私も知りとうございます」
「…奥!」









片思いの三成 10








「三成様ー!ってありゃ?」
「…左近。覚悟はいいか!!!」
「す、すいませんー!!!!!」
「っち!」
「ふふふ。陽の高いうちからこういう事は周りの迷惑ですね。」
「では日が落ちればいいのだな」
「は?」
「…夜来る。覚悟しておけ!待てっ!左近!!!」
「あら大変。ちか…ちよ。ねぇ助けて」

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片思いの三成 9

あの三成君が地に足を付けた戦いが出来るとはねと内心驚愕しながら先の戦の次第を書いていく。例の奥方を離縁せずにいてよかったかなと思いながらつらつらと書き連ねていくと彼の声が聞こえる。



「やぁ入り給え」
「は!失礼いたします」
「今回の三成君の戦ぶりは実に見事だった。元々才覚があるのだから冷静になりさえすればあの程度の輩無傷で倒せるだろうけど。ん。終わった」
「半兵衛様?」
「吉継君から知らせは受けているよ。君の奥方は兵法にも長けているようだね。城の普請を手伝ってもらってるってね」
「そう、なのかも知れません」
「知らなかったのかい?自分の奥方だろう?」
「あれはあまり私事を言いませんので。何かの折、本は好きとだけ聞き及んでおります」
「ふーん…君としてはどちらなのかな?」
「?」
「奥方さ。どっちでもいいのかな?」
「いえ!あれは…申し訳ありません。」
「ふふふ。顔を見ればわかるよ」
「ですが、秀吉様と半兵衛様の教えに反してしまっております」
「良いさ。君が秀吉と同じ道を通って秀吉のようになる必要は何もないからね。秀吉には弱さになったけれども君には力になるようだね。不思議だものだ。秀吉の激しさと君の激しさは似ているようで違っていたのに。」
「半兵衛様?」
「この間の戦ぶりはまごう事無く秀吉のそれと同じだったよ。」
「そんな!恐れ多い!!!」
「未だ未だな所は沢山あるけどね。まぁ合格点だよ。」
「っ!」
「一度佐和山に帰るのだろう?僕からも奥方に贈り物がしたい。後」
「はい?」
「趣味も良さそうだ。僕に単衣を作って貰いたい」
「私の奥にですか?」
「勿論。但し、本調子になってからだよ」
「はい!」
「…で」
「?」
「懐妊はいつかな?」
「!」
「?」
「は、じを偲んでこの心中を吐露する許可を」
「ん。いいよ。でも如何したの?」
「私は奥に」
「惚気だったらいいよ」
「い、え。…触れてい無いののです」
「…は?」
「その、あれを抱くのに何も異存は無いのですが…手を出して泣かれてしまったり傷つけて仕舞えば…」
「はぁ。惚気だね。でもたちが悪い方だ。」
「そうなってしまっては止まる自信もなく…」
「…聞いて無いね。大体2人の側室を孕ませておいてそういうのは無いんじゃ無いかな?」
「他のは自分で慣らさせたり、そのまま」
「相変わらず鬼畜だねぇ。そっか…そんな鬼畜な三成君ですら奥方には優しくありたいということかな」
「は、い」
「それは僕の領分では無いのだけど…仕方ない。指南しよう。あ、でも」
「?」
「僕の単衣が先だよ」
「勿論でございます!」
(勿論なんだ…)







