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変換なしの雑食夢

ran

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日常 11

「あー!!!三成様!おかふげー!!!!」
「煩い。黙れ!起きる!!!」
「え?」
「…それ以上寄るな」
「あ!はい。」
「刑部は如何している?」
「熱も下がってそろそろ」
「ひひひ。お帰り」
「刑部!起き上がって平気か?!」
「あいあい。一晩ゆるりとしたからなぁ。して、相模は?」
「寝ている」
「ひ?!」
「あの相模様がっすか?」
「ああ。薬だ」
「あいすまぬ。にしてもよう寝ておるなぁ」
「起こすには忍びない。左近!」
「は、はい!」
「どさくさに紛れてこちらに来るな!先に行って寝床を用意しろ!」
「は、はい!」




夜半に帰ってきたせいだろう。道中で寝てしまった相模を胸に抱いて帰ると刑部たちが嬉しそうに見てくるので羽織をかけておく。



「悋気とは」
「黙れ」
「良い道中であったか?」
「…半分だ」
「まぁ、ここでは澄ましておるが実際は幼いところがある故。」
「そうだな」
「ん…」
「目覚めたか?」
「さき、ちさま?」
「まだ寝ていろ。もうすぐ着く」
「あい」
「ひ、ひひひ」
「なんだ」
「進展しりゃれたか?」
「…」
「まぁそうよな。見ればわかる、が」
「?」
「お互い丸うなったか」
「知らん!」
「ん…」
「っ」
「ふふふ」
「まぁコレにとっては良きことよの」
「刑部!」
「まぁ…なによ。部屋に連れていきゃれ」







そう言うと珍しく緩んだ笑みを浮かべる相模を抱きかかえる。人のことは言えないが、随分と軽い。そして柔らかい。不思議なものだなと思う。昨日の夜半も結局は私の方が熟睡してしまった気がする、し。にしても。憎らしいほど気持ちよく寝ている。


「部屋に着いたぞ」
「ん…ふふふ」
「呑気なものだ。私の気も知らないで」
「おいしぃー…」
「相模」
「…」
「…りく」





「(相模様と治部様が?!)」
「(八代ちゃん!いまちゅー!したよね!!!俺の見間違いじゃないっすよね!)」
「(わー!!!!わー!!!)」
「(すっげえもん見ちまった!)」
「(佐渡様に報告だ!)」
「(刑部さんに報告だ!)」






日常 11





目覚めるといつの間にか部屋に帰っていて驚く。如何したのだろうと衣装を見ればそのままで。ただ、櫛などだけ鏡台に置かれている。律儀に紙をひいて。この紙は…と思案しているとけたたましい足音がして驚きながら外を見る。八代やら色々いてああ帰ってきたなと微笑んでしまう。




「只今」
「相模!貴方」
「?」
「治部様ととうとう?!」
「とうとう?」
「いやですわ!相模様」
「恋仲になられたのでしょ?!」
「…は?」
「昨日相模様を抱きかかえて此処までいらっしゃたんですよ!」
「え?!」
「何時もは恐ろしい方なのに」
「相模様を見る顔はお優しくって!」
「「素敵でした〜」」
「ほら!若い奴らなんて勘違いしてしまっているのよ」
「い、や。勘違いですよ。…恐れ多くも殿下の左腕たる石田様に私のような侍女がそんな関係になるわけありませんよ」
「そんな!」
「相模様も佐渡様に続く侍女頭補佐。お似合いであられますよ」
「あ、あのね」
「相模」
「千曲」
「もう城内城下その話で持ちきりよ」
「は?!」
「次いで言えば起きたら刑部様のお部屋にと佐渡様から。早くお着替え遊ばしなさい」
「え、ええ。」

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日常 10

夕餉を食して、布団をひくと治部様は私に横になれというので丁重にお断りする。私が寝るより治部様にお休みいただきたい。そういえば治部様はぎりぎりと歯ぎしりされる。お怒り頂いたとしても従者が主人を差し置いて横になるわけにはいかないのだ。それをそれとなく伝えるとなぜか横の老夫婦に笑われた。曰く、今日のような寒い夜は独り寝が身に堪えるということ。他の者もみな同衾している事。それを譲り合うのだから可笑しいと。何より早く横にならないと皆休めないということ。
…夫婦なればそれでいいのだろうけどと思いつつ困っていると早く寝ないとお化けが来ると脅されてしまった。



