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変換なしの雑食夢

ran

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ゆらりゆらあり 2

宿を出て下屋敷に入る。今日からはここから登城かと眠い目を擦りながら面倒くさとおもう。何時もより随分と早く起きないといけない。従者たちも大変だわと思いながら着物を着替えていると侍女が入ってくるのでおはようと言っておく。手に持った文を指差しながら


「半兵衛様から?」
「文が」
「そう」
「?」
「登城しなくて良いみたいね。…早起きして損したわ」
「姫様」
「御下知があるまで下屋敷に待機。これが私の仕事みたい」
「今まで休みなく御働き遊ばされたからですよ。」
「まぁ向こうは後継者で私はどこの馬の骨かわからない程度の泥棒猫だから。こうなることはなんとなく予想していたけど」
「…」
「陰口は慣れてたけど…正式の文なら流石に堪えるわ」
「何方に?」
「…」
「?」
「久々の暇で何をすれば良いのかわからないの」
「街に行かれましては?」
「昨日行ったけど…ね。みんな困っているみたいだし。やめておくわ」
「でしたら詣でられてみたら」
「そう思ったんだけどね。…謹慎中みたいなものだから。家でおとなしくしたほうが良いかなぁと」
「そんな」
「元々そのつもりよ」
「ならば新しい草子でも」
「お願い」
「姫様」
「ん?」
「…」
「なんて顔しているの。私よりあなたが悲しそうね。」
「それは!…姫様が軽んじられて喜ぶはずはありません」
「ありがとう」
「っ」
「目下服を改めるわ。やっぱり少し横になる。」
「はい」









「…」
「主のせいよ主の。左近に戯れで言った台詞を間に受けて暴れるだけ暴れて…あれの部屋は全壊よ全壊」
「ぐ…」
「その原因が褥でよもや他の女と比べたならば完全に主が悪い」
「黙れ」
「土壁まで壊しよって。数ヶ月は無理と知りゃれ」
「な?!…大体だ!」
「?」
「そんなに怒ることか!」
「それは主に言いたい」
「刑部!」
「しからばちと尋ねるが」
「なんだ」
「あれが主より昔の男のほうがよかったと言えば如何する?」
「…」
「憎悪はしまいしゃれ。」
「…そういうつもりに聞き取ったのか?」
「10人が10人。そう聞き取ろう」
「私はそういうつもりで言っていない」
「はてさて。主のつもりはあれのつもりではないということよ」
「訂正してくる!」
「左様か」
「…止めないのか?」
「止めて欲しいのならそういたすが…ひひひ。主は本にわかりにくい」
「…あれの部屋を壊してしまった」
「左様よのう」
「代わりを整えてから行く」
「行くなら早くいかしゃれ」
「…なら早く用意させろ!」






はと声が出たのは随分と日が上がってからの話だ。
部屋に残した仕事道具を持ってきて欲しいと言えばとても言いにくそうな顔をして部屋がないと言われる。なんでも私の部屋は全て取り壊して私物も何も捨てられたらしいとのこと。ですから無いのですと言った部下が可哀想だった。あなたが悪いわけでは無いからと言いながらとりあえず笑う。笑うしか無い。豊臣の、秀吉様の一兵としても存在価値が無いと言われたのだから。



これから如何したものかと思いながら筆をとる。




半兵衛様に文を書こう








ゆらりゆらあり 2






「え?!ちょっと!!!大谷君は何処だい?!」
「…やれ落ち着きゃれ。先より眼前に居るよ」
「文が!」
「先程の文か?」
「彼女から!」
「ん?」
「如何つながってこうなったの?!」
「…隠居?」
「あの子は僕の腹心なんだよ!いなくなるといろいろ大変なの知っているだろう?!」
「ぬ…豊臣の総意で部屋が潰されたとおもうたらしいな。これはちと厄介よ」
「本当に…僕は彼女のところに行ってくるけど君は君で三成君を頼むよ!」

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ゆらりゆらあり 1

「おい」
「…ん。みつな、り」
「何故眉間にしわを寄せる?」
「っん」
「今もだ。」
「だっ、て」
「今までのどの女も、貴様のような表情はしなかった」
「は?」
「縋ったりもしないな…」
「…」
「おい」
「…」
「ま、待て!何故着物を?!」
「…」
「今日はここで休むのだろう?!」
「…オヤスミナサイ」
「え?!お、おい!」





