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変換なしの雑食夢

ran

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落乱 雑渡

「鬼若姫、ねぇ」
「どうしたんですか?」
「姫様、そう言われてるんだって。なんでも曲者を一刀両断したとか。まぁ戦場でも騎馬武者として並々ならぬ功績がお有りだから。」
「流石殿の。初めはどうなる事と思っていたが凄まじいな。」
「影武者の噂を流していた男の話など聞いていて鳥肌がたったわ」
「ああ、あれか。儂など目の前で見たわ。流石にその日は何も食えなんだ」





という噂が流れていましたよと尊ちゃんが言うものだから私は笑ってしまう。あながち間違えでは無いもののいくら私でも一刀両断は不可能かな?と微笑めば胡散臭い顔をされた。こんにゃろう。でも尊ちゃんだから許す。


「頑張りましたものね」
「えーえー。頑張ったよね、私。」
「あと組頭はまだ帰ってきて無いですよ」
「そっかー…」
「姫様」
「ん?」
「本当に組頭の事好きですね。」
「うん!」



あれから3年。宣言通り私は後継者になったし、雑渡さんも異例のことで組頭となった。長かったような否ような。お互い忙しくてなかなか会え無いのが寂しいものの仕方が無いと思う今日この頃。だから時々尊ちゃんとこう話してお茶を飲むのが楽しみなのだ。陣内さんと陣左さんは話すというかなんというかだからやっぱり尊ちゃんが一番好き。


「あー、やっぱり尊ちゃんが好きだわ」
「は?」
「あ、此れ美味しい。もう一個」
「いや、え?は???」
「んー。やっぱり美味しい。」
「姫様」
「んー?」
「今なんと?」
「美味しい?」
「その前」
「もう一個?」
「いやその前」
「あー。尊ちゃんが好きだわ?」
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
「なんで叫ぶのよ。」
「そんな恐ろしいこと言わないでください!」
「なんで?」
「組頭に消される!!!」
「尊ちゃん消したら私怒るよ。本気で!!!」
「…」
「大体雑渡さん」
「?」
「避けてるもの。私の事」
「…あー…」
「ね!避けてるでしょ?完全に!!!寂しいのに!!!何これ、忍術?」
「そ、そう言うのもあるけど」
「あるのね!」
「いや、これは違うというか」
「あるのね、やっぱり。そうか。あるのか…」
「姫様?」
「尊ちゃん…」
(泣いてる?!!!死亡フラグ!!!!!!)
「どうせいいんだもん。綺麗でピチピチのお姉ちゃんの方がいいもんね。私なんてオムツの時期から知ってるし。柵多いし」
「お、落ち着いて」


そう言うと尊ちゃんはそう言うのじゃないですから!と叫ばれる。本当?と尋ねるとすごいスピードで首を縦に振ってくれる。いや、尊ちゃんが首もげそう。



「ありがとう」
「だから安心して」
「うん」
「よかった…」
「尊ちゃん大好き」
「へぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ひっ!!!」
「大好き、ねぇ」
「あ、雑渡さん。お久しぶりです」
「只今。それより、尊奈門。私言ったよね。」
「ちちちちちちちちちちちち!」
「私の居ないうちに約束破ると消すって」
「無実です!!!!!!!!」
「雑渡さん」
「何、一寸待ってよ」
「尊ちゃん消したら私起こります。何より」
「姫様!!!」
「そんな事する雑渡さんなんて大嫌い!」
「…」
「じゃあ私行くね。何かあったら言ってよ。半刻後何もない証拠に私の執務室に来てね。」
「…尊奈門」
(俺の人生終わった…)




螢火




「あれ、尊ちゃんは?」
「…」
「無事そう。…何もしてないですよね」
「してないよ」
「しちゃダメだよ」
「わかってるって。尊奈門」
「はいっ」




尊ちゃんが何処かに行って雑渡さんもどこかに行くと思ったら何故か其の儘居座っていたので眉をひそめる。父上様の所に行った帰りらしい。又、戦をするのかしら。暇な人だ


「ねぇ」
「はい」
「尊奈門から聞いた」
「ふーん」
「綺麗なお姉ちゃんなんて居ないからね。」
「どうだか」
「疑ってる?」
「避けられてたから。」
「うん。避けてた」
「寂しいのに。だから雑渡さんなんて嫌い」
「苦しいなぁ」
「綺麗なお姉ちゃんに慰めて貰えばいいじゃない」
「で姫は尊奈門に慰めてもらうの?」
「愚痴を聞いてもらうの」
「其れだけ?」
「それだけ。」



少しの沈黙の後、13年という。それだけ離れているおじさんを好きなの?と言われたのでぽろぽろと涙が出る。狼狽える雑渡さん。狼狽えるがいい!



