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変換なしの雑食夢

ran

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灰色

「…」
「奥、方様?」
「…?」
「わかりますか?今お水を」
「え、え」
「…良かった。本当にようございました」
「わた、し」
「三日三晩熱が下がらなかったのです。今医師を」
「医師?」
「誰か刑部様と殿に」
「殿…?」
「奥方様?」
「い、や」
「?!」
「っ!」
「だれか!医師を早く!!!!」
「いや、です!もう!」
「奥?!」
「殿!お下がりください!!!」
「やれ三成!」
「離せ!奥!!!話を」
「いやっ!!!!!!!」
「?!」
「奥方様!落ち着いてくださいませ」
「来ないで!」
「…奥?」
「もう、恐ろしい事をしないで」
「っ」
「ごめんなさい…許して、」
「奥方様…」





何十と無残に殺された鳥の目が私をみている。
私の身代わりで死んでしまった梅が私を見ている。



お前のせいで命が終えたと、そう恨んで






「頭が」
「奥方様?!ええい医師はまだか」
「奥!姫様!!!」
「じ、ぶ?」
「!?」
「わたしを、」
「姫様?」
「ころ、して…」








灰色










「…刑部様?」
「落ち着かれたか?」
「殿、は?」
「今は横に控えておるが…」
「そう、ですか」
「如何致す?」
「私は」
「?」
「怠惰で下衆な女だそうです」
「奥」
「本当にその通りです。ここに来たこと。あの方に嫁いだことより罪は始まっていたのでしょう。それに。私は、ずっと嫌われておりましたのでいつかこういう日を迎えると思っておりました。」
「其れは違う。あれもぬしを」
「…梅。はいつ亡くなったのですか?」
「…梅殿の事も聞き及んだか」
「刑部様」
「?」
「私を梅の所へ連れて行ってくれますか」
「!」
「行けませんか?」
「それは」
「?」
「墓に、か?」
「…ふふふ」
「奥」
「何方でも。お好きになさってくださいませ」
「…ぬしはこんな時にも笑うのか?」
「なくと目障りでございます。故に静かに笑う事にいたしました」
「左様か」
「刑部様」
「ん?」
「あの鳥たちも梅も。嘸かし私を恨んでおりましょうね」
「ぬ」
「そして…刑部様」
「奥」
「許してくださいませ」
「?」
「私の身体は、赤子が産めないかもしれないそうです」
「な?!」
「奥が傷ついているとの事。今日医師が詳しくお伝えするそうです。程度が分からないけれども半分半分位だそう。ですから、貴方と半兵衛。兄上の望む後継は不可能です」
「…」
「今日は無理でも明日、兄上に文を書きます。落馬と、口を揃えてくださいませ」
「奥」
「私の他の姉妹を兄上が見繕いましょう。道具が壊れてしまっただけですから。」
「ぬしと離縁は無かろう」
「幼い砌よりよく支えてくれました。二人は似ていましたけれども梅は竹と違って…私の代わりに泣いたり笑ったりした可愛らしい娘でした。あの、折に私がまた笑えたのは梅と竹がいてくれたからです」
「知っておる」
「私が殺してしまった」
「奥」
「…」
「落ち着きゃれ。三成が会いたがっていたが如何する?」
「このような姿をお見せできるはずはありません。何より」
「…恐ろしいか」
「手紙を殿にも書きます。私は」
「…」
「ただの人形ですから」

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深紅

「殿のお帰りだわ」
「今回も御武功をお上げ遊ばしたそうよ」
「流石豊臣家第一の家臣。早くお子を授かりたいわ」
「あら、私が先よ」



外を見ると華やかで長の戦でなかなか帰らずにいた殿のお帰りに色めき立っているようだ。奥方様と医師に呼ばれて視線を戻す。あれから。この方がずっと看病をして下さったのだから感謝してもし尽くせない。



