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変換なしの雑食夢

ran

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群青色

「姫様は?」
「姫か?そうよな。今日はとんと見ぬなぁ」
「さっきから探してるんっすけどねぇ。珍しいですね!」
「以前召し上がりたいと仰った菓子をお持ちしようと思ったが…部屋に勝手に入る訳にもいかん。」
「左様か。まぁ稽古帰り故、身支度を済ませて参ろう。」
「にしても三成様は姫様好きっすよね」
「当たり前だ。あの様に多才で博学な方はそうおられん。先日の墨水画の美しい事。あの様な方が秀吉様の同腹というのはうなづける。」
「いやー…そういうことじゃないですよ!」
「何だ?!左近。姫様に何か含む所でもあるのか?!!!」
「ないないないない!そんな恐ろしいこと考えたことないっす!」
「ひひひ。違う違う。左近はなぁ。主の其れは恋慕でないかといいたいのよ」
「恋慕、だと?!」
「ひっ?!」
「貴様…私がその様な不埒な感情を」
「みみみみみみ三成様!」
「でものぅ。あの方もいつかは嫁ごう。主は他の男の嬲りものに姫がなってもなってもよいか?」
「なっ!」
「そうっすよ!」
「あの方は尊い…ん?このお声は?」
「あれは賢人よな。珍しい。怒っておるなぁ」
「どうなさったのか?」
「やれ参るとしようか。主は着替えて参ると良かろう。」
「すぐ行く」






「聞いた?!よりにもよって」
「我の前に半兵衛に言ったのだろう。」
「だけどね。僕は!…ん?誰だい?」
「我よ我。やれ、如何した?」
「…三成君は?」
「今はおらぬ、が。三成が何かしたか?」
「違う。我が妹だ」
「姫が?」
「此処を出て尼になりたいって言い出したんだよ。本当に自分の立場がわからない子供ではないだろうに」
「其れは、また」
「僕たちは豊臣の後継者に彼女を嫁がせる事にしていた。其れは彼女も先刻承知のはずだ。今頃になって…」
「ぬ…其れは頂けぬな」
「本当に。」
「失礼致します」
「あ、ああ。三成君!いいところに来たよ」
「?」
「秀吉も良いよね」
「半兵衛に任せる。」
「吉継君も」
「ひひひ」
「君、姫と好を持って秀吉の後継者になってくれないか?」
「は?」






群青色








「あ、治部。」
「っ!」
「以前貴方にお借りした絵巻…あら?治部?????」
「ひひひ。姫や姫。三成が逃げよったか?」
「ええ。刑部。治部は如何したのかしら?」
「いや、なぁ。」
「ふふふ。彼にしては珍しいことだよね」
「半兵衛」
「正式に三成君との婚儀を決定したよ。」
「え?」
「不服かい?」
「いいえ、でも。半兵衛」
「なに?」
「私すごく嫌われている様よ」
「そんな事ないさ!恥ずかしいんだよ。初心だからね」
「刑部」
「やれ目出度と思っておったが…賢人」
「何かな?」
「姫は厭うておいでよの」
「そういうわけではないのですよ。治部は武に秀で兄上の信も厚い方。彼方が不服を言いましても私が不服を言うなどと…」
「そうか、そうか。」
「其れに」
「?」
「…いえ。半兵衛、刑部。お願いがあります」
「何か?」
「如何したの?そんな怖い顔をして」
「美しい女を集めてください。私の輿入れと同時に側におあげくださる様兄上にご進言下さいませ」
「「は?」」
「主命とは言え、治部が余りにも可哀想でございます。私の様な兄様との血のみで此処にいるものと添わされるのは」
「や、やれ。姫」
「そう言えば。かなり箱入りだったから…んー…。姫」
「はい」
「其れを聞いたら出家考え直してくれる?」
「はい」
「ならわかったよ。」
「?!」
「では段取りは後日。」
「ま、またしゃれ。賢人」

