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変換なしの雑食夢

ran

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3

「…やれ、姫」
「ん?」
「三成が食わぬし寝ぬ」
「またか!」
「食わしてたもれ。」
「…呼んで来てくれ」



あれからまともに話していないのに、碌でもないことだと唸りながら庭を見る。食が細いというか霞を食べて生きているだろう治部を見兼ねて時々刑部が注進にやってくる。寝ずに食わずに生きられるものはおらぬと言うのにと言ったのは先月か。刑部の事。料理も用意していたらしく、3人分が運ばれる。用意のいい男でと笑ってしまうのは仕方がないだろう。



「失礼します」
「入ってくれ」
「はっ」
「先月いった言葉は覚えているか?」
「…すいません」
「人並み以上に食べて欲しいところだが…最低限位は食べて欲しい」
「ですが」
「やれ食べしゃれ。姫」
「全て食すまではならぬぞ」
「…」
「刑部を見習え。」
「…」
「喋りたくもないか」
「いえっ…ですが」
「治部がここ最近話したのはいえとかはっのみだな。」
「やれ、如何した」




まぁ、元凶は私だがなと言って苦笑する。刑部はまずいとでも思っているだろう。が仕方がない。此処まで避けられるとは思わなかったなと言いながら席を立つ。



「どこへいかしゃる。」
「いや何。此処に私がいても治部がこ困ろう。済まぬが中座する」
「!」
「おちつきゃれ。」
「いや、至極落ち着いているがな。…そうだ治部」
「何でしょうか?」
「父上にお願いしておこう。嫁御をもらえ。食と睡眠を整えてくれるものが必要だろう」
「そのような者!私には」
「いやさ、此の儘私がという訳にももう行かぬしな。」
「そのような」



まぁいい。後で刑部に尋ねるからなと言って部屋を出る。
好かぬ女子などと同衾したのは地獄だろうからなとひとりごちるのだった




からんころん





「やれ、姫よ」
「如何した刑部よ」
「三成がな」
「あれは私を嫌うておろうからな。父上か軍師殿に頼まれよ」
「よいのか?」
「嫌われておるのに堂々としておれんよ。」
「…あれは人の心を読めぬ男よ」
「治部の良いとこはそれ故に裏表のないことだと思う。私の一方的な好意で困らす事も有るまい」
「ぬ…」
「そう言えば」
「如何した?」
「刑部に頼みがある」
「?」
「子が出来たら養子に欲しい」
「…は?」
「昨日な軍師殿に言われたよ。治部以外私と夫婦になりたいと言う輩はおらぬと。然もありなん。私個人としては良いが家としては話は別だ。一番信用している人の子を養子に欲しい。駄目か?」
「…」
「刑部…」
「少し考えさせて欲しい」
「もちろんだ」

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蛍火

「信用ならない?」と言われて初めて雑渡さんが怒っているのに気がつく。如何したのと誤魔化したところで同じだろう。誰よりも信じてるとだけいってぶすっとした雑渡さんを見る。


「だって」
「あの件で怒っているのなら私は謝りませんよ。」
「…」
「貴方と一緒になるのにあれほど邪魔な人はいないわ。」
「…いつの間に利吉くんと知り合いになっていたの?」
「私の同級生の元彼」
「君の今彼?」
「…そういう事いうの?」
「なんとなく」
「照星さんと利吉さんにお願いして冤罪を作ってお父さんに差配してもらう。…これ以上にいい手があったら教えて欲しいです」
「若いのを鉄砲玉にして冤罪を作ろうと思ってた」
「…」
「…」
「一緒ね」
「一緒だけど」
「?」
「君が秘密にしてるのが悪い」
「…」
「何?」
「嫉妬?」
「…いい年して?」
「うん。ちがうの?」
「…残念ながら当たりだね。」
「そっかぁ」
「何呆れてる?」
「少し」
「…でもすごく嬉しい」
「ふふふ」



蛍火



結局、腹がたつものの許してくれるらしい。膝に寝転ぶ、雑渡さんの頭を撫でながらふふふと笑う。目を細めて何という様は機嫌の悪い猫のようだわというかいいまいか考えて、言わずにおく。これ以上に機嫌を損なわれても困る。


「何?」
「うんん。平和だなぁと」
「…大分死んだし、女は売られたけど」
「私の平和なんて貴方とあと3人とその家族で完結できるの知ってる?」
「そーいうとこ好きだわ」
「ん?」
「本音っぽい」
「本音だから。予備軍は照星さんかな?」
「それが気に入らないの」
「何で?」



