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変換なしの雑食夢

ran

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勝手すぎる三成12

「佐吉」
「母!」
「如何したの?」
「聞いてくれ!刑部がな来週の連休皆で京都に行こうと言ってくれた」
「あら」
「ひひひ。その間にメンテナンスをする予定でなぁ」
「?」
「主の快気祝いを込めてよ。用意しりゃれ」
「え?私もですか」
「我と佐吉と主と三成の4人でよ。」
「えっと…」
「断りゃるな。佐吉が悲しむ故」
「!」
「母は…行きたく無いのか?」
「う…その、ね」
「ならば私も行かん」
「…母も行きたいわ」
「!」
「大谷さん」
「我とて佐吉に色々したいのよ。これは先達ての敬老の日の礼よ、礼」
「敬老の日って…大谷さんそんな歳では無いですよね」
「我は佐吉が愛でれればなんでも良い」
「刑部!私はここに行きたい!」
「あいあい。これは我のわがまま故。付き合ってもらえれば助かる」
「ふふふ。」
「?」
「あんなにはしゃぐ佐吉は久しぶりです。本当にありがとうございます。」
「ひひひ。なれば。来週早々に行く故支度を頼むなぁ」
「はい」








私も京都に行くことになりましたと言えば石田さんの目が見開かれて私も驚いてしまう。今日のおかえりは遅くて、刑部さんは佐吉の部屋で一緒に寝ているらしい。お話聞いておられませんでしたか?と尋ねればその話自体寝耳に水だったらしく頭を横に振られてじっとこちらを見てくる。




「その、だ」
「?」
「私もか?」
「はい。そう聞いておりますよ」
「通りで」
「?」
「来週の予定が変わっていたからな。…嫌では無いか?」
「実は楽しみで」
「!」
「佐吉も予定を作ると言って…大谷さん大丈夫かしら?」
「心配はいらない。あれはしたくてしているからな。存外今の生活を一番満喫しているのは刑部だろう」
「なら良いのですけど。石田さんは?」
「?」
「京都」
「…楽しみだな」
「ふふふ」
「…」
「最近、お疲れみたいでしたから。楽しみましょうね」
「あ、ああ」
「その、だ」
「?」
「他に行きたいところは無いか?」
「え?」
「…」
「行きたいところですか?…んー」
「な、ければいい」
「笑いませんか?」
「あるのか?」
「そこの公園」
「は?」
「休日になると家族連れがピクニックに来てて。憧れといいますか。ずっとそういうものには無縁でしたから」
「…公園」
「すいません。」
「いや、お前らしい」
「?」
「弁当は頼む」
「!」
「今は無理だが…必ず行こう」
「ありがとうございます」
「今日の食事も感謝する」
「はい」
「(機嫌がいいな)」
「秋晴れの日に当たるといいですね」
「(きっと、この安寧を求めていたのだろうな)」






勝手すぎる三成12








「三成様」
「何だ左近!」
「明日からの工事は予定通り6日間っす」
「わかった。」
「ぜってぇ仕事入れません!」
「火急の用は連絡しろ。仕事用は貴様に預ける。プライベートにかけろ」
「はい!」

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勝手過ぎる三成 11

「…」
「目が覚めましたか?」
「ゆ、き?」
「まだ熱が高いですね…そのまま。お水」
「ん」
「スープ、飲めそうですか?」
「ああ」
「それを飲んだら着替えて下さいね」
「…」
「石田さん?」
「お前を、大切にしていれば。こういう風に夫婦としていれたのかもしれないな」
「は?」
「…」
「寝ぼけてますか?」
「幸」
「っ?!い、石田さん?!」
「何もしない…唯少しだけ」
「抱きしめ?
「幸…」
「っ」
「…懇願する。如何すればあの時に戻る?」
「落ち着いて?!何を言っていらっしゃるのかわかりません」
「幸…」
「と、取り敢えず何かお腹に入れてください。お疲れなのですよ。お食事して、薬飲んで寝てください。そうしたら」
「っ」
「石田さん?」
「すまない…」
「いえ。熱もまだ高いですから。スープとってきます。その間に着替えて下さいね」
「ああ」





そう言ってそそくさと部屋を出る。本当にびっくりした。いきなり抱きしめられるだなんて思いもしなかった。
忙しいと聞いているし熱で錯乱していたのだろう。ふーっと息を吐いて部屋をノックする。変な事にはならないだろうけど一応用心しておいたほうがいいかもしれない。


