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変換なしの雑食夢

ran

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捕食者と被食者

「私」
「?」
「やれどうした?」
「昨日さぁ、不運だったらしくて」
「暗のように言うな」
「怪我でもしりゃれたか?」
「いーや。盛ってる男女を二回見た。」
「…」
「何処のどいつだ!この秀吉様の大阪城で!!!万死に当たる!」
「まぁ、思い合ってるならいいじゃない。執務室じゃない、私室付近だから文句はないけど」
「まぁ、夫婦奉公もおるしなぁ。」
「そうなのよね。規律さえ乱さなければ半兵衛様も黙認されてるし。まぁあんまり気持ちのいいものではないからちょっと不幸かと」
「当たり前だ!」
「何で三成がそこまで怒っているの?」
「そ、それは!」
「で」
「ん?」
「言いたい事はそのような陳腐な不幸自慢ではあるまい」
「あは」
「無闇矢鱈に破顔するな」
「仏頂面面よりかはましよな」




いつも通りの昼下がり。執務を終えた私はいつものように三成の部屋に行く。手伝う事ないと言いながらお茶を入れたりうたた寝するのだが未だ嘗て怒られた事ないので許可されているらしい。
そこで先日発見した新しい扉を伝える。「ガタイいい男と小さい女の子(共に成人)の和合は萌える」そう言うと二人はある意味ドン引きしたかような顔をして吉継なんかは心底馬鹿にして阿呆よなと言う。わかっている。ただ、本当に萌えたのだから仕方がないと開きなると何故か真っ青な顔をした三成がお茶を啜る。珍しい事もあるものだとまじまじその姿をみていると吉継が妙に食らいついてくるので意識をそちらにやる。至極悪い顔だ




「萌えない?なんかさ体格差のあるのって。一生懸命腕を回しても回しきれない感じがさ」
「左様か?我には縁遠い話ゆえ」
「私もだよ。細マッチョって言われてるし。柔らかさないしね!あの熊とか狼とウサギみたいなの堪らんです」
「主は背も女子にしては高い故」
「秀吉様くらいになんないとねぇ」
「?!」
「あ!無理なの知ってるから!そういう風に思ってないから!」
「良い反応よなぁ」
「そりゃ、秀吉様の横に私がいたら三成忿怒の塊になって死んでしまうわ。その前に私刺される。何より半兵衛様が恐い。だからあくまで大きさのみです。」
「ひひひっ。左様か」
「あー官兵衛さんとかかな?現実的に」
「?!!?!?!」
「え?!もっとひどい反応になったよ!吉継!三成がブツブツ言って怖い」
「哀れよ。あわれ。暗も不幸よな」
「なにそれ!私はそんなに嫌がられてるの?!」
「主はそのおつむが哀れよ」
「もー。大体!官兵衛さんは優しいから据え膳は哀れんで食らってくれるでしょ!」
「それで良いのか?」
「良かないけど。…三成?」






憤慨していると三成が無言で目の前に立っている。怖い。なんかブツブツ言っているし…。どうしたのと言えば目をかっ開いて睨まれる。すいません、仕事を邪魔して!と早口でまくしたてる。立ち上がって部屋から出ようとすると腕を掴まれた。




「?!」
「何処に行く!」
「痛っ!三成、痛い!!!この!細いくせに!!!いたたたたたたた」
「暗の何処か」
「へ?」
「ひひひ、我は邪魔故ちと賢人のところへ行くなぁ」
「助けてよ!吉継!!!」
「我とて馬に蹴られとうはない」
「は?!痛っ!本当に痛い!」
「おい!」
「何?!」
「暗とお前は…そのだ。恋仲なのか?!」
「は?」
「…」
「えっ?あー…あれはたとえ話で」
「では懸想相手か?」
「え?!それはない。」
「据え膳と言っていた」
「たとえ話でキレないでよ」
「…」
「手、離して」
「…いいのか?」
「?」
「体格の大きな男がいいのか?」
「え?えー…と」
「私は背こそ違えども体格には大差がない」
「待てこら!今さらっと失礼なこと言ったよな!」
「私には抱かれたくないか?」
「…は?」
「…」
「三成、さん?」
「…」
「えーと…あの」
「まぁ、いい」
「?!」



