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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

こんこんとドアを叩く音がする。久しぶりに「主」の方が買いに来たのだろうと思案して鍵を開ける。肉屋のドアを22時過ぎに叩く非常識な人は宇宙ひろしといえどもこの人しかいないだろう。現に亭主夫婦は寝てしまっていて下宿人の私が扉を開けるのだから。
オーベルシュタイン様に粗相なき様にと言われている。参謀で恐ろしく冷血漢なのだと奥さんは言っていた。如何だろう。普通の人の様な気がするけどと言ったら珍獣を見る目で見られた。
失礼な人だと笑ったのは昨日の晩だったかなと思いながらドアを開けると運転手さんが現れる。


「こんばんは。」
「…少し待っていてください」
「は?」
「主を」
「寒いですよ」
「…この間は?」
「ああ。絵を描きに。今日は居ましたから。」
「そうですか。」


そう言えば、そそくさと車に帰っていく。如何したのだろうなぁと思いながら扉に身を預けるとパタンという音ともに黒い外套がみえる。やはり軍人さんなぁとおもう。装飾的に。黒が多いから夜になると見失ってしまう。


「いつものを」
「こんばんは」
「ああ」
「わんちゃん元気ですか?」
「元気だな」
「そう。」
「この間は?」
「さっき同じ事聞かれました。」
「?」
「運転手さん」
「そうか」
「絵を描いて居ましたよ」
「絵か」


はいといって奥に行く。カランという音を聞くと彼も中に入ってきたらしい。珍しい事もあるものだと私は思う。
一応、お茶は如何と尋ねると肯定も否定もされなかった。のでカップを置く。


「美味しくないかも」
「?」
「みんなに不評で。私は好きなんだけれども」
「そうか」
「お肉」
「…」
「ももよりササミの方がいいかも。はたまた胸肉」
「あるか?」
「ええ。2つ作っておいたの。」
「すまない」
「いいえ」



何時からだろうこう話しをする様になったのは。思い出せる様な出せない様な。見ていると目が合うので笑ってみる。怪訝そうなので睨みつける人は少ないでしょう?というと再びカップに視線を戻す。


「美味しい?」
「いや」
「無理に飲まなくていいですよ」
「飲めぬほどではない」
「そうか」
「如何した」
「私は好きなんだけど」
「お前は変わっているからな」
「そうですね」


かちゃりという音がする。背が高い癖にすごく痩せていて。まず自分の心配をすればいいのにと思っていたら睨まれた。


「だから軍人さんは嫌いよ」
「?」
「人を睨むものではないわ」
「睨んでいない」
「眉間のシワ。酷いものですよ」
「…」
「でも」
「?」
「ご苦労様です」
「何がだ」
「大変だろうから。」
「…」
「なんか食べます?今夜食作ろうと思いましたから。あっでも運転手さん困りますね。おうちで執事さんが用意して待ってますものね」
「いや」
「オーベルシュタインさん?」
「いただこう」



意外と即答されるものだから逆にわたしが驚く。運転手さんはもう済ませたらしい。店先にパンとスープと焼いたベーコンとサラダ。朝ごはんの様だと思ってもう一品作ろうとして止められた。本当に食が細い。

「しっかり食べて下さいよ。」
「十分だ」
「その野菜わたしが作ったんですからのこしたら怒りますよ」
「ああ」
「オーベルシュタインさんって怖い人かと思ったら」
「?」
「意外と優しい人でした。」
「は?」
「良いのか悪いのか知りませんけど」
「そうか」
「取り敢えず端に避けたトマトを食べてくださいね」



肯定も否定もなく口の中に入れられるトマト。やはり意外に優しいなと思いながら私も食事を始めるのだ




夜半の晩餐

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