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変換なしの雑食夢

ran

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真を芯とて清して進す 2

「主らしいといえば主らしいが」
「何がだ」
「あれと何にもならんあたりがよ」
「あれも私も秀吉様の御為に生きているだけだ」
「太閤が嫁せといわば嫁すらしいがなぁ」
「ぐ…」
「三成よ。太閤にねだりしゃれ」
「馬鹿をいうな。私心を持ってあの方に仕えられるか」
「やれ、つまらぬつまらぬ」
「そんな事より…ん?」
「失礼してもよろしいですか?」
「やれ、如何した」
「石田様は…ああよかった」
「私に用か?」
「ええ。お客様です」
「客?」
「雑賀様でございます。お部屋にと申しましたが、外の方がと仰いましたので演習場にいらっしゃいます」
「すまない」
「お茶室は空けておりますから。宜しければ」
「助かる」
「また良い折に声をかけしゃれ」
「ふふふ。お殿様たちのお話を一介の侍女が聞くわけには参りませんわ」
「おい」
「はい?」
「ついて来い」
「どちらにですか?」
「雑賀に会いに行く。一緒に行くぞ」
「…石田様?」
「お前は一介の侍女などではない。気にするな」
「えっと…!ああ!そう言うことですね」
「…あれは私を裏切らん。そう言う女だ。」
「ふふふ。ではお供させていただきます」





石田様の後ろをついていくと何故か大谷様が横に来られる。「意味を解こうておるか?」と尋ねられるので「石田様の心に決めておられる女性ですね」と返す。ほくほくとした顔で頷かれるので私は「雑賀様はお強く美しくあられますものね」と言う。





「?!」
「もし若子様が御生れ遊ばされたら…さぞ美しいことでございましょう」
「や、やれ?」
「あっ。気が早うございましたね」
「…」
「大谷様も楽しみでございましょう?姪や甥が産まれるよりも…ふふふ」
「ぬしは本に」
「おい、何をしている」
「やれ、ちとなぁ」
「?」
「おい、こちらに来い」
「はい」
「雑賀。これが」
「ああ、例のか」
「大阪の侍女頭でございます」
「…くくく。鴉め。」
「私より大阪に詳しい。不具合があれば言え」
「ああ。そうさせてもらう」
「雑賀様?」
「名前は?」
「此処では月瀬と呼ばれております」
「?」
「奥に上がるときには実名を捨てるのでなぁ。我らとてこの名しか知らぬ知らぬ」
「ふふふ。私はこの名を殿下から賜りました折より実名など忘れました」
「この通りでなぁ。三成よりは丸いが…芯は同じよ同じ」
「あら、私は一召使。石田様は左腕。比べてはなりませぬ。」
「おい」
「ひひひ。万事この調子よ」
「成る程な」








真に芯を清して進す 2







「雑賀様」
「ん?ああ、月瀬殿か」
「お食事のご用意が出来ましたので…御家中の方達にもお声をかけてもよろしいですか?」
「…」
「?」
「なぜ家中と?」
「部下ではないと聞き及んでおります。」
「そうか」
「ふふふ」
「?」
「石田様からお教え頂きました。雑賀様の事。気に掛けておいでです」
「あれでか?」
「迚も。わかりにくいかもしれませんが」
「分かり難すぎだな」
「ふふふ」
「月瀬殿は元々」
「私の父は大和大納言様の下で禄を頂いておりました。母も父ももう亡くなり、家督は叔父が継ぎましたので私は8つの時に行儀見習いでこちらに参りました。長浜の折より大谷様や石田様にはお世話になっております」
「仲がいいのだな」
「ええ」
「…」
「あ!ですが」
「?」
「石田様は雑賀様の様に美しく強い方が」
「は?」
「ああ。すいません。おしゃべりが過ぎました」
「ま、て」
「では」
「…なんという勘違いを」

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真を芯とて芯して進す

「侍女頭様」
「はい…あら、左近様?如何致しましたか?」
「良かった!見つかった!!」
「?」
「三成様がまた食べないんっすよ!刑部さんが侍女頭様を呼んでこいって!すいませんが良いっすか?」
「はい。わかりました。あ、お初とお松。私の代わりに各部屋の掃除の状態を確認してください。終わりましたら私は衣装部屋へ参りまして太閤殿下と竹中様の明日の支度を致します。夕餉前までに現行の仕事と並行して行ってください」
「「はい」」
「ではお願いいたしますよ」





