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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

「マインシャッツ」
「んー?」
「聞きたいのですが」
「何?」
「そんなに動いて平気ですか?」
「?」
「いえ、皇妃殿下は」


そう言って心配そうにこちらを見るから思わず、笑ってしまう。ただ歩いているだけなのに、と言えばそうですけど。と帰ってくるからますます持って笑ってしまう。

「動かないと。難産になるって言いません?」
「知りません」
「御兄弟皆様男性ですものね。しかも半分が軍人。」
「そうですが。」
「私は姉妹でしたし、女ばかりで暮らしてたから。皆そう言ってましたよ。」
「そういうものですか」
「そういうものです。」


くつくつ言いながら私は笑う。わからないし、聞くこともできないから不安がいっぱいなのだろう。良々とお腹を撫でる手は堂に行っているから、抱っこは大丈夫?と尋ねると真っ青な顔になる。彼奴らと我が子は違うとのこと。皆、優しげな人でしたけど言いつつも、子供の時分は凄かっただろう。お会いした時にそんなことを言っていたはずだ。


「抱っこというより持ち上げたの方が正しい」
「お母様、よく怒りませんでしたね。」
「穏やかな人ですから。一番上の兄に怒られていました。」
「ああ。」
「この子はきちんと抱かないと」
「ビッテンヘルト提督は要注意ね。」
「そうです。」
「陛下とアレックス君の3歳下か。男の子ならいい弟分ね。」
「皇妃殿下も子供ができたら是非と言っていました。」
「ええ。」

そう言うとお腹がけられる。動きましたという声に反応してもう一度。すごく不思議だと思う。


「マインシャッツ?」
「すごく幸せ。」
「はい」


そう言うと頬にキスをくれる。男の子かなぁ。女の子かな。
どちらでもいいですよと言いながら笑うナイトハルトさんにそうねと私も微笑むのだった



10ヶ月の尊さ

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銀英伝

「夫人の容体は?」
「新しいメイドを手に入れたと喜んでいましだよ。」
「…」
「はぁ」
「お前さんも大変だな」
「いや、そちらは良いのです。そちらは」
「?」
「実は検査に引っかかりました」
「誰が」
「妻が」
「あの毒を飲ませても死ななさそうな夫人がか?!」
「…」
「いやすまない。失言だった」
「…」
「すいませんでした。」
「いえいいんです。」
「重症だな」
「ミッターマイヤー閣下」
「件の夫人が医務室から脱走したぞ。」
「「はぁ?!」」
「一瞬の隙をついて。ありゃ下手な将校より動きがいい」
「で」
「捕獲しようとしたが卿を探していたみたいだからな。」



いたっ!と叫ぶとミッターマイヤー閣下とビッテンヘルト提督が私の方を指差す。どんな話をしていたなんか知らないから、退いてと叫びながらナイトハルトさんにタックルばりに抱きつきに行く。凄く痛かったとだろう。静かに起こっている。


「う」
「…」
「痛かった?」
「いえ」
「な、んか怒ってる?!」
「夫人が脱走などするからだ。」
「ミッターマイヤー閣下?なんで知ってるの?」
「医師達が探していたぞ。」
「あー」
「まぁ座れ。」
「如何したんです?フェミニストの欠片もないビッテンヘルト提督が!?」




そうすると無言で指を指される。そりゃそうか。ナイトハルトさんは凄く怒ると叫ぶのをやめて絶対零度の笑顔になるものね。そう思いながらナイトハルトさんの方を見る。怒っているのだろうけど、ごめんなさい。頬が緩む。彼が片眉を吊り上げ睨んできたとしても頬が緩む。えへへと笑って両手で頬を抑えると名前を呼ばれられた。


「うん」
「聞いてます?」
「無理」
「…皆が心配していますから続きはあとにしましょう。それより」
「?」
「今日の特別な検査は如何でしたか?」
「!」
「まさか?!」
「えへへへへ」


ぎゅうぎゅうと抱きしめてファーター!といえばキョトンとされる。ミッターマイヤー提督だけわかったらしくおい、やったななどとっているが2人はわかってないらしい。焦れったい!