「着替えられましたか」
「あ、ああ」
「スープ」
「ありがとう」
「いえ」
「すまない」
「!」
「その、だ。抱きしめてしまった」
「いえ。びっくりはしましたけど。」
「寝ぼけていた訳ではないが。すまない。気分を害しただろう」
「お疲れになっていたんですよ。飲めそうですか?」
「ああ」
「…」
「美味い」
「ふふ」
「?」
「佐吉にそっくりな食べ方だろと思って」
「佐吉にか?」
「ええ。猫舌だから。ふふふ」
「そうか」
「背を丸めている具合がそっくり。…覚えてはいないのですけどきっとあの子の父親があなたのように食べていたのでしょうね」
「ああ」
「石田さんも奥さんがいるのでしょ?」
「な、ぜ?」
「指輪」
「これは…ああ。誰よりも大切な女だった。私のせいで傷付けて出て行ってしまった」
「そうですか」
「許しを乞おうと思った途端にまた居なくなってしまった。…相当嫌われているのはわかっているが。手を離してはやれないのだ」
「そうですか。よく謝って差し上げたら如何ですか?」
「それで許してくれるだろうか?」
「よく話し合う事ですよ。それでも無理なら無理かもしれませんけど話し合ってもいなさそうですから」
「話し合いにならない。嫌がるんだ」
「忍の一文字ですよ。如何すれば許してもらえるかしっかり聞いてくださいね」
「ああ」
「でも私がいてはいけない気が」
「いてくれて構わない」
「でも」
「…かまわない」
「石田さん?」
「すまない…手を握っていてくれないか?」
「そんなとこまで佐吉にそっくり」
「羨ましい」
「そうですか?」
「私が欲しかったものをあいつは得ているのだな。」
「大層なものではないですよ」
「私がずっと欲しかったものだ」
「ふふふ」
「幸」
「今日は手をつないでいますから。寝てくださいね」
「ああ」
「石田さん?」
「愛している…幸」
「は?!え??!!!」
「…すぅ」
「寝息?!寝言??」
「ゆ、き」
「勝手な人ね…ふふふ」




勝手過ぎる三成 11







「もう少しで下がりそうですね」
「…」
「貴様…よくも母に」
「佐吉?」
「母と手をつないで寝られるのは私だけだ!」
「な?!」
「ひひひ。随分と語弊のある言い方よなぁ。佐吉。落ち着きゃれ」
「私の母に!」
「佐吉…」
「軽々しく私の名を…ん?」
「お客様かしら」
「…ここにか?ちとまたしゃれ。我が行く」
「え?」
「母はここにいろ!」
「でも」
「…入るな!!!」
「?!」
「ゴホッ。」
「い、石田さん?!急に叫んで如何したんですか???ああ。咳き込んで」
「ひひひ。」
「刑部…」
「主のおかげですぐに帰った。」
「そうか…書類か」
「ああ」
「ここのセキュリティを変えろ。頼むぞ」
「あいあい」
「???」







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勝手過ぎる三成 10

「花」
「あら、綺麗ですね」
「土産だ」
「え?」
「受け取れ」
「ありがとうございます」
「…」
「石田さん?」
「あれは?」
「え?ああ。佐吉はお隣様に行ってます」
「刑部の所か?」
「本当に仲が良くて」
「…何か不便な所はないか?」
「特には…でも」
「?」
「何も思い出せないのが申し訳ないです」
「…それは」
「あ、すいません。立ち話で話すことではありませんね。…お茶でも?」
「いや、いい」
「お食事の時に。今日は寒いですからシチューにしますね」
「ああ」
「石田さん」
「?」
「お花、ありがとうございます」
「…気に入らなければ言ってくれ」
「いいえ。ですけど」
「?」
「私なんかに送らなくても良い人に贈ってくださいね」
「…」
「石田さん?」
「今は、私が選んでいる」
「はぁ」
「お前に似合うものをと。だから…他の奴には贈りはしない」
「!」
「失礼した。また、後で」
「え、あ。…また後で」