同じ年だからと言うので苦笑する。浮気対象の基準は年なのだろうか?馬鹿ねと言うと君のせいだからというので取り敢えず笑っておく。


「ねぇ」
「ん?…っん」
「…はぁ」
(色っぽいなぁ)
「?」
「…」
「如何したの?」
「は、じめてなのに」
「えっ?!」
「ロマンチックでは無い」
「は、初めてなの?」
「小さい時にお父さんにやられたののけたら。大体雑渡さんのせいで付き合った人いないもん」
「如何して私のせいなの(抹殺してたのばれた?!)」
「私は雑渡さんと違って雑渡さん一筋だから」
「如何いう意味?私もずっと嬢のこと」
「初めて?」
「う…」
「キスもそれ以上も、初めて?」
「33にもなって、流石に」
「…」
「ね、ねぇ。顔怖いよ」
「誰のせい?」
「私のせいです」
「嫉妬するなら本気でするけど?」
「だ、だめえ!!!」
「…へぇ。本気がいたんだ」
「へ?!」
「…」
「どこに電話してるの?」
「…もしもし照星さん。」
「ちょ、如何してそんなことに」
「雑渡さんの過去の恋愛遍歴を。うんうん。」
「照星!無駄なこと言うなよ!!!」
「へー。巨乳のさよこちゃん。結婚手前まで。いつ?10年くらい前?へー」
「照星ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

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2

「当たり前の事だけど」
「如何した?」
「治部が逃げてしまう」
「…」
「私の寝ぼけは達が悪いのを重々承知しておるから、あの2人のいないところで休んでいたのに」
「やれ、我のせいになさるな」
「一層刑部。」
「?」
「私と」
「我には過ぎた許嫁がおる」
「私の妹ではないか!私を出汁にして手に入れた恩を忘れたのか?」
「さて、なんの事か。大体姫も姫よ。三成を好いておるのなら」
「…あれに告白でもしてみろ。伯父…いや父上の為に嫌でも結婚するだろう」
「そこまで馬鹿ではあるまい」
「…そう思うか?」
「う…ぬぅ」
「家康も家康でだな。面倒くさい。」
「面倒くさい?」


私の侍女にと言った瞬間に引き笑いをされる。仕方がない。何を好んで男の様な女を選ぶものか。刑部の許嫁である私の実妹は1年しか離れておらず外見はほぼ同じだ。中身が正反対なだけだがと自嘲する。花や蝶の華やかさと月影の儚さを持ち合わせた彼女は昔から引く手数多だ。それに引き換え、獅子の様に雄々しく日輪の様に苛烈と評された私は従兄弟を抑えて豊臣の養女…いや、養子となった訳だ。
どうしたものかと思う。先程も軍師殿に「豊臣は君の力にかかっているよ」と笑顔で言われた。伯父上の様に投げては捨てるというのが出来てしまうとなるとそう言われても仕方がない。すごくキラキラした目で見られるのだから嫌とも言えず。この苦悩を刑部は笑いながらいつも聞くのだ。出汁の礼として。



「いや、我も初めて見た瞬間少しひいたわ」
「…そりゃそうでしょう。伯父上並みのゴリラの力なんて」
「人を投げ飛ばすというより掴んでは捨てだからのう」
「そんな才能いらなかったのに」
「あれで引かぬのは三成とあれくらいだろう」
「だから、治部は私ではなくて伯父上に似た私が好きなのだよ」
「悩ましいなぁ。だか、姫よ」
「ん?」
「それはそれで良いではないか。あの三成と番いたいという獣は中々おらぬし」
「本心が出たな、刑部。私はゴリラではない」
「見た目はほんに良いからの。母御に感謝しりゃれ」
「はぁ」




からんころん





「姫様は私の事など歯牙にはかけんはずだ」
「なぜ、そう思う?」
「彼の方の崇高さは…まて、家康。なぜお前にその様な事を言わねばいけないのだ!!!」
「いやぁ〜。このあいだの一件でさ、お沙耶さんが気にしててな」
「姫の侍女が?」
「良い縁談もなく途方に暮れているらしいからな、姫の周りは」
「縁談?」
「ああ。そろそろ世継ぎも必要だろうし。」
「…姫が、結婚?」
「以前半兵衛殿にも頼まれていたから…どうかと思ってだな」
「…」
「いや、まて。何をする気だ?」
「殲滅してやるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
「だ、誰をだ?!」
「…」
「?」
「貴様だ!!!」
「なっ何でだよ?!」