「体格差などではなく本能で教えてやろう」
「ぎゃ?!」
「捕食者と被食者の差を」
「え?!ま!!!何脱がし?!えっー!!!!っん!」
「少し黙れ」
「あーーーーー!!!!」












捕食者と被食者









「…ん」
「起きたか?」
「…」
「おい」
「…たい」
「?」
「…消えて無くなりたい」
「???」
「なんであんなに力強いのよ」
「貴様と同じにするな」
「長いし」
「…」
「意味わかんない」
「他の男に抱かれたいなどというからだ」
「へ?」
「…」
「三成?」
「何だ?」
「ふふふ」
「!?」
「三成、素直じゃない」
「…黙れ」
「うひひ」
「はぁ」
「そう言えば」
「?」
「吉継は?」
「…任せていればいい」
「???」







「既成事実はある故」
「意外と長い時間かかるものだね。まぁ三成君が大事にしていたからね」
「式は」
「大阪でしなよ」
「ひひひ。あの阿呆が目を向く内容にせねばなぁ」

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両片思い 成就編

三成と呼ばれて顔を上げる。女にしては少し低く落ち着いた声。どうしたと言えば困った様にはにかんでご飯食べないとと言う。ああ、そうか。またやってしまったかと顔を手で覆う。
気分が悪くなったと勘違いしたのだろう。一層声が震えて大丈夫と聞いてくるものだから居た堪れない。

「大丈夫だ」
「そう言って空腹で倒れたこと忘れてる」
「…」
「吉継がね。心配してた」
「そう、か」
「ご飯食べよう」




否とは言えない相手を選んだなと内心舌打ちをする。私にこれが私事を願うと言うことはまずありえない。その上での「お願い」なのだ。否、とは言えない。致し方ないと筆を置く破顔した顔が愛らしいとは口からつくはずはなく、私は言われるままに席に着く。



「三成」
「?」
「ちゃんと食べてね」
「必要な分は」
「もう」
「…賄いを代えたか?」
「…美味しくない?」
「懐かしい味がする」
「そう」
「?」
「美味しくなかったら言ってね」
「素朴で懐かしい。嫌いではない」
「!」
「どう、した?」
「私が作ったの」
「は?」
「美味しくなかったらどうしようかと」
「お前が?」
「ん」
「…」
「三成?」
「今まで食したものの中で一番だ」
「ふふふ。大袈裟」
「嘘は言わん…おい」
「ん?」
「嫁ぎ先でも決まったのか?」
「え?!」
「いや、急に」
「嫁ぎ先は決まらないよ。これはその…吉継が」
「刑部が?」
「たまには私が作ってやればいいって言うし。」
「そう、か」
「うん」
「三成以外には作らないよ」
「?!」
「うん。作らない」
「そう、か」
「うん」
「なら」



そう言って顔を見る。思いのほか顔が赤いのだろう。心配げな顔をするもののお互い様だと言ってやりたい。頬をふにふに触るとにこりと笑う。



「愛しい」
「?!」
「好を」
「え?」
「結んで欲しい。」
「!」
「おい」
「い、や。三成」
「そう不安げにするな。本心だ。」
「吉継が噛んでるってことは?」
「ないな…おい」
「は、い」
「私の奥になれ」
「…秀吉様が許しいただけるのなら」
「!」
「私はあなたのものになります」








両片思い 成就編








「全く初々しい夫婦だね」
「ああ」
「いいの?」
「何がだ」
「親離れ」
「吾はもろうた方よ。半兵衛こそ」
「…少し寂しいかな」
「そうか」
「可愛い二人だから。許せるけどね」
「ああ」




