楽乱 雑渡 落乱 雑渡 螢火 終 2015年08月12日 「湿布変えるよ」 「姫様がせずとも。」 「高坂さん」 「はい」 「邪魔」「…」 「じゃあ尊ちゃん」「はぁ」 「…何をなさっているのですか?」 「毒見役」 「薬から水迄全部姫様がやると」「…小頭が卒倒してしまいます」 其れに近い状態でしょというと高坂さんはなんとも言えない顔になる。そりゃそうだろうな。小頭命だもの。この人。見てるこっちが笑ってしまうほど。小頭命なのだから。 「高坂さんも大丈夫?」 「は?」 「寝てないでしょ?」「え、いや。私は」 「寝ろ!」 ((命令調!!!))「はい。尊ちゃんも手伝って」 「…布団ひきますから。横の!部屋でどうぞ。」「なんで横を強調する。」 「さぁ」「まだ小頭に会わせないつもりか」 「そうなの?」 「…」 「残念。高坂さん。また今度ね。」「は、い」 「尊ちゃんに八つ当たりしちゃダメよ」 「…」「返事!」 「はい!」 ふふふと笑いながら雑渡さんを見ると意識は混濁しつつも先日より随分マシな感じになっている。早く目を覚ましたらいいけどと思いながら手拭いを変える。 「痛みが早くひきますように」汗を拭いながら静かに言う。衝立の向こう側が少し煩い。あとで叱らないとなぁと思いながら彼の穏やかな寝顔にほっとするのだった。 螢火 天井から一本の糸が降りる。ターゲットは姫様で、垂らす薬は眠り薬だ。但しかなり強めのものだから彼女が城に帰るまで絶対に起きないだろう。 殿ではなく奥方様の命令。あまり聞きたくないなと思いながら薬を垂らすと、ビリビリと感じる殺気に驚く。 「…」 ぽちゃんと落ちた先は姫の口腔ではなく小頭の白い包帯の上。さきほどまで意識の無かった、ましてや生死の境を彷徨った男の行動かと畏怖していると背後に気配を感じる。 「奥方様か」 「連れ戻すようにと」 「姫様に毒を盛ってまでか?」 「いや、眠り薬だよ」 「…」 「傷ついた野生動物は恐ろしい。」 「残念だ。」「いや。もし小頭が動けたら、もっと苦しんだだろうからな。」 「…何人たりとも許しはしないだろうからな」 「気をつけろ。俺以外にも、きっ、と」 PR