「先生?」
「いえ…気になりますか?」
「?」
「殿様のお帰りです」
「ふふふ。側たちが色めき立っておりますね。」
「あなた様は?」
「私は」
「…」
「見てください。彼方は百花に舞う胡蝶のようです。美しく清らかで。比べ私は虚像にしか過ぎない。豊臣という名の案山子でございます」
「そのような!」
「先生?」
「奥方様は美しく聡明で御座います。私は」
「?」
「その様な奥方様を好いております」
「…は?」
「私と一緒に逃げましょう。虚像としか扱わぬ殿とは違い私は貴方だけを生涯愛し続けます。何故かは存じ上げませんがあれまで怯えるものを私は貴方の目に触れさせたりは致しませぬ!」
「っ!」
「さぁ一緒に」
「なりま、せん。」
「奥方様!」




そう言って私は抱きすくめられる。一瞬何が起きたのかすら私は分からなかった。耳元の息遣い。私以外の体温。体が、強張る。こんなこと誰にもされた事はない。怖い。恐ろしい。
の、に。
恐ろしいのに叫び声が出ない。体も動かない。


「やめ、て」
「早くしないと誰かが来ます。私はこの時を待っていたのです。さぁ。」
「ひっ!」
「参りま…」
「何をしている」
「?!」
「貴様…奥方様に何をしている!」
「奥方様は私と共に行く!奥方様を蔑ろにしすぎた!!!」
「戯言は良い。その薄汚い手を即刻」
「何事だ」
「っ!」
「奥?」
「あ、」
「…」
「と、殿!?お待ち下さい。刑部様!」





ぱたぱたと居なくなる彼女をこの二人は見ていない。恐ろしい。早く、逃げ出したいのに私の体は動かずにいる。


「早く奥を離し、即刻立ち去れ!さすれば命だけは」
「奥方様は私と共に行くのです!貴方のように女を人とも扱わないような人に奥方様を渡す事はできません!」
「何?!」
「新枕の折に相手をされた御側室はお亡くなり遊ばした。」
「…え?」
「やはりご存知ありませんでしたか。おぼこにする所業ではない。私は!姫様をその様な目に遭わすわけにはならないと!!!」
「御前様…今の話は?嘘、で御座いますよね」
「…本当です」
「!?」
「この人は人の皮を被った獣です!」
「梅…」
「?」
「ごめんなさい…梅、本当に」
「奥方様…その上この方に湖影などと言う局名を…皆が奥方様をなんとお呼びかご存知か!!!」
「…」
「月を取ろうとして死んだ愚かな猿よと!嘲嗤われ。其れでもこの方は」
「先生お願いします。もう」
「奥?」
「お願い致します。もう離してください。殿…お願いです。先生をお許しください」
「…」
「奥方様」
「…さない」
「?」
「許しはしない!!!」


刹那のことだった。
私は縁の外に蹴り落され、見上げた時には事がなっていた。




鮮血が視界を覆う。人の命が切れる音がする。
茫然と殿の顔を見ると袂を掴まれ無理矢理引き上げられる。息が止まる。






「お、まえさま?」
「裏切りは許さない!!!」
「ひっ!」
「其処まで私が憎いか!其処まで私を嫌うか!!!」
「い、や」
「!!!」
「っ?!」
「拒否は許さない!!!…この男を姦通していたのだろう!」
「ちがっ」
「では丁度いい」
「!!!」
「見てもらえ!貴様がいかに怠惰で男なら誰でも良い下衆な女である事を!!!」
「い…や」