片思いの三成 9







「…あら、困った」
「何とある?」
「大谷様。もう少し帰ってくるそうですわ」
「それは…また。早かったのう。で」
「?」
「それが困ったことか?」
「いえ。竹中様に単衣を一つ。お送りするようにと。すぐに着物屋を呼んで紋を抜か無いと。大谷様はご存知ですか?」
「平素の服なのだから紋はよかろう」
「ですが…」
「賢人はなかなか持って紋付を着ぬからなぁ。まずは紋無しを。それからでよかろう?」
「はい」
「にしても」
「?」
「えらく筆まめよの。ああ、我の分も倩と」
「よっぽどお寂しいのですね。」
「子供の世話と同じよ」
「昨日側の姫様のお守りをさせて頂いたのです。お守りと言っても大したことはできませんでしたが…本に子供は可愛らしい。殿によく似た可愛らしいお子でした」
「我はまだ見ておらぬが…左様か」
「如何致しました?」
「ぬしは寂しいないか?」
「今は以前ほど。皆様によくしていただいておりますから」
「主と三成の子は愛いだろうのう。」
「…」
「のう、奥方」
「はい?」
「あれは致命的に対話能力が欠如しておる」
「そうでございますか?」
「ん。故に主との距離が掴めないのよ。如何で傷つけてはならぬとか苦しめてはならぬとか考えて下手を打つ大戯け者よ。だがな。ぬしを見る目は我とて知らぬ。本に人らしく地に足つけた顔にならしゃる。我は友としてあれを支えるが、主は妻として投げ出さず見捨てず支えてほしい」
「それは無論…ですが…」
「ヒヒヒッ。如何も主との新枕を交わしたがっておってなぁ。」
「は?」
「傷つけずに済む方法を賢人に指南させているようよ。賢人からの苦情だ。職務怠慢と言われたが我とて知らぬよ。」
「…」
「初々しい。まるで林檎よな」
「なっ?!ですが…」
「あと城の普請を頼むと書いてある。主と我の体を優先にするようにと」
「…」
「あれらしい。奥方。安心致せ。主の字は何にも勝らぬほど美しいと書いてある。あと、智も。厭うておらんよ」
「…」
「この世の全てが主の母後でない如く。皆思考も好みもてんで異なる。三成のような男もおる。どうか拒絶してくれるな」
「私は」
「…」
「愛しい方と。ですが…御寵愛をいただきながら御心を逸れぬようにと心乱すのは生きていながら業火に炙られている心地です。きっと嫉妬に狂うこともありましょう。厭われることも。」
「それでもなお人は誰かを求めるものよ」
「かも、しれませぬ。」
「それは我と同じ。主とて同じよ。はてさて。如何致すか。」

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片思いの三成 8

「奥方様!!!」
「あら、ちかにちよ。どうして此処に?」
「あらではありません!」
「ちよ…ちかが怒ってしまったわ。」
「今回はちかも姉様と一緒です。」
「ちよ?ちかどうしましょう…ちよが怒ってるわ」
「当たり前です!はぁ。殿に感謝です。このままなら治らなかったでしょうに」
「だって…」
「ねれるからと言って本を読んでいらっしゃってたのでしょ?ちよ!」
「これは私が預かっています」
「ああ…!読みかけなの。ちよ…」
「駄目です。治ってからになさってください」
「ひひ。奥方や。絞られておるな」
「大谷様」
「今日より奥方様付きに戻りました」
「それは良い。我とて小言をと思うが奥と話すと毒気抜かれてなぁ。中々三成のようにいかぬ。」
「基本厳しくせねば!ああ!此処にも」
「ちかには負けます。ちよは?」
「薬を煎じに参りました。飲みなされませ」
「はい」
「ヒヒヒ。時に奥」
「?」
「この縄張りいかと見る?」
「…」
「大谷様!」
「すまぬすまぬ。此処は急ぎ故…」
「此処の堀が難となりましょう一層深く掘り沼のようにして。空堀にして此方につなげて水攻め火攻めでもよろしいかと。あと、此方の櫓は」
「ん。良いなぁ。此処をこうせり出そうかと思うが如何か?」
「崖崩れを作っても些か…そうでございますね…一層此処に敵を引きつけておいて」
「一点に集まって潰すか。…それでいこうか」
「大谷様…」
「やれ、怒るな怒るな。奥方の博学に驚いてなぁ。時折、こう知恵を借りに来ている」
「浅学なればあまりお役に立てませぬが…」
「一度見聞きすれば大体覚えておるようよの。」
「ふふふ」
「あ!」
「如何致しましたか?」
「殿から奥方様へ」
「?」
「紙か?また良い紙だが」
「本当に…とても高価なものでございましょう?このようなもの」
「返すなら文として。奥方様の手で書かれた文を」
「は?」
「との事です。如何でしょうか?何か書いてお送りいたしましたら。丁度左近様がお戻りですから言伝て」
「…ですが」
「ひひひ。突っ返すのはあまりにもなぁ。それに礼もまだよの。」
「大谷様」
「礼の一言でも書いてやれ。主が良くなるまであれも気が気でなかった故」
「…ちか。少し左近様に」
「書けるまで行かぬよ。文なくしてどうして帰ろうか」
「硯箱を」
「はい」