「秀吉様」
「半兵衛様」
「やれ、太閤。賢人」





「吉継君が珍しく嬉々としているね」
「ああ」
「あの二人なら大丈夫かな」
「そうよな」

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両片思い

難儀だなと言って三成が私の横に座るのは月に何度かある見慣れた光景だと吉継は言う。体力は多少自信があるのだが如何せん化け物じみた男たちについていくことはできず疲労困憊で座り込む時や外の訓練が祟って日射病や寒さに負けて風邪をひきかけた時。そして今のようにありがたくもないのに判を押したごとく規則正しくやってくる月の物に閉口している時。三成は必ず手に何か持ってきて私の横にやってくる。
いい奴なのだ。私同様、無理をするなと言葉をかけられる吉継にあれでモテない意味がわからないと伝えるとホクホク顔で同意を得られる。但し、あれが常にあれなればなあと断念な事実を付け加えて。
三成はとても良いやつで顔いい。真面目で単純な戦力としても群を抜いている。何より秀吉様の覚えもめでたい。所謂出世頭なのに致命的にモテない。花街に行ったところを見たことないし献上された(たまにある)美女はすぐに下賜してしまう。部下たちは美女が手に入るから士気が高い。左近くん曰く身分の上下に関わらず美女が手に入るからみんな死に物狂いで頑張るのだそうだ。美女だけではない。袖の下的な物品もすぐに下賜してしまう。美女を手に入れたものや許嫁の居るものはそれ目当てに死ぬ気で頑張る。無欲の勝利だよねと言った半兵衛様の言が当たっていて妙だ。だから半兵衛様、ひいては秀吉様は言葉で労いを表したり下賜しやすいものを授けたりする。そうだと言っても先月の紅はやりすぎな気がする。困ったように貝を持ってきて私はいらないからお前にやると言った三成の微妙な顔が忘れられない。





「おい」
「あー」
「なにを考えていた?」
「ん?」
「ぼうっしている。薬湯は効かないか?」
「んーん。少し血が足りないだけよ。」
「…ハシタナイ言い方をするな」
「えー…」
「温灸をするか?」
「ん」
「おい」
「三成のこと考えてた」
「…は?」
「この優しさを全員に向けたらモテるのに」
「…馬鹿か」
「そう?吉継に言ったら常ならモテると断言してたよ?」
「私も相手くらい選ぶ。」
「そう?勿体ない」



そういうと三成は少し怒ったような。それでいて諦めたようにため息をついて私の名前を呼ぶ。呆れて居るのかもしれないな。声にその色が含まれて居る。それでも三成は家康や左近くんのように私に刀を向けたことはない。怒って呆れて私の名を呼ぶのが最大の非難の現れなのだ。



「ごめんね?」
「謝罪を疑問で呈すな」
「ごめんなさい」
「…いい。それより腹は?横にならなくていいのか?」
「良いの」



三成、私の部屋にこないじゃないと言うと本日何度目かのため息をついて当たり前だと返される。真面目で紳士だ。家康とは全然違う。あいつは夜這いだと言って忍び込みやがった。エロ狸め。



「?」
「家康のこと考えてた」
「何?!」
「あのエロ狸と紳士な三成は雲泥の差だなと。」
「…」
「結局、三成のこと考えてたわ」
「…あの後も来るのか?」
「たまに。でもその時は三成が助けに来てくれるでしょ?」
「当たり前だ」
「ふふふ」
「?」
「三成」
「なんだ?」
「肩貸して」
「ああ」
「三成は無味無臭だね」
「食べたことないだろう」
「そうだけど。半兵衛様の部屋は墨匂い。吉継は薬草の匂い」
「そうだな」
「三成は無味無臭」
「お前は花の匂いがする」
「そう?」
「ああ」
「ふふ」
「なんだ」
「初めて言われた」
「…少し目を瞑れ。寝て居なくていいが倒れる」
「ん」
「側にいる。安心しろ」
「三成」
「どうした?」
「大好きよ」
「…私もだ」






きっと私の大好きと三成の大好きは違う。生涯を独身で秀吉様のために生きていくだろう三成の大好きは友愛だろう。操立てするだけ無駄かもしれない。
でも今はこの関係で十分だと自分に言い聞かせて私は意識を手放すのだ







