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変換なしの雑食夢

ran

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白雲の果て 6

「石田様」
「藤!?」
「?」
「何、だ?」
「お召し物を…」
「ああ」
「後」
「?」
「口に入るものはこれから私では無く奥方様の侍女がお持ち遊ばします。」
「は?!」
「早めに引き継ぎますので…」
「何故だ!」
「…事を知った私が何かしかね無いからです。」
「!?」
「そんな大それた事思ってもおりませんが周りから見ればその通りでございます。人の心は外から見えませんもの」
「…」
「其れでは失礼致します」
「…ま、おい」






あれから数日。大谷様と侍女頭様との協議で私は大谷様付きになる予定だ。監視との名目は建前で良い嫁ぎ先、奉公先を見つけるまでの保護だとお二人は仰った。奥方様が何を仕出かすか分からないからと付け加えて。




「藤や」
「大谷様?」
「主は辛く無いか?」
「ふふふ」
「?」
「意外と薄情でございますよ、私」
「何を言っておる?」
「昔の安寧はあまり覚えておりません。あの村で記憶にあるのは赤い炎と血と嫌な男に掴まれた腕の痛みだけで御座います。それと助けに来て下さった島様の顔も」
「左様か」
「命を救って下さいました。そのまま殺されても売られてもおかしくありませんでしたでしょうに。前髪も上げかける、童でありました。何も知らず無垢で子供の私を今の私に育てて下さったのは間違いなくこのお家でございます」
「ひひひ」
「?」
「憂う主の顔を久しぶりに見た、と思うてな」
「そうでございますか?」
「主はわろうた方が良い」
「はい」
「藤」
「はい」
「食べしゃれ」
「ありがとうございます。大谷様」
「ん?」
「私を殺す時は甘味に毒を入れてくださいませ」
「藤」
「なれば汚さず死ねますもの。」
「主には我が」
「…豊臣の重臣たるあなた様達の私生活を少なくとも知っています私を生きてここより出すとは思いません」
「…」
「昔、竹中様が仰っておりました。恐ろしい冗談。ありえない事と笑いましたけど、現実になるとは思いませんでした」
「ひひひ。主は聡い。故に悲しいな」
「…」
「主は死なさぬよ。我を厭わぬ主は我が守ってやる。」
「大谷様」
「ひひひ。我が飼ってやろう。故に安心しりゃれ」
「…はい」




白雲の果て






「という訳よ。」
「君らしく無いね」
「我とて飼い猫は可愛い故。手出し無用よ」
「大丈夫かな?」
「…乱波が見ておる。其れこそ四六時中よ。今までと変わらずな」
「そうか…なら何かあったら飼い主が責任をとりたまえ」
「はてさて。そうはなるまいよ」
「…三成君は?」
「恋しゅうて泣いておるよ」
「冗談は良いよ」
「ひひひ。笑うてやれ。詫びを考えておる」
「ずれてるね」
「故に三成よ。」
「本当にね…それより聞いたかい?」
「?」
「懐妊したようだよ」
「それは!…そうよの。あの乱痴…致し方無いか」
「如何したものだろうね。里に返して」
「そうよな。そのまま静かにしてくれれば我の仕事も捗りやすい」
「御免ね」
「ひひひ。もとよりこの予定よの?知らぬは本人のみよ」

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白雲の果て 5

「島様」
「藤ちゃん?どったの?」
「お忘れ物です」
「え?!わー!!!」
「賽を忘れるなんて…お疲れですか?」
「いやぁ…三成様には?」
「大丈夫です!」
「助かったぁ」
「程々にしてくださいよ」
「えー…」
「もう!」
「わかったって。そんなにプンプンしないって」
「島様」








「失礼致します」
「ひひひ。藤か。良いところに」
「?」
「菓子よ菓子」
「わっ」
「我には多くてな。ほれ、ぬしの茶も持って参れ」
「えっ?!」
「ひひひ。早うはよう」
「です、が」
「なれば我も食さぬか」
「?!」
「美味らしいのにのう。朽ちて土に帰るか」
「あ、う」
「藤」
「はよう持って参れ」
「はい」
「ひひひ。褒美よ褒美」
「ん?!美味し!美味しいんです!!!」
「愛い愛い」







あれが貴様らの前と私の前とで態度が違う!と三成が叫ぶので我はため息をつく。当たり前だ。何度叫び手を上げておると思う?という台詞は聞かぬふりをしりゃる。あの後。全力で塩対応していた男の台詞とは思えない。心を開きかけたのになぁと言っても無駄だろう。器用な男ではない




