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変換なしの雑食夢

ran

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basaraナリ様

「誰ぞおるか?」
「はい只今」
「白湯を持って参れ」


はいと言って侍女が歩いて行く。殿と言えば何故か舌打ちをしてこちらを振り向くものだから、思わず笑ってしまう。一転、優しい顔になるのだから不思議な人だ。殿と呼べば声が掠れる。ご寵愛を頂いてすぐだから仕方がない。無理をするなと言われても恋しいので呼んでしまう。


「元就様」
「如何した?」



裸体の私と夜着を乱れず来ているこの人。いつの間にお着替え遊ばしたのですか?と尋ねればクククと笑われた。そうして優しく髪をすいていただく。気持ちの良さに目を細めていると蕩けた顔をしてと仰せられる。誰のせいですかといってもくくくと笑うだけなのだ。



「私も着替えます。」
「そのままでも良い」
「殿?」
「白湯が来たか」
「みたいです。」
「其方」
「はい?」
「離さぬか」
「…」
「その様な顔をせぬとも良い」
「ですが」
「…」
「淋しい」





そう言ってじっと見つめると溜め息をついてそこに置いておけという。そして私の手を取ってくれるので自然と頬が緩んでゆく。殿と呼べば、其方のために所望したと少し拗ねて仰る。愛しい恋しい。誰よりもこの方が。


「殿」
「如何した?」
「私は殿の側に置いていただけて幸せでございます。」
「其方は我の室ぞ」
「…」
「もうあの戯けた鬼のものではない。我のものよ。然ればその様な顔をせぬとも良い」
「?」
「憂いておるぞ。帰りたいか?」
「何処へ?」
「あの戯けの元に」
「殿」
「…」
「二心無しと申しましたでしょ?」
「ああ」
「元より。私に帰る場所などございません。」
「ほう」
「…帰る場所がないからここにおるなど野暮なことをお言いではないですわね。」
「さてな」
「殿」
「?」

私、殿に抱かれて眠るのが一番好きと言う。抱かれて心臓の音を聞くと安心します。と続けるとすくりとたって外へ行く。


「安心せよ。どこにも行かぬ。」
「はい」
「その様な顔をするな」
「だって」
「声が痛々しい。我は其方の声が好きだからな。其の儘では好かぬ」
「ん」
「声を出してみよ」
「殿」
「…」
「元就様?」
「ん」



腕を伸ばすと優しく取ってくれる。取って微笑んでくれる。
貴方様のお側以外私は何処で生きればよろしいのでしょう?と言えば無いと仰るのに先ほどの様な児戯をなさる。酷い人。心外といった顔をなさってもいけませぬと言えばくくくと笑われた。


「殿」
「何ぞ」
「また致すつもりですか?」
「声も戻った」
「ん」
「また愛らしく鳴いてみよ。」
「意地悪」




そうやって再びご寵愛をいただく。微睡む思考の中で私は御慕いしておりますと何度も言うのだった。



蜜月

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