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変換なしの雑食夢

ran

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深紅

「殿のお帰りだわ」
「今回も御武功をお上げ遊ばしたそうよ」
「流石豊臣家第一の家臣。早くお子を授かりたいわ」
「あら、私が先よ」



外を見ると華やかで長の戦でなかなか帰らずにいた殿のお帰りに色めき立っているようだ。奥方様と医師に呼ばれて視線を戻す。あれから。この方がずっと看病をして下さったのだから感謝してもし尽くせない。



「先生?」
「いえ…気になりますか?」
「?」
「殿様のお帰りです」
「ふふふ。側たちが色めき立っておりますね。」
「あなた様は?」
「私は」
「…」
「見てください。彼方は百花に舞う胡蝶のようです。美しく清らかで。比べ私は虚像にしか過ぎない。豊臣という名の案山子でございます」
「そのような!」
「先生?」
「奥方様は美しく聡明で御座います。私は」
「?」
「その様な奥方様を好いております」
「…は?」
「私と一緒に逃げましょう。虚像としか扱わぬ殿とは違い私は貴方だけを生涯愛し続けます。何故かは存じ上げませんがあれまで怯えるものを私は貴方の目に触れさせたりは致しませぬ!」
「っ!」
「さぁ一緒に」
「なりま、せん。」
「奥方様!」




そう言って私は抱きすくめられる。一瞬何が起きたのかすら私は分からなかった。耳元の息遣い。私以外の体温。体が、強張る。こんなこと誰にもされた事はない。怖い。恐ろしい。
の、に。
恐ろしいのに叫び声が出ない。体も動かない。


「やめ、て」
「早くしないと誰かが来ます。私はこの時を待っていたのです。さぁ。」
「ひっ!」
「参りま…」
「何をしている」
「?!」
「貴様…奥方様に何をしている!」
「奥方様は私と共に行く!奥方様を蔑ろにしすぎた!!!」
「戯言は良い。その薄汚い手を即刻」
「何事だ」
「っ!」
「奥?」
「あ、」
「…」
「と、殿!?お待ち下さい。刑部様!」





ぱたぱたと居なくなる彼女をこの二人は見ていない。恐ろしい。早く、逃げ出したいのに私の体は動かずにいる。


「早く奥を離し、即刻立ち去れ!さすれば命だけは」
「奥方様は私と共に行くのです!貴方のように女を人とも扱わないような人に奥方様を渡す事はできません!」
「何?!」
「新枕の折に相手をされた御側室はお亡くなり遊ばした。」
「…え?」
「やはりご存知ありませんでしたか。おぼこにする所業ではない。私は!姫様をその様な目に遭わすわけにはならないと!!!」
「御前様…今の話は?嘘、で御座いますよね」
「…本当です」
「!?」
「この人は人の皮を被った獣です!」
「梅…」
「?」
「ごめんなさい…梅、本当に」
「奥方様…その上この方に湖影などと言う局名を…皆が奥方様をなんとお呼びかご存知か!!!」
「…」
「月を取ろうとして死んだ愚かな猿よと!嘲嗤われ。其れでもこの方は」
「先生お願いします。もう」
「奥?」
「お願い致します。もう離してください。殿…お願いです。先生をお許しください」
「…」
「奥方様」
「…さない」
「?」
「許しはしない!!!」


刹那のことだった。
私は縁の外に蹴り落され、見上げた時には事がなっていた。




鮮血が視界を覆う。人の命が切れる音がする。
茫然と殿の顔を見ると袂を掴まれ無理矢理引き上げられる。息が止まる。






「お、まえさま?」
「裏切りは許さない!!!」
「ひっ!」
「其処まで私が憎いか!其処まで私を嫌うか!!!」
「い、や」
「!!!」
「っ?!」
「拒否は許さない!!!…この男を姦通していたのだろう!」
「ちがっ」
「では丁度いい」
「!!!」
「見てもらえ!貴様がいかに怠惰で男なら誰でも良い下衆な女である事を!!!」
「い…や」







深紅









「やれ!三成!!!」
「!」
「遅かったか…」
「奥方様!!!」
「酷いことをしたな。三成。」
「…この二人は密通していた」
「は?」
「何を言っている?現に駆け落ちを」
「やれ三成。此れは奥の医師の一人。何時も医師は三人で対応し、何より我と叔母君。警護の者がおるゆえその様な事実は無い」
「しかし」
「みりゃれ。破瓜の血よな。」
「!!!」
「真逆…気づいてもおらぬか」
「あ…」
「お二人ともお控えなさいませ!こんな、無体をしておいて…余りにも惨うございます。」
「やれ、奥」
「漸く体調も戻りましたのに…」
「体調?!どういう事だ!」
「主は知らぬか?…さもあらんぬしの所為故」
「どういう事だ!」
「小鳥を見て高熱が出たのでございます。理由は知りませぬがも怯えて…漸く体調が戻っての殿の帰城でしたのに…それはそれはご心配召されておいでで。いいえいいえ。今は其れより。刑部様」
「離れを開けよう。医師の女子がおらぬか探す故」
「奥方様をお運びいたします」
「わ、私が!」
「今は姿を調えよ。三成。」
「刑部」
「短慮に走ったな。やれ、行くぞ」

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