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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝 ヴァルハラ編

「あのだな」
「?」
「重い」
「言うに事欠いて!」
「自分の席に座る気はないのか?」
「あまり有りません」
「…」
「降ります。良いですよ。ナイトハルトさんに抱っこしてもらうから」
「おい」
「下ろしてください。腕退けて。」
「そのセリフを聞いて離すと思うか?」
「んー?」
「確信犯だな」
「可愛いものでしょ?」
「…」
「あら酷い顔」
「合わぬ間に酷い女になったものだ。」



それでも好きでしょと言いながら腕を首に回す。キスして良い?と尋ねても首を横にしないのだから良いのだろう。


「パウル、ん!」
「余り揶揄うな」
「からかってないわ、んー!」
「代償は払ってもらうぞ」



静かなる猟犬

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銀英伝

「ナイトハルトさん!」
「マインシャッツ!」
「わー、老齢の貴方も素敵でしたけど若い頃も素敵ね。惚れ惚れするわ」
「…君は美しいままだね」
「うふふ」
「迎えに来てくれたの?」
「ええ。」
「君がいない日々は味気なかったよ」
「浮気もせず孫たちに囲まれるあなたをみていましたよ」


そういって抱きつくと抱きしめられる。ナイトハルトさんの温度だわと思いながらいるとかつりという音が聞こえる。そして私にもわかる程度の空気の凍り方。やめて欲しいと切実に願うものの元々は水と油なのだ。如何したものかと思案しつつ逃げもうとしたもののがっしりとホールドされていて逃げられない。


「漸くお出ましかな」
「ご無沙汰しています。オーベルシュタイン閣下」
「卿に閣下と呼ばれるのは些か。今は外祖父にあらせられる」
「妻は外祖母ですが。」
「妻、ね」
「ええ。あなた亡き後4人の子の我が子の実母でございましたから」
「そうか」
「マインシャッツ…」
「…は、い」
「おい」
「…なん、ですか?」
「妻をおいと呼ばないで頂きたい」
「私がこれを如何呼ぶかは私の勝手だ。卿に指図されるものではないし、これは私の妻でもある」
「…」
「かと言ってあなただけの妻ではありませんよ」


なんだかんだ言って2人とも軍人で背も高い。威圧感半端ないわーと思いながら気配を探る。金色の髪と赤い髪。いた!と見つめるとニヤニヤして笑っていたラインハルト陛下とキルヒアイス閣下。助けてと合図したものの無理らしい。いや、面白いからやらせておけが正しいだろう。


「さて、その手を離していただこう。」
「何をおっしやるのか。久々の再会を邪魔なさるとは」
「元より、我らは共に暮らしているのだから邪魔も何もないだろう。夫婦なのだから。我らは卿を迎えに来た。その任を終えたのだから帰るのは至極真っ当な話だ」
「妻と共に暮らしていくのは私の仕事でございますよ。今迄苦労様です。さて、参りましょう」
「手を離さぬか」
「貴方こそ!」
「あたたたたたたたた!!!」


そこまでだなと言いながら出てきた陛下を睨みつけながらキルヒアイス閣下の後ろに逃げ込む。痛かったといえば見ててそう思いましたと真っ当なお返事をいただく。できればもう少し早く助けていただきたかった。


「陛下!」
「懐かしいな、ミュラー提督。いや、今は義理の親だな。礼を言わねばなるまい」
「いえ…。キルヒアイス閣下も」
「お久しぶりでございます。」
「二人して何をしておる。見よ、卿等の所為で夫人が怯えておるではないか」
「「…」」
「二人とも大きいのですから。少しは手加減して頂かないと私壊れてしまいますわ」
「ならば如何するつもりか?」
「?」
「どちらを取る?」
「パウルさん。その言い方嫌だわ」
「なんとでも言え。軽薄な貴様のことだ。」
「オーベルシュタイン閣下!撤回していただこう!」
「…そうやってわざわざ嫌われるようなことをせずとも良いのですよ。貴方という人は。」
「…」
「マインシャッツ」
「ナイトハルトさんも。直ぐに怒らない。意外と短気でいらっしゃるのだから。」
「…」
「私は2人の妻なのですから。日にちで分けるなり、時間で分けるなりなさいませ。」
「お前は」
「どちらかを選べと仰るなら両方と言いますよ。ダメならどちらも選びませぬ。」
「それは、共に暮らさないということですか?」
「会うと未練が残りましょう?会うこともいたしません。」
「致し方ない。では」
「共にということでよろしくて?」
「又喧しくなる。」
「オーベルシュタイン閣下」
「ケンカは嫌よ。2人とも」
「「…」」