退院した後、私はマンショに移り住んだ。ただ、ワンフロアーがこの人たちの持ち物らしくその一部屋をお借りしているので恐縮するばかりなのだ。東京に来て半年。何も思い出せない私にここまでよくしてくださる理由を聞いても教えてはくれなかった
ただ、すべき関係なのだとだけ大谷さんは言う。気にしなくてもいいと言われてもきっと想像もできないほどの生活費がかかっているだろう。食費も何もかも。気にしなくていいと言われ週末には買い物に連れて行かれる。有難くもあり息苦しさを感じた時に大谷さんに食事の準備をして欲しいと頼まれた。掃除に洗濯。それを仕事として受けてくれれば少しでも気紛らわしにならぬか?という心遣いを私は二つ返事で了承したのだ。



その頃から。石田さんは定期的に花を買ってきてくれるようになった。食卓を彩る花は思った以上に可愛らしい花が多い。少し笑いながら花瓶にさす。きっと佐吉が嫌な顔をするだろうな。大谷さんとは仲がいいものの石田さんとは頗る仲が悪い。それも一方的なのだからひどい話なのだけど。



「只今」
「お帰りなさい」
「また、あのもやしが来たのか?!」
「ふふふ。可愛い花でしょ?」
「…ものには罪がない」
「佐吉らしくて好きよ」
「母は今の暮らし楽しいか?」
「?」
「…」
「佐吉は?辛い?」
「辛くは、ない。唯、母が心配だ」
「ありがとう」
「…」
「佐吉」
「?」
「母はもう少ししたら此処を出て行こうと思います」
「え?」
「こんなに良くして頂いていますけどやっぱり変だわ」
「変?」
「何の所縁の無いの。其れに」
「母」
「此処には居てはならない気がするの」
「…」
「すぐというわけでは無いわ。大谷さんはとても仲良しでしょ?嫌なら」
「刑部は好きだが母の方が好きだ。母は忘れているけど利用しようと言ったのは私だ」
「まぁ」
「用が済んだら出ていけばいい」
「…佐吉」
「だけど私を捨てるのは許さない。絶対に」
「絶対に捨てないわ。」
「母」
「どんなに記憶を辿っても他の事は思い出せないのに貴方の事は忘れられないの。母にとって貴方以上に大切な人は居ないのよ」
「ん」
「さてと…あら?」
「?」
「石田さんの忘れ物?」
「は?」
「封筒。さっきいらっしゃった時に忘れたのね」
「後で渡せばいい」
「だって…豊臣?」
「母?」
「…え?!ああ。ごめんなさい。お仕事のものでしょ?届けてくるわ。お困りになったらいけないでしょ?」
「私が行く」
「そう?なら一緒に行きましょう?」
「母」
「洗濯物もお届けしないといけないし。帰り、大谷さんの部屋にも持って行きましょうね」
「…ああ」






勝手過ぎる三成 10






チャイムを押す。合鍵は頂いているものの使う時間はお伝えしているから其れ以外は基本チャイムを鳴らして開けてもらう。大谷さんは開けしゃれと言って私が開けなくてはならないことが多いもののの石田さんは其れが無い。いつも静かに扉が開いて私の名前を呼ぶのだ。其れが何故だか焦燥感にかられる




「開かないね」
「居ないのだろう」
「そう、みたい」
「刑部に預ければいい」
「食事の時に渡してもいいわね。さあ、大谷さんの所に」





そう言って踵を返そうとした瞬間のそりと石田さんが現れる。
ぎょっとした。




「石田さん?」
「すまない助かった」
「ちょっと待ってください」
「?」
「失礼します」
「な?!」
「母?」
「ひどい熱。さっきは気づきませんでしたけど…佐吉。大谷さんを呼んできて」
「ああ」
「石田さん、体温計は?熱は」
「…」
「薬は」
「…」
「確かにありそうに無い部屋でしたけど…来てください」
「な?!」
「やれ、如何した」
「何でこいつと手をつないでいるんだ?!」
「佐吉も後ろから押して」
「…嫌だ」
「なら大谷さんを連れてきて」
「ひひひ。やれ行こうか」
「…」
「むすりとならしゃるな。今誰よりも困惑しているのは三成よ」
「もやしの分際で!!!」
「佐吉!」
「ぐ…」
「ソファに座っていてください。」
「あ、ああ」
「体温計を渡して」
「使え」
「…」
「何度でした?」
「38.9とあるなぁ…我から連絡しておく。医者の手配もよ。」
「部屋に暖房入れてきますから。これ取り敢えず飲んで。」
「あ、ああ」
「ここで寝さすのか?!」
「え?!ああ。そうか。彼方の方が良いですか?看病してくださる方がいるなら」
「居ない」
「ひひひ。佐吉よ、我からも頼む。」
「…」
「佐吉は我と歴代大河でも見ようなぁ」
「?!」
「大谷さんもお泊りになりますか?佐吉の部屋にお布団引いて」
「やれ、其れは良い」
「刑部は良い!だが」
「佐吉」
「…変なことを母にするなよ!」
「?」
「するか。この阿保が」
「何を!」
「こ、こら」
「ひひひ。男同士はこんな物よ。」
「…石田さん。お部屋に行きますか?」
「…」
「ソファで寝てても良いですよ」
「そう、する」
「意外と寂しいですものね。」
「…」
「おかゆか何か作ります。其れまで寝ていてくださいね」
「…すまない、幸」
「!」
「す、すまない。頼んだ」
「え?!あー…寝ちゃった」

