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変換なしの雑食夢

ran

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死屍累々 18

「聊か」
「如何した?」
「鬱陶しい」
「?!」
「そう四六時中くっつかなくても」
「だが!」
「…」
「気に入らんのか?」
「信用されていないようですね」
「違う」
「?」
「その、だ」
「お寂しい?」
「ぐ…」
「!」
「悪いか…」
「悪くは、ありません、が」
「笑うな!」
「だって…凶惶と、呼ばれる貴方が」
「お前が!半年も行方を眩ましたからだ!」
「ふふふ。それも自業自得ですね」
「言うな…」
「其れより、旦那様」
「ん?」
「なにお仕事なさっているのですか?」
「…仕事ではない」
「恐れ多くも太閤殿下から休養を言い使っております。いえ、絶対休養です。あなた様とあろう方が…太閤殿下との」
「然し、この仕事を済ませぬと秀吉様の」
「…」
「奥?」
「横になって下さいませ。計算と書付は私が致しますから」
「は?」
「この半年で竹中様の元、嫌という程書付と計算をいたしましたから」
「…」
「?」
「此処に、居たのか?」
「はい」
「…」
「貴方が食べず寝ずは風の噂で知ってましたよ」
「!」
「(恥ずかしいらしいのね…)暴れませんように」
「何故?!!!」
「私は最初医務所にいて…そのあと無理がたたって倒れた竹中様の看病をしておりましたよ。あちらもああですから。熱が出ようが太閤殿下の為と…おもてになりますこと」
「当たり前だ!」
「…殿下としてはお二人が安らかである方が良いようですから。とっととお治し下さい」
「…」
「紙と硯と机と…誰か。手伝って下さい」
「生き生きしているな」
「?」
「無表情だがよく話す」
「それも」
「?」
「貴方が言ったからですよ」
「…ぐ」
「ですが」
「?」
「こうしておりましたら、お傍にはいられますね」
「!」
「横になって下さいよ」
「ああ」
「(野犬を手なづけた気がする)」






さらさらと書き付けていく。この人はこの状態でこの量の仕事をしようとしたのか…バカだと言いたい。ただ、大人しくなってきているのは良しとしておこうと思いつつ、手元が暗くなるのが気がつく




「奥」
「ん…」
「…」
「…」
「接吻、したのだが」
「そうですね」
「…」
「何ですか?」
「…」
「旦那様?」
「嫌、か?」
「…時々貴方がわからなくなります」
「惚れた腫れたではないと」
「最初はそうでしたね。次は、最低なろくでなし」
「やはり!」
「今は…案外奥方におさまってよかったと思ってますよ」
「は?」
「接吻も嫌ではありませんし」
「お前は…わかりにくい!」
「そうですか?」
「私は、お前に惚れているからな!」
「…」
「何だ!」
「本当に、わからない殿方ですね」
「お前は!」
「?」
「秘密です。」
「おい!」
「とっとと済ませましょう」
「…っち!」
「(存外面白い方だわ)」









死屍累々 18








「奥方?」
「旦那様から。」
「字が主か…無理をさせておるなぁ」
「いえ。その間はじっとしてますから楽なものです」
「子供のような話よな」
「いえ…脱走癖のある竹中様と比べてです。」
「ひひひっ!主と太閤が説教しておったものなぁ」
「ええ…あら?」
「刑部!」
「三成よ」
「厠の途中だ…あの件どうなった」
「ああ、あれか。」
「御二方共」
「ひひひ」
「奥!?」
「見えておらなんだのか?」
「…取り敢えず部屋で座ってください。」
「ああ」
「話はそこからです」
「や、やれ。奥方。我もか?」
「同罪ですよ」

