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変換なしの雑食夢

ran

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藍色

竹籠の小鳥をみて私は慄く。刑部様はきっと困っているだろう。目の前に小鳥が居るのだ。美しい小鳥。唯、私の顔の色は無くなってしまっているだろう。豊臣のものなら知っている。現に刑部様も。だから私にそれを渡さず。遠くで見せているのだ。





「やれ、奥」
「いえ、あの」
「む、無理を為さるな。これは我が持って下がる故」
「ですが」
「止めたのだが…あいすまぬ」
「い、え。私がっ?!」
「やれ鳴しゃるな。奥が怖がる故」
「ごめんなさい」
「いや、我こそ。一応、と思うてな」
「殿、は?」
「今大阪よ。大事ない。我が上手く話を付ける故」
「…きっとお笑いになりましょうね」
「理由が理由よ。仕方あるまいに。」
「…」
「顔色が悪い」
「体の不調ではありません、ので」
「医師を」
「いえ」
「奥」
「横になっていれば。」
「だが」
「本当にお構いなく。大事、ありませんから」
「ぬ…」
「…」
「…姫」
「も、う」
「?」
「もう姫ではありません。刑部、様」
「…矢張り医師を。本に顔色が悪い。三成にも文を」
「其れだけは!」
「?」
「お願いいたします。私は殿の邪魔にだけにはなってはならないのです」
「ならない、か。」
「はい」
「ぬしは悲しき女よな」
「女は皆哀しいものです」
「左様か」
「はい」
「帰っては来まい。」
「そう、ですね。そうでした。其れでも」
「奥」
「邪魔にだけはなりたくないのです」
「あいわかった。」




そう言ってぺたりと額に手を置かれて、冷たいと一言言われる。血の気が引いたかと笑われるものの私にはわからない。苦笑しながら横になりますというと侍女を戻すと言われるので其れも断る。医師の薬を飲んで寝ていれば治ると言って


「奥」
「はい」
「ぬしは何を求めよる?」
「殿の安寧と兄上の天下です」
「違う、ちがう。ぬしのよ」
「私は」
「奥」
「…矢張り殿の安寧と兄上の天下です」
「左様か」










藍色







「小鳥をみて高熱を出しよったか。医師の言い分は?」
「疲れから来た病とのことです。体の力がないからだろうと」
「左様か」
「治部少様に文は」
「書いたが小競り合い程度とはいえ戦さ場故…すぐには届かぬであろうな」
「そう、ですか。にしても」
「如何した?」
「何故、鳥を?」
「寂しくないようになのだが、奥は鳥が恐ろしくてなぁ。」
「恐ろしい?」
「左様。まぁ、理由は言えぬ。」
「お食事を召し上がりますでしょうか?お好きな物など…教えて頂きたく」
「本当はあれがすべきことだが…すまぬが頼む。」
「この佐和山から奥方様が居なくなっては地獄が始まります」
「ひひひ。すればいんでもらうか?」
「馬鹿を仰いますな。甥…いえ殿を泣かすのは嫌いな方が」
「ほんになぁ。困った困った。叔母姫上に叱られるわ」

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