そう言うと皆自分の持ち場に歩いていく。私も確認後には書類の整理と思っていたけど無理らしい。1日に三度の食事を3日まともにお召し上がりにならないと何故か私に声がかかる。何故かはわからないものの必ずなのだから逆に予定も立てやすい。
石田三成様とは大阪城に上がった折よりのご縁。いつの間にかお互い出世したけれども根本は太閤殿下の為、人命を賭す同士なのだと勝手に思っている。






「失礼します」
「?!」
「やれ、きよったか」
「な?!刑部!」
「主も忙しそうよの」
「お忙しいのは御二方様でしょうが、末座ながら太閤殿下の御為に尽くさせていただいています」
「何を言っている?貴様はこの大阪城になくてはならない女だろう」
「あら、嬉しい」
「…何の用だ」
「昼餉のお誘いです」
「私は」
「お弁当にしてもらいましたから庭を見ながらいただきましょう」
「おい!」
「刑部様も」
「いただこう」
「刑部?!」
「はてさて。三成が要らぬというなら我と二人きりよなぁ」
「それは!」
「逢い引きみたいですね」
「……食べんとは言っていない」
「はてさて。主はいつもこのやりとりで食らうなぁ。」
「戯言でも言うな」
「ふふ。本に仲が良いことで羨ましゅうございます」
「いや…そのだ」
「ご心配には及びませぬよ。石田様から大谷様を奪おうなど思っておりませぬから」
「ひひひ」
「ぐ…ちが、いや…いい。弁当を出せ」
「はいはい」



そう言って私はお弁当を縁に持っていく。暑い日が続く中ではあるものの今日は風が出ていて涼しい。何より、石田様の部屋は庭の木々のお陰で木漏れ日程なのだ。やはりここは過ごしやすいですねといえばふんと鼻で笑われる。



「にしても」
「はい?」
「主はいくつになった?」
「あらいやだ。女子には歳を聞かないのが礼儀ですわ」
「はてさて。ひひひ。そんな礼儀があったか?」
「そう言うものですわ。大体、私の歳を知らぬ仲でもありませんでしょ?」
「三成より1つしたか?」
「そうだ」
「今年で良い年になりました。」
「太閤と賢人が心配しておったよ。主ほどの器量好しが嫁がぬのもまた不思議とな」
「な?!」
「私より先に皆様方でしょ?太閤殿下も竹中様も。勿論あなた方お二人も」
「ひひひ。藪蛇か」
「ふふふ」
「私は、」
「石田様?」
「…心に決めた女がいる」
「まぁ!」
「…貴様は?」
「私でございますか?」
「ああ」
「太閤殿下の御心によります。此処で仕えろと言われれば仕えますし、何処ぞへ嫁げと言われれば嫁ぎまする。」
「相も変わらず私心のない話よ」
「好いた惚れたなど…太閤殿下に比べれば。私の望みは太閤殿下の為生きて死ぬことですから」
「本に、主らしい」
「石田様ほどお役には立てませんが…石田様?」
「何だ?」
「美味しいですね」
「ああ」










真に芯を清して進す









「おい」
「はい…あら?石田様」
「明日、急だが客が来る」
「お武家ですか」
「ああ」
「これならば…部屋はいつものところでよろしいかしら?竹中様は何と?」
「いつも通りと仰っていた」
「そうですか。」
「…おい」
「はい?」
「私は私の城より整然とした大阪のこの城が好ましく思っている」
「太閤殿下のお陰でございますね」
「いや、それは当たり前だが」
「?」
「裏方のお前のおかげだと思っている」
「あら」
「働きやすく整えてくれて感謝する。…これからも頼む」
「はい。太閤殿下の為、尽くしましょうね」
「ああ」

