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変換なしの雑食夢

ran

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片思いの三成 9

あの三成君が地に足を付けた戦いが出来るとはねと内心驚愕しながら先の戦の次第を書いていく。例の奥方を離縁せずにいてよかったかなと思いながらつらつらと書き連ねていくと彼の声が聞こえる。



「やぁ入り給え」
「は!失礼いたします」
「今回の三成君の戦ぶりは実に見事だった。元々才覚があるのだから冷静になりさえすればあの程度の輩無傷で倒せるだろうけど。ん。終わった」
「半兵衛様?」
「吉継君から知らせは受けているよ。君の奥方は兵法にも長けているようだね。城の普請を手伝ってもらってるってね」
「そう、なのかも知れません」
「知らなかったのかい?自分の奥方だろう?」
「あれはあまり私事を言いませんので。何かの折、本は好きとだけ聞き及んでおります」
「ふーん…君としてはどちらなのかな?」
「?」
「奥方さ。どっちでもいいのかな?」
「いえ!あれは…申し訳ありません。」
「ふふふ。顔を見ればわかるよ」
「ですが、秀吉様と半兵衛様の教えに反してしまっております」
「良いさ。君が秀吉と同じ道を通って秀吉のようになる必要は何もないからね。秀吉には弱さになったけれども君には力になるようだね。不思議だものだ。秀吉の激しさと君の激しさは似ているようで違っていたのに。」
「半兵衛様?」
「この間の戦ぶりはまごう事無く秀吉のそれと同じだったよ。」
「そんな!恐れ多い!!!」
「未だ未だな所は沢山あるけどね。まぁ合格点だよ。」
「っ!」
「一度佐和山に帰るのだろう?僕からも奥方に贈り物がしたい。後」
「はい?」
「趣味も良さそうだ。僕に単衣を作って貰いたい」
「私の奥にですか?」
「勿論。但し、本調子になってからだよ」
「はい!」
「…で」
「?」
「懐妊はいつかな?」
「!」
「?」
「は、じを偲んでこの心中を吐露する許可を」
「ん。いいよ。でも如何したの?」
「私は奥に」
「惚気だったらいいよ」
「い、え。…触れてい無いののです」
「…は?」
「その、あれを抱くのに何も異存は無いのですが…手を出して泣かれてしまったり傷つけて仕舞えば…」
「はぁ。惚気だね。でもたちが悪い方だ。」
「そうなってしまっては止まる自信もなく…」
「…聞いて無いね。大体2人の側室を孕ませておいてそういうのは無いんじゃ無いかな?」
「他のは自分で慣らさせたり、そのまま」
「相変わらず鬼畜だねぇ。そっか…そんな鬼畜な三成君ですら奥方には優しくありたいということかな」
「は、い」
「それは僕の領分では無いのだけど…仕方ない。指南しよう。あ、でも」
「?」
「僕の単衣が先だよ」
「勿論でございます!」
(勿論なんだ…)







片思いの三成 9







「…あら、困った」
「何とある?」
「大谷様。もう少し帰ってくるそうですわ」
「それは…また。早かったのう。で」
「?」
「それが困ったことか?」
「いえ。竹中様に単衣を一つ。お送りするようにと。すぐに着物屋を呼んで紋を抜か無いと。大谷様はご存知ですか?」
「平素の服なのだから紋はよかろう」
「ですが…」
「賢人はなかなか持って紋付を着ぬからなぁ。まずは紋無しを。それからでよかろう?」
「はい」
「にしても」
「?」
「えらく筆まめよの。ああ、我の分も倩と」
「よっぽどお寂しいのですね。」
「子供の世話と同じよ」
「昨日側の姫様のお守りをさせて頂いたのです。お守りと言っても大したことはできませんでしたが…本に子供は可愛らしい。殿によく似た可愛らしいお子でした」
「我はまだ見ておらぬが…左様か」
「如何致しました?」
「ぬしは寂しいないか?」
「今は以前ほど。皆様によくしていただいておりますから」
「主と三成の子は愛いだろうのう。」
「…」
「のう、奥方」
「はい?」
「あれは致命的に対話能力が欠如しておる」
「そうでございますか?」
「ん。故に主との距離が掴めないのよ。如何で傷つけてはならぬとか苦しめてはならぬとか考えて下手を打つ大戯け者よ。だがな。ぬしを見る目は我とて知らぬ。本に人らしく地に足つけた顔にならしゃる。我は友としてあれを支えるが、主は妻として投げ出さず見捨てず支えてほしい」
「それは無論…ですが…」
「ヒヒヒッ。如何も主との新枕を交わしたがっておってなぁ。」
「は?」
「傷つけずに済む方法を賢人に指南させているようよ。賢人からの苦情だ。職務怠慢と言われたが我とて知らぬよ。」
「…」
「初々しい。まるで林檎よな」
「なっ?!ですが…」
「あと城の普請を頼むと書いてある。主と我の体を優先にするようにと」
「…」
「あれらしい。奥方。安心致せ。主の字は何にも勝らぬほど美しいと書いてある。あと、智も。厭うておらんよ」
「…」
「この世の全てが主の母後でない如く。皆思考も好みもてんで異なる。三成のような男もおる。どうか拒絶してくれるな」
「私は」
「…」
「愛しい方と。ですが…御寵愛をいただきながら御心を逸れぬようにと心乱すのは生きていながら業火に炙られている心地です。きっと嫉妬に狂うこともありましょう。厭われることも。」
「それでもなお人は誰かを求めるものよ」
「かも、しれませぬ。」
「それは我と同じ。主とて同じよ。はてさて。如何致すか。」

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