流石猛獣と言われるので私は微笑む。両手に花ねという花たちは牽制し合っているらしくため息が出るものの仕方ないわと笑いながら今日からの我が家に連れて行くのだった。



両手に猛獣

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銀英伝

「マインシャッツ」
「はい、ナイトハルトさん」
「加減は如何だい?」
「貴方がいてくれるから大丈夫よ」


そういって微笑むとナイトハルトさんが頬にキスをくれる。
めっきりと体が弱ってきたのはこの秋だったか。頭の隅でそう思うと自分に残された時間が思いの外短いことに気がつく。孫も見れた。ヘンリエッタの婚約も済んだ。ドミニクのお嫁さんはしっかり者だから安心しているものの独身のクリストフルが心配だわ。ただ2人とも立派な軍人だもの。大丈夫よね。と自問しているとナイトハルトさんに名前を呼ばれる。


「?」
「何を考えているの?」
「未来」
「そう」
「ナイトハルトさん」
「ん?」
「ありがとう」
「…」
「貴方が私を慈しんでくれたから、幸せだったわ」
「過去形?」
「進行形」
「ずっと続くよ。」
「そうね。」
「珍しく弱気だ。」
「ええ」
「君は僕が退役したら一緒に旅に出るのだろ?」
「ええ。でも」
「ん?」



大切なことを言えずにいるのはこれ以上にない不幸よといえば難しい顔をされる。私以上にこの人ほうが分かっているのだろう。共に居られる時間の短さに。



「大体、終身でしょ?」
「そうだね。」
「ずっと待っててあげたかったけど」
「待っててくれ無いの?」
「待ってるから。ゆっくり、ひ孫まで見てきてね」
「酷い人だ」
「本当に。でも、悔いはないわ。私」
「うん」
「貴方と共に生きてこれたもの。憂いもなく、貴方は私を幸せにしてくれた。本当にありがとうございます」
「君も」
「?」
「私を幸せにしてくれた。この世で一番幸せな男だよ。何もかも君のお陰だ」
「本当に?」
「ああ」
「ナイトハルトさん」
「何?」
「ナイトハルトさん」
「マインシャッツ」
「愛しているわ」
「うん」
「子供達んお願い」
「うん」
「貴方もいい人がいたら私に気兼ねなく再婚してね」
「君以上にいい女なんてい無いよ。」
「ふふ。」
「だから」
「ごめんね」
「っ」
「ああ、後悔はないけど。貴方と離れるのは辛いわ」
「私もだ」
「ナイトハルトさん」
「如何したの?」
「手を」
「ああ」
「繋いでもいい?」
「勿論だよ」




別れの日





「あら」
「如何した?」
「パウラさん」
「?」
「迎えに来てくれたの?」
「…迷いそうだったからな」
「ええ、でももう大丈夫よ」
「そうか」
「今からどこへ行くの?」
「ヴァルハラとやらだ。」
「みんないる?」
「ああ」
「ナイトハルトさん来るまで私を独り占めね。」
「静かな日々が終わるな。」
「結構好きでしょ?」
「…」
「さぁいきましょ。体も軽いし。御誂え向きに若返ったし!」
「はぁ」






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銀英伝

「孫ができる歳になってしまったのね。」
「あら出来なければ出来ないで頭を抱えるものよ。」
「まぁそうね。」


そういって茶会が始まる。皇妃となった娘に子供が出来たのが分かったのが昨日でただいま皇太后殿下とその話題で持ちきりだ。太公家に久しぶりの子供なのだから当たり前といえば当たり前か。ただ、我が子の分頭を抱えているのだ。何せ粗相があってはならないから。



「準備は大丈夫よ。」
「本当に?」
「以外と心配性ね。」
「娘のことを思うとね。」
「陛下も私もあの子が生まれてからの付き合いだもの。何かあったら言える間柄よ。」
「そうね。にしても」
「ん?」
「有言実行だったわね。」
「ええ」