地雷を踏み抜いた。完封な気ままに。

男だったら萎えたと言えば良いのか?私にしても萎えたのだ。そういう最中に普通比べるかと言いたいが、言ったところでこいつはわからない




「三成と何かあったか?」
「何刑部?」
「すこぶる機嫌が悪い」
「誰の?」
「三成よ」
「知らん」
「また主絡みよな」
「なにその言い方!」
「だいたいはそう故」
「本当に刑部は私嫌いよね」
「好き嫌いではなかろう」
「嫌いでしょ?」
「普通よ、ふつう」
「…ドロボウ猫呼ばわりしたくせに」
「ひひひ。何のことか」
「良いとこのお嬢さんとの縁談が流れたんでしょ?その為じゃないの?」
「?」
「私とそういう感じになったの」
「如何した?」
「言ってもわかんないよ。まぁ良いわ。ちょっと出掛けるから」
「話が終わっておらん」
「…なに説明すれば良いのかさっぱり」
「…三成曰く急に怒り始めたと」
「ならそうなのよ」
「やれ」
「もう良いでしょ?失礼するわ」
「…」




行くあてなんてあるはずがない。逃げの一字なのだから尚のこと。疲れたなぁ思いながら厩に行く。




「あ!居た!」
「五月蝿い」
「ままっ!そう言わないでくださいよ!三成様すっげぇー!機嫌悪いんっすよ!責任とってくださいよ」
「あ?!」
「怖っ!」
「刑部といい左近といい…良いわ。少し街に行ってくる」
「ちょ!?逃げないで〜!」
「男買いに行くだけだから」
「は?!」
「踏み潰すわよ!」
「げ?!逃げ!!わー!!爆弾落としていかないでくださいぃぃぃ!!!」







ゆらりゆらあり








「物々しい…何事か!」
「ああ良かった。帰ってきたんだね」
「半兵衛様?!申し訳ありません、騎乗したままで!」
「いや、それは良いよ。それよりね」
「?」
「今日は城下で休んで」
「は?…三成ですか?」
「ご明察」
「はぁ…」
「左近君に下手な冗談を言うからだよ」
「まぁ、本気でしたけど」
「え?!」
「みんな三成を恐がって店に入れてくれませんでした。普通に食事して買い物をして帰ってきました」
「そうなの?てっきり…」
「男の浮気は甲斐性という風習が確かにありますけど逆はありませんし、何よりリスクが高すぎでしょ?あの馬鹿人の話なんて聞きませんから」
「ま、ね」
「城下にいます。いつもの宿ですので何かありましたら…どうせ部屋がボロボロなのでしょ?当分下屋敷におります。」
「早く仲直りしてね」
「…」
「君にしては珍しい。原因は何?」
「刑部ですか?」
「ふふふ」
「半兵衛様の命とあれば」
「そんな嫌そうに言わなくても…」
「褥で他の女と比べられました」
「…え?」
「萎えただけです。…男なら分かりやすかったでしょう。」
「…痴話喧嘩もここまでくればどうしたものかね」
「では失礼いたします」





「だって」
「ひひひ」
「まぁ。怒るのも無理ないか」
「我は三成のとこへ行って参る」
「屋敷の修繕よろしくね」
「あいあい」







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侍女と三成 6

「やれ」
「これは刑部様」
「あれの具合は如何よ?」
「難産でして…疲れて寝ております」
「?!」
「ああ。後産もきちんときてますからご心配なく。ただ疲れていただけですよ」
「左様か」
「…あら、お連れ様?!治部様??!」
「何だ貴様!」
「やれ五月蝿い!」
「?!」
「で何処よ」
「ですが」
「良い良い。あれにも言っておる」
「なれば…此方でございます」




床がギシギシとなる。見た目以上に古いのだろう。ここは何処だ?と聞けば刑部の屋敷の一つらしい。ここが一番近くて安全故なぁといったものの合点がいかない。あれにもそれにも妻はいない。
さすれば誰のお産があったのか?何より、刑部が戦終いをせずに来るほどだ。…刑部の姉妹なら私を呼ぶはずはない、と思案したら小さな鳴き声が聞こえる。子供かとつぶやく前に刑部がじとりと睨んでくる。…五月蝿いと言いたいのだろうが私のせいではないと言いたい