「ぬしも如何いたしたい?」
「?」
「側に置こうがぬしの勝手よな」
「…」
「侍女にしておくのならもう少し優しくしりゃれ」
「無理だ」
「?」
「顔が緩む」
「ひっ?!」
「笑いたいのなら笑え」
「面倒な男よな。」
「大体!あれの父母兄弟を殺した私に…何が出来る?」
「あれは知らぬよ」
「私が知っている」
「…なら一層離れ」
「出来れば苦労しない」
「拗らせておるな」
「はぁ」
「主とて…ん?」
「如何した?」
「しもうた。」
「?」
「聞かれたか」






白雲の果て







「下郎!」
「は?っ!」
「殿様の首を狙うてきたか!」
「何の話でございますか?」
「父母兄弟を殺された女が仇の側使いに興じる理由は他にはない!」
「…は?」
「そこになおれ!妾が直々に!!!」
「私の父や母。兄弟は、織田の残党にやられたのでは無いのですか?」
「よくも白々しい!織田の残党征伐の拠点として貴様の村が選ばれそこに居る下郎を駆除しただけの話だ」
「…駆除?」
「死ね」






赤い炎。
赤い血。


父と母と兄弟達。



私たちを虫けらのように殺していく兵士。





その旗印は










「止めろ!」







大一大万大吉

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白雲の果て 4

「妾がいると言うのに!」
「…」
「どういう事か!」
「いきなり姦しい。大体何故ここにいる」
「妻の妾がいて何の問題がある!」
「郷に帰るのではなかったのか」
「!」
「時間の無駄だ」
「!?」
「失礼致します。」
「藤か」
「あ、の。太閤殿下がお呼びとのことで…奥方様?」
「妾の前に出て参るな!この下郎!!!」
「っ?!」
「貴様!」




私の主人の一人。石田様の部屋の修羅場に首を出すのは怪我の元だと思う。前回は椀を投げられたしその前は平手だった気がする。行きたくはないのだけれどもこういう時に限って仕事が言付かってしまうのは何故だろう。
今回は押されて庭まで転がってしまった。嫌な音ともに石田様の叫び声。それを聞いて駆けつけた大谷様と島様。島様の大丈夫?の声で私は意識を手放すのだった。








眼前に広がるのは赤。炎と血の赤。


父と母と兄は戦さ場とかした私の村で斬り殺された。
私は、下卑た笑いを浮かべる男たちに組み引かれているところだった。両親と兄の死体の横で。すべての絶望のうちにこの身を暴かれ殺されるのだろう。そう思って瞳を閉じる。


赤が濃くなる。それはそれは恐ろしいほどに。






「藤ちゃん?!」
「?!」
「大丈夫?」
「…し、ま、様?」
「魘されてたよ。怖い夢見た?」
「はい」
「そっか…痛いところは?」
「?」
「奥方様に」
「あ、ああ」
「?」
「大丈夫で、いたっ?!」
「やれ入る…藤」
「もうし、わけ」
「何を謝るかは聞かぬきかぬ。謝るのはぬしではなく彼方よ。背中を打ったよりその手が問題よの」
「手?」
「腕か。骨が少しな…痛まぬか?」
「?!」
「藤?」
「わた、し」
「落ち着けって」
「これでは働けません…」
「やれ泣くでないわ。落ち着きゃれ」
「ぐすっ」
「主は若い故、すぐに治ろう。それまでは休憩よ、きゅうけい。今まで良く働いておったからなぁ。」
「追い出さ、れるのでは」
「追い出さぬよ。」
「本当に?」
「そんな事はぜってーしないって!落ち着いて寝てな」
「…ですが」
「?」
「私は何も出来ない娘です。皆様のお役に少しでも立たないと。恩返ししないと」
「なら早く元気になるように休みなって!」
「…」
「藤は起きたか?!」
「やれ三成」
「今気がついたっす!でも」
「?」
「…石田様」
「な?!どうした!左近!!!」
「俺何もしてないっす!」
「ひひひ。怪我をしたから追い出されると思ったようよ」
「…何を馬鹿なことを言っている」
「我らにはわからぬ思考よな。やれ、藤。なかしゃるな。」
「大谷様ぁ」
「何時ものすまし顔は何処かに消えたなぁ。相応の顔よな。ひひひ。」
「藤」
「あい」
「…」
「?」
「いや、痛みは如何だ?」
「いたいです」
「そうか…すまない」
「?」
「あれの癇癪で…よく休め。」
「!」
「治ればまた仕事をして貰う。」
「わたし」
「休むのも仕事と思え」
「まだ、ここにいていいのですか?」
「当たり前だ。馬鹿なことを聞くな」
「いしだ、さま」
「?」
「ありがとうございます」
「…!」
「ふふふ」
「わっ、かわ…ひっ?!」
「やれ悋気は宜しゅうないな。薬がよく効いたか。ひひひ。寝た寝た」
「…」
「三成」
「少しここでいる」
「ひっ?」
「また泣いてはならないからな」