「佐吉、様」
「横になれ」
「では半分こいたしましょう」
「な?!」
「なれば」
「わかった!」
「ふふふ」
「何がおかしい?」
「童に帰った気がします」
「っ?!」
「佐吉様?」
「黙って寝ろ」
「はい」
「(人の気も知らんで)」
「お休みなさ…佐吉様」
「?」
「今、外で人影が」
「何?!…木だな…りく」
「…は、い」
「はぁ」
「…」
「こちらによってこい」
「?!」
「無体はしない!…近くにいれば恐ろしくないだろう。」
「!」
「助けてやると言ったからな」
「佐吉様ぁ」
「ぐ…」
「手、を繋いでもよろしいですか?」
「もう、好きにしろ」
「ふふふ」
「一つ聞く」
「?」
「幾つになった?」
「あら、女子に年を聞くなんてはしたないですよ」
「…りく」
「1…8ですね」
「本当か?」
「はい。お仕えして10年ですもの」
「…」
「如何致しましたか?」
「少しは危機感を持て」
「?」
「私は男でお前は…いや、何を言っている。」
「大丈夫です」
「?」
「貴方様は無体をする方ではありませんから」
「…」
「佐吉、様?」
「もう、いい」
「眠い…です」
「このまま寝ろ。怖い夢も何もかもから…守ってやる」
「ふふふ」
「っち。寝たか…」
「(あらあら。初々しい。殿方が紳士ね)」
「(ありゃ、生殺し以外の何物でもねぇな)」





日常 10






「ん…」
「…」
「父、うえ」
「…りく」
「…ふふ」
「私はお前の父親ではないぞ」
「父」
「愛おしい…」
「うふふ」
「っ。すり寄って?!…っち」
「(本当に生殺し以外の何もんでもねぇな)」

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日常 9

着いた途端、医師はいま物のけ騒ぎで卒倒した男の治癒に向かってしまって留守なのですと申し訳なさげに奥方に言われる。その奥方もすぐに行かなくてはならないらしく近くの宿屋にお願いいたしましたからそちらでお待ちくださいと言われる。明日には帰ってこられるといって奥方は出て行かれる。
失念していた。千曲に言われた話を思い出しながら私は宿場町に向かう。

「相模」
「(いままさにこの道がそうなのよね…夜な夜な旅人を引き摺り込む妖が出る)」
「おい」
「(今昼時分だから大丈夫かしら…ああでも向こうの草陰が!)」
「…」
「(目を閉じて歩けられたらいいのに!)」
「相模!」
「ひゃ!」
「?」
「え、あ!治部様」
「やはり馬に乗るか?」
「え?」
「顔色が良くない」
「…」
「無理をするな」
「…違うのです」
「?」
「笑いませんか?」
「ああ」
「私、怪談や物の怪の類が一切駄目で…あの宿場街へ向かうこの道が、その。物怪騒ぎの場所で」
「…ああ、そういう話らしいな」
「今の今まで失念していました。うう」
「それで、か」
「?」
「珍しくきょろきょろと…」
「笑わないお約束でしたのに」
「い、や。お前でも苦手なものがあるのだな」
「私も人でございますから」
「むくれるな」
「だって。もう幼い時から恐ろしくって。輩たちは揶揄うのですよ。刑部様の薬と治部様の診察がなければ…帰りたいくらいですのに」
「?」
「治部様?」
「私の?」
「一度見てもらってくださいませ。刑部様には私からお伝えするようにと言われておりましたから…」
「くだらん」
「そう仰らずに。何かありましたらいけませんし…その」
「?」
「差し出がましい話とは思いますが…心配ですもの」
「?!」
「ですから」
「…わかった」
「本当ですか」
「二言はない。にしても相模」
「?」
「着いたぞ」
「え?!あ!」
「居なかったな」
「…まだ昼間でしたから」
「くくく」
「!」
「むくれるな」
「もう。…治部様の意地悪」
「くくくっ。」
「またお笑いになる。もう」
「相模」
「…」
「おい」
「…はい」
「恐ろしいことがあれば私を呼べ」
「?」
「助けてやる」
「!」
「相模?」
「お笑いになったのに」
「いや、それは」
「…」
「?」
「やはり治部様はお優しい」
「…そういうのはお前くらいだ」