「いや、え?!」
「わぁぁぁん!」
「な、泣かないで!」
「13年も下の餓鬼なんて眼中にないならあのとき言ってよ!」
「違うから!そうじゃなくて!!!」
「すっごく好きなの!諦められる位ならこんな苦労しない!!!」
「…」
「雑渡さんの馬鹿!」
「うん。ごめん」
「もう良いよ。私の我儘に付き合ってくれてありがとう」
「ちょ、待ちなさい!勝手に完結しない!」
「どうせいいんだもん!」
「姫が!すっごく綺麗になっていくから!!!」
「は?」
「本当に私で良いのかと悩んでたの!」
「嘘だぁ」
「本当」
「綺麗なお姉ちゃん」
「いない。」
「我儘に付き合ってくれてただけでしょ」
「其れはこっちのセリフ」
「なんで避けてたの?」
「言うの?」
「言って!」
「綺麗になり過ぎてて、抑えられる気がしなかったから。」
「…馬鹿」
「そう思う」
「大嫌いって言ってごめんなさい」
「私も避けてごめん」
「雑渡さん」
「ん?」
「大好き」
「…あのさ。」
「ん?」
「今結構。」
「?」
「任務の後に気が立ってた上に尊奈門とのやりとり見て。その後に大嫌い言われて」
「何が言いたいの?」
「自制心がない状態で試練を与えないでくれる?」
「…」
「姫?」
「愛してる」
「…わかってやってる?」
「ぞろそろ欲しいもの」
「ん?」
「雑渡さんとの赤ちゃん」
「…」
「ねぇ、私に頂戴?」
「ごめん、もう無理だわ」
「初めてだから優しくしてね」
「善処します」

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落乱 雑渡

「おーい。」
「父上様」
「まだ帰って来る気はないのか?」
「…」
「次の縁談は如何する気だ?」
「お断りいたします。」
「と言ってもだな。」
「私は強い男の子供を産む気はありましても妻に収まる気はありません。大体、下手に外戚を作るくらいなら」
「姫。」
「?」
「戦場に行く気になったかな?」
「はい」
「そうか」
「ですから」
「交換条件は種だけ貰うだったかな。」
「強い男。そして父上様安泰の内に事を運ぶ予定です」
「白無垢着れないなぁ」
「何を黄昏甚兵衛ともあろう方が。大体、適当に見合せたとしても子供など授かれませんよ。」
「…」
「それを誰よりも父上が知っているはずです。」
「それ言われちゃうとね。」
「ふふふ」
「立派に腹黒く育って」
「父上のお陰ですわ」





螢火




ぐだぁと雑渡さんの横で寝そべる。行儀悪いねと言わないあたり、父上様との対談を知っているのだろう。誰だろう?高坂さんあたりかなと思っていたらご苦労様と頭を撫でてくれる。まだ動かしきれないから、頭には届かない。ので私が身を寄せる。自然顔が近くなってくる。恥ずかしいなんて微塵も感じないで安心感が勝るからすごい話だなと。ヘラリと笑って雑渡さんと呼べばなぁにといつもの調子で返された。


「お疲れ様」
「んー。」
「でも本気?」
「本気」
「結婚しないの?」
「あ、そっち?」
「白無垢」
「じゃあ、雑渡さんが着せて」
「えー」
「嫌なの?」
「やっぱり着るの?」
「雑渡さんの横でね。」
「ああ、そっち?」
「うん、そっち」
「ならいいよ。」
「早く治してね」
「うん」


そういうとへらりとわらって意外に私の事好きだよねーと言われるので当たり前でしょ?と返しておく。好きじゃなかったら戦場に行く気になんてならないよ。と言うと顔色が変わる。あれ、知らなかったのといえば初耳だそう。ごめん、高坂さん。あとでネチネチ怒られるが良い。