両片思い







あれを己が膝に寝かせて書類に目を通す三成をニヤニヤして見ていると少しだけ眉を寄せ刑部と我を呼ぶ。勿論、あれの寝顔を隠しながら。
あれの気持ちもこれの気持ちも知る我としては至極自然な動きで益々笑みを深めてしまう。もうとっととくっついてしまえ。






「何だ?」
「いや、なに。いつになればこの顔を拝めるかとな」
「黙れ」
「太閤も首を長くして待っておるわひひひっ。女子には無慈悲な主が唯一の慈悲を持つか」
「勘違いをするな。私は元々これにしか興味はない。後の女など蛞蝓のようで薄気味悪い」
「左様か」
「何が言いたい?」
「蛞蝓の揶揄が媚を指しておるのか行為そのものを指しているのかちと気になってなぁ。前者なら別段良いが…主が好色どころか筆下ろしの相手すら聞き及んだことはない」
「…」
「不能かはたまた男色家か」
「これ以外に勃たないだけだ」
「誠主らしい、が」
「?」
「初手でしくじれば嫌われるやもしれぬなぁ」
「?!」
「己を律せることができず…嫌われるやもしれぬなぁ」
「それは!…刑部」
「やれ唸るな。初々しいのでなついよ。つい」
「これいかいとは契らん。夫婦としてのみだ。」
「その段取りは?」
「…」
「はてさて。致し方ない。我も一肌脱ぐか」
「すまん」

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嫌われるダリューン 5

「ジャスワント殿」
「サクラ殿。どうした?」
「今宵も殿下の身辺警護に?」
「ああ」
「なればこれを」
「?」
「ここの寒さは私でも堪える。私のもので申し訳ないが厚手の掛け布と温かい飲み物です」
「…」
「私がいれたものです。安心して下さい」
「ありがとう」
「いえ」
「…」
「?」
「貴女は私を疑っておいでか?」
「え?」
「毎日この様にして頂くゆわれはない…何か言いたいことがあればはっきりと言って下さい」
「…疑っておりませんよ。」
「…」
「確かに中にはその様なものがおります。が、全員では有りません。」
「古参の方は俺を嫌っている」
「ふふ」
「?」
「私は大層嫌われております」
「…は?」
「確かに我が家は武家の名門。父は死ぬ前年まで餓狼将軍として万騎長でした。母の家からも多数の千騎長はじめ2人の万騎長を輩出してます」
「ならなぜ嫌われる必要がある?」
「私が女であるからです」
「!」
「お忘れでしたでしょ?」
「…すまない。あまりにも堂々とした武人ぶりだったから」
「私はそちらの方が嬉しい。多くの者は私が女で千騎長にあるのは手練手管のせいだと思っておりましたから」
「そうか」
「私には兄がいましたが生まれて間もなく病死しています。他の兄弟もなくて跡取りとして養子を迎える話もあったのですが子飼いの家臣がそれを許しませんでした」
「何故」
「御家芸を失う可能性を孕んでおりましたから。ですから私にみっちりその技を叩き込んで男の子を産ませてととんでもない話で王に許しを得ていたそうです。その本人は早々と病に倒れ結果といいますか成り行きして私が当主となりました。」
「無茶苦茶だな」
「そうです。そのせいで大変でしたが今となっては良かったかなと何より姉が子を産んで教育すればお役御免ですね」
「そうか」
「ですから嫌われ者があなたに何かするということは有りません。食料を無駄にするくらいなら一対多数で首をとります」
「…」
「夕餉どころかまともに食事していないでしょう」
「それは…」
「我が家臣団と共にとって下さい。なれば当たりも緩やかになりましょう。食べている間は私が交代しますから」
「すまない」
「!」
「?」
「断られたらどうしようと思っていたから…良かったです」
「…」
「目下夜食です。しっかり食べて下さい」