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勝手すぎる三成 8

何らかの理由で記憶が無くなっていますねと言った瞬間三成は唸った。整合性の取れていない記憶喪失は、所謂嘘に近いものかと思われたがどちらかと言うと精神的な防御作用のようなものと結論付けられた。心のバランスを保つために忘れてしまったのだろうと。
ただ、此処は専門の医師がいないからと転院を勧められた。其れに便乗して連れて帰ろうといったものの三成の顔色は悪い。

三成を忘れてしまったのだ。其れはもう一片も残さずに。


「佐吉」
「母?」
「あの人は如何して母を悲しそうに見るのかしら?」
「…」
「其れに佐吉に少し似てるわ」
「な?!」
「ふふふ。」
「私は母に似てる。血液型が同じだ!」
「手の形も似ているわね」
「…ん」
「耳の形は…誰に似ているのかしら?」
「母?」
「ねえ、佐吉」
「何だ」
「母はとても大切なものを忘れてしまったのかしら」
「…とても辛いことだ」
「そう」
「あの男のことなど忘れたほうがいい」
「佐吉?」
「やれ、入る」
「はい…えっと」
「我も忘れたか?」
「何処かで?」
「…ひひひ。我は佐吉のお友達よ。時代劇仲間故。なぁ、佐吉」
「ああ!」
「そうでしたか」
「そして主とはずっと昔からの友人のようなものよ」
「?」
「此処ではなぁ、ぬしを見られぬのでな。転院致すがよろしいか」
「え?!ですが」
「もうちと精密に検査する場所に行く。ゆるりとなぁ、佐吉ももちろん」
「…私は貴方様の友人と仰いますが。そこまでして頂ける関係ではないかと」
「する関係なのよ」
「…」
「やれ、三成」
「はいるぞ」
「あ」
「?」
「あの時の。この方もそうなのですか?」
「こいつは敵だ!」
「佐吉?」
「やれ、佐吉。違う違う。味方よ味方」
「???」
「これからの面倒は全て私が見るから安心しろ…良いな」
「ふふ」
「?!」
「母?」
「やっぱり佐吉とそっくり。困った時に歯を食いしばりながら話すの」
「私はしてない!」
「そうね…歯を痛めますよ…?」
「三成?」
「…すまん、少し出る」
「え?!私?」
「ひひひ。許しゃれ。」
「何故、泣いてしまったのかしら?」






勝手すぎる三成 9







あれよあれよというまに私は東京に連れてこられる。大きな病院の特別室はとても居心地が悪いものの佐吉が寝られるベットがあって其れは其れで良いのかもしれない。昔住んでいたあたりだと言われてもピンとこない。母も父も顔が思い出せないのだから仕方がない。きちんと記憶にあることは佐吉のことだけど其れもあやふやなところが多いのだ。あの子の父親の顔も思い出せない。

なにより、大谷さんと石田さんが何者なのかちっとも思い出せないのだ。今は休みの消化中よと言っていつも佐吉を見てくれる大谷さんと違い石田さんは仕事があるからといってずっと側にいるわけではないものの毎日必ずお見舞いに来てくれる。とても優しい良い人なのだろう。最初疑っていた自分を恥じ入るのだ。