白雲の果て






「…おや?」
「やれ賢人。きりゃれたか」
「可愛い光景だね。三成君が良い顔をしている。あれが君の言っていた侍女かい?」
「ひひひ。あれは?」
「懲りないよ。また何かしそうで怖いね。…一層の事離縁させて三成君が秀吉の養子に入れば良いんだよ。」
「それがいい。我とてなにより三成も仕事が滞る」
「本当にね。やることが酷すぎるんだよ」
「あれも何度怪我をさせられたか…ん?」
「おや」
「…はぁ」
「酷いことにならないことを祈るよ」

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白雲の果て 3

「如何様にしたとしても」
「藤ちゃん?」
「墨はいただけません」
「まぁ…使えなくなったねよね。この部屋」
「片付けが…終わりません」
「本当になぁ。」
「島様?」
「刑部さんが来いって」
「?」
「話があるからって」
「はい。」





墨に黒ずんだ手を洗う。のきはしないと思ったものの…思った以上で私は苦笑する。
私の主人の一人、大谷様はあの件以来働き詰めなのだから私の比ではないほどに疲れていらっしゃるだろう。葛湯をお持ちしよう。




「やれ気の利く」
「大丈夫でございますか?」
「ひ、ひひ」
「申し訳御座いません。お手伝いできましたら」
「無理を言う。ぬしとてあの後終いに四苦八苦しておろう」
「…ふふふ」
「にしても女子の悋気は我には理解できんなぁ。」
「はい」
「はてさて。主は女子であろう?」
「恋い焦がれる事はありませんので。…見方を変えれば。奥方様も石田様に恋い焦がれておるやもしれませんね」
「…そう、思うか?」
「よくわかりませんけど」
「主らしいわ」
「其れより御用とか」
「ああ。賢人が今回のことをいたく怒ってしまってな」
「まぁ」
「佐和山にやるという名目で母御に返すと相成った。行儀見習いのやり直しよの。しばらくすれば帰ってきやる。そのつもりに致せよ」
「はい」
「…」
「?」
「凄い色よの」
「畳は替えられますが柱やら敷居は」
「手間をかけりゃる」
「致し方ありません。以前下女が手伝っていたのですが石田様のお怒りを買いましたので其れからは私一人でやっておりますので日がかかるのです。大谷様」
「?」
「御不自由をおかけしております。何か至らない点はございませんか?」
「ひひひ。我は大事ない故安心いたせ」
「ならば良いのですが…」
「主はまこと真面目よなぁ」
「?」
「良い良い。」
「刑部、入るぞ」
「ひひひ」
「…藤か。部屋はどうだ」
「もう少しすれば…ですが着物の方はもう」
「そうか」
「そうよ。太閤から一式下賜されておる。また縫ってやりゃしゃれ」
「!」
「明日よりかかります。…石田様?」
「爪」
「は?」
「黒くなっている」
「え?ああ。墨にございますので」
「そう、か」
「?」
「これをやる」
「???」
「菓子だ」
「わっ」
「主は菓子を見ると年相応の顔になるなぁ」
「も、申し訳御座いません」
「はてさて。我は怒っておらぬよ」
「ですが…石田様。宜しいのでございますか?」
「私は食さん。」
「…」
「初々しいものよの」




白い包みの中には色々な色の砂糖の塊が入っていて私はおもわず微笑んでしまう。美味しそうだなと思いながらもこの指では食べれないと思い後で頂きますといえば石田様の眉間に皺がよる。指先がと言っても理解いただけないだろう。そう思っていたら大谷様がその旨を伝えてくださる。




「馬鹿馬鹿しい。口を開けろ」
「え?んっ」
「美味いか?」
「!」
「やれ、そう喜色満面で頷くな。三成が」
「刑部」
「?」
「恐やこわや」
「???」
「いつもの礼だ」
「!」
「気に入らんか?」
「いへ。」
「?」
「口に入ったまま喋ってはならないと…教わりましたから」
「ひひひ。真面目よなぁ」
「ありが、とうございます。とても。嬉しいです」
「そうか」






