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変換なしの雑食夢

ran

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落乱 雑渡

「気持ち悪く無い?」
「何がですか?」
「火傷の跡。」
「?」
「結構ひどいでしょ?」
「本人が一番知っているでしょ?」
「…可愛げ無い」
「…」
「嘘だよ」
「…ならいいです。尊ちゃん。腰から下お願いします」
「はーい」
「えー。姫がしてくれ無いの?」
「セクハラ」
「胸はいいのに?」
「私に褌変えて欲しいんですか?」
「…」
「小頭?」
「それはそれで?」
(真性の変態だ!)


取り敢えず尊ちゃんの顔を見ていたら、ダメとの事。セクハラを超えた犯罪になるから近づいてはいけ無いと言われてしまう。衝立の向こう側へ移動らしい。すごすごと移動したら山本さんがいて驚く。如何したんですかといえば最初からいたという事。凄いですねというとなぜか照れられた。


「もういいですよー。」
「陣内」
「はい。」
「例の件」
「万事」
「「?」」
「なら良いよ。」



横に行くと何故かニヤニヤしている雑渡さんが居ていささか引く。一昨日まで魘された、いや。未だにまともに動け無い男が悪い事を妄想しているのは些か不気味である。


「姫」
「はい?」
「もう私の事は良いから」
「よく無いでしょ!」
「だって」
「まだ動け無いくせに」
「そうだけど」
「尊ちゃんだけではまだ無理です。」
「他にも仲間いるから」
「雑渡さん」
「ん?」
「私は雑渡さんと尊ちゃん以外は信用してませんから」
「陣内と陣左は?」
「雑渡さん命だからその点信じてるけど。雑渡さんと尊ちゃん程ではない。」
「…」
「だって」
「姫様ぁぁ!!」
「私も姫様を裏切りませんよ。」
「…山本さん」
「陣内以外と必死だね。」
「こんな小さい時から知ってますから…些か」
「私なんて産まれた時からだよ。」
「何競ってんですか」
「尊奈門。顔が壊れてる。」
「だって」
「陣内、形相が酷い」
「…」
「じ、陣内さんを信じてないとは言ってないんですよ。ただ、あんまり話したことないしで…信じてますから」
「はぁ。話がずれた。」
「そう!4人以外は信じてないからやだ」
「まぁ殿は良いって言ってるし良いけど。」
「やった」
「褌」
「小頭…」
「分かったって。」




螢火




「残念だったね」
「はぁ」
「信じているか。姫らしい」
「私も陰ながら」
「違う違う」
「?」
「心を許して話せられないだけだよ。そういう意味」
「はぁ」
「かなり気に入ってるから安心しなって」
「…」
「ただし、わかってるよね。お前は妻も子もいる身なんだから。良からぬことを考えでもすればすぐ様去勢するよ。」
「…どの口で言いますか」

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落乱 雑渡

「…」
「ん…」
「…」
「あ、こがし」
「…」
「あいたたたた。ものぶつけないでください。」
「んー…」
「…」
(ああ。そう言うことか)
「姫様ならまだ起きませんよ。さっきお休みになられたばかりですから。」
「…そう」
「っざっとしゃん!」
「っ」
「ありゃ?」
「尊奈門…」
「いや、いつもなら。」
「…」
「姫?」
「…」
「っ」
「尊ちゃん、雑渡さんが目を覚ましてる!」
(困惑してる。あの小頭が狼狽えてる。)
「姫」
「良かった」
「っ」
「…ほんとに、良かっ、た」



そう言うと姫様は見た事のない程の笑みを浮かべて再び小頭の横に眠りにつく。電池が切れたみたいですといえば苦笑される。
小頭と姫様か仲良い理由を私は知らない。山本さん曰く、初めての任務が産まれたばかりの姫の護衛だっただけでは無いだろうと言葉を含ませていたけど。身分の差さえなければとてもお似合いな二人だとおもうのに。


「体」
「動かし辛いね」
「組頭は養生するようにと。」
「うん。」
「ありがとうございます」
「ん?」
「父上のこと」
「いや、そう言えば」
「?」
「縁談」
「破談になりました」
「やった!」