深紅









「やれ!三成!!!」
「!」
「遅かったか…」
「奥方様!!!」
「酷いことをしたな。三成。」
「…この二人は密通していた」
「は?」
「何を言っている?現に駆け落ちを」
「やれ三成。此れは奥の医師の一人。何時も医師は三人で対応し、何より我と叔母君。警護の者がおるゆえその様な事実は無い」
「しかし」
「みりゃれ。破瓜の血よな。」
「!!!」
「真逆…気づいてもおらぬか」
「あ…」
「お二人ともお控えなさいませ!こんな、無体をしておいて…余りにも惨うございます。」
「やれ、奥」
「漸く体調も戻りましたのに…」
「体調?!どういう事だ!」
「主は知らぬか?…さもあらんぬしの所為故」
「どういう事だ!」
「小鳥を見て高熱が出たのでございます。理由は知りませぬがも怯えて…漸く体調が戻っての殿の帰城でしたのに…それはそれはご心配召されておいでで。いいえいいえ。今は其れより。刑部様」
「離れを開けよう。医師の女子がおらぬか探す故」
「奥方様をお運びいたします」
「わ、私が!」
「今は姿を調えよ。三成。」
「刑部」
「短慮に走ったな。やれ、行くぞ」

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藍色

竹籠の小鳥をみて私は慄く。刑部様はきっと困っているだろう。目の前に小鳥が居るのだ。美しい小鳥。唯、私の顔の色は無くなってしまっているだろう。豊臣のものなら知っている。現に刑部様も。だから私にそれを渡さず。遠くで見せているのだ。





「やれ、奥」
「いえ、あの」
「む、無理を為さるな。これは我が持って下がる故」
「ですが」
「止めたのだが…あいすまぬ」
「い、え。私がっ?!」
「やれ鳴しゃるな。奥が怖がる故」
「ごめんなさい」
「いや、我こそ。一応、と思うてな」
「殿、は?」
「今大阪よ。大事ない。我が上手く話を付ける故」
「…きっとお笑いになりましょうね」
「理由が理由よ。仕方あるまいに。」
「…」
「顔色が悪い」
「体の不調ではありません、ので」
「医師を」
「いえ」
「奥」
「横になっていれば。」
「だが」
「本当にお構いなく。大事、ありませんから」
「ぬ…」
「…」
「…姫」
「も、う」
「?」
「もう姫ではありません。刑部、様」
「…矢張り医師を。本に顔色が悪い。三成にも文を」
「其れだけは!」
「?」
「お願いいたします。私は殿の邪魔にだけにはなってはならないのです」
「ならない、か。」
「はい」
「ぬしは悲しき女よな」
「女は皆哀しいものです」
「左様か」
「はい」
「帰っては来まい。」
「そう、ですね。そうでした。其れでも」
「奥」
「邪魔にだけはなりたくないのです」
「あいわかった。」




そう言ってぺたりと額に手を置かれて、冷たいと一言言われる。血の気が引いたかと笑われるものの私にはわからない。苦笑しながら横になりますというと侍女を戻すと言われるので其れも断る。医師の薬を飲んで寝ていれば治ると言って


「奥」
「はい」
「ぬしは何を求めよる?」
「殿の安寧と兄上の天下です」
「違う、ちがう。ぬしのよ」
「私は」
「奥」
「…矢張り殿の安寧と兄上の天下です」
「左様か」










藍色







「小鳥をみて高熱を出しよったか。医師の言い分は?」
「疲れから来た病とのことです。体の力がないからだろうと」
「左様か」
「治部少様に文は」
「書いたが小競り合い程度とはいえ戦さ場故…すぐには届かぬであろうな」
「そう、ですか。にしても」
「如何した?」
「何故、鳥を?」
「寂しくないようになのだが、奥は鳥が恐ろしくてなぁ。」
「恐ろしい?」
「左様。まぁ、理由は言えぬ。」
「お食事を召し上がりますでしょうか?お好きな物など…教えて頂きたく」
「本当はあれがすべきことだが…すまぬが頼む。」
「この佐和山から奥方様が居なくなっては地獄が始まります」
「ひひひ。すればいんでもらうか?」
「馬鹿を仰いますな。甥…いえ殿を泣かすのは嫌いな方が」
「ほんになぁ。困った困った。叔母姫上に叱られるわ」

