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変換なしの雑食夢

ran

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蘇芳

「ひひひ。良きお目覚めよの」
「朝か?」
「おきりゃるか?これはまた。随分と食い散らかしよって」
「ああ。」
「まるで獣の所業よな」
「刑部」
「やれ、女。生きておるか?うむ…三成。遣り過ぎよ」
「知らん。」
「ほれ誰ぞ。医師をよばしゃれ。内々よ。奥方に知られぬ様にな」
「で、何の用だ。」
「おおそうよ。奥方が朝餉を待たしゃられる。如何する?」
「姫様が?!すぐ参る」
「ひひひ。」






姫様の局は私の部屋より一番遠い。元々姫様の侍女を詰め差すつもりのそこは6畳二間の小さな部屋で申し出を受けたのち刑部が意匠を整えた部屋だ。そこに姫様はおいでなのだろうか?帰られた秀吉様と半兵衛様と共に大阪に帰ってしまったのでは無いかと不安にかられたものの私が来るのを見て姫様付きの侍女たちが準備を整えている。杞憂に終わるらしい。殿様でございますが、という声に入って頂いて下さい。と玉の様な声が聞こえる。美しい、姫様の声が





「おはようございます」
「姫様!お待たせしてしまい、申し訳ございません!!!」
「…ふふふ。酷いお髪をされておいでですよ。さぁこちらに。」
「?」
「櫛を。寝癖が」
「い、いえ!あなた様のお手を煩わせる様なことは」
「?」
「あの」
「あ…」
「姫様?」
「お嫌でしたら」
「?!??そうでは無く!いえ、その」
「無理をなさらないで。ああ、昨日の側を。お運びいたします」
「?!」
「誰か」
「お、お待ちください!そうでは無く…あの」
「御前様?」
「…」
「え?顔が赤く…お風邪でも召しましたか?」
「姫、様。もう一度」
「?」
「先程の」
「…無理はなさら」
「そこでは無く。私をお呼び下さい」
「御前様?」
「…姫様」
「それももうおかしいですね。」
「奥」
「はい。」
「…髪をお願いしもよろしいですか?」
「ええ。朝餉に入ってはなりませんから。縁に。」
「はい」


そう言うと姫様は美しい指で私の髪を撫でると美しい髪ですと仰られるので天にも昇る気持ちとなっているのをこの方は知らないだろう。
どれ程、乞い求めているか。




「出来ました」
「ありがとうございます」
「御前様の髪は美しくて宜しいですね。瞳と合わせて月の様です」
「は?」
「御前様?」
「いえ…」
「朝餉は?」
「奥、も」
「はい」



そうして美しく微笑みになる。其れだけで、恐れ多くも愛しさが満ちてくる。この方が愛しい。恋しい。愛しあいたい。


のに


『恋をする感情など不必要よ。弱き証ぞ』




この言葉が重くのしかかる。この感情はあってはならぬものなのだ。強く無くてはならない。秀吉様の様に。




『御前様』




私はこの方をお見捨て出来るのだろうか?道具として見られるのだろうか。



其れが強さを求めるのに必要なことなのだろうか?









蘇芳






「…」
「やれ奥方」
「刑部様」
「婚家の居心地は如何か?」
「ふふふ」
「局の名が決まったのでな。三成は諸用の為、我が」
「そうでしたか」
「湖の影と書いてこけい。湖影の局よの」
「湖影、ですか」
「気に入らぬか?」
「いえ。殿の決めた事に異存があるはずありません」
「左様か」
「刑部様…何かする事はありませんか?」
「ないない。ぬしは大阪の時の様にただ安らけく過ごされよ。」
「そうですか。わかりました」
「?」

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