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変換なしの雑食夢

ran

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白雲の果て 3

「如何様にしたとしても」
「藤ちゃん?」
「墨はいただけません」
「まぁ…使えなくなったねよね。この部屋」
「片付けが…終わりません」
「本当になぁ。」
「島様?」
「刑部さんが来いって」
「?」
「話があるからって」
「はい。」





墨に黒ずんだ手を洗う。のきはしないと思ったものの…思った以上で私は苦笑する。
私の主人の一人、大谷様はあの件以来働き詰めなのだから私の比ではないほどに疲れていらっしゃるだろう。葛湯をお持ちしよう。




「やれ気の利く」
「大丈夫でございますか?」
「ひ、ひひ」
「申し訳御座いません。お手伝いできましたら」
「無理を言う。ぬしとてあの後終いに四苦八苦しておろう」
「…ふふふ」
「にしても女子の悋気は我には理解できんなぁ。」
「はい」
「はてさて。主は女子であろう?」
「恋い焦がれる事はありませんので。…見方を変えれば。奥方様も石田様に恋い焦がれておるやもしれませんね」
「…そう、思うか?」
「よくわかりませんけど」
「主らしいわ」
「其れより御用とか」
「ああ。賢人が今回のことをいたく怒ってしまってな」
「まぁ」
「佐和山にやるという名目で母御に返すと相成った。行儀見習いのやり直しよの。しばらくすれば帰ってきやる。そのつもりに致せよ」
「はい」
「…」
「?」
「凄い色よの」
「畳は替えられますが柱やら敷居は」
「手間をかけりゃる」
「致し方ありません。以前下女が手伝っていたのですが石田様のお怒りを買いましたので其れからは私一人でやっておりますので日がかかるのです。大谷様」
「?」
「御不自由をおかけしております。何か至らない点はございませんか?」
「ひひひ。我は大事ない故安心いたせ」
「ならば良いのですが…」
「主はまこと真面目よなぁ」
「?」
「良い良い。」
「刑部、入るぞ」
「ひひひ」
「…藤か。部屋はどうだ」
「もう少しすれば…ですが着物の方はもう」
「そうか」
「そうよ。太閤から一式下賜されておる。また縫ってやりゃしゃれ」
「!」
「明日よりかかります。…石田様?」
「爪」
「は?」
「黒くなっている」
「え?ああ。墨にございますので」
「そう、か」
「?」
「これをやる」
「???」
「菓子だ」
「わっ」
「主は菓子を見ると年相応の顔になるなぁ」
「も、申し訳御座いません」
「はてさて。我は怒っておらぬよ」
「ですが…石田様。宜しいのでございますか?」
「私は食さん。」
「…」
「初々しいものよの」




白い包みの中には色々な色の砂糖の塊が入っていて私はおもわず微笑んでしまう。美味しそうだなと思いながらもこの指では食べれないと思い後で頂きますといえば石田様の眉間に皺がよる。指先がと言っても理解いただけないだろう。そう思っていたら大谷様がその旨を伝えてくださる。




「馬鹿馬鹿しい。口を開けろ」
「え?んっ」
「美味いか?」
「!」
「やれ、そう喜色満面で頷くな。三成が」
「刑部」
「?」
「恐やこわや」
「???」
「いつもの礼だ」
「!」
「気に入らんか?」
「いへ。」
「?」
「口に入ったまま喋ってはならないと…教わりましたから」
「ひひひ。真面目よなぁ」
「ありが、とうございます。とても。嬉しいです」
「そうか」






白雲の果て








「藤ちゃん!」
「?」
「なにそれ」
「石田様に頂きました」
「いーな!美味そう」
「御一つ」
「今無理だって。」
「なら。はいあーん」
「ん!うめ!」
「ですよね!すごく美味しいんです?」
「???」
「石田様」
「げ?!」






「やれ、子犬が戯れておるなぁ」
「左近…」
「ひひひ。あれは兄妹よ」
「っち」
「主とて妻を持つ身で懸想とは…」
「そういうものではない」
「では」
「だが、離れることは許さん」
「面倒な男よの」

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