宿屋に行くぞと言われていつの間にか繋がれた手をひかれる。これで恐ろしくないだろうというのだから恥ずかしいですとも言えず私は頷く。治部様はお優しい。そういえば皆否定してくるけど真実、この方は優しいのだ。


「おい、部屋を頼む。」
「へぇ」
「涼元という医師から聞いていないか?」
「ああ。聞いております。ですが、その」
「なんだ?!」
「いま物怪騒ぎで人が多くって。相室しかないんですけど」
「?!」
「それが無理なら…あの道を戻って」
「治部様!」
「いや、だが」
「…本当に申し訳ないんですけど」
「…」
「わかった。それで良い」
「ありがとうございます。一応一番良い部屋は用意してあります」
「ああ」
「治部様?」
「…わかっていないだろう?」
「?」
「行けばわかる」




なにがだろうと思いながら部屋に通される。一畳が私たちの場所らしい。日当たりの良い、同室の方も穏やかそうでホッとしていると治部様はげんなりした様子で装束を改められる。それを手伝いながら私はお疲れになられましたか?と尋ねると再びげんなりとされる。




「寝具は一つだ」
「はぁ」
「…意味はわかっているのか?」
「はい」
「!」
「治部様は横になってお休みくださいませ。私は座ってでも寝れますので」
「な?!」
「?」
「いや、そうだ。そうだったお前は私より…」
「治部様?」
「いや…そうだ…佐吉と呼べ」
「佐吉様?」
「治部では同室の者が驚く」
「ああ。そうでございました。でしたら、私はりくとお呼びくださいませ」
「りく?」
「私の本名で御座いますよ」
「ほ?!な!!!」
「上がりました後使ったことはございませんでしたから。ふふふ。実はそういう名前でございます」
「り、く」
「はい。佐吉様」
「っ」
「失礼いたしまして私も小手を。」
「あ、ああ」
「佐吉様?」
「なんだ?」
「お茶を頂いてまいります。喉、渇きになられましたでしょう?」
「頼む…いや。」
「?」
「外へ行くぞ」
「外へ?」
「甘味屋でもなんでもあるだろう?」
「まぁ!」
「支度をしろ」
「只今。荷物、預けてきます」
「ああ」






日常 9






「美味しゅうございますね」
「私は食わん」
「勿体無い」
「…なんだ?」
「あーん」
「っ。」
「美味しゅうございますね」
「ああ」
「佐吉様」
「ん?」
「楽しゅうございますね」
「…」
「あ!また」
「くく…いや、いつものすまし顔と正反対だからな」
「お仕えしているのに私心で…いえ、いまもお仕え中でございました。刑部様もまだご本復しておいでになりませんのに」
「峠は越えている。あとは如何に寝るだけだ。佐渡が目を光らせているから心配するな。何より、羽根を伸ばしてこいと行きがけに言っていた。お前も休めと佐渡が。」
「まぁ」
「共に聞いていたはずなのだがな」
「それは!」
「物の怪か?」
「いいえ。どう言えば診察を受けて頂けるかと…」
「…そう、か」
「物の怪のことは忘れておりましたのに」
「それはすまない」
「笑った顔で言われても!」

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日常 8

かぽりと蹄の音がする。陽気に誘われてやってくる睡魔を迎合するようで困るわと思いながら目を擦っていると頭上から視線を感じる。ただ、この方はあまり話はしない。だから褒められたりすると他の方より価値のあるような気がするのだろう。…気、ではないか。ありがたいし、尊い気がするのだ。視線を上げると視線が交わる。目を細められてさも大丈夫かと言っておられるようだから私は笑みで返す。何時もの無言の会話に納得されたようで視線を外され前を見据えられる。私と言えばやはり陽気と治部様の暖かさでやってくる睡魔と戦う羽目になりそうだ。