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死屍累々 17

「ん…」
「旦那様?」
「奥、か?」
「起きましたか?」
「頭がいたい」
「お疲れが出たのでしょう。熱も高くて心配されておいででしたよ」
「水」
「白湯を用意してます。ゆっくり飲んで下さいませ」
「ああ」
「粥を作っていますのでそれを食べて薬飲んで下さいませ」
「…」
「…」
「…」
「…?」
「…?!??!?!??」
「急に起き上がってどうしたのですか」
「な、ぜ?!」
「貴方様が呼んだのでしょう」
「…そうだが」
「お痩せになりましたね」
「…」
「半年ぶり?ですか…口を開け下さいませ」
「…温い」
「煮えたぎったものの方が宜しいですか?」
「水っぽい」
「食べてない胃にはちょうど良いのですよ」
「…薄い」
「次は海の如く濃くしておきます」
「…」
「もう文句はありませんか?」
「…」
「もう一度口を開けて下さいませ」
「奥」
「で宜しいのですか?」
「どういう意味だ?」
「三行半を突きつけたのは貴方様でしょう?」
「…」
「全部食べて下さい」
「あいも変わらず」
「?」
「無表情だな」
「生まれつきですから」
「嘘つけ」
「真実ですよ」
「だが」
「?」
「不思議と落ち着く」
「左様でございますか」
「…もういらん」
「食べないとまた消えますよ」
「もう逃がさん」
「今の貴方様なら逃げ切れる自信があります」
「…」
「端的な力はありませんが使い方は得意ですよ」
「そうか」
「あら、お怒りになりませんか?」
「お前は生き生きしているな」
「半年ゆっくりしてましたから。」
「人の気も知らないで」
「貴方様が言いますか?」
「…」
「五島はなんとか。里で家中のものと娶せたそうです」
「そうか」
「…全部食べられましたね。よかった…」
「良かったのか?」
「?」
「あのまま…死んでいた方が」
「それこそ。人の気も知らないで」
「?」
「心配しておりましたのよ」
「?!」
「とっとと後妻を貰えば私も心配せずに済んだのですよ」
「バカを言うな」
「…」
「私の妻はお前だけだ…いくらお前が毛利を」
「まだ言っているのですか?5.6歳の折の話をそう何度もされても」
「…5.6歳?」
「言っておりましたでしょう?幼い折の砌だと。今でも良い幼馴染ですよ。竹中様のせいで知られて、半年の間手紙のやり取りいたしました。彼方ももう2人の人の親ですから。御正室様は本に優しそうな方ですよ。仲が宜そうで羨ましい限りです」
「そうか」
「大谷様とも話しましたが…貴方様は人の話を聞かなすぎなのです。殿下と竹中様以外にも大谷様や島様…下人や領民の声をしっかりお聞き下さい」
「お前の声は?」
「…さぁ。どちらでも」
「お前らしい」
「妻ではありませんから」
「…意外と根に持っているのか」
「死にかけましたから」
「そうだ?!傷!」
「いつの話ですか?縫ったら治りましたよ」
「縫った…のか?」
「ええ」
「痛、かったな」
「私も人ですから」
「そうか」
「?」
「見せてみろ」
「嫌ですよ」
「良いから!」
「…」
「薄いが…跡になるな」
「そうですね…旦那様?」
「奥」
「如何致しましたか?」
「これから先、どのような事があっても私の側を離れるな」
「!」
「私の側はお前だけで良い。お前の言葉もきちんと聞く。だから誰がなんといっても己に傷をつけたりするな。私は、お前に健やかにいてほしい」
「…」
「もう二度とこんな事にはならないように私がお前を守るから」
「なら」
「?」
「…人並みに食べて寝てください」
「ああ」
「色々ありますが…約定は如何致しますか?」
「…破棄しろ!」
「殿下が…」
「私がお願いする。良いな!お前は私の妻だ!」
「…あいも変わらずですね」
「…好かぬか?」
「貴方がお嫌いだっただけでしょ?」
「よくわからなかった。…今は恋しいと言える」
「…」
「奥」
「貴方様が、お飽きになるまでお傍にいましょう」
「飽きん。妻だぞ!」
「お好きな肩書きで良いです」
「!」
「(あら、可愛らしい)」
「そう、か。妻になるか…」
「ふふふ」
「?!」
「さあ、お薬飲んで…今は少しお休みなさいませ」
「…居なくなるな」
「傍にいますよ」
「手を出せ」
「?」
「これで逃げられん」
「ふふふ…くくくく」
「笑っていろ。」
「旦那様?」
「そちらが良く、にあ…う」