嘘でも悲しんでくださいと言えば好みでは無いとのこと。
本当に自由人だ。


「で、」
「はい?」
「なんで」
「姫様自らの意思です」
「殿は?」
「お許しですよ」
「…あいも変わらず姫には甘いなぁ」
「姫様の縁談の話も立ち消えてしまいましたから。本当に後継」
「尊奈門」
「…すいません」
「いやいいけど。それより」
「?」
「立ち消えって?」
(うわ、マジキレしてる?!)
「どういう事?」
「と、殿が面白く無いと」
「殿が?」
「何より、姫様が腰抜けは好かぬと。先の戦いで何の手柄も上げず城の奥で居たらしく」
「…そう」
「何より、殿の差配を姫様がお当てになって。一層のこと後継を姫様に」
「わかった」
「小頭?」
「早く現場に戻ら無いとね。」
(ああ、色々悪巧みを考えていらっしゃるのだろうなぁ)




螢火



「毒見役をしていたのですか?」
「雑渡さんもしてくれたでしょ?」
「…」
「ほら諦めて」
「はぁ」
「ため息ついて如何したの?」
「早く現場に戻ら無いとと考えていただけです」
「うん。早く良くなってね」
「はぁ」

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楽乱 雑渡

「湿布変えるよ」
「姫様がせずとも。」
「高坂さん」
「はい」
「邪魔」
「…」
「じゃあ尊ちゃん」
「はぁ」
「…何をなさっているのですか?」
「毒見役」
「薬から水迄全部姫様がやると」
「…小頭が卒倒してしまいます」

其れに近い状態でしょというと高坂さんはなんとも言えない顔になる。そりゃそうだろうな。小頭命だもの。この人。見てるこっちが笑ってしまうほど。小頭命なのだから。

「高坂さんも大丈夫?」
「は?」
「寝てないでしょ?」
「え、いや。私は」
「寝ろ!」
((命令調!!!))
「はい。尊ちゃんも手伝って」
「…布団ひきますから。横の!部屋でどうぞ。」
「なんで横を強調する。」
「さぁ」
「まだ小頭に会わせないつもりか」
「そうなの?」
「…」
「残念。高坂さん。また今度ね。」
「は、い」
「尊ちゃんに八つ当たりしちゃダメよ」
「…」
「返事!」
「はい!」

ふふふと笑いながら雑渡さんを見ると意識は混濁しつつも先日より随分マシな感じになっている。早く目を覚ましたらいいけどと思いながら手拭いを変える。

「痛みが早くひきますように」


汗を拭いながら静かに言う。衝立の向こう側が少し煩い。あとで叱らないとなぁと思いながら彼の穏やかな寝顔にほっとするのだった。


螢火

天井から一本の糸が降りる。ターゲットは姫様で、垂らす薬は眠り薬だ。
但しかなり強めのものだから彼女が城に帰るまで絶対に起きないだろう。 殿ではなく奥方様の命令。あまり聞きたくないなと思いながら薬を垂らすと、ビリビリと感じる殺気に驚く。


「…」

ぽちゃんと落ちた先は姫の口腔ではなく小頭の白い包帯の上。さきほどまで意識の無かった、ましてや生死の境を彷徨った男の行動かと畏怖していると背後に気配を感じる。

「奥方様か」
「連れ戻すようにと」
「姫様に毒を盛ってまでか?」
「いや、眠り薬だよ」
「…」
「傷ついた野生動物は恐ろしい。」
「残念だ。」
「いや。もし小頭が動けたら、もっと苦しんだだろうからな。」
「…何人たりとも許しはしないだろうからな」
「気をつけろ。俺以外にも、きっ、と」

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落乱 雑渡

「何、それ?」
「ひ、姫様?!」
「いい?もう一度だけ聞くわよ。それ誰がやったの?」
(内容変わってるぅぅぅぅぅ!!!)
「手出し無用、との事です。」
「陣内さん。」
「もう高坂が」
「ああ。なら、いい。」
「あ、の。姫様。お座りになったほうが…」
「尊ちゃん」
「ひっ」
「雑渡さん死なないよね。大丈夫だよね。」
「あ、当たり前です!小頭が…。陣内さぁぁん!」
「大丈夫です。…泣くな尊奈門!お前が泣くと鬱陶しい!!!」
「「わぁぁぁん」」








