忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

白雲の果て 2

「…」
「…」
「おい」
「はい」
「食事をしてこい」
「石田様のをお持ちしてから」
「私はいらん」
「では私も後でいただきます」
「そう言って朝から何も食していないだろう」
「?」
「食べて休んでこい」
「…」
「藤!」
「で、すが」
「何だ!」
「主人が休まず私の様な侍女が休むなど…」
「私が許可している!」
「…」
「何だ!」
「では暫時休憩してまいります」
「ふん」
「…」
「早く行け!」







急いで一礼して私は廊下に出る。この声は恐ろしい。手が飛んでこなかっただけマシだと思いながら廊下を急いで歩く。厨は見慣れた老爺が私に握り飯を渡してくれるので大谷様と島様の食事を聞きながら立って食べる。行儀の悪いと怒られないのは私の仕えている3人のうち2方の所為だろう。ほって置くと食事をしないなんて当たり前の方達だから。案の定島様はとっくに済ませていて、大谷様は食べられていないということ。急いで椀物を流し込むと大谷様の膳を持つ。






「また掻き込んだか?」
「?」
「先我の部屋の前を通ったのになぁ」
「美味しくいただきました。…大谷様」
「ひひひっ」
「書類を置いてくださいませ。厨の者が丹精込めて作ったものでございます」
「それはぬしにも同じことよの」
「私が箸も使わず両手で喰ろうておったときからのつきあいでございますから。安心して下さいませ。成長したと喜んでくださいましょう」
「可愛くない口よな」
「大谷様」
「あいわかった。三成は?」
「まだ書類を…食事も全く」
「左様か。我の膳を持て。三成のもよ」
「ありがとうございます」
「ひひひ」
「?」
「主はそれが済めば少し休みゃれ」
「!」
「目の下のクマが酷いヒドイ」
「…申し訳ございません」
「あれの相手は男とて草臥れる。明日も早かろう。少し休まぬと倒れるわ」
「…墨をするくらいなら」
「藤」
「ですけど…何もしておりませんとその」
「心配か?」
「はい」
「なれば少しの間のみよ。まずは…ん?」
「大谷様?」
「またか」
「?」
「やれ、左近」
「なんっす…またっすか?」
「藤と後で参れ。我は彼方に行く。草臥れる話ばかりよなぁ」
「本当っすね。半兵衛様には?」
「忍びが行ったわ」
「???」
「何も分かっておらぬなぁ。いたしかたない。主はしばしここで待機よたいき」
「あ、の?」
「奥方様だよ」
「!」
「また仕事が増え様なぁ。三成も我も…主も」






白雲の果て






「書類は無事だ」
「その代わりに主が酷い有様よ」
「藤は?」
「きにかかるか?」
「…」
「坊主憎ければと言うが。藤に悋気か」
「ああ」
「身勝手な話よ」
「其れが通ると思っている女だ。…誰だ?」
「俺っす!うわ…スゲェ」
「藤は?主と一緒ではないのか?」
「背中に居ますよ。ありゃ?」
「此方です。次ぐの間に膳を…石田様」
「何だ」
「墨だらけではございませんか。お召し替えを」
「…」
「失礼いたします。御髪まで…お怪我は?」
「ない」
「ならば良いのですが。島様」
「はいはいっと。うへぇ。お気に入りの一張羅が台無しっすよ」
「洗えばいい」
「のきませんって。なぁ藤ちゃん」
「ええ。」
「な?!」
「一応頑張って参ります。島様。後片付けは私が致しますので食事をお願いします」
「分かったけど…どうにかなりそう?」
「…頑張ります」






「あれが縫った物なのになぁ」
「黙れ」
「まぁ良い。また縫ってもらえ」
「その前に片付けっすね」
「…はぁ」
「ぬしを疲れさすとは流石よの」

拍手

PR