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灰桜

「矢張り奥方様のところには御渡りになりませんね。」
「毎夜毎夜後側室様のところにお渡り遊ばして…其れもお激しい限り。」
「ねぇご存知?」
「何?」
「私聞きましたの。この婚姻。殿には不本意な話だったそうですよ」
「そうなの?」
「でなくては豊臣の姫のご婚礼の後に当てつけの様な側室様の寵愛なんてないでしょう?」
「お綺麗で才能豊かな方ですけれども…お強いわけでもありませんしね」
「比べてはなりませんが雑賀様の様とか前田の松様や魔王の妹君みたいにお美しい上にお強く遊ばさないと」



というのを聞いたのですと目の前の侍女が憤慨して言う。佐和山で出会った中で一番表情豊かな彼女が私の代わりに怒るものだから逆に私は苦笑してしまう。其れがあまり良くないらしい。



「良いのですか?側付きの侍女から婢女まで。好き勝手申しておりますよ」
「事実ですから。貴方もそう憤りませんように」
「ですが!私は悔しゅうございます」
「如何いたしましたか?」
「奥方様は側たちのどれと鑑みても劣っておるところなどございません!ですのに…殿はお渡りになりませんし。この様なところに押し込められる所以などどこにもないのです」
「ふふふ。ありがとうございます」
「お笑いあそばされるところではないのですよ」
「私の下の者達も不満が溜まっておいででしょうね。ならば移動を募って下さい。側の方に参りたい方は手を尽くしましょう」
「奥方様?!」
「彼方は迚も忙しいでしょう。最近殿の衣装を御整え遊ばすのも彼方。側の方々にも頼まれていたのです。私のところのものは…いいえ。貴方も。行きなさい。」
「は?」
「側の御殿の総指揮者がいなく混沌としている様ですから。彼方は日陽の局。他国に侮られるのも甚だ遺憾であります。刑部様にそうお伝えいたしましょう」
「お、お待ちくださいませ!あなた様の身の回りの世話は?誰かするのですか?」
「裁縫も何もかも己の事なれば出来ますよ。諸事の時のみしか人手は要らないのが今の此処です。此処は月帳の局。人形の間に人は要りませんよ」
「ですが!私だけでも」
「私は貴方の手腕を素晴らしいものと思っております。ですから貴方がいかなくてはならないでしょ?」
「…殿が、お許し致しませぬ」
「そこは、そうね。刑部様の手腕の見せ所ね」





そう言うと侍女は憤った顔をして平伏する。殿と刑部様に文を書きますから刑部様にお届けくださいと言って私は文を書く。
あれから。一月経つ。矢張り殿は私の事を気に入りはしなかったのだろう。其れはもとよりわかっていた。側もお気に入りあそばした様で安堵した。私のこれからの仕事は此処で唯、息をしている事なのだろう。兄上から下賜された道具として。必要に応じて笑い着飾れば良い。人づてに聞いた結納の時おっしゃられた様に。
私はそうして私で無くなるのだろう。其れは其れで良いのかもしれない。人並みの幸せなんて兄上から道具として見られたその時より、得る事はできないのだから。





「また無理難題をいわしゃった」
「如何した刑部?」
「ぬしの奥は我を過労死させる気よ」
「奥、が?如何した?」
「気になるのなら自身できかしゃれ」
「…其れは」
「やれ三成。ぬしこそ如何した?あれ程恋い焦がれた姫が側にいるのに結婚前より合わず終いよ。」
「私の事は良い。今は奥、の話だ。」
「言いにくそうよの。まぁいい。側の方に侍女を送る許可をぬしから取って欲しいとの事よ」
「は?」
「外交の社交場もぬしの身の世話も全て彼方故との事。良いか?」
「あの方の身の世話は誰がする気だ!」
「自身ですると。にしても湖影とあるが?」
「彼方の局の名をそうした」
「…」
「如何した?」
「いや、な。あの方のこと。存じ上げている気がするが…まぁいい」
「?」
「其れより可を出しておく。」
「…しかし」
「事実側の方は人手が足りぬ。一時的によ」
「…刑部に任せる」










