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変換なしの雑食夢

ran

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漆黒

「っ!ああ」
「…奥」
「ん…」
「…」
「みつ、なりさま?」
「いや、もう今日はしない。約束通り止める」
「ん」
「眠いか?」
「少し」
「無理をさせた」
「いいえ。」
「?」
「貴方に欲されるのは嬉しい話ですから」
「そう、か」
「御付き合いできない私が不甲斐ないのです」
「い、いや!そんな事はない。私も満たされているから」
「…本当に?」
「ああ」
「よかった」
「…」
「貴方様とこのまま一つになって仕舞えばいいのに」
「は?」
「喜びも嬉しさも愛おしさも全て伝わりましょうに」
「奥」
「はい」
「あまり煽らないでくれ」
「?」
「夜毎重ねているというのに本当に清廉なままだ。」
「ん…」
「済まないな」
「三成、様」
「これで本当に最後にしたい」







目を覚まして横を見ると奥が寝ている。そっと頬を撫でるとうっすらと瞳が開く。黒く長い睫毛に彩られたそれは私のものと違って繊細だ。少し焦点のあっていない瞳でこちらを見て綻ぶように笑うのを私以外知りはしないだろう





「みつなりさま?」
「ん?」
「ねないのですか?」
「目が覚めた」
「まだ夜更けではありませぬか」
「奥」
「三成様」
「起きてしまったか」
「いえ、まだ少しぼぅっと」
「貴方も寝が浅い」
「ふふふ。貴方様が無事でいて下されば寝られますよ」
「?」
「私には心配しか出来ませんから」
「心配しなくてもいい」
「ふふふ。私の仕事を取らないでくださいませ」
「奥」
「もう少し、横になりましょう」
「しかし」
「今はまだ御忙しくないでしょ?」
「…」
「三成様」
「…貴方だけだ」
「?」
「論でも無く崇拝でもなく私を丸め込もうとするのは」
「丸め込めません。」
「いや、いい。穏やかな柔らかさだ」
「お怒りですか?」
「貴方以外なら。…叫んでいるか」
「経験ありますわ」
「…言うな」
「三成様」
「ん?」
「何時、私を貰おうと思われたの?」
「?!」
「ふふふ。暖かい」
「揶揄うな」
「はい」
「私は」
「?」
「貴方の微笑みを見て嫌悪感も憎悪も何もかも全て手放して守りたいと思ったのだ」
「は?」
「何時だったか?裳着の後だ。」
「酷くご立腹でしたのに?」
「いうな。ただ」
「?」
「琴の音も筆の跡も私より幼い女のものかと戦々恐々としたのを覚えている。」
「戦々恐々?」
「どんな高飛車で面倒な女かと。だが…貴方はただ美しく微笑まれるのだ。秀吉様は雄々しく神々しい。故に守るなど烏滸がましい。」
「そうでございますね」
「貴方は…守りたいと。守らなければならないと勝手に思って今に至っている」
「…」
「奥?」
「ふふふ」
「顔が緩んでいる」
「嬉しくて」
「そうか」
「はい」
「奥?」
「抱きしめてくださいませ」
「…ん」
「また戦が始まれば離れてしまうのですから」
「ああ」
「愛しております」
「私もだ」








漆黒









「殿?」
「奥」
「朝餉の支度ができました」
「そうか」
「ひひひ。奥が居ればぬしのそれも治るか」
「刑部」
「刑部様も」
「あいわかった」
「島様は?」
「あれは他と食べる。食べる時だけでも静かなのがいい。」
「なれば我も」
「ふふふ。刑部様のはもう用意しているのですよ」
「早く来い刑部」
「私一人では逃げられますので」
「やれやれ。」

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濡羽色

「と、の」
「…奥?」
「奥はなぁ。手違いで媚薬などを飲んでしまわれたそうよな」
「なっ?!」
「まぁ思い余っての事故。怒るなおこるな」
「貴様!奥に何故その様なものを!!!」
「素直になれぬと泣いておりましたもので…では刑部様参りましょう」
「そうよな」



ぱたりと締められた障子の向こうで人払と叫ばれて途方にくれる。如何しろというのだ。一大事と言われて来た。ある意味、一大事だがこれは困る。先だっても泣かれたばかりなのだ。




「御前、様」
「っ」
「御前様…」
「苦しいか?」
「ん」
「何故飲んだのだ」
「御前様に嫌われたくないから」
「?」
「すごく悲しそうな顔、」
「あ、ああ。致し方ない。貴方が気にやむ事ではないのだが」
「?」
「性急にせずとも」
「貴方が他の人のものになるのは嫌です」
「は?」
「だって」
「…奥。以前も言ったが貴方以外の女を呼ぶ事も側に置く事もない」
「…」
「奥」
「私…御前様」
「っ」
「あつ、い」
「ま、待て!?効いてきたのか」
「ん。」
「う、」
「あう…ん。御前、様。くる、しい」
「…奥、私にも、限界が」
「…」
「そんな顔で見ないでくれ。また無理矢理してしまったら」
「無理やりでもいい」
「な」
「泣いていても止めないで」
「…」
「貴方の妻にさせてくださいませ」