嫌われるダリューン







「すまない」
「ジャスワント様」
「サクラ殿に」
「聞いてます。またうちの姫さんが世話を焼いたと言って皆笑っていたところですよ。おい!食事を持って来させろ」
「姫さん?」
「こういうと殴られるんですけどね。私らは赤ん坊の時から見てますから。王室に入ってもおかしくない身分だったんですけど」
「変わり者なんっす」
「…そうか」
「俺たちの姫さんはこれだから良いんっすけどね」
「?」
「先代様に輪をかけた平等主義なんです。あなた様のこと気にかけていましたから…まさか食事に誘うとは」
「良いのか?」
「姫さんが良いっていうのに俺らがダメとは言えないっす!それに此処のやつら半分はあんた同じっいてー!!」
「この馬鹿。姫に馴れ馴れしくするな、丁寧に扱えと言い聞かされていただろう。すみません。礼儀のない者で」
「いや」
「私は姫の守役です。これからは慣れるまで此方で食べて下さい」
「ああ」
「…」
「…」
「姫さんに手をだしちゃだめっす!」
「ー!!!」
「こいつ!」
「すいません」
「いや…すまない。」
「?」
「俺は女性が苦手だ、から。心配しないでくれ」
「そっすか!」
「…あとで仕置だ。」
「げ!あ!姫さんとダリューン様」
「…」
「何故サクラ殿はダリューン殿を嫌うのだろう?」
「狼と虎では番になりません」
「っていうか!ダリューン様がめんどくさいこと言うから姫さんが頑なになるんっす!」
「まー天下第一の意地っ張りだからなぁ」
「…そうか」

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嫌われるダリューン 4

「またやってしまった」
「別に構わないだろう。」
「姉者は熱を出すとすぐあれですから。いないと泣くしナルサス様ではダメでダリューン様呼ぶんですから」
「知らない…本当に頭が痛い」
「熱を出さないようにすればいいんですよ。適度な休憩と食事を心がけてください」
「そうなんだけど…」
「まぁ、ダリューンも手馴れたものだったし」
「そ、れ、が。困るのです」
「…ここまで砕けたサクラは珍しいな」
「…姉者の反省会はいつもこんなものでございます」




ベッドの上で頭を抱えていると殿下に笑われる。が、今は致し方ないと思いたい。また、やってしまった。私がダリューン殿を兄にぃと呼び妹のように可愛がられていたという暗黒時代を彷彿とさせてしまう行いをまた、やってしまった。