「今日もいらっしゃったのね」
「三成か?」
「私が寝ていると花を挿して行ってくださるから。」
「アネモネか」
「申し訳ないんです」
「好きでやっておることよ」
「御礼を言いたいのですけど…すぐ帰られるでしょ?言う暇がなくて」
「いわしゃれ。喜ぼう」
「でも…」
「手紙を書いたらどうか?」
「リハビリがてら良いですね。あと」
「ん?」
「佐吉は仲良くできていますか?」
「あれはどこにおっても変わらぬよ。」
「其れが一番怖いですね」
「1日目に悪餓鬼が絡んできたのを叩きのめしていたわ」
「?!」
「男はそういうものよ」
「胃が痛い話です」
「ひひひ。して検査は聞いたか?」
「異常ないそうです。頭の傷はまだかかりそうですけど。」
「左様か」
「傷が治ったら仕事探さないと」
「佐吉を見ながらか?…無理が祟ったのよ。少し休みゃれ」
「ですけど」
「三成も哀しもう」
「…聞いてみます」
「そうすれば良かろう。にしても」
「?」
「よう笑うようになったなぁ」
「???」
「…いや、気にしりゃるな」
「ええ」



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勝手すぎる三成 8

あれを初めて見たのは見合いの席ではない。半兵衛様に拾われ体調を戻し頃に連れて行かれた茶会の席だったはずだ。茶会と言っても洋式の花見をしながら大人達が話すといったもので取り留めて楽しかったという記憶はない。


「好きに回れ」
「良いのですか?」
「彼方にケーキがあるみたいだよ。食べてくればいい。此処は大人でも退屈だ」



その言葉に甘えて私はお二人から離れる。
ケーキが欲しかったわけではなく半兵衛様の言う通りこの場所が暇だったのだ。大人の退屈な話より始めてきたこの場所を探検する方が興味深かった




「やれ、坊は?」
「今一人で回っているよ」
「左様か」
「…大事ないか?」
「秀吉は心配性だね。」
「豊臣と書かれた名札をしておる故誰も無体はしまい。子供同士のいざこざもまぁ」
「彼なら鼻で笑って終いかな?」







桜の大木がある。これがこの庭の自慢らしく、この木の子供達がこの庭を飾る桜らしい。美しいと思う反面、恐ろしくもある。昨日、刑部が読んでくれた本の中に桜の木下には死体があると書かれていた。この桜はどれ程の人の血を吸っているのだろうかと戦々恐々となる。
今思えば、魅入られていたのだろう。桜の根元へ行こうとした時それを見つけた。




桜の根元に美しく着飾った女が一人。眠っていたのだ。





年は私より少し下か?着物のまま座るなど愚行だと思いながら私はゆっくりとそれに近づく。妖か?人とは思えない美しさにため息をつくとその大きな瞳がパチリと開いたのだ




「な?!」
「誰?」
「私は」
「お客様?」
「…」
「会場は彼方です」
「知っている。何故貴様は此処にいる?!」
「邪魔になりますから」
「?」
「さよなら。部屋に帰らないと」
「待て!」
「?」
「名前は?…貴様の名前はなんという?」
「幸」
「私は石田三成だ」
「…」
「その、此処の桜は美しいな」
「!」
「その」
「嬉しい」
「!」
「大叔母様が愛した桜なの」
「そうか」
「ええ…あ」
「?!」
「ごめんなさい。行かないと」
「まっ?!」
「さようなら、三成さん」







それが彼女との初めての出会いだった。







勝手すぎる三成 8








「おい」
「?!」
「寝ているのか?」
「今はな!何の用だ!」
「…」
「な?!何で私に頭を下げる」
「あれの…幸の家族はお前しかいないからだ。許しを乞いにきた」
「?」
「幸を嫁にしたい」
「駄目だ!」
「必ず、大切にする。」
「母の敵だ」
「…お前と幸と3人で家族になりたい」
「貴様は!どの口を開いて!!!」
「よく、わかっている。だが…あいつと初めて会った時から。私は」
「母は…ずっと苦労していた!でもいつもあの時よりマシだと言うんだ!」
「…」
「そんなところに、母を」
「佐吉…?」
「母」
「如何したの?」
「母は此処で私といるんだよな」
「ん?」
「な、母」
「そうよ。」
「あの男のところに行かないよな!」
「あの男?」
「母の!」
「…私の?あら」
「幸…私は」
「何方、ですか?」
「?!」
「母?」
「佐吉のお知り合い?」
「如何したんだ?母?」
「私がわからないのか?」
「?」
「…な、ぜだ?」
「刑部を呼んで来い!私は先生を」
「佐吉…母は如何して此処にいるの?」
「っ?!」





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