「おや?」
「おお、姉上」
「う?!」
「吉継に三成かい?お早い参陣だこと」
「な、ぜ此処に」
「ふふふ。一応用心棒かな」
「ひひひ。辱い。で」
「誰が父親かわからぬなぁ」
「?」
「おや?まだ言うてないのか」
「ひひひ」
「何の話だ?」
「まぁ良いか。」
「此処か?」
「開けても良いかい?」
「少しお待ちくださいませ…はいよろしいですよ」





障子が開けられる。なぜ私がと思いながら嬉々として子供のところへ行く刑部の背中を見る。子供が好きだったのか?と思いながらその顔を見て心臓が止まるかと思った





「銀、色?」
「男の子か?」
「そうだよ。立派な跡取りを産んでくれた。」
「刑部!」
「ひひひ。父親似の髪よな。銀の真っ直ぐな。ほれ、こちを見りゃれ。あぁ。目もそっくりよ」
「!」
「ほら、三成。此方に来なさい」
「姉上殿」
「一昨日からのお産で生まれたのは今朝方よ。ふふふ。そなたらが帰ってくるのをみこうしたようね」
「本に。愛い」
「おや、如何したんだい?立ち竦む性格ではないだろう?」
「刑部」
「ん?」
「私、の子か?」
「如何にも」
「っ!は、離せ!姉上殿!!!」
「短慮はいけないよ。お前が悪いからこうなっているのだから。」
「母の名は椿よ」
「あの?!裏切り者がか!!!」
「裏切り者?」
「間者と言っておりましたから」
「ちが、うのか?」
「あの子に大それたことができると思うのかい?此処に来た時にはお前に強かに打たれて骨をやっていた位だからね」
「な?!」
「怨みに落ちてぬしは椿を殺しかけていたのを覚えておるか?」
「…」
「あの時にはすでに子がおったのよ。然しなぁ。あれはぬしの心残りになってはいかぬと言って命懸けで側におるといったのよ」
「あの時に、いたのか…」
「左様。悪しきに絆されておるし、ぬしも主とて憎悪に満ちておったからな…すまぬ。」
「裏切り者」
「ではないよ。お前たちが無事であるようにと臨月の腹で神社仏閣に参っていた位だしね。ふふふ。怪我はしていないか食べてはいるのか。本当に心配していたよ。」
「生き、て」
「生きているよ。ただね、三成」
「?」
「もう二度とあれを傷つけはしないかい?」
「しません!もう、決して」
「もししたら我が打ち据えるわ」
「私が乳母に入るから二人がかりだね」
「あれ、は?」
「椿かい?奥の間で寝てるよ」
「っ!」










侍女と三成 6







「…ん」



ずいぶん寝ていた気がする。少しだけ頭がいたいなぁと思いながら昨日生まれた子供のことを考える。寝て、いるのかしら?あたりの静けさからそうなのだろうと思案してふと庭を見る。

治部様は如何しておいでだろう?

最後の文では勝ったとだけ書かれていて精神的なことは書いていなかった。まだ憎悪の沼から出てこられていないのかもしれない。

会いたいな…と自然に紡ぐ。きっと大谷様に笑われてしまうだろう







「椿」
「大谷様」
「寝ていないといけないよ。…気分は如何だい?」
「私は…息子は?」
「寝ているよ…父親にそっくりなのに気性の穏やかな子だよ」
「ふふふ。本当はお優しい方なのですよ」
「如何だか…客が来ている」
「?」
「通しても良いかな?」
「大谷様?」









「椿」
「じ、ぶ…様?」
「ひひひ。息災か?」
「刑部様!」
「我が先に会うことはならぬよ。…なんせ父親が息災なのだから」
「ですが…治部様」
「何だ?」
「申し訳ありませんでした」
「「?!」」
「ふふふ。椿、三成が困っているよ」
「ですが…側にいると言いましたのに」
「それは!…私が悪い。子を」
「?」
「成していたなど…いやそれ以前の愚行だ」
「治部様」
「手を上げてくれ」
「…」
「少し痩せたな」
「あなた様の方こそ」
「良く、産んでくれた」
「治部様」
「必ず守る。もう、」
「?」
「あのような愚行はいたしはせん。から、」
「治部様?」
「帰ってきてくれ。私の奥に」
「?!」
「椿」
「治部様?!あ、あの」
「寝てしまったな」
「昔よりぬしの場ではよう寝ておったなぁ」