「兄にぃか」
「殿下」
「ぶっ!」
「笑わないでくださいませ。かなり悩んでおりますのに」
「いや、いつも冷静なサクラがこうも狼狽えるとは…すまない。つい、な」
「鉄仮面との落差が酷いのですよ。姉者は」
「エラム〜」
「姉者が寝込むたびにこのやり取りです。いい加減成長して下さい」
「そう言っても聞いてくれるエラムが私は好きよ」
「はいはい」
「仲が良いな」
「姉者は集団戦法の師でもありますから…付き合いは長いのです」
「サクラは集団戦法の達人と聞いた」
「達人ではありません。ただ、我が家は悲しいかな単騎で攻めきれる猛者が生まれにくくて、生き延びる為に研鑽を重ねて来ました。父は餓狼将軍と呼ばれましたが万騎長の中では一番単騎としての実力が乏しい人でもありました」
「そうなのか?父君は多くの首を挙げた英雄と聞いていたが」
「全員がダリューン殿の様に怪物ではないのでございます。ですが戦さ場ではその怪物と戦い、勝ちを収めなければなりません。私の行うものはその被害をなるべく減らし、収める。それを特化させたので御座います。強弓がないのなら正確無比な集団の矢を射る。剣が届かなければ最小被害かつ最大の効力を持って我らの剣を届かす。それを日々研鑽しております」
「成る程。…絶対的に被害が出るのも考慮してか?」
「相手によります。ただ、一人として無駄死にはさせませんし手柄は皆のもので御座います。研鑽を怠れば自然と淘汰されてしまいますし集団戦法は連携が要なので処断することもあります。本来なら兵が皆万騎長の実力であれば私の行うものは必要ありませんし我が師が計画を立てるのもやりやすいと思います。が、現実としてそれは不可能で御座います。殿下」
「?」
「良き統治者は最小被害で最大の効果を出し続けなくてはなりません。そうしなければ民は疲弊してしまいます。然し乍ら、被害なく統治することは絶対にできません。我々は勿論。殿下ももうその恩恵を得ております。少しの命を惜しみ多大な被害を出す統治者は慈悲に満ちておりません。ただの無能です。被害と利益のバランス。その見極めができる様になって下さいませ」
「そこの見極めはわかるものなのだろうか」
「きっと。研鑽を重ね良き王であろうとすれば自ずと見えてくるものでございます。現に今の戦いはそれそのもので御座います。我が師は頭の良い人でございますが、人の上に立つ器ではございません」
「姉者」
「彼の方は根っからの策士ですから。王としてはいくつか欠ける。ダリューン殿もそうです。王は頭が良ければいい強ければいいというものではありません。器の大きさです」
「器?」
「他人の才を妬まず受け入れ適材適所に配置する。まずこれができる人は少ないのですよ?王が強ければ強いほど賢ければ賢いほど妬み退けようとするものです。現にあの二人は憂き目にあっております」
「…すまない」
「ああ。違います。批判ではなく…そうですね。ああ」
「サクラ?」
「使うのではなく、遊ばすのですよ。好きなことをするのは一番楽しいですから。殿下の器の中で皆遊ばせてやれば良いのです。居心地が良いほど皆守ろうと思います。集団戦法もその様なところがあります。私のひいお爺様は部下に殺されました」
「?!」
「集団戦法の戦勝を独り占めしたからです。居心地の悪い器は壊されてしまうのです。優秀であればあるほど頭を垂れる相手を値踏みいたします。妬まず、褒め時に叱咤し正当に評価する。殿下はその器がここにいる誰よりも大きいので御座います。…嫌いでございますがラジェンドラ陛下も」
「あれがですが?」
「まぁ嫌いですからね。私も。ですが彼ほど自分を高く売り込む者も少ないでしょうね。彼の方が売り込む相手は自国の民です。ですから信じてはなりませぬよ」
「サクラ」
「はい?」
「体調が戻ってからでいい。そなたの知る集団戦法を教えてはくれないか?」
「殿下がお望みであれば」
「ありがとう」
「熱を出さない様にして下さいよ」
「エラム!」
「まぁ、あれはあれで」
「絶対嫌です!」
「そうか?仲睦まじくて良いと」
「…私にも意地がございます。一兵士として立った時よりダリューン様には甘えないと心に決めております」
「頑なだなぁ」
「『強い妹を持って誇らしい』と褒められた次の日に『弱い女が戦さ場に出るのは目障りだ』と言われたからといって根に持っているのです」
「エラム」
「その話延長線上に婚約を持ってこられて以来ずっとこれです。…姉者もそろそろお許しなさい」
「嫌です!」
「器の小さい」
「私の器は極小です!」
「サクラ…先ほどと言っていることが」
「良いのです!私は狼の群れの中の器であれば。それ以外を入れるつもりはありません!何より!」
「何より?」
「私は軽い男と同じぐらい自分の言に責任を持たない男は嫌いです」
「そうか」
「ナルサス様も?」
「師のしては尊敬しますが男として最低の部類です。アルフリード殿にも言ったのですが…ギーヴ殿やクバート殿のうに分かりやすいとそれはそれで良いんですが」
「良いのか?」
「無視すれば良いだけなので」
「そうか」
「姉者嫁入りはまだ先の様ですね」







嫌われるダリューン







「…」
「…」
「立ち直って下さい」
「ナルサスとダリューンをここまで落ち込ませるのはなかなかできないな」
「二人して大層可愛がったと聞いてますから。」
「そうか」
「師としてナルサス様に妻としてダリューン様にという計画は失敗になりそうですね」

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