死屍累々 17







「?!」
「やれ、起きたか?」
「…奥?!」
「逆よ。逆」
「…居た」
「明らさまにホッとしてからに。手までつないで仲が良いことよ」
「寝ているのか?」
「主が倒れて丸3日つききりで面倒を見ていた故なぁ」
「…そうか」
「やれ、三成」
「?」
「良かったなぁ」
「ああ」

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死屍累々 16

「奥?!…っ。夢か」
「また魘されていた…奥方か?」
「ああ」
「顔色の悪い…もう何ヶ月もまともに寝ておらぬのよ。一層の事、薬で無理矢理寝てみてはどうだ?」
「刑部」
「ん?」
「奥の墓は見つかったか?」
「…」
「如何した?」
「真逆、主の口から聞くとは思わなんだ」
「何故だ?」
「興味がなさそうであったのでなぁ」
「…直ぐに調べた」
「左様か」
「この辺りの寺院に書状を書いたが何処も答えは否だった。少し離れたところへと進めていっていたが…無駄だった」
「…」
「下人は何処のどいつか…調べてもわからない。刑部」
「やれ、その顔で凄むな。怖いこわい」
「私が噓いつわりを…裏切りを嫌うのを知っているのではないか?!」
「ひひひっ真逆主が我のあずかり知らぬところで動くとはなぁ」
「刑部!」
「まず、その真意を問うてからよの」
「…」
「主のそれは何故か?」
「…下知を無視して菩提を弔う気だった」
「主が?太閤の命を無視?!」
「弔い済んで後に…言うつもりだったが何処もあれはおらぬと言う。」
「そうよなぁ」
「刑部」
「ひひひ。主がなぁ…ならば良い。寧ろ上々よな」
「ならば!」
「喉はついた」
「?!」
「が、賢人が取り押さえた」
「生きて、いるのか?」
「さてなぁ。」
「如何いう意味だ!!」
「以前言うただろう?あれはちと特殊よと」
「…」
「人質、暗殺、盾に刀。そのためだけの訓練をしてきた女子よの。故に一度出れば郷には帰れぬ」
「訓練…か」
「左様。故に主があれの部屋で五島を抱いて郷に帰ると雖も帰らぬのはそのせいよ。まだ、その役が残っていた故」
「役?」
「ぬしの正室で有事の際の盾刀になるという役よ。実際水際でよう止めてくれておった。毒殺、寝首、暗殺。忍びなどは特になぁ」
「…」
「我の乱波とよう連絡しておったわ。これは我とてつい最近知った事よ。侍女から下人に至るまで全て奥が決めておったからなぁ」
「そう、か」
「まだ居場所があった奥に、三行半を突きつけたのは…三成自身よ」
「…」
「寵愛もなく、役も失った。故にあれの存在意義はなくなった」
「そんなわけあるか!!!」
「三成よ」
「その程度で!意義を失うのならば今の私は一体なんだ?!」
「我とて思うが…奥方はそうは思わなかったのよな。最後役目である自害もままならんとな…死人同然よ」
「!」
「まぁ主よりはまともよの」
「食事は?」
「ん?」
「食べているか?」
「食べている」
「水は」
「飲んでおるなぁ」
「寝ては」
「よく寝ている。主の方が心配よ」
「…私がつけた傷は?」
「?」
「頬の」
「…いつの話よ。痣も消えた、消えた」
「…刑部」
「喉の傷は跡にもならなんだと言えば嘘になるが…薄いものよ」
「そうか」
「三成」
「…そう、か」
「やれ、泣かしゃるな」
「無事なら、良い。」
「ひひひ。安心いたせ。毛利にも行っておらぬよ」
「…」
「鳩が豆鉄砲くろうたような顔よの…毛利に逃げたと思うたか?」
「…」
「三成よ」
「腸が、煮え繰り返るような」
「やれ、禍々しい」
「心地だが、幸せなら仕方ないと」
「ひひひ。貞操は主の方が軽い軽い。」
「…そうか」
「主は本にわかりやすい」
「…」