灰桜






「奥方様」
「?」
「何かありましたら直ぐに」
「わかっていますよ。殿をお願い致します」
「はい」





そして誰もいなくなる。それでいい。私の側には何も残らなくていい。
兄上に文を書かなくてはならない。安心してください。お言いつけは守っておりますと。

不意に外を見る。日が沈む方向からすれば彼方は西、かしら?兄上や半兵衛がいる。

帰りたい、のだろうか?それすらわからない。

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蘇芳

「ひひひ。良きお目覚めよの」
「朝か?」
「おきりゃるか?これはまた。随分と食い散らかしよって」
「ああ。」
「まるで獣の所業よな」
「刑部」
「やれ、女。生きておるか?うむ…三成。遣り過ぎよ」
「知らん。」
「ほれ誰ぞ。医師をよばしゃれ。内々よ。奥方に知られぬ様にな」
「で、何の用だ。」
「おおそうよ。奥方が朝餉を待たしゃられる。如何する?」
「姫様が?!すぐ参る」
「ひひひ。」






姫様の局は私の部屋より一番遠い。元々姫様の侍女を詰め差すつもりのそこは6畳二間の小さな部屋で申し出を受けたのち刑部が意匠を整えた部屋だ。そこに姫様はおいでなのだろうか?帰られた秀吉様と半兵衛様と共に大阪に帰ってしまったのでは無いかと不安にかられたものの私が来るのを見て姫様付きの侍女たちが準備を整えている。杞憂に終わるらしい。殿様でございますが、という声に入って頂いて下さい。と玉の様な声が聞こえる。美しい、姫様の声が





「おはようございます」
「姫様!お待たせしてしまい、申し訳ございません!!!」
「…ふふふ。酷いお髪をされておいでですよ。さぁこちらに。」
「?」
「櫛を。寝癖が」
「い、いえ!あなた様のお手を煩わせる様なことは」
「?」
「あの」
「あ…」
「姫様?」
「お嫌でしたら」
「?!??そうでは無く!いえ、その」
「無理をなさらないで。ああ、昨日の側を。お運びいたします」
「?!」
「誰か」
「お、お待ちください!そうでは無く…あの」
「御前様?」
「…」
「え?顔が赤く…お風邪でも召しましたか?」
「姫、様。もう一度」
「?」
「先程の」
「…無理はなさら」
「そこでは無く。私をお呼び下さい」
「御前様?」
「…姫様」
「それももうおかしいですね。」
「奥」
「はい。」
「…髪をお願いしもよろしいですか?」
「ええ。朝餉に入ってはなりませんから。縁に。」
「はい」


そう言うと姫様は美しい指で私の髪を撫でると美しい髪ですと仰られるので天にも昇る気持ちとなっているのをこの方は知らないだろう。
どれ程、乞い求めているか。




「出来ました」
「ありがとうございます」
「御前様の髪は美しくて宜しいですね。瞳と合わせて月の様です」
「は?」
「御前様?」
「いえ…」
「朝餉は?」
「奥、も」
「はい」



そうして美しく微笑みになる。其れだけで、恐れ多くも愛しさが満ちてくる。この方が愛しい。恋しい。愛しあいたい。


のに


『恋をする感情など不必要よ。弱き証ぞ』




この言葉が重くのしかかる。この感情はあってはならぬものなのだ。強く無くてはならない。秀吉様の様に。




『御前様』




私はこの方をお見捨て出来るのだろうか?道具として見られるのだろうか。



其れが強さを求めるのに必要なことなのだろうか?









蘇芳






「…」
「やれ奥方」
「刑部様」
「婚家の居心地は如何か?」
「ふふふ」
「局の名が決まったのでな。三成は諸用の為、我が」
「そうでしたか」
「湖の影と書いてこけい。湖影の局よの」
「湖影、ですか」
「気に入らぬか?」
「いえ。殿の決めた事に異存があるはずありません」
「左様か」
「刑部様…何かする事はありませんか?」
「ないない。ぬしは大阪の時の様にただ安らけく過ごされよ。」
「そうですか。わかりました」
「?」

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