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侍女と三成 5

「何だと…」
「やれ聞こえなんだか?椿は手打ちにいたしたと申したのよ?」
「何故!」
「間者よ間者」
「な、に!」
「徳川のなぁ。ぬしの寝首はかけぬとも…やれ三成」
「おのれ…おのれ!!!!!!!!」
「死体は徳川屋敷に投げ込んだ。明日から遠征よ。気を引き締めりゃれ」
「刑部!」
「ん?」
「貴様」
「我はぬしを裏切らぬよ」
「なら」
「…」
「ならばいい」










「おい」
「ん?」
「誰からの手紙だ」
「ひひひっ。順調を知らせる手紙よ」
「?」
「主とていいのか?」
「貴様の策だ。疑う余地もない」
「左様か」





「刑部…?」
「ん?ああ。すまぬすまぬ。」
「手紙か?」
「ああ」
「?」
「秘密よ秘密」
「?」





「…」
「とうとうきよったかぁ。ん。致し方ない」
「?」
「ひひひ。終わればわかる。なぁ、三成」
「さっぱりわからん!」









侍女と三成 5








「刑部!!!!!!貴様!!!!」
「やれ三成。如何した?」
「戦終いを手伝え!」
「ひひひ。朗報よ。ようやきた。」
「何を言っている?」
「やれ、左近よ」
「はいはいっと!」
「我と三成は出かける故。」
「…は?」
「私はいかん!」
「良いのか?」
「そんな暇がどこにある!刑部!貴様もそうだ!早く」
「後悔するが?」
「???」
「明日一番には帰る。やれ!東は何処ぞ」
「…如何したんっすかね?勝った時より嬉しそうっすよ」
「知らん!」

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侍女と三成 4

月のものが来ないと気づいた時には3月と言われた。
相手は今まさに私を手篭めにしている治部様だろう。正気と狂気の割合が後者に重くなりつつあるこの人に告げたほうがいいのだろうかと思案する。私を手酷く抱いてそのまま眠りにつくこの方の神威がわからなかった。好いた女子、とおっしゃったがあれは何だったのか。軋む体に鞭打って万年床から起き上がる。
苦悶も思案もし尽くした。答えが見つからないだけだ。ふと、外を見るとまだ日も高い。朝から嬲られて何時になったのだろうかとぼうっと考えていたら後ろから抱きすくめられた。






「っ!」
「許可していない」
「治部、様」
「寝ていろ」
「仕事が」
「ほっておけばいい」
「しか、し」
「私を裏切る気か!」
「っ」
「貴様も!家康の元、へ!」
「行きません」
「嘘を言うな!」
「私と徳川様は縁もゆかりもない関係です。治部様。どうぞ落ち着いてください」
「何、が!徳川様だ!!!あの科人に敬称をつけるなど…」
「ひっ」
「やはり貴様!内通していたな!椿はそんな大それた事は出来無い!忍びか!?」
「痛っ!」
「此処で馘いてやろう!」
「やめ、て…」
「いえ、やす」
「じ、ぶ、…さ」
「?!」
「っかは!ごほごほ」
「わた、しは。何、を」
「っ」
「椿!」
「やっ!」
「っ!」
「申し訳ありませぬ…申し訳」
「あ!謝るな!私が…また」
「!」
「…触れるのも…恐ろしいか?」
「治部、様」
「すまない…お前にこんな思いを」
「!」
「何故、私はお前を…」
「治部、様」
「…」
「なか、ないで下さい」
「?!」
「治部、様」
「…すまん」
「…」
「愛している。誰よりもだ。誰よりもお前を」




恐ろしい呪詛に耳を傾けて私は眠る。次起きたらあの世かもしれない。
けれども情というのは恐ろしい。誰にも必要のされない私がこうまで執着されるのなら。それが一夜の夢のごとき話でも。私は彼を捨てる事ができない






侍女と三成 4






「首の痣」
「え…?」
「三成か?」
「刑部様」
「主もそろそろ逃げしゃれ。馘かれよう」
「…」
「ぬしに何かあればあれはますます闇を深めていく。」
「ですが」
「…」
「あの方にとって小石程度なものでも…馘かれて死んでしまったとしてもお傍にいたいのです」
「悪き方に絆されておるな」
「刑部様」
「やれ、」
「?」
「何故腹を庇う?」
「!」
「…左様か。なれば」
「お待ちください!」
「三成に告げて離れなければなるまい!」
「あの方の心残りにはなりたくないのです!」
「愚かな…」
「申し訳ありません」
「…なれば」
「?」
「我の言う事をひとつだけきかしゃれ」

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