「…」
「…」
「…あ」
「如何した?」
「あれ」
「桃、か」
「はい。春でございますね」
「ああ」
「梅園はあまり咲いてなくて残念でしたね」
「つまらなかったか?」
「いいえ。楽しかったです。満開の花も好きで御座いますが数輪の花も幼くて好きで御座いますよ」
「そうか」
「あの後茶会でご覧になりましたか?」
「いや」
「勿体無い。美しいものですよ」
「見ていないとは言っていない」
「?」
「あの後咲いたのだろう。床にさしてくれていたな」
「あら」
「それ位は気がつく」
「ふふふ。茶会の後は御忙しかったですものね。」
「今と変わらん。が、順は悪かったな」
「桜が咲きましたらまた宴があると聞き及んでおりまする」
「そうか」
「?」
「私はあまり参加しないからな。専ら刑部の役割だ」
「あら。残念ですわ」
「?」
「桜の宴では私が女楽を致しますから。お耳汚しかとは思いますが」
「な!?」
「未婚の侍女が行う習わしがありまして。副官で未婚なのは私だけなのです。もう若いものだけでしていただければいいと思うのですが佐渡様の指名で。若いものだけではしまらなかったそうです」
「…それ、は」
「?」
「出ないといけないのか?」
「これもお務めで御座いますので。ふふふ。浅ましい話、若い者は縁談が増えると喜ぶのですよ。」
「な?!」
「治部様?」
「…縁談が」
「?」
「来たら受けるのか?」
「私にでございますか?」
「ああ」
「佐渡様や刑部様が受けるようにとおっしゃれば。以前申しました通り私には実家と呼べる家がありませんからお二人が決めてくださるのです。ありがたいのですが…出来ればこのままがいいので御座いますけど」
「?」
「佐渡様が憧れなのです。」
「そう、か…あの女が…」
「はい」
「…」
「治部様」
「?」
「お口を開けて下さいませ」
「甘い」
「ふふふ。朝あまり召し上がっておられませんでしたでしよ?羊羹を持ってまいりました。」
「礼を言う」
「いえ。共乗りさせていただいておりますもの」
「それと」
「?」
「恐れ多くも、秀吉様のお側に座るよう言付かっている」
「え?」
「花見だ」
「ああ。」
「気が変わった。その日の宴には出る」
「まぁ!」
「…」
「頑張って練習いたしますわ。」
「楽しみにしている」
「はい」
「何を演じる?」
「ふふふ」
「?」
「お楽しみになさって下さい。」
「!」
「きちんとお聴き遊ばされたかお聞きいたしますから」
「そうか」
「…わっ」
「ほう。」
「此方は桃を植えているのですね。ふふふ」
「満開には程遠いが…美しいものだな」
「はい」
「…相模」
「?」
「好きな花木は何だ?」
「私ので御座いますか?」
「ああ」
「梅に桃。杏も好きで御座います」
「実が成るものばかりだな」
「ふふふ」
「私の庭に植えよう。」
「!」
「来年はわからないが…咲き誇るのを共に見るか?」
「はい。是非」
「そうか」
「?」
「いや、何でもない。相模」
「はい」
「寒くはないか?」
「はい。治部様は?」
「お前がいるから。暖かい」
「ふふふ」




日常 8




「佐渡」
「あら、お目覚めですか?」
「三成の夢を見た」
「仲のよろしいことで」
「相模を嫁にもらうと嬉々として帰ってくる夢よ」
「正夢にはなりますまい」
「そうよなぁ」
「きっと道中夫婦のように過ごしても思いも伝えませんでしょう。ああ。焦れったい」
「ひひひ。言うてやるな」




