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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

トロトロと眠りにつくこの瞬間が一番気持ちがいい。そう思いながら店先で転寝をしていると影が出来て顔を上げる。酷い顔だと言わんばかりの顔をなさって。酷い話だ。いきなり現れてそんな顔をするのだから。

「今日は?」
「今日は別の件だ」
「はぁ?」
「礼だ」
「なんのです」
「絵だ」
「あー、あれですか?いいですよ」
「よくはない」
「じゃ贈り物で」
「…」
「という訳で」
「受け取れ」


ばさりとドサリが頭の上に落ちる。痛い。一体何なのだと憤慨すれば指を刺される。真っ直ぐ高圧的に。だから軍人は嫌いなのだ。
大きな箱を見てオーベルシュタイさんを見る。開けろということだろう。やけに姿勢が良い男の人が目の前に立つとは。凄く邪魔だなぁと思いながら箱を開けると。非常に美しくかつエレガントなドレスが一着。多分他の箱はその付随品だろう。
眉間にしわを寄せてオーベルシュタイを見る。一切表情が変わらないこの人の名前を呼ぶと無機質な声で何だと言われる。


「愛人契約なんてしませんよ。そういう事は向こう側の専門店でどうぞ」
「如何いう意味だ」
「妙齢の異性に服を贈るのは如何なものか」
「妙齢か?」
「其処ですか?一応20歳程度ですよ」
「!」
「なんかもう、腹が立つなぁ」
「いや」
「服は受け取れません」
「貰ってくれ」
「受け取る謂れがないです」
「困る」
「私が困ります」
「これを私に如何しろと」
「知りませんよ。だから高級娼婦へ」
「興味がない」
「如何しろと」
「受け取れ」
「だから高級!」
「興味がないと言っているだろう!!!」



叫ばれた!と憤慨しながらオーベルシュタイさんを見る。向こうもなぜか憮然としていれところを見ると向こうにも言い分があるらしい。言い分があるのなら聞きますがと言えば礼だと一言で終わる。本当にこの人の大丈夫だろうか


「うわっ。ルージュまである。」
「それが如何した」
「意味わかってます?」
「?」
「ルージュはキスで返して服は脱がせたいって意味ですよ」
「らしいな」
「…」
「如何した?」
「知っているなら」
「それでも良いと思っていたからな」
「は?」
「酷い顔だ」
「いえ?は???」
「…」
「高級娼婦へ」
「興味がないと言っているだろう」
「…私は?」



そういえば何もなく贈るほど愚かではないと言われて愕然とする。抑揚もなく言っているだろうそれはよくいえば告白で悪くいえば宣言だ。


「オーベルシュタイさん」
「今日の晩、迎えに来る。」
「へ?」
「それを着て待っていろ」



とんでも無く、かつ言いたい事だけ言って去っていくのだ。オーベルシュタイさんは



アイスブルーのドレスと赤いルージュ

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銀英伝

「絵を」
「お肉じゃなくて?」
「それは頂きます。」
「今日はご主人様と一緒じゃないんだねぇ」


わんという返事をいただくとへにゃりと笑ってしまう。可愛いなぁといえば私の御主人様に殴られた。肉屋の奥様に。


「いたたたた」
「大丈夫でございますか?」
「なんとか」
「で絵なのですが」
「はい」
「貴方自身の肖像画を」
「はぁ?」
「小さく。これくらいで良いのです。」
「またそれは…私何かしましたか?」
「え?」
「指名手配的な?」
「いえ。そうではなくてですね」
「この犬があんたが居ないと寂しがるからじゃないのかい?」
「そう!!!その通りでございます」
「何だ。なら待ってて。すぐ書くから」



紙とインクを取り出してサラサラっと書く。普通は美化して書くもんだろうと野次が入ったもののわんちゃんに美化して如何するんですかと返してやる。


「出来た」
「よく似てらっしゃる」
「またおいでね。」
「お代を」
「ん?」
「絵の」
「いりませんよ。犬に書いたのですから」
「それでは」
「あっならご主人様に野菜ちゃんと食べなさいと言ってね。」



