真を芯とて清して進す 2 三成短編 2016年08月06日 「主らしいといえば主らしいが」「何がだ」「あれと何にもならんあたりがよ」「あれも私も秀吉様の御為に生きているだけだ」「太閤が嫁せといわば嫁すらしいがなぁ」「ぐ…」「三成よ。太閤にねだりしゃれ」「馬鹿をいうな。私心を持ってあの方に仕えられるか」「やれ、つまらぬつまらぬ」「そんな事より…ん?」「失礼してもよろしいですか?」「やれ、如何した」「石田様は…ああよかった」「私に用か?」「ええ。お客様です」「客?」「雑賀様でございます。お部屋にと申しましたが、外の方がと仰いましたので演習場にいらっしゃいます」「すまない」「お茶室は空けておりますから。宜しければ」「助かる」「また良い折に声をかけしゃれ」「ふふふ。お殿様たちのお話を一介の侍女が聞くわけには参りませんわ」「おい」「はい?」「ついて来い」「どちらにですか?」「雑賀に会いに行く。一緒に行くぞ」「…石田様?」「お前は一介の侍女などではない。気にするな」「えっと…!ああ!そう言うことですね」「…あれは私を裏切らん。そう言う女だ。」「ふふふ。ではお供させていただきます」石田様の後ろをついていくと何故か大谷様が横に来られる。「意味を解こうておるか?」と尋ねられるので「石田様の心に決めておられる女性ですね」と返す。ほくほくとした顔で頷かれるので私は「雑賀様はお強く美しくあられますものね」と言う。「?!」「もし若子様が御生れ遊ばされたら…さぞ美しいことでございましょう」「や、やれ?」「あっ。気が早うございましたね」「…」「大谷様も楽しみでございましょう?姪や甥が産まれるよりも…ふふふ」「ぬしは本に」「おい、何をしている」「やれ、ちとなぁ」「?」「おい、こちらに来い」「はい」「雑賀。これが」「ああ、例のか」「大阪の侍女頭でございます」「…くくく。鴉め。」「私より大阪に詳しい。不具合があれば言え」「ああ。そうさせてもらう」「雑賀様?」「名前は?」「此処では月瀬と呼ばれております」「?」「奥に上がるときには実名を捨てるのでなぁ。我らとてこの名しか知らぬ知らぬ」「ふふふ。私はこの名を殿下から賜りました折より実名など忘れました」「この通りでなぁ。三成よりは丸いが…芯は同じよ同じ」「あら、私は一召使。石田様は左腕。比べてはなりませぬ。」「おい」「ひひひ。万事この調子よ」「成る程な」真に芯を清して進す 2「雑賀様」「ん?ああ、月瀬殿か」「お食事のご用意が出来ましたので…御家中の方達にもお声をかけてもよろしいですか?」「…」「?」「なぜ家中と?」「部下ではないと聞き及んでおります。」「そうか」「ふふふ」「?」「石田様からお教え頂きました。雑賀様の事。気に掛けておいでです」「あれでか?」「迚も。わかりにくいかもしれませんが」「分かり難すぎだな」「ふふふ」「月瀬殿は元々」「私の父は大和大納言様の下で禄を頂いておりました。母も父ももう亡くなり、家督は叔父が継ぎましたので私は8つの時に行儀見習いでこちらに参りました。長浜の折より大谷様や石田様にはお世話になっております」「仲がいいのだな」「ええ」「…」「あ!ですが」「?」「石田様は雑賀様の様に美しく強い方が」「は?」「ああ。すいません。おしゃべりが過ぎました」「ま、て」「では」「…なんという勘違いを」 PR