「家族が出来るの!」
「…え?」
「だから特別!」
「そう!ビッテンヘルト提督の当たり!」
「いつ頃だ?」
「あれ?いつ頃だろ?聞く前に嬉しくて言いに来たの!」
「夫人らしい…ミュラー?」
「ナイトハルトさん?」
「私にベービ?」
「ええ」
「あなたと、私の子ども」
「…えーと」
「…」
「もしかして嫌でした?」
「は?」
「ごめんなさい。私だけ浮かれて」
「待てって。ミュラー提督も頭が付いて行ってない…ミュラー?!」



硬直していたナイトハルトさんかろ動いて一番最初にした事はやった!の雄叫びだった。次にぎゅーっと抱きしめようとして2人に止められていた。ど、如何しただろうとおずおずと顔をみると絶対零度の笑顔から満面の笑みにチェンジしていた。


「ナイトハルトさん」
「何時ですか?」
「いや。わかりませんけど…?」
「?」
「産んでもいい?」
「…はぁ?!」
「ミュラーがはぁ?!って言ったの初めて見たな。」
「産まないつもりですか?!」
「だってぇ!何話しても返ってこないし。表情筋死滅してたし!」
「ですが」
「駄目なのかと思うでしょ!」
「そうだなぁ。あれならなぁ」
「…ね!」


すいませんと言ってシュンとする。可愛いけど!じとっとみると額にキスを落としてくれる。


「すごく」
「すごく?」
「嬉しいです」
「…」
「体を労って下さい。何かあったら…」
「ナイトハルトさん?」
「何で脱走なんてしたんですか!!?!?!」
「「そっちか」」


何故か怒られたのでムッとしたまま貴方に伝えるためですよと言えば怒るに怒れなくなったらしい。ふふと笑って困ったお父さんねといい、悶えるナイトハルトさんを微笑ましく見つめるのだった




キャベツ畑

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銀英伝

うとうとと微睡んでいた。城内の庭で。これが不味かったのだろう。何か嗅がされて意識を失った私は何処ぞの押入れに押し込まれていた。


「ミュラー夫人は?」
「今探しています。」
「…」
「ミュラー提督?!」
「我妻を拐かしたのが誰であろうとも…」
「落ち着け。」
「ミッターマイヤー閣下なら落ち着いて居られるでしょうか?」
「…そうだな」
「おい落ち着け!いつもの止め役が暴走してどうする?!」
「わかっています!」
「此処で私達が何を言ってもどうしようもないわ。ミッターマイヤー閣下」
「はっ」
「特殊部隊を。カメラを見る限り、この城から出ていないでしょうから。」
「カメラの分析も開始します。」
「ええ。ビッテンフェルト提督は白兵法の長けたもので部隊を編成。城から猫の子一匹逃さないように」
「はっ」
「ミュラー提督は陛下の側に。何が出てきたとしても陛下から離れぬように」
「は」



一体私はどうなっているのかと思いながら以前パウルさんに言われたことを思い出す。


『お前は通常の人間より運動神経がいいがそれは女の話であって訓練しているものに太刀打ちができるほどではない。一切抵抗せずにいろ。時間稼ぎはいいが相当のことがない限り逃げようと考えるな。静かにしていろ。但し気取られないように発信機を作動させろ。良いな。』


そう言って元帥府に上がる際持たされたものは今も肌身はなさず持っている。暗闇に押し込まれてもすぐに触れるところにある。問題はあの癖の強い副官が忠誠心というものを持っているかだ。




「よしっ!」
「フェルナー少将?」
「Fの場所がわかった!皇妃殿下に連絡。私達は其処に急行する!」
「ですが」
「特殊部隊もすぐ来るだろうが…夫人に何かあってみろ!今は亡きオーベンシュタイン元帥閣下に申し訳が立たん!」
「はっ!」




目が慣れてきた。色取り取りのドレスに見覚えがある。確か、貴族の、金髪碧眼の美少女だったきがする。ナイトハルトさんの熱烈な支持者。そう言えば何度かドレスを踏まれた気が。
気に入らないにしても短絡的な犯行だなと言えばかちゃんと何かが割れた音がする。きっと例の美少女だろう。