片思いの三成 8





帰ってきましたという左近に手を出すとヘラリと笑って文を出してくる。初めて見た文字は驚く程美しく、能書家という意味を理解する

書いてある文も礼から始まり、倩と佐和山の事を書いてある。彼女らしいと思いながら文を仕舞う。




「何て書いてあったんすか?」
「礼と佐和山の事だ。刑部や侍女、側の事迄書いてあった」
「そうっすか」
「私の事を心配しているとも」
「それはもう。御自身もまだ本調子じゃ無いのに、ちゃんと食べていますか?寝てますかって。竹中様の事だから大丈夫だろうけど刑部さんみたいにいか無いだろうからくれぐれも頼むって」
「此方にも書いてあった。まだ本調子ではなかったか?」
「ちかさんたちが厳しくして休ませてますよ。あ、そうそう。これも」
「?」
「単衣だって言ってましたよ。」
「まだ治ってい無いのに…」
「奥方様らしっすね」
「ああ」
「早く会いに帰りましょうね!」
「その前に二、三落とす城がある。」
「あー…」
「最速で落とすぞ」
「ちょ?!無理は禁物っすよ」
「当たり前だ。奥にそう書かれた」
「へ?」
「無傷で帰る。半兵衛様の処へ行くぞ!」
「は、はい!!!」

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片思いの三成さん7

「おい!」
「はい」
「貴様は奥の妹と聞いている。」
「私は継腹ですから異母姉妹になりますが…そが何か?」
「あれの好みを言え」
「は?」
「好きなものだ!」
「え、と。姉様のですよね」
「知らぬのなら良い!他に聞く!」
「あ、旦那様!待ってくださいませ!!!」
「おい!奥馴染みはどこだ?!」
「お待ちくださいませ」






あれから一月して殿が大阪に行かれる。私はと言えばまだ体が本調子ではなく絶対安静を言いつかっているのでまだ療養中だ。些か仰々しいなぁと思えば医師にまで言われてしまう。相当今回の病は重かったのだろう。
何より、驚きなのが今回は大谷様が残っていらっしゃる事。もう逃げ出したりいたしませんよと笑えばここの拡張工事のためよと笑われた。城をより強固なものにするらしい。何より、太閤殿下が御越し遊ばせるらしくその御殿も必要らしいので大谷様は忙しそうだ。ただ。誰があの方の無精をお叱り遊ばすのだろうと、思っていたら顔に出ていたらしい。一通り笑いになって竹中様にお任せになったと言われ一安心だ。言う事を聞くという話ではない。





「奥よ」
「はい」
「主は何が好きか?」
「は?」
「意匠の好みよ。何か欲しいものはないか?」
「ああ。…特には」
「のようよの。我も聞かれて思いつかなんだ。」
「あまり興味がなくて…例えば花などは美しく思いますが手折るのは哀れですし…小鳥や猫や犬など飼うのも…私が居候のようなものですから」
「奥が居候なら他はどうなるか…」
「奥などと呼ばれる日もそう長くはありますまい。」
「…」
「大谷様?」
「…主は邪気なくそのように言うものだからなぁ。己が一身に寵愛を受けるように思わぬのか?」
「誰かと競ったりするのが苦手なのです。幼い折よりいろいろ見てまいりましたから。押し除けたり讒言したりするのはまた悲しい事です。あっ」
「何よ?」
「欲しいものありました…あ、意匠ではありませんが」
「良い良い。何よ」
「殿と大谷様と左近様が」
「ん???」
「日々安寧で健やかな事です。」
「…」
「殿はああですし。それにつられて大谷様も…。左近様は言わずもがな。」
「あ、ああ。主はそういう女だった。そうよ、そうよの。故に…だがなぁ」
「?」
「もっと何かないか?」
「皆様がご無事…」
「其処から離れよ。」
「んー…」
「ないか…主は本に」
「?」
「良い良い。もう寝りゃれ。やはり顔色が悪い」
「はい」







片思いの三成 7







「奥方様は元々殿によく似てよくの少ない方でございますれば食事も漫ろ、、睡眠も漫ろというのはよくある事でございます。すぐ体を…まさか?!」
「臥せっているが…故に治りが遅いのか」
「はぁ。御労しい。」
「貴様ら姉妹は佐和山に行け。私から側にいう」
「?!」
「故にあれの好きなものを言え」
「…紙と硯です」
「は?」
「有名な能書家なのですよ。あと、琴や笛も。此方はもう持って御いでですので紙や硯の方が」
「…わかった。だが手紙は」
「あの方の手紙は誰かが代筆しております。」
「な?!」
「昔御母堂様にお叱りになられて…殿」
「何だ」
「どうぞ奥方様を大事にしてあげてくださいませ。幼い折より舌筆しがたい事を経験している方ですので…ご自身は誰にも愛されないと思って御いでです。」
「?」
「もし、慈悲をお掛けされるのであれば御見捨てなさらないでくださいませ…どうぞ」
「そのつもりだ…おい」
「?」
「奥に贈り物をする。それを持って一緒に帰れ!」

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