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変換なしの雑食夢

ran

勝手すぎる三成 8

あれを初めて見たのは見合いの席ではない。半兵衛様に拾われ体調を戻し頃に連れて行かれた茶会の席だったはずだ。茶会と言っても洋式の花見をしながら大人達が話すといったもので取り留めて楽しかったという記憶はない。


「好きに回れ」
「良いのですか?」
「彼方にケーキがあるみたいだよ。食べてくればいい。此処は大人でも退屈だ」



その言葉に甘えて私はお二人から離れる。
ケーキが欲しかったわけではなく半兵衛様の言う通りこの場所が暇だったのだ。大人の退屈な話より始めてきたこの場所を探検する方が興味深かった




「やれ、坊は?」
「今一人で回っているよ」
「左様か」
「…大事ないか?」
「秀吉は心配性だね。」
「豊臣と書かれた名札をしておる故誰も無体はしまい。子供同士のいざこざもまぁ」
「彼なら鼻で笑って終いかな?」







桜の大木がある。これがこの庭の自慢らしく、この木の子供達がこの庭を飾る桜らしい。美しいと思う反面、恐ろしくもある。昨日、刑部が読んでくれた本の中に桜の木下には死体があると書かれていた。この桜はどれ程の人の血を吸っているのだろうかと戦々恐々となる。
今思えば、魅入られていたのだろう。桜の根元へ行こうとした時それを見つけた。




桜の根元に美しく着飾った女が一人。眠っていたのだ。





年は私より少し下か?着物のまま座るなど愚行だと思いながら私はゆっくりとそれに近づく。妖か?人とは思えない美しさにため息をつくとその大きな瞳がパチリと開いたのだ




「な?!」
「誰?」
「私は」
「お客様?」
「…」
「会場は彼方です」
「知っている。何故貴様は此処にいる?!」
「邪魔になりますから」
「?」
「さよなら。部屋に帰らないと」
「待て!」
「?」
「名前は?…貴様の名前はなんという?」
「幸」
「私は石田三成だ」
「…」
「その、此処の桜は美しいな」
「!」
「その」
「嬉しい」
「!」
「大叔母様が愛した桜なの」
「そうか」
「ええ…あ」
「?!」
「ごめんなさい。行かないと」
「まっ?!」
「さようなら、三成さん」







それが彼女との初めての出会いだった。







勝手すぎる三成 8








「おい」
「?!」
「寝ているのか?」
「今はな!何の用だ!」
「…」
「な?!何で私に頭を下げる」
「あれの…幸の家族はお前しかいないからだ。許しを乞いにきた」
「?」
「幸を嫁にしたい」
「駄目だ!」
「必ず、大切にする。」
「母の敵だ」
「…お前と幸と3人で家族になりたい」
「貴様は!どの口を開いて!!!」
「よく、わかっている。だが…あいつと初めて会った時から。私は」
「母は…ずっと苦労していた!でもいつもあの時よりマシだと言うんだ!」
「…」
「そんなところに、母を」
「佐吉…?」
「母」
「如何したの?」
「母は此処で私といるんだよな」
「ん?」
「な、母」
「そうよ。」
「あの男のところに行かないよな!」
「あの男?」
「母の!」
「…私の?あら」
「幸…私は」
「何方、ですか?」
「?!」
「母?」
「佐吉のお知り合い?」
「如何したんだ?母?」
「私がわからないのか?」
「?」
「…な、ぜだ?」
「刑部を呼んで来い!私は先生を」
「佐吉…母は如何して此処にいるの?」
「っ?!」





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