そう言えば三成はあの白い亡霊は矢張り…と言うのでさてなぁと濁しておく。するとぶつぶつと何かを言って立ち上がる。




「奥!!!」
「やれ叫びしゃるな!!!」
「出て来い!!!!」
「三成…もうちと優しゅう」
「…出てきてくれ!」
「ひひひ」
「貴様は私の奥だ!役目ではない。」
「…?」
「私に貴様の顔を見せてくれ」
「やれ…三成」
「お、く」
「?!やれ!!!三成!っ?!起きよ!如何した!!!!」









死屍累々 16





「気が抜けたんだねきっと」
「ゆるりと寝たら治ろう」
「季節も2つ回ったし。もう彼女次第かな?」
「主の調子も安定しよったからなぁ」
「もー!口煩くてさ!そこが彼女らしいんだけどね。そろそろ返してあげようかな」
「ひひひ」

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死屍累々 15

(三成様…寝たかなぁ)
(…)




夜回りをしているといつもは閉まっている三成様の部屋の障子が半分閉まっていて珍しく寝たのかなと思ったのがことの始まりだった。でも蝋燭ついてるし…そっと障子の隙間から中を覗くと白い影が見える。ん?三成様また寝なかったのかよと思いつつもう一度目を凝らして中を見ると三成様は珍しく机で寝ている。ので、白い影は何なのか?!



(まさ、か?!お化け?!!!にしては怖くねぇ?嫌々、怖いって!ん?!何で三成様の羽織をかけるんだよ??)
「…」
(ば、バケモンだろうと何だろうと!三成様は俺が…)
「?!」
(!)
「…」
(わらっ?!)
「…」
(消えっ?!ぎゃゃゃゃゃ!!!!!)









「というわけなんすよ!」
「…」
「刑部さん!!!」
「我とて知らぬわ。…にしても、祟られたなぁ、左近」
「何で?!!!なんで俺?!!!」
「ひひひっ!哀れ哀れ」
「やややややややややややややめてくださいよ!マジで冗談になってねぇって!」
「祟られているのか?」
「三成様まで!」
「左近。落ち着け。なぜ貴様が祟られる?」
「そっすよね!ほら、刑部さん!!!」
「祟られているのは私だろう…」
「三成様?!」
「奥が恨めしくてたたってきたのだろう?」
「はてさて、何故そうなりよる?」
「当たり前だ。私のせいで苦しんで…」
「やっぱ!供養したほうがいいっすよ!奥方様は優しいから許してくれますって!!!」
「構わん。このままでいい」
「三成様ぁ!!!」
「早々に奥にあって詫びてやれる。もう一度、彼の顔が見えるのならそれにこしたことはない」
「!」
「供養はそれから…」
「だが、ニヤリと笑ったのよの?」
「そっす!それ見て俺気絶したんっすから」
「ニヤリとでもあの奥方が笑うか?」
「…そういえば」
「五島の方やもしれぬなぁ。よく、主と肌を交わしてた故悋気や情念は業が深かろう」
「ひっ!?五島って奴も?!いつの間にかいなくなってたけど」
「主が虫の息まで痛めつけたのよなぁ」
「あれの讒言に乗った私が一番悪いがあれも同罪だ」
「あれより、我も知らぬ、知らぬ」
「なら、あれは…」
「第一笑わぬよなぁ」
「三成様…」
「一度、偽りの中であれも笑みを見たが…そういう類のものではなかった。…刑部、目障りだ。どうにかしろ」
「あいわかった」
「お、俺は?!」
「祟られぬようになぁ」
「ひぃぃぃぃぃ!!!」








死屍累々 15







「あれから出て来ないところを見ると…ひひひ」
「っち!」
「まぁなぁ。奥方は祟るような性格とは違う故」
「あの女は」
「ん?奥方か?」
「五島だ」
「ああ。如何した?」
「あれは寝ている私に羽織をかけるようなおんなでは無い」
「主の女子を見る眼は本に無いなぁ」
「…」
「故に奥方かもしれんと…捨てきれなんだか」
「だが違うようだな…」

