珊瑚色 三成 戦国 長編終 2015年12月21日 「石田様」「何だ?」「お酒」「酒が如何した」「おつぎしとうございます」「いらん!」「ですが」「私は私の好きなようにする。」「っ」「やれ、三成。」「こんな無駄な宴を開いたのか?この大阪城で!」「これ。怒るな。おこる、な。これは賢人の言いつけよ」「なに?!」「なぁ賢人」「半兵衛様?!」「楽しんでいるかい?」「見ての通りよ」「んー。大阪一、京一の太夫を勢揃いさせたけど全然変わらないね」「ほんにのう」「秀吉様のご命令でなくば…半兵衛様」「ストイックな君だからまさかとおもたけど。如何しようか。吉継君」「さてなぁ。…ん?」「如何したの?」「姫は如何した?」「姫様、だと?!まさか!このような場に?」「いや流石に来ていないよ。」「…では。姫様はお一人で?!」「やれ、三成」「まぁ。やっぱりそちらか。もうどっちでも良いよ。で、どちらにするの?」「拒否する許可は?」「降りるわけないでしょ?」「…何方でも。直ぐ済ませて部屋に下がらせていただきます」「んー…まぁ良いか。じゃあ君。三成君を頼んだよ」向こうは騒がしいと宴の方を見る。確か、半兵衛が今日は美しい女性を呼ぶと言っていたなぁと思いながら琴を縁に持ってくる。美しい満月だ。芒も丸いお供え物もないからと、手折った梅の花と兄様に頂いた菓子を供える。彼方も騒がしいから大丈夫かしらと思案してそっと爪弾く。爪をつけずに引いたらまた、怒られるかもしれない。美しい女性は治部の為に用意すると言っていた。褒賞という褒賞を固辞し続ける治部に一時の豪遊を。兵も疲れているからちょうど良いのだろう。飴と鞭を使う半兵衛らしい。「どのような美しい人なのでしょうね」きっと私のような貧相で面白みのない女とは違うのだろう。考えられぬほどの美女。垣間見たい気持ちもあるが恐れが勝る。現にみてはならないと兄上に釘を刺されたのだから。兄上は何をなさっているのだろう。優しかった兄上が人を馘いてまで手に入れたい天下はどの様なものだろう。ここにはいたくない。何処か遠くに行きたい。誰も私を知る者がなく、気にもかけぬ様な!…そんな場所に。嬌声が聞こえてきて宴の後が始まることに気がつく。少し顔を伏せて琴を爪弾く。その声を掻き消すように要らぬ思考が溢れないように。爪弾く音は後でお叱りになられるかも知れないけれども。こうしていないと私は私でいれなくなる。「琴?」「…」「石田様?」「姫、様」「それにしても美しい音。…何処か、ん!」「速やかに終わらせる。反論は許さない」「ひっ」「貴様を抱く愚行も何もかも秀吉様と半兵衛様の言によるものだ。声を出すな。」「!?」「この音を汚すことは何人たりとも許可しない」珊瑚色「…姫様」「ん」「風邪を召してしまいます」「治部ですか?」「はい」「ごめんなさい。」「?!」「寝てしまったのね。治部が来ないと死んでいた所だわ」「その様な!」「ありがとう」「恐れ多いお言葉。私はただ」「でも良いのですか?」「は?」「半兵衛から聞いています。」「…あの様な愚行。あなた様のお耳障り以外の何物でもないと」「その様な事を言うものではありませんよ。治部」「ですが」「良き伴侶を早く見つけて私を安心させてください」「…」「兄上の支えにならん事を。切に」「姫様」「?」「私は」「豊臣の中で貴方ほど兄上に信を置かれる武将はなかなかいません。治部」「っ」「頬が赤い」「は?」「お酒を飲んで来られたのですね。今日はもうおやすみなさい」「…姫様がお休み遊ばすまで此処でお守りを」「大事ないですよ。其れに私は妹というだけで大層なものではありません。治部」「そんなことありません!姫様は私のただ一人。仕えるべき女性でございます。秀吉様と姫様が御健息であられる事が私の最大の喜びなのです」「ありがとう。ならば私の願いを聞いてください」「…」「今日は良くお休みなさい。貴方が私を慈しんでくださる様に私も貴方を心配しているのです。」「その様な…?!わかりました。何かありましたら」「ええ。お休みなさい。良い、夢を」 PR