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死屍累々 19

「奥」
「…」
「手を出せ」
「?」
「…」
「わ…」
「…奥はいつも花を見ているからな」
「似合いません!こんな可愛らしい櫛」
「似合う」
「似合いません!」
「…ほら、似合う」
「?!」
「着物も見繕うぞ!秀吉様の許可も頂いている」
「わ、私は」
「そういう色も似合うが…淡い色も似合うだろう。」
「似合いません…」
「奥」
「皆にそう言われていましたし」
「皆が誰か知らんが!私は讒言は好まん。…似合うものははっきり言う」
「っ」
「行くぞ」
「あ、う…」









太閤殿下曰く何時もの礼とのこと。確り見繕いましたと言って広げられる夥しい反物に慄きながら手を引かれる。その先には困った顔の大谷様がいて諦めよと言われてしまった。



「此れも似合うな」
「やれ三成、その色はいかぬいかぬ。伊達の色よの」
「…誰だ?」
「ひひひ。こちは如何か?」
「藤色ばかりになる。」
「主の色故なぁ」
「淡い紅色はあるか」
「ああ、愛らしい」
「…う、あ」
「ひひひっ珍しく主がたじろいでいるなぁ」
「似合いませんもの!助けて下さい」
「三成よ。そこの絞りをとらしゃれ」
「ん?これか…」
「旦那様?」
「よく似合う」
「っ?!」
「お前のことだ。いつもというわけにはいかんだろうが着飾ることを厭うな」
「ですが」
「似合っている。嘘は言わん!」
「たまには城下でもいかしゃれ。主とて城外はまだよなぁ」
「ですが」
「太閤もそうせよと言っておる故。この着物が出来ればゆるりといかしゃれ」
「…旦那様」
「行かぬ気か?」
「い、え…」
「私は行きたいと思っている」
「?!」
「如何した?」
「いや…如何すれば良いのか戸惑っているだけです」
「戸惑うな」
「慣れませんもの」
「慣れろ!私は」
「?」
「貴様が如何思おうとも貴様の事を…愛しく思っているからな!」
「…」
「おい!これに合わせて帯小物を整えておけ」
「はい」
「刑部」
「今日の仕事はもう済んでおるゆえ。安心いたせ」
「?」
「行くぞ」
「え?あの」
嫌なら断ってくれても構わん」
「?」
「名実ともに私の妻になってくれ」
「……は?」
「ダメか?」
「お待ちください!?何が何だか」
「…お前は寝ていれば良い」
「っ」
「出来るだけ、善処する」










死屍累々 19







「…」
「ん?」
「…」
「おい」
「お、」
「お?」
「お気遣いなく」
「…脱がせれん!」
「いえ、お気遣いなく」
「逃げるな!」
「逃げておりません」
「奥」
「ひっ?!」
「?」
「あ、う」
「落ち着け」
「…」
「無表情故、お前はわかりにくい」
「そう、でございます」
「が、」
「っう!」
「嫌なら断ってくれ」
「…旦那様」
「私にしては、かなり我慢をしているが…お前が、怖いのなら」
「怖いというより」
「?」
「は」
「は?」
「恥ずかしい…」
「は?」
「後生です」
「おい」
「は」
「恥ずかしいのだな」
「う」
「嫌でも怖いでもなく」
「う…?」
「…」
「(嬉しそうに笑ってる?)」
「そうか」
「?」
「なら」
「ひやっ」
「じき、わからなくなる」

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死屍累々 18

「…」
「な、何かな?」
「太閤殿下」
「行け」
「酷いよ!秀吉!!!」
「貴方様は何を考えていらっしゃるのか。恐れ多くも」
「助けて!」
「無理だな」
「やれ、始まったか」
「…」
「ひひひ。止めに行くか?」
「いや、良い」
「それが得策よのぅ」