白雲の果て








「藤ちゃん!」
「?」
「なにそれ」
「石田様に頂きました」
「いーな!美味そう」
「御一つ」
「今無理だって。」
「なら。はいあーん」
「ん!うめ!」
「ですよね!すごく美味しいんです?」
「???」
「石田様」
「げ?!」






「やれ、子犬が戯れておるなぁ」
「左近…」
「ひひひ。あれは兄妹よ」
「っち」
「主とて妻を持つ身で懸想とは…」
「そういうものではない」
「では」
「だが、離れることは許さん」
「面倒な男よの」

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白雲の果て 2

「…」
「…」
「おい」
「はい」
「食事をしてこい」
「石田様のをお持ちしてから」
「私はいらん」
「では私も後でいただきます」
「そう言って朝から何も食していないだろう」
「?」
「食べて休んでこい」
「…」
「藤!」
「で、すが」
「何だ!」
「主人が休まず私の様な侍女が休むなど…」
「私が許可している!」
「…」
「何だ!」
「では暫時休憩してまいります」
「ふん」
「…」
「早く行け!」







急いで一礼して私は廊下に出る。この声は恐ろしい。手が飛んでこなかっただけマシだと思いながら廊下を急いで歩く。厨は見慣れた老爺が私に握り飯を渡してくれるので大谷様と島様の食事を聞きながら立って食べる。行儀の悪いと怒られないのは私の仕えている3人のうち2方の所為だろう。ほって置くと食事をしないなんて当たり前の方達だから。案の定島様はとっくに済ませていて、大谷様は食べられていないということ。急いで椀物を流し込むと大谷様の膳を持つ。






「また掻き込んだか?」
「?」
「先我の部屋の前を通ったのになぁ」
「美味しくいただきました。…大谷様」
「ひひひっ」
「書類を置いてくださいませ。厨の者が丹精込めて作ったものでございます」
「それはぬしにも同じことよの」
「私が箸も使わず両手で喰ろうておったときからのつきあいでございますから。安心して下さいませ。成長したと喜んでくださいましょう」
「可愛くない口よな」
「大谷様」
「あいわかった。三成は?」
「まだ書類を…食事も全く」
「左様か。我の膳を持て。三成のもよ」
「ありがとうございます」
「ひひひ」
「?」
「主はそれが済めば少し休みゃれ」
「!」
「目の下のクマが酷いヒドイ」
「…申し訳ございません」
「あれの相手は男とて草臥れる。明日も早かろう。少し休まぬと倒れるわ」
「…墨をするくらいなら」
「藤」
「ですけど…何もしておりませんとその」
「心配か?」
「はい」
「なれば少しの間のみよ。まずは…ん?」
「大谷様?」
「またか」
「?」
「やれ、左近」
「なんっす…またっすか?」
「藤と後で参れ。我は彼方に行く。草臥れる話ばかりよなぁ」
「本当っすね。半兵衛様には?」
「忍びが行ったわ」
「???」
「何も分かっておらぬなぁ。いたしかたない。主はしばしここで待機よたいき」
「あ、の?」
「奥方様だよ」
「!」
「また仕事が増え様なぁ。三成も我も…主も」






白雲の果て






「書類は無事だ」
「その代わりに主が酷い有様よ」
「藤は?」
「きにかかるか?」
「…」
「坊主憎ければと言うが。藤に悋気か」
「ああ」
「身勝手な話よ」
「其れが通ると思っている女だ。…誰だ?」
「俺っす!うわ…スゲェ」
「藤は?主と一緒ではないのか?」
「背中に居ますよ。ありゃ?」
「此方です。次ぐの間に膳を…石田様」
「何だ」
「墨だらけではございませんか。お召し替えを」
「…」
「失礼いたします。御髪まで…お怪我は?」
「ない」
「ならば良いのですが。島様」
「はいはいっと。うへぇ。お気に入りの一張羅が台無しっすよ」
「洗えばいい」
「のきませんって。なぁ藤ちゃん」
「ええ。」
「な?!」
「一応頑張って参ります。島様。後片付けは私が致しますので食事をお願いします」
「分かったけど…どうにかなりそう?」
「…頑張ります」






「あれが縫った物なのになぁ」
「黙れ」
「まぁ良い。また縫ってもらえ」
「その前に片付けっすね」
「…はぁ」
「ぬしを疲れさすとは流石よの」

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