「もう!貴女達が殺さないから!!!」
「お嬢様」
「落ち付いて下さいませ」
「どうせあんた達も私よりあの女が良いと思っているんでしょ?!」
「ミュラー夫人はお嬢様が思っている様な方では…きゃあ!!!!!」
「邪魔をするなら!貴女達も死んでしまいなさい!!!」
「ひっ?!」




おいこら、巻き込むな!と思いながら扉をがんがん蹴る。
すると何かを投げつけられたらしい。



その時悲鳴が聞こえる。侍女達ではなく美少女の



「奥様!!!」
「んー!!!
「誰か、ナイフを!此処のもの達はひっ立てて行け!」
「ぷはぁ。フェルナーさん」
「間に合ってよかったです。お怪我はありませんか」
「ええ。こんなところに入れられたから体が…」
「それはそうでしょうが…」
「フェルナーさん?」
「ヴァルハラで閣下に殺されるところでした。」
「捕まった私が叱られるわ。仕事を増やしてって」



事の顛末は悋気と其れに乗じた貴族達のクーデターらしい。そんな大それたものだったの?!といえば苦笑される。


「アルク陛下は?」
「ご自身の心配をしてください」
「だって」
「ミュラー提督がお守り遊ばしました」
「!」
「勿論ご無事です」


よかったといえば担架がやってくる。思いの外仰々しいなぁと思えば顔色が悪くなるだろうからと言われる。



「OからFへ 担架で運ばれ医務室へ。」


Aではなく?尋ねると恐ろしく先見の明のあるLiebeですと言われ苦笑する。この人は部下で唯一あの人の真意を汲み取っていたなと思い出す。では素直に従ったほうが身のためですねと苦笑して私は担架に身を横たえるのだ。




OからFへの伝言

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銀英伝

絵を描いていると扉が開く音がする。視線だけ向けると砂色の髪が見えて思わず微笑む。お仕事ご苦労様ですといえばはにかまれた。本当に可愛い方だと思う。そう思っていたのがばれたのだろう少し口を尖らせて私の名前を呼ぶ。はい。何ですかといえば椅子を持ってきているようだ。重い椅子を軽々と持ち上げて、私の後ろに陣取るらしい。副官の方達は困り顔だ。次の間にお茶を用意させましょうかと言うと、お願いしますと返される。今は休憩中らしい。


「皆さんはコーヒーでしたね。」
「はい、奥様」


そう言うと一礼して次の間に行かれる。閣下の幕僚の方々は品行方正ですから侍女も安心してお付けできますといえば笑われる。

「でも休憩の度に皆さんをお連れせずとも。」
「あれらは好きできているから気になさらないで」
「?」
「一年前の私がいる。」


まぁと言って私は微笑む。それは楽しい盛りですねといえば頬を掻きながら何故かナイトハルトさんが照れる。こういう所が好きだなぁと思いながら微笑む。穏やかで優しい人。但し、年相応の情熱を隠し持つ人。じっと顔を見ていると額にキスをくれる。


「ん」
「マインシャッツ」
「聞こえますよ」
「小さい声だから。何より愛妻家で通っているから」
「そう」
「そうです」
「お仕事は?」
「もう少し」
「待っていても?」
「勿論。」


額と額が触れる。髪を触りたいものの手が汚れていて触れないわというと眉毛を下げてそれは残念だと言われる。
その代わりと頬にキスを落として擦り寄る。今何より、ここが安心できる。嗅ぎ慣れたコロンと少しの汗と彼の体温。依存度が高いと抗議すれば貴女も同じですよと苦笑された。触れない私に代わって髪に触れる。気持ちよくて目を細めていると名前を呼ばれる。


「眠たそう」
「うん。」
「やはり先に帰りますか?」
「うんん。自室で寝ている」
「うん」
「鍵は?」
「持っていますよ。」
「じゃあ締める。」
「連れて行きましょうか?」


それも捨てがたいけど今のところこれがいい。ノックの音は別れの合図だ。少し寂しいなぁと思っていたら苦笑される。


「寝てて」
「うん」
「迎えに来るから」
「うん」
「マインシャッツ」
「何?」
「愛していますよ」


そう言って頬を撫でてくれるから少しの別れも辛くない。呼び起こされた睡魔と闘いながら愛しているわと頬にキスを落とすのだった






30分の逢瀬

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