「嘘、だよね。」
「本当」
「…」
「交換条件がそれなの。」
「いつ?」
「2.3年後。」
「そう。」
「怒ってる?」
「かなり。」
「じゃないと婿取らされるらしいもん」
「…」
「それは嫌だわ。」
「姫」
「初夜の警備したい?天井であなたがいて、他の男に蹂躙されてるのなんて見られたくないわ。見たい?」
「やだ」
「でしょ?」
「はぁ」
「父上様の一番の敗因は血縁者が私以外いないって事ね。同族皆殺しにする悪い人だもの。跡取りができないのも因果な話よね。そして唯一の跡取りである私を普通に娶せるられなくしたのも父上様だもの。自業自得」
「…まだ酷いの?」
「雑渡さんの怪我程度には」
「…」
「こんな感じだけど、貰ってくれる?」
「うん」
「なら誰よりも強くなってね。」
「うん」
「大好きよ、雑渡さん」



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落乱 雑渡

「気持ち悪く無い?」
「何がですか?」
「火傷の跡。」
「?」
「結構ひどいでしょ?」
「本人が一番知っているでしょ?」
「…可愛げ無い」
「…」
「嘘だよ」
「…ならいいです。尊ちゃん。腰から下お願いします」
「はーい」
「えー。姫がしてくれ無いの?」
「セクハラ」
「胸はいいのに?」
「私に褌変えて欲しいんですか?」
「…」
「小頭?」
「それはそれで?」
(真性の変態だ!)


取り敢えず尊ちゃんの顔を見ていたら、ダメとの事。セクハラを超えた犯罪になるから近づいてはいけ無いと言われてしまう。衝立の向こう側へ移動らしい。すごすごと移動したら山本さんがいて驚く。如何したんですかといえば最初からいたという事。凄いですねというとなぜか照れられた。


「もういいですよー。」
「陣内」
「はい。」
「例の件」
「万事」
「「?」」
「なら良いよ。」



横に行くと何故かニヤニヤしている雑渡さんが居ていささか引く。一昨日まで魘された、いや。未だにまともに動け無い男が悪い事を妄想しているのは些か不気味である。


「姫」
「はい?」
「もう私の事は良いから」
「よく無いでしょ!」
「だって」
「まだ動け無いくせに」
「そうだけど」
「尊ちゃんだけではまだ無理です。」
「他にも仲間いるから」
「雑渡さん」
「ん?」
「私は雑渡さんと尊ちゃん以外は信用してませんから」
「陣内と陣左は?」
「雑渡さん命だからその点信じてるけど。雑渡さんと尊ちゃん程ではない。」
「…」
「だって」
「姫様ぁぁ!!」
「私も姫様を裏切りませんよ。」
「…山本さん」
「陣内以外と必死だね。」
「こんな小さい時から知ってますから…些か」
「私なんて産まれた時からだよ。」
「何競ってんですか」
「尊奈門。顔が壊れてる。」
「だって」
「陣内、形相が酷い」
「…」
「じ、陣内さんを信じてないとは言ってないんですよ。ただ、あんまり話したことないしで…信じてますから」
「はぁ。話がずれた。」
「そう!4人以外は信じてないからやだ」
「まぁ殿は良いって言ってるし良いけど。」
「やった」
「褌」
「小頭…」
「分かったって。」




螢火




「残念だったね」
「はぁ」
「信じているか。姫らしい」
「私も陰ながら」
「違う違う」
「?」
「心を許して話せられないだけだよ。そういう意味」
「はぁ」
「かなり気に入ってるから安心しなって」
「…」
「ただし、わかってるよね。お前は妻も子もいる身なんだから。良からぬことを考えでもすればすぐ様去勢するよ。」
「…どの口で言いますか」

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落乱 雑渡

「…」
「ん…」
「…」
「あ、こがし」
「…」
「あいたたたた。ものぶつけないでください。」
「んー…」
「…」
(ああ。そう言うことか)
「姫様ならまだ起きませんよ。さっきお休みになられたばかりですから。」
「…そう」
「っざっとしゃん!」
「っ」
「ありゃ?」
「尊奈門…」
「いや、いつもなら。」
「…」
「姫?」
「…」
「っ」
「尊ちゃん、雑渡さんが目を覚ましてる!」
(困惑してる。あの小頭が狼狽えてる。)
「姫」
「良かった」
「っ」
「…ほんとに、良かっ、た」