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死屍累々 14

「…」
「刑部さん!」
「ん?何用よ」
「可哀想っすよ!」
「やれ」
「三成様!あんなに憔悴して…寝てねぇし飯も食ってないんっすよ!」
「はてさて。そんな三成に勝てぬ主が心配することではない。」
「そっすけど!」
「はてさて。仕事は今まで以上に完璧よなぁ。」
「逃げちまいたいんでしょ?転寝していても魘されて起きちまいますもん」
「まぁ、なぁ。」
「やっぱり墓の位置わかんないんっすか?」
「言った通りよの。彼れは三成が離縁した以上豊臣とは無縁よ。生家も縁を切っておる故受け取りがおらぬ。野晒しにせぬのは賢人と我の情よ。」
「でもどこに埋められたくらい」
「分からぬものは我とてわからん」
「…」
「?」
「昔、奥方様の前で五島の悪口言ったんすよ」
「左様か」
「したら奥方様に叱られたんっすよね!俺わかんなくて、普通奥方様が怒るとこって言ったら」
「言ったら」
「『悪言も恨みも何もかも。願望があるから起こるのですよ』って」
「奥方らしい」
「俺、奥方様に願望ないのか聞いたんっすよ」
「濁されたか?」
「遠い昔に無くしたかもって…三成様を度外視にしても花や線香の一つくらいあげたいっす。きっと次は奥方様が笑える希望に満ちた生き方ができるって」
「ひひひ」
「刑部さん?」
「やれ、すまぬ。我とて同じよ。供養の一つしてやりたいが…これが世の習いよ。諦めりゃれ」
「でも」
「それに」
「?」
「それは本来三成の役目よの。我らはその後よ」
「…」
「不服かえ?」
「三成様は奥方様を嫌ってたから」
「そうよな」
「表情は確かにないっすよ!でも…困ってるやつ見つけたら身分関係なく手助けする優しい方で、ここの下働きのやつとかに本当に慕われてたんっす。俺、」
「三成が分からぬか?」
「あんな良い人を自害に追い込むなんて…三成様らしくねぇ」
「左様か…しかし、三成とて」
「?」
「彼れは人の機微に疎いのよ。他人でも己でもなぁ」







からりという音がするので顔を上げる。刑部が困ったような顔をして横に座るので少し待てとだけ呟く。
書類が書き終わる。これで秀吉様から頂いた仕事は終わった。あとは佐和山の方の仕事をと考えていたら名前を呼ばれる。



「すまん」
「入れ込み過ぎよ」
「佐和山の」
「大阪の仕事は終えたのか?」
「今、な」
「少し喰うて休みをとらしゃれ」
「…」
「皆心配しておる」
「いらん」
「三成」
「くどい!いらんと言えばいら」
「主がいくら食わず寝ずを突き通しても奥方は帰ってこぬ」
「!」
「良い加減にしりゃれ。皆、心配しておる」
「刑部…」
「…」
「寝ると、奥が出てくる」
「夢枕に立つのは縁の深い証拠よな」
「…違う。彼れは決して私の夢枕には立たん。彼れの死んだ顔だ」
「左様か」
「辛いと言っていた。ただ、楽しい人生だったとも」
「奥方らしい」
「私は彼れに楽しみを与えてやれていない。偽りなく、笑ましたことがない」
「…致し方ない。主が奥方を思う気持ちに気付いたのは最近故。」
「私は奥に嫌われても仕方がない男だ。…ただそれだけだ」
「三成よ」
「確かに秀吉様の一兵卒が畳の上では死ねん!少し喰うて寝る。」
「膳を持ってくる」
「すまない、刑部」






死屍累々 15






「ようやく食べて寝たんだね」
「はてさて。また悪夢で起きるのも時間の問題よ、問題」
「仕方ないね。彼にしたらこうなるとは思わなかっただろうから。」
「はてさて。西海の鬼から何と?」
「元就君の動きはないみたいだよ。まぁ、こっちの方が時間の問題かな」
「彼れも罪な女よ」
「そうだね。変わった子だったものね」
「ひひひ」
「そういえば」
「?」
「新しい正室の件」
「言うておらんよ。とても言えぬ言えぬ」
「僕も嫌かな?もう少し待ってみようか」
「やれ、賢人」
「三成君?寝てたんじゃ…」
「ついてきりゃれ」
「ああ。あそこへ行くのかな」
「慟哭よな。…憐れよ憐れ」
「そうだね…」
「しかし時はまだ…」
「もう少し様子を見ていうか否か決めようか」
「あいわかった」

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