わんという返事をまたまたいただいて私は再びへにゃりと笑ってみる。こういう所が可愛いよなぁというとため息をつかれる。


「今ご主人様は?」
「お城へ」
「そっかあ。」
「あの」
「はい?」
「恋人など」
「居ませんよ。こんな変わり者貰ってくれる人などいませんよ」
「ひど」
「そうですか」
「いいんだよねー。」
「わふっ」
「可愛い」



そう言いながら頭を撫でてやる。
君の御主人様は大変だろうから癒してあげてねといってもう一度撫でてやるのだ


犬への肖像画

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銀英伝

こんこんとドアを叩く音がする。久しぶりに「主」の方が買いに来たのだろうと思案して鍵を開ける。肉屋のドアを22時過ぎに叩く非常識な人は宇宙ひろしといえどもこの人しかいないだろう。現に亭主夫婦は寝てしまっていて下宿人の私が扉を開けるのだから。
オーベルシュタイン様に粗相なき様にと言われている。参謀で恐ろしく冷血漢なのだと奥さんは言っていた。如何だろう。普通の人の様な気がするけどと言ったら珍獣を見る目で見られた。
失礼な人だと笑ったのは昨日の晩だったかなと思いながらドアを開けると運転手さんが現れる。


「こんばんは。」
「…少し待っていてください」
「は?」
「主を」
「寒いですよ」
「…この間は?」
「ああ。絵を描きに。今日は居ましたから。」
「そうですか。」


そう言えば、そそくさと車に帰っていく。如何したのだろうなぁと思いながら扉に身を預けるとパタンという音ともに黒い外套がみえる。やはり軍人さんなぁとおもう。装飾的に。黒が多いから夜になると見失ってしまう。


「いつものを」
「こんばんは」
「ああ」
「わんちゃん元気ですか?」
「元気だな」
「そう。」
「この間は?」
「さっき同じ事聞かれました。」
「?」
「運転手さん」
「そうか」
「絵を描いて居ましたよ」
「絵か」


はいといって奥に行く。カランという音を聞くと彼も中に入ってきたらしい。珍しい事もあるものだと私は思う。
一応、お茶は如何と尋ねると肯定も否定もされなかった。のでカップを置く。


「美味しくないかも」
「?」
「みんなに不評で。私は好きなんだけれども」
「そうか」
「お肉」
「…」
「ももよりササミの方がいいかも。はたまた胸肉」
「あるか?」
「ええ。2つ作っておいたの。」
「すまない」
「いいえ」



何時からだろうこう話しをする様になったのは。思い出せる様な出せない様な。見ていると目が合うので笑ってみる。怪訝そうなので睨みつける人は少ないでしょう?というと再びカップに視線を戻す。


「美味しい?」
「いや」
「無理に飲まなくていいですよ」
「飲めぬほどではない」
「そうか」
「如何した」
「私は好きなんだけど」
「お前は変わっているからな」
「そうですね」


かちゃりという音がする。背が高い癖にすごく痩せていて。まず自分の心配をすればいいのにと思っていたら睨まれた。


「だから軍人さんは嫌いよ」
「?」
「人を睨むものではないわ」
「睨んでいない」
「眉間のシワ。酷いものですよ」
「…」
「でも」
「?」
「ご苦労様です」
「何がだ」
「大変だろうから。」
「…」
「なんか食べます?今夜食作ろうと思いましたから。あっでも運転手さん困りますね。おうちで執事さんが用意して待ってますものね」
「いや」
「オーベルシュタインさん?」
「いただこう」



意外と即答されるものだから逆にわたしが驚く。運転手さんはもう済ませたらしい。店先にパンとスープと焼いたベーコンとサラダ。朝ごはんの様だと思ってもう一品作ろうとして止められた。本当に食が細い。