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珊瑚色

「石田様」
「何だ?」
「お酒」
「酒が如何した」
「おつぎしとうございます」
「いらん!」
「ですが」
「私は私の好きなようにする。」
「っ」
「やれ、三成。」
「こんな無駄な宴を開いたのか?この大阪城で!」
「これ。怒るな。おこる、な。これは賢人の言いつけよ」
「なに?!」
「なぁ賢人」
「半兵衛様?!」
「楽しんでいるかい?」
「見ての通りよ」
「んー。大阪一、京一の太夫を勢揃いさせたけど全然変わらないね」
「ほんにのう」
「秀吉様のご命令でなくば…半兵衛様」
「ストイックな君だからまさかとおもたけど。如何しようか。吉継君」
「さてなぁ。…ん?」
「如何したの?」
「姫は如何した?」
「姫様、だと?!まさか!このような場に?」
「いや流石に来ていないよ。」
「…では。姫様はお一人で?!」
「やれ、三成」
「まぁ。やっぱりそちらか。もうどっちでも良いよ。で、どちらにするの?」
「拒否する許可は?」
「降りるわけないでしょ?」
「…何方でも。直ぐ済ませて部屋に下がらせていただきます」
「んー…まぁ良いか。じゃあ君。三成君を頼んだよ」





向こうは騒がしいと宴の方を見る。確か、半兵衛が今日は美しい女性を呼ぶと言っていたなぁと思いながら琴を縁に持ってくる。美しい満月だ。芒も丸いお供え物もないからと、手折った梅の花と兄様に頂いた菓子を供える。彼方も騒がしいから大丈夫かしらと思案してそっと爪弾く。爪をつけずに引いたらまた、怒られるかもしれない。
美しい女性は治部の為に用意すると言っていた。褒賞という褒賞を固辞し続ける治部に一時の豪遊を。兵も疲れているからちょうど良いのだろう。飴と鞭を使う半兵衛らしい。




「どのような美しい人なのでしょうね」




きっと私のような貧相で面白みのない女とは違うのだろう。考えられぬほどの美女。垣間見たい気持ちもあるが恐れが勝る。現にみてはならないと兄上に釘を刺されたのだから。兄上は何をなさっているのだろう。優しかった兄上が人を馘いてまで手に入れたい天下はどの様なものだろう。
ここにはいたくない。何処か遠くに行きたい。誰も私を知る者がなく、気にもかけぬ様な!…そんな場所に。

嬌声が聞こえてきて宴の後が始まることに気がつく。少し顔を伏せて琴を爪弾く。その声を掻き消すように要らぬ思考が溢れないように。爪弾く音は後でお叱りになられるかも知れないけれども。こうしていないと私は私でいれなくなる。









「琴?」
「…」
「石田様?」
「姫、様」
「それにしても美しい音。…何処か、ん!」
「速やかに終わらせる。反論は許さない」
「ひっ」
「貴様を抱く愚行も何もかも秀吉様と半兵衛様の言によるものだ。声を出すな。」
「!?」
「この音を汚すことは何人たりとも許可しない」









珊瑚色








「…姫様」
「ん」
「風邪を召してしまいます」
「治部ですか?」
「はい」
「ごめんなさい。」
「?!」
「寝てしまったのね。治部が来ないと死んでいた所だわ」
「その様な!」
「ありがとう」
「恐れ多いお言葉。私はただ」
「でも良いのですか?」
「は?」
「半兵衛から聞いています。」
「…あの様な愚行。あなた様のお耳障り以外の何物でもないと」
「その様な事を言うものではありませんよ。治部」
「ですが」
「良き伴侶を早く見つけて私を安心させてください」
「…」
「兄上の支えにならん事を。切に」
「姫様」
「?」
「私は」
「豊臣の中で貴方ほど兄上に信を置かれる武将はなかなかいません。治部」
「っ」
「頬が赤い」
「は?」
「お酒を飲んで来られたのですね。今日はもうおやすみなさい」
「…姫様がお休み遊ばすまで此処でお守りを」
「大事ないですよ。其れに私は妹というだけで大層なものではありません。治部」
「そんなことありません!姫様は私のただ一人。仕えるべき女性でございます。秀吉様と姫様が御健息であられる事が私の最大の喜びなのです」
「ありがとう。ならば私の願いを聞いてください」
「…」
「今日は良くお休みなさい。貴方が私を慈しんでくださる様に私も貴方を心配しているのです。」
「その様な…?!わかりました。何かありましたら」
「ええ。お休みなさい。良い、夢を」




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