パチリと目を開けると苦しそうに唸っている雑渡さんがいて我に帰る。尊ちゃんは今、薬を煎じているのだろう。ゴリゴリという音が聞こえる。ずれた手拭いを取って冷やし直しながら水を変えないとなと気がつく。血と体液と汗と。此の我慢強い人が此処まで苦しむのだから相当なのだろう。


「ん、」
「…」
「っ…」
(痛いよね)



それでも声をあけずにいるのは彼が忍びだからだろう。使い捨てと父上様が言う。忍びは使い捨て。だから私が看病する事はならないと母上様はいい、此処に来るのも嫌がったのだ。ただ使い捨てといった父上様は違っていたようだ。構わぬとだけ仰った。ただ、それを言葉通りに受け取ってはならないのが私の父上様の嫌なところだ。此の言葉の根底に何があるのか。私にはわからない。だが、私にも引けないところがある。曲者の灰汁の強い父上様の一人娘。唯一我儘を言える立場の女なのだ。必要なカードは全て使う。此の男を守れるならば、私はいくらでも卑怯になれるのだから。


「姫様。」
「しぃー」
「小頭は?」
「寝てる?」
「私にも小頭が寝ているかどうかわからないです。」
「なら私には絶対無理ね。」
「…帰らなくていいんですか?」
「うん。」
「殿は?」
「意外と雑渡さんの事気に入ってくれてるみたい。渋ったけど良いって。」
「し、渋ったんですか?」
「うん。なら父上様と二度と口聞かないって言ったら許してくれたよ。」
「…」
「あとさぁ」


じっと天井を見る。キョトンとこちらを見ている尊ちゃんを尻目に私は言葉を続ける。経験則とは恐ろしい。が多分ここいらで来るはずだから。


「雑渡さんに何かしようと考えてたら、私が此の場で死ぬわよ。」
「は?」
「父上様に伝えておいて。私は私の玩具を取られたり壊されるのが大っ嫌いなの。本当に口聞かないって。」
「お、玩具って!」
「これから雑渡さんの口につけるもの、身に触れるものは全部私が使うから。」
「は?」
『姫様が毒見役をなさるつもりですか?』
「えぇ?!!」
「ええ。その通り」
『殿が卒倒いたします』
「此の声は…お頭?!」
「伊達や酔狂で此処にきたわけじゃないわ。雑渡さんが治るまで。私と尊ちゃんは看病します。」
『十四の何も知らない娘や十やそこらの童では無理です。』
「それは父上の言葉かしら?」
『…』
「私を軽んじましたね。見てなさい。十四には十四の意地があるのよ。」




そう言うと溜息が聞こえて居なくなってしまう。きっと父上様に言いに行ったのだろう。ふーと溜息をついて尊ちゃんをみると少し怒ったようで私も溜息をつく。手を出してと言えば渋々という感じで出してくれるので以前二人で作った暗号を書く。ごめんね。うそ。雑渡さんと尊ちゃん。陣内さん。高坂さんがすごく大事。すると、解ってるけど腹がたつ、とぶすーとした顔をされる。


「水を変えないと」
「いってくる。」
「気をつけてね。」
「うん。」


そう言うと出て行く尊ちゃんを見つめたあと雑渡さんを見る。きっと寝ているのだろう。そうであって欲しいと思うのだった。





螢火

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basara 片倉

「住職様」
「ん?」
「片倉様御家中の方が」
「花と供物ね。後…すごい量の手紙ね。」
「はい」
「馬鹿な男ね」
「如何致しましょうか?」
「いつも通り。手紙も」
「はい」


もう少し賢い男かと思ったら、昔変わらないわねと笑ってしまう。
最初からこうしておけば拗れる事も無かっただろうにと思いながら手紙の束に目をやる。読まれるわけないのに律儀に書かれたそれの中身を私は知らない。贖罪か。それすら無意味だと言うのに。





荊棘の手紙


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