生まれたばかりのユリアパウラを見て皇妃にと欲して20年弱。結婚して子供を成して。公務も滞りなく、ラインハルト陛下を思い出すわと言えば最近本当に似ているのよねと笑われる。

初めて出会った歳と同じですもの。

そう思えば早いような長いような。波あり谷ありの人生だったわ。そういって2人で笑う。老域の年齢になってもこの関係が変わらなかったことはありがたい。貴族に列席しようとする彼らを夫と息子たちが固辞して「武勲によって正当に評価されたい」と言ったのは正解だったかもしれない。お陰で今もこうして穏やかな気持ちで居られる。


「如何したの?」
「色々思い出してきただけ。」
「そんな歳でも無いでしょ?」
「そうね。」
「ミュラー夫人?」
「オーベルシュタインが亡くなった時は死にたかったのに。人とは不思議なものだわ。よぼよぼになるまで生きたいものね」
「ええ」
「皇太后陛下」
「何?」
「義理の親として。何より、友人として。ユリアパウラのことお願いします。」
「本当にどうしたの?」
「一応ね。」
「貴方が陛下を我が子のように扱ってくれてどれだけ私たちが救われたか。ユリアパウラのことも。貴方の子供は私の子供でもあるのよ。だから」
「皇太后陛下?」




そんな恐ろしいことを言わ無いで。そういって私を見る。私はふふふと笑ってお茶を一口含む。
いつもより少し苦い味がした





2人の話

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basaraナリ様

「誰ぞおるか?」
「はい只今」
「白湯を持って参れ」


はいと言って侍女が歩いて行く。殿と言えば何故か舌打ちをしてこちらを振り向くものだから、思わず笑ってしまう。一転、優しい顔になるのだから不思議な人だ。殿と呼べば声が掠れる。ご寵愛を頂いてすぐだから仕方がない。無理をするなと言われても恋しいので呼んでしまう。


「元就様」
「如何した?」



裸体の私と夜着を乱れず来ているこの人。いつの間にお着替え遊ばしたのですか?と尋ねればクククと笑われた。そうして優しく髪をすいていただく。気持ちの良さに目を細めていると蕩けた顔をしてと仰せられる。誰のせいですかといってもくくくと笑うだけなのだ。



「私も着替えます。」
「そのままでも良い」
「殿?」
「白湯が来たか」
「みたいです。」
「其方」
「はい?」
「離さぬか」
「…」
「その様な顔をせぬとも良い」
「ですが」
「…」
「淋しい」





そう言ってじっと見つめると溜め息をついてそこに置いておけという。そして私の手を取ってくれるので自然と頬が緩んでゆく。殿と呼べば、其方のために所望したと少し拗ねて仰る。愛しい恋しい。誰よりもこの方が。


「殿」
「如何した?」
「私は殿の側に置いていただけて幸せでございます。」
「其方は我の室ぞ」
「…」
「もうあの戯けた鬼のものではない。我のものよ。然ればその様な顔をせぬとも良い」
「?」
「憂いておるぞ。帰りたいか?」
「何処へ?」
「あの戯けの元に」
「殿」
「…」
「二心無しと申しましたでしょ?」
「ああ」
「元より。私に帰る場所などございません。」
「ほう」
「…帰る場所がないからここにおるなど野暮なことをお言いではないですわね。」
「さてな」
「殿」
「?」

私、殿に抱かれて眠るのが一番好きと言う。抱かれて心臓の音を聞くと安心します。と続けるとすくりとたって外へ行く。


「安心せよ。どこにも行かぬ。」
「はい」
「その様な顔をするな」
「だって」
「声が痛々しい。我は其方の声が好きだからな。其の儘では好かぬ」
「ん」
「声を出してみよ」
「殿」
「…」
「元就様?」
「ん」



腕を伸ばすと優しく取ってくれる。取って微笑んでくれる。
貴方様のお側以外私は何処で生きればよろしいのでしょう?と言えば無いと仰るのに先ほどの様な児戯をなさる。酷い人。心外といった顔をなさってもいけませぬと言えばくくくと笑われた。


「殿」
「何ぞ」
「また致すつもりですか?」
「声も戻った」
「ん」
「また愛らしく鳴いてみよ。」
「意地悪」




そうやって再びご寵愛をいただく。微睡む思考の中で私は御慕いしておりますと何度も言うのだった。



蜜月

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