「しっかり食べて下さいよ。」
「十分だ」
「その野菜わたしが作ったんですからのこしたら怒りますよ」
「ああ」
「オーベルシュタインさんって怖い人かと思ったら」
「?」
「意外と優しい人でした。」
「は?」
「良いのか悪いのか知りませんけど」
「そうか」
「取り敢えず端に避けたトマトを食べてくださいね」



肯定も否定もなく口の中に入れられるトマト。やはり意外に優しいなと思いながら私も食事を始めるのだ




夜半の晩餐

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十二国

石が飛んできたとわかったのはその後すぐで。売女と叫ばれてからだった。一瞬何が起こったのか分からず目をパチクリさせると子供が立っていて再び石を投げようとする。自然とそれを取り押さえようとする大人が現れて周りが騒然となったものの大司馬様が盾になって下されなかったらその波にのまれて怪我をしていたのだろう


「大丈夫か?」
「は、い」
「すまない。真逆子供が」
「いえ。その子供は?」
「向こうで縛られている。母親と兄弟も一緒だな」
「…」


そういうと別室へという女官の手をどけて喧騒の中に入っていく。轟音の様な怒声と泣きじゃくる母親や兄弟の声。その中にじっとこちらを見る男の子は殴られたのだろう。片目が腫れていた



「貴方ですか?」
「なんだよ!!!売女のくせに!!!」
「このガキ!」
「すいません。王妃様」
「貴方はこの子の母親でしょうか?」
「はい」
「そう。」
「子の罪は親の罪です!どうかこの子には寛大なご処分を!!!」



そういって伏礼をするものだから私は頭を上げる様に言う。
そして大司馬に小刀をと言うと周りが騒然となった。


「真逆」
「でも王妃に石をぶつけたんだ。仕方がない」
「おい」
「何を勘違いしています?」



そういうと私は束ねられた髪をバッサリと切る。
幸い装飾もなかったからまっすぐに切れたなと思いながら母親の方を向く
唖然といった表情でこちらを見ているものだから私は微笑んで戒めを解いてあげなさいという。



「な、何をやっているんだ!」
「子の罪は親の罪ですので」
「わかる様に説明しろ!」
「私は望んでも子を得られませぬ。主上はそんな私に王妃となって国の民の母となれとおっしゃいました」
「は?」
「この子供も戦で惑わなければ罪を犯さなかったでしょう。しかし犯してしまった。その理由が国の荒廃なれば私は甘んじてそれを受けなくてはなりません。坊」
「…」
「主上が御座にあります。少しづつですが良くなっていきましょう。其れ迄許しておくれ」
「…」
「主上も贅沢を御厭いになる方です。貴方たちに負担をなるたけかけませんように私からも奏上いたします」
「はい」
「では手当をしてあげてくださいませ」


そう言って子供の手を取ろうとした瞬間大司馬様に成らぬだろうと叫ばれる。
きょとんとすると王妃に石をぶつけた罪は重いと言われて思案する。ごちんと頭を叩いて人に石を投げてはなりませぬよといえば痛かったのだろう少し涙目で二度としませんという


「おまえなぁ」
「あっ」
「な、なんだ?」
「それ以上に」
「イテテテテテテッ!抓ると痛い!!!」
「痛い様にしているのです。売女とはどこで習ったのですか?」
「みんなが言ってたから!!!」
「好きで身を売るものは居ないのですよ。今度そんなこと言うと両頬に致しますわ」
「わかった!いわねぇ!」
「本当に?」


はいともへいともいえぬ返事で許していると母親がありがとうございますと何度も言うものだから私は背中をさする。

「元気なお子は国の宝です。悪戯をし過ぎるのが玉に瑕ですが」
「ですが御髪が」
「気になさらずに。この件は私の不徳の致すところ。」
「そんな」
「またここに手伝いに来てもよろしいでしょうか?民は主上の身体其の物。傷つく民を一人でも介抱したいのです。」
「は、い」
「では他の方たちもこの家族に何もしませぬ様。民は宝。お互いが傷付けませぬ様」
「王妃様?!」
「頭を下げてお願いします。」