潤んだ瞳。紅潮した頬。美しい唇。薬のせいとわかっている。こんなものでこの人を傷つけたくない。






「奥」
「はい」
「この褥の間だけでいい。」
「ん」
「名で呼んでくれ」
「名前?」
「そうすればきっと。貴方を優しく抱けるはずだ」
「抱いて、下さる?」
「ああ」
「触れて、下さる?」
「止まれないかもしれないが」
「それでも良い」
「奥」
「抱いて下さいませ。貴方を思って苦しいのです」
「…」
「三成様」
「っ」








濡羽色



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黄金色

「最近」
「如何した?」
「奥がよく笑いよるなぁ。童の折のの様よな」
「そうか」
「その分ぬしの悩みも多そうよな」
「…」









「…」
「はぁ」
「(泣こうが喚こうが大なり小なり強引さもいようものを。手を出さぬと決めたら徹底するヘタレめっ!)奥」
「何松?」
「一層のこと…あ」
「?」
「媚薬を飲みなされ」
「…何ですか?それは」
「男の野望の薬ですよ」
「は?」
「確か…えーと」
「時々貴方が忍びなのだと実感いたします」
「元になってしまいましたけどね」
「…」
「如何しましたか?」
「松」
「?」
「嫌われたりお叱りを受けたりいたしませんか?」
「ないと思いますが…ああ。刑部様のところへ行ってきます」
「?」
「執務の調整がいりましょうから」






そう言うと松は部屋を出て行ってしまう。手の中には丸薬が数個あってこれを飲めという事だろう。媚薬と言うものがどの様なものなのかいまいちわからないけれども…話の流れとしてはそのための薬なのだろう。
致したいのかといえば分からない。ただ、優しく抱きしめていただくだけで私は幸せだ。けれども殿は違うのだろう。
あの行為は痛くて恐ろしかった。再びあれをしなければいけないかと思うと背筋が凍るものの殿は痛くしないと約束してくださった。
先日も泣いてしまった私に無理意地はしまいよと仰った殿と無慈悲は殿は違うと思いたい。

何より、あの悲しそうな辛そうな殿の顔は見たくない。




「悩んでいても仕方がない」







丸薬をすべて飲み込む。と同時にからりと開かれた障子の向こうにはびっくりした顔の松と刑部様がいる





「の、まれましたか?」
「え、ええ」
「やれ松殿。急いだ方がよろしいか?」
「ええ。悪い虫が寄る前に」








黄金色










「やれ三成」
「如何した刑部」
「奥が一大事よ」
「?!」
「呼んでおりゃれるそうだ。早くいかしゃれ」
「奥!」
「やれやれ。解決すればいいがのぅ」

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土留色

「結局泣いてしまって殿が見かねて何もなかったと」
「松」
「致し方ないといえば致し方ないですが…」
「如何しましょう。殿が他の女へ」
「ないでしょうね。ただ、据え膳は…」
「???」
「己で如何とでもしましょうけど…まぁいいです」
「松」
「執務室の隣の…例の部屋に移りますから御支度を」
「はい」
「話はそこからです」
「?」









「やれ、三成」
「何だ」
「事を急くな」
「分かっている」
「奥の心身が一致してからに致せ。」
「…」
「ぬしらの寝室に越してきりゃるのに…いつまで持つか」
「はぁ」









土留色







「奥」
「御政務ご苦労様でございます」
「その、だ」
「?」
「いや、いい」
「お酌いたしましょうか?」
「ああ」
「やはり殿方ですね」
「?」
「私はお酒飲んだ事ございませんが…にごうございましょう?」
「いや、それ程は。舐めてみるか?」
「はい」
「…」
「苦っ?!御前様苦うございます」
「くくく…」
「?」
「いや、ころころと表情が変わるなと」
「…」
「奥?」
「その、です」
「?」
「御前様は静かな女の方が好きですか?」
「?」
「…」
「私は奥が好きだが?」
「?!」
「赤くなったな」
「…昔半兵衛に」
「半兵衛様に?」
「清楚で物静かにしている女性が好きと聞いてましたので」
「…???」
「違うのですね」
「私は結婚など興味はなかったので。貴方は高嶺の花でしたし…添えるなど思っていませんでしたから」
「?」
「奥」
「はい」
「ここの暮らしは楽しいですか?」
「?」
「以前、苦しいと」
「あ、ああ。今は随分と。」
「なら、良かったです」
「…御前様は?」
「?」
「いえ」
「嬉しい、が近いな。」
「…」
「この間頂いた着物だが」
「お気に召さなかったのでしたら無理をなさらないでくださいませ」
「?違う。あれを着たら汚れてしまうと思って着なかったのだが刑部に叱られた」
「え?」
「今度着て城下へ行かないか?」
「…」
「奥?」
「良いのですか?」
「ああ」
「なら、」
「っ」
「喜んで」

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