そう言うと姫様は見た事のない程の笑みを浮かべて再び小頭の横に眠りにつく。電池が切れたみたいですといえば苦笑される。
小頭と姫様か仲良い理由を私は知らない。山本さん曰く、初めての任務が産まれたばかりの姫の護衛だっただけでは無いだろうと言葉を含ませていたけど。身分の差さえなければとてもお似合いな二人だとおもうのに。


「体」
「動かし辛いね」
「組頭は養生するようにと。」
「うん。」
「ありがとうございます」
「ん?」
「父上のこと」
「いや、そう言えば」
「?」
「縁談」
「破談になりました」
「やった!」


嘘でも悲しんでくださいと言えば好みでは無いとのこと。
本当に自由人だ。


「で、」
「はい?」
「なんで」
「姫様自らの意思です」
「殿は?」
「お許しですよ」
「…あいも変わらず姫には甘いなぁ」
「姫様の縁談の話も立ち消えてしまいましたから。本当に後継」
「尊奈門」
「…すいません」
「いやいいけど。それより」
「?」
「立ち消えって?」
(うわ、マジキレしてる?!)
「どういう事?」
「と、殿が面白く無いと」
「殿が?」
「何より、姫様が腰抜けは好かぬと。先の戦いで何の手柄も上げず城の奥で居たらしく」
「…そう」
「何より、殿の差配を姫様がお当てになって。一層のこと後継を姫様に」
「わかった」
「小頭?」
「早く現場に戻ら無いとね。」
(ああ、色々悪巧みを考えていらっしゃるのだろうなぁ)




螢火



「毒見役をしていたのですか?」
「雑渡さんもしてくれたでしょ?」
「…」
「ほら諦めて」
「はぁ」
「ため息ついて如何したの?」
「早く現場に戻ら無いとと考えていただけです」
「うん。早く良くなってね」
「はぁ」

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楽乱 雑渡

「湿布変えるよ」
「姫様がせずとも。」
「高坂さん」
「はい」
「邪魔」
「…」
「じゃあ尊ちゃん」
「はぁ」
「…何をなさっているのですか?」
「毒見役」
「薬から水迄全部姫様がやると」
「…小頭が卒倒してしまいます」

其れに近い状態でしょというと高坂さんはなんとも言えない顔になる。そりゃそうだろうな。小頭命だもの。この人。見てるこっちが笑ってしまうほど。小頭命なのだから。

「高坂さんも大丈夫?」
「は?」
「寝てないでしょ?」
「え、いや。私は」
「寝ろ!」
((命令調!!!))
「はい。尊ちゃんも手伝って」
「…布団ひきますから。横の!部屋でどうぞ。」
「なんで横を強調する。」
「さぁ」
「まだ小頭に会わせないつもりか」
「そうなの?」
「…」
「残念。高坂さん。また今度ね。」
「は、い」
「尊ちゃんに八つ当たりしちゃダメよ」
「…」
「返事!」
「はい!」

ふふふと笑いながら雑渡さんを見ると意識は混濁しつつも先日より随分マシな感じになっている。早く目を覚ましたらいいけどと思いながら手拭いを変える。

「痛みが早くひきますように」


汗を拭いながら静かに言う。衝立の向こう側が少し煩い。あとで叱らないとなぁと思いながら彼の穏やかな寝顔にほっとするのだった。


螢火

天井から一本の糸が降りる。ターゲットは姫様で、垂らす薬は眠り薬だ。
但しかなり強めのものだから彼女が城に帰るまで絶対に起きないだろう。 殿ではなく奥方様の命令。あまり聞きたくないなと思いながら薬を垂らすと、ビリビリと感じる殺気に驚く。


「…」

ぽちゃんと落ちた先は姫の口腔ではなく小頭の白い包帯の上。さきほどまで意識の無かった、ましてや生死の境を彷徨った男の行動かと畏怖していると背後に気配を感じる。

「奥方様か」
「連れ戻すようにと」
「姫様に毒を盛ってまでか?」
「いや、眠り薬だよ」
「…」
「傷ついた野生動物は恐ろしい。」
「残念だ。」
「いや。もし小頭が動けたら、もっと苦しんだだろうからな。」
「…何人たりとも許しはしないだろうからな」
「気をつけろ。俺以外にも、きっ、と」

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