「という事があった」
「…」
「で如何して髪を切った?」
「そうしないと収まりませんでしたから」
「…」
「ほら見ろ。怒ると言っただろう」




そういうと額の傷も見つけられて何か叫んでいらっしゃる。大きな声でございますねと言えば何故か矛先がこちらに向く。


「主上」
「何だ!」
「髪の短い私は御嫌いですか?」
「嫌いといえばどうするつもりだ」
「難民のところに参りまして下働きをいたします」
「…お前は」
「だって貴方の身体が傷ついたままに出来ましょうか?」
「…」
「髪などまた伸びまする。ただ、あの場で親子を殺めましたら命とともに大切なものまで捨ててしまいます。」
「わかった」
「では」
「ん?」
「御見苦しいので私は伸びるまで下界に」
「はぁ?」
「いえ、我に帰るとですね。この様な髪は初めてで。恥ずかしい」
「おい」
「え?ひゃあ」
「とくと見せてもらうぞ。」
「主上?!皆様が…居ない!」
「さて」
「ひっ」
「もう二度と見ぬかもしれぬからな。」
「主上」
「やって良い事と悪い事の部別がつくまで躾けないとな」




桃色の髪

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十二国

「お前は何かと言えば泰王の話ばかりだな」
「は?」
「違うか。左将軍か」
「主上?」



そう言うと立ち上がってどこかに行かれる。如何したのだろうと後ろ姿を見ていると六太が笑う

「如何したのかしら?」
「悋気だろう?」
「誰が?」
「あの馬鹿さ」
「…誰に」
「そりゃあ…て気がついていないのかよ」
「?」
「そりゃあ今までが今までだったからな」
「意味がよく」
「良いか。あの馬鹿あいつと戴の左将軍とに焼き餅焼いてやがるんだよ」
「はぁ」
「気の抜けた返事だな」
「だって」
「最近良く話に上がるからな。一本とられたのも気には食わねぇだろうし。」
「六太」
「あの馬鹿。母ちゃんの前では良いとこ見せたいんだろうからな」
「ふふふ」
「何笑って」
「だって」
「なんだよ」
「驍宗様もこんなお婆ちゃんなんて嫌でしょ」
「十分若いだろ?」
「そうかしら。ありがとう。六太」
「いや…って如何すんだよ」
「…どうしましょう」
「の割には嬉しそうだよな」
「ええ」
「はぁ。結局母ちゃんはあの馬鹿好きだもんな」
「そうですよ。」


そういって席を立つ。どちらに行かれたのだろうと戸外に出るとすぐのところに憮然として座ってらっしゃるのに気がつく。
但しこちらを見ないところ、本当に臍を曲げているようだ。

「主上」
「…」
「尚隆様」
「…」
「寒くございませぬか?」
「ああ、寒い」
「なら中で温かいお茶をお入れ致しますわ」
「いらん」
「あら」
「若い男の方がいいならそちらへ行け」
「その言葉そっくりお返しいたしますよ」
「…」
「大体私の目には貴方様しか入らないというのに」
「は?」




横にしゃがむと漸くこちらを向いていただけるので私は頬をふにふにと突く。お疑いですかと尋ねると苦虫を潰したようなかになる


「の割には」
「貴方様の試合姿が凛々しくて」
「…」
「素敵と思いましたのよと言う前にいつも御怒り遊ばれるのです。驍宗様は貴方様と良く似ていらっしゃるから」
「似てる?」
「ええ。若い時分の貴方に」
「そうか」
「お話ししても良い方でしたし」
「…」
「あら、眉間が」
「お前は何を言いに来たのだ?」
「貴方様が悋気せずとも私は貴方様しか愛せませぬし。他に目移りいたしませぬから安心いたしませと言いに来ただけですわ」
「…」
「温かいお茶は?」
「飲む」


そういうとなぜか抱きかかえられて寝室のある屋敷に連れて行かれる。まだ仕事がおありでしょうといえば釣れないことを言うなということ。
まぁ今日くらいは仕方がないなと独り言ちて無体は嫌ですよと眉間を突きながら伝えるだった




悋気

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