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変換なしの雑食夢

ran

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勝手過ぎる三成 10

「花」
「あら、綺麗ですね」
「土産だ」
「え?」
「受け取れ」
「ありがとうございます」
「…」
「石田さん?」
「あれは?」
「え?ああ。佐吉はお隣様に行ってます」
「刑部の所か?」
「本当に仲が良くて」
「…何か不便な所はないか?」
「特には…でも」
「?」
「何も思い出せないのが申し訳ないです」
「…それは」
「あ、すいません。立ち話で話すことではありませんね。…お茶でも?」
「いや、いい」
「お食事の時に。今日は寒いですからシチューにしますね」
「ああ」
「石田さん」
「?」
「お花、ありがとうございます」
「…気に入らなければ言ってくれ」
「いいえ。ですけど」
「?」
「私なんかに送らなくても良い人に贈ってくださいね」
「…」
「石田さん?」
「今は、私が選んでいる」
「はぁ」
「お前に似合うものをと。だから…他の奴には贈りはしない」
「!」
「失礼した。また、後で」
「え、あ。…また後で」






退院した後、私はマンショに移り住んだ。ただ、ワンフロアーがこの人たちの持ち物らしくその一部屋をお借りしているので恐縮するばかりなのだ。東京に来て半年。何も思い出せない私にここまでよくしてくださる理由を聞いても教えてはくれなかった
ただ、すべき関係なのだとだけ大谷さんは言う。気にしなくてもいいと言われてもきっと想像もできないほどの生活費がかかっているだろう。食費も何もかも。気にしなくていいと言われ週末には買い物に連れて行かれる。有難くもあり息苦しさを感じた時に大谷さんに食事の準備をして欲しいと頼まれた。掃除に洗濯。それを仕事として受けてくれれば少しでも気紛らわしにならぬか?という心遣いを私は二つ返事で了承したのだ。



その頃から。石田さんは定期的に花を買ってきてくれるようになった。食卓を彩る花は思った以上に可愛らしい花が多い。少し笑いながら花瓶にさす。きっと佐吉が嫌な顔をするだろうな。大谷さんとは仲がいいものの石田さんとは頗る仲が悪い。それも一方的なのだからひどい話なのだけど。



「只今」
「お帰りなさい」
「また、あのもやしが来たのか?!」
「ふふふ。可愛い花でしょ?」
「…ものには罪がない」
「佐吉らしくて好きよ」
「母は今の暮らし楽しいか?」
「?」
「…」
「佐吉は?辛い?」
「辛くは、ない。唯、母が心配だ」
「ありがとう」
「…」
「佐吉」
「?」
「母はもう少ししたら此処を出て行こうと思います」
「え?」
「こんなに良くして頂いていますけどやっぱり変だわ」
「変?」
「何の所縁の無いの。其れに」
「母」
「此処には居てはならない気がするの」
「…」
「すぐというわけでは無いわ。大谷さんはとても仲良しでしょ?嫌なら」
「刑部は好きだが母の方が好きだ。母は忘れているけど利用しようと言ったのは私だ」
「まぁ」
「用が済んだら出ていけばいい」
「…佐吉」
「だけど私を捨てるのは許さない。絶対に」
「絶対に捨てないわ。」
「母」
「どんなに記憶を辿っても他の事は思い出せないのに貴方の事は忘れられないの。母にとって貴方以上に大切な人は居ないのよ」
「ん」
「さてと…あら?」
「?」
「石田さんの忘れ物?」
「は?」
「封筒。さっきいらっしゃった時に忘れたのね」
「後で渡せばいい」
「だって…豊臣?」
「母?」
「…え?!ああ。ごめんなさい。お仕事のものでしょ?届けてくるわ。お困りになったらいけないでしょ?」
「私が行く」
「そう?なら一緒に行きましょう?」
「母」
「洗濯物もお届けしないといけないし。帰り、大谷さんの部屋にも持って行きましょうね」
「…ああ」






勝手過ぎる三成 10






チャイムを押す。合鍵は頂いているものの使う時間はお伝えしているから其れ以外は基本チャイムを鳴らして開けてもらう。大谷さんは開けしゃれと言って私が開けなくてはならないことが多いもののの石田さんは其れが無い。いつも静かに扉が開いて私の名前を呼ぶのだ。其れが何故だか焦燥感にかられる




「開かないね」
「居ないのだろう」
「そう、みたい」
「刑部に預ければいい」
「食事の時に渡してもいいわね。さあ、大谷さんの所に」





そう言って踵を返そうとした瞬間のそりと石田さんが現れる。
ぎょっとした。




「石田さん?」
「すまない助かった」
「ちょっと待ってください」
「?」
「失礼します」
「な?!」
「母?」
「ひどい熱。さっきは気づきませんでしたけど…佐吉。大谷さんを呼んできて」
「ああ」
「石田さん、体温計は?熱は」
「…」
「薬は」
「…」
「確かにありそうに無い部屋でしたけど…来てください」
「な?!」
「やれ、如何した」
「何でこいつと手をつないでいるんだ?!」
「佐吉も後ろから押して」
「…嫌だ」
「なら大谷さんを連れてきて」
「ひひひ。やれ行こうか」
「…」
「むすりとならしゃるな。今誰よりも困惑しているのは三成よ」
「もやしの分際で!!!」
「佐吉!」
「ぐ…」
「ソファに座っていてください。」
「あ、ああ」
「体温計を渡して」
「使え」
「…」
「何度でした?」
「38.9とあるなぁ…我から連絡しておく。医者の手配もよ。」
「部屋に暖房入れてきますから。これ取り敢えず飲んで。」
「あ、ああ」
「ここで寝さすのか?!」
「え?!ああ。そうか。彼方の方が良いですか?看病してくださる方がいるなら」
「居ない」
「ひひひ。佐吉よ、我からも頼む。」
「…」
「佐吉は我と歴代大河でも見ようなぁ」
「?!」
「大谷さんもお泊りになりますか?佐吉の部屋にお布団引いて」
「やれ、其れは良い」
「刑部は良い!だが」
「佐吉」
「…変なことを母にするなよ!」
「?」
「するか。この阿保が」
「何を!」
「こ、こら」
「ひひひ。男同士はこんな物よ。」
「…石田さん。お部屋に行きますか?」
「…」
「ソファで寝てても良いですよ」
「そう、する」
「意外と寂しいですものね。」
「…」
「おかゆか何か作ります。其れまで寝ていてくださいね」
「…すまない、幸」
「!」
「す、すまない。頼んだ」
「え?!あー…寝ちゃった」

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