一通りの小言を言いながら熱で倒れた竹中様の看病をする。今回は太閤殿下も御立腹らしいが、如何せんこの人に甘い。怒りきれないので私が代理になる。




「君も無表情でずけずけと」
「私が笑みながら言うのならば最終段階ですよ」
「そうだけどね〜。三成君の方は?」
「昨日から復帰です。復帰の挨拶しに行かれたら貴方様が倒れていて慌てて呼びに来られたのですから」
「お礼を言ったほうが良いのかな?」
「どちらにしろ殿下の名でここにくるでしょうから。結果としては同じでございますよ」
「…はぁ。案外手厳しいんだよね」
「当たり前です其れほど皆に心配かけておいでだとお思いください」
「ふふふ。ありがとう」
「目下」
「?」
「彼方が羽目を外さないか…」
「三成君がかい?」
「…」
「まぁ彼もああいう性格だから」
「そろそろ新しい遊び女を」
「?!」
「何か?」
「君ってそう言うとこあるよね」
「?」
「信用しきってない?」
「有り体に言えば…」
「半年も一人で寝てたのに」
「慟哭が酷かったからでしょう?今は落ち着いてきておりますから…何を好んで私などと同衾したいというのか」
「君に惚れ込んでいるじゃないか」
「…其れも急過ぎです。聊か」
「まぁ、ね」
「心を傾けて下さったことはわかりますが…本に何もない夫婦ですから。名目上みたいなものはあいも変わらずですし」
「そうかな?」
「旦那様と貴方様、大谷様の看病係ですね。今仕事は」
「否定できないね」
「ということで、早々に側室をつけて差し上げて下さいませ。」
「え?僕からかい?」
「私には彼の方の趣味は知りませんから。」
「えー…と、君だけで良いと思うよ?」
「良い加減なことを言わない」
「(きっと襖の向こうは凄い事になってるだろうなあ)」







《襖隔てて》









「やれ落ち着け」
「これ!が!!落ち着いて!!!!!いられるか!!!!!!」
「三成様!!!落ち着いて!!!」
「まだ叫ばぬから理性は残っておろう。はてさてどうしてこうして」
「私は、あれを好いていると!!!」
「与太話と思うたのだろう」
「?!」
「はたまた寝言っすね」
「?!!!」
「贈り物とかどうですか?」
「どこか連れ出すのも良いやもしれぬなぁ」
「…私は」
「三成様?」
「はてさて困った困った…ん?」
「この声?」








「竹中殿」
「やぁ家康君」
「具合はどうかと心配しておりましたが」
「彼女のおかげでね」
「彼女?」
「お初にお目にかかります。石田が妻、」
「嗚呼!君がか!」
「…?」
「わしは徳川家康!三成の友だ」
「彼は三成君と同期でね」
「其れは…いつも世話になっております」
「そう深々と頭を下げないでくれ。本当に三成の奥方か?」
「ああ。」
「ん?奥方」
「はい?」
「頬に…」
「ィィィエヤァァァスウゥゥ!!!!!!」
「?!」
「み、三成?!!!」
「あーあ…」
「貴様?!!!私の奥にその汚い手で触れるな!!!」
「な?!旦那様?!!抱きかかえないでください!!!」
「良いか!家康!!!此れは私の物だ!勝手に触れるなど許しがたい愚行!!!半兵衛様!!!こいつを斬首する許可を」
「何を言っているのですか?!皆様もお止め下さい!!!徳川様がお困りです!!!」
「いや、あははは」
「申し訳ありません、徳川様」
「彼はあれで焦っておってな。」
「あ、そうなのか?怒っているのかと」
「ィィィエヤァァァスゥーー!!!」
「旦那様!!!」
「奥!何もされなかったか?!!怪我はないか!!!」
「お、落ち着いて下さい」
「落ち着いていられるか!あんな筋肉ダルマに触られたと思うと!虫酸が走る」
「ひでっ!」
「腕は折れていないか?」
「流石に…旦那様。私は深窓の姫君ではありませんから」
「貴様ほど!」
「?」
「美しく儚い女はおらん!」
「…大谷様。何か悪いものでも」
「はてさて…通常運転よ」
「三成様最近ずっーと言ってますよ!」
「ははは。疑ってるのは君だけだよ。三成君裏表ないものね。」
「というかできないのよ」
「ベタ惚れだな」
「自分の気持ちが分かったら三成様良い意味で粘着質ですからね!」
「悪い意味ですよ!その言葉」
「奥」
「ひっ?!」
「私にとって唯一無二の女だ、お前は」
「え、あの?!」
「いくら疑ってもその事実は変わらん!…奥?」
「わ、私」
「あ、待て!」



「何わし当て馬?」
「ならば良い働きよな」





死屍累々 18







「で」
「何ですか?」
「三成君は?」
「太閤殿下に引き止めていただいております」
「へー」
「何か?」
「無表情だとしてもわかりやすいね」
「…今日は苦めに行きますね」

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