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日常 7

「左近様」
「お?八代ちゃん。如何したの?」
「耳寄り情報です」
「何々?くっつけ隊系?」
「当たり前です。刑部様にお伝え下さい」
「了解!」
「相模様。ああ見えて怖いの全くダメ何ですよ。相模様の同年の千曲様ご存知ですか?」
「ああ。不運の黒田官兵衛に嫁ぐ」
「そうです。その方がしっかり仕込みをしてくださったそうなので上手く使ってくださいとの事です」
「わー…刑部さんの高笑いが聞こえそうっすね」
「ではお願いします!」
「えらい気合い入ってるね」
「相模様が治部様の縁談候補に私をあげたそうですから」
「え?!」
「絶対無理。私には無理です。ですから!相模様を落として下さい!」
「あいあいさー!(マジかよ!おれ、結構本気なのに!)」
「お願い致します!(反応ない?!本気で脈ないかも…)」







と言うわけで頼みゃると言われた瞬間はいと言い難かった。行き先は城下から少し離れた場所にある医師宅。其処で薬を貰ってきてほしいと先達てより熱の出ている刑部様が言うのだからすぐにでもうんと言いたい。のだが其処は今は行きたくなかった。それを訝しそうに見られるので私は苦笑する。瑣末な理由で断ることはできないのだが千曲が言った妖のことを思い出す。と、体がぶるりと震えた。




「相模」
「如何したのですか?」
「い、え。…あいわかりました。すぐに行ってまいります」
「数日の薬はまだある。ひひひ。すぐくれるるかいなかはわからぬ故」
「そうなのですか?」
「手紙は書いた。いつもなら一晩あればと言うところよ。…佐渡」
「数日は帰らなくても心配要りません。あなたも顔色が悪いようですから見て頂いたら?」
「大丈夫です」
「本当に?」
「今日中には帰ってまいります」
「ひひひ。話を聞いておったか?主らしくもない。大体馬の不得手なぬしが歩いてあの距離を?夜半に歩いて物怪に食われるるつもりか?」
「?!」
「医師に手紙を書いてある。一晩かからず出来たとしても其処でやすみゃれ。…本に顔色が悪い」
「刑部様」
「ぬし一人で行かすのは心許ない…やれ、左近」
「はいはいっと」
「三成を呼んでこりゃれ。」
「はーい!」
「?」
「あれも同行させる。賢人より休息せよとの達を受けておるでな。ついでに連れて行って我の心配事を減らしゃれ」
「それは…」
「?」
「何か不味いのですか?」
「いえ…あの。刑部様」
「ん?」
「差し出がましいことなのですが私よりも治部様も一度診て頂けませんか。…この間医師に診療をと勧められておりましたのをすぐ断っておいででしたから…」
「!ひひひ」
「刑部様?」
「ぬしが誘わしゃれ。我とて今あれを説得させるのはちと骨が折れる」
「申し訳ございません。ではお願いしてみます」
「あいあい。…ん?」
「おいで遊ばされましたね」
「何だ!如何した刑部」
「治部様…静かにお入り下さい。」
「何っ!?…相模?刑部。これは如何いうことだ?」
「ぬし、ちと相模の用心棒をいたせ」
「は?」
「刑部様の薬を取りに行くのです」
「あ、ああ。左近にでも」
「左近様と一緒に参れば宜しいですか?」
「違う!左近にだけ」
「左近様は別件で竹中様に呼ばれておりまする。最近あの辺りには物のけが出るとか。真実か否か以前に相模だけなら夜盗や賊に攫われてもいけませんし」
「…致し方ない。相模。ぬしの顔色の悪さも見てもらおうと思うたが…」
「な?!…どうした?顔色がわるいのか?」
「いえ…たいそうな話ではないのですよ」
「…」
「治、部様」
「…私が共に行く。刑部」
「準備は万端よ。あとのう」
「なんだ?」
「馬にしりゃるか?」
「ああ」
「なれば相模を共乗りさしてやりゃしゃれ」
「は?」
「申し訳ございません。私馬は…」
「そう、か。私と共乗りでいいのか?」
「お邪魔でありませんでしたら」
「…邪魔ではない」
「ありがとうございます」
「…」
「ではすぐに支度を。相模」
「はい。すぐに参ります」






日常 7








「やれやれ、よ」
「お薬で御座います」
「佐渡」
「これでゆるりとおやすみ遊ばれますな。」
「ひひひ。世が平和故つまらぬが」
「そういうもので御座います。さぁ、手のかかる子が出かけておる間にお休みなさい」

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