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1

「治部殿は?」
「今はおらぬよ」
「左様か。それは上々。刑部殿、すまぬが継ぐ間を貸してくれ」
「主はここの姫君ぞ。一々言わずともよいがの」
「ふふふ。親しき仲にもというだろう」
「如何した?」
「刑部はいいな。要らぬことを聞かんでくれる。治部や徳川が見れば五月蠅くてかなわん。」
「ヒーヒヒヒッ」
「眠いな、刑部」
「寝りゃれ。さすれば世は安穏よ」




酷い男だと悪態をついて私は寝転ぶ。薬草の匂いと墨の匂い。存外私はここが好きなのだ。よい夢が見れなくともそれで良い。静かに休めれば。刑部は其れをよく理解してくれている。だから無言で火鉢を用意してくれるのだろう。ありがとうといえばひひひと笑うだけだ。




「刑部!!!」
「やれ三成。静かにせよ」
「?」
「次ぎの間で姫が寝ておる」
「…」
「探しておったのではないのかえ?」
「…体調が思わしくなられないのか?」
「いや、疲れだろう。三成」
「何だ?」
「起こすのかえ?」
「いや、ここで控えさせてもらうぞ?」
「ひっひひひ!忠犬よ。チュウケン」
「当たり前だ。秀吉様のご息女だ」
「親戚筋だがほんの少ししか血は繋がっておらぬがな。」
「刑部。貴様まで下衆な戯言を!!!」
「やれ、静かにせぬか。起きるぞ、オキル。」
「ぐぅ…」
「言いたいことはそうでは無い。我とて姫は可愛い。そなたと同じで幼き頃よりの好ぞ」
「…」
「やれ睨みよるな」
「ふん」
「其方も寝りゃれ。」
「…家康がもしきたら追い返してくれ」
「あいわかった」
「姫は」
「寝ておられるな。肝が太いというか、慣れよの」
「顔色がお悪い」
「そうよな。」
「…」
「やれ、起こしやるな」
「わ、わかっている!」
「ひひひっ。懸想とはなぁ」
「けっ?!」
「幼き砌より見ておったが。愉快ユカイ」
「…」
「ん?」
「刑部は、」
「やれ如何した?」
「姫の事は」
「好いておる」
「!!?」
「がな、少し違うな」
「は?」
「早う、孫の顔が見たい気持ちよ」
「まっ?!」
「ひひひっ。愉快ユカイ」





からんころん




「ん、」
「…」
「ひひひ。起きられたかえ?」
「眠い…、寒い」
「寝ぼけられるな。やれ、姫。」
「…治部がいるな」
「はっ!」
「うふふふ。治部や、治部」
「っ」
「初心な男を揶揄うでない。…寝ぼけられているな?」
「何?!こんなに明確に寝ぼけられるなど」
「治部は猫のようだな」
「わっ、ひ、姫!!?」
「暖か、い」
「ひひひひひ。観念して其方も寝りゃれ。隣に我もおるし、状況は軍師殿に伝えておくゆえ」
「だ、だがな」
「んー…」
「っ」
「諦めが肝心ぞ、やれ誰か。」
「…」
「治部、」
「…秀吉様!お許しください」

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野菊と荊棘

「hey!弥左衛門。何してんだぁ?こんな処で」
「殿!!!」
「ああ、いいって。座っていろ。甘いものでも食うか?」
「…」
「ok。母上には俺からいう」
「あの…」
「小十郎は母上が言えばお咎めはないだろ?」
「ですが」
「口開けろ」
「っ」
「ガキは餓鬼らしくしてればいいんだ」




そう言って横に座ると弥左衛門がにこりと笑って礼を言う。しつけが行き届きすぎだろ?と思いながら頭を撫でてやると嬉しそうに笑うものだから可愛くていけない。成美がいくら年下といっても1年違いなためこう言った弟分には恵まれなかったなと思う。



「で、母上は?」
「寝ております」
「…ha?おい待て。あいつが?」
「今日は体調が悪かったそうで…気がつけなかった私がいけないのです」
「いや、そうじゃなくてだな。大体あいつはあの喜多ですら欺いて仕事するやつだったからな…普通はわからないぞ」
「ですが父上が直ぐにお気づきになられて。」
「…そうか」
「?」
「寝させているんだな」
「はい」
「…」
「殿?」
「hey弥左衛門。」
「はい」
「城下にいかねぇか?」
「は?」
「美味い甘味どころがある。行くか?」



ですがやあのと言いながら目はキラキラしてやがると笑って抱きかかえる。叱られるのは俺だから安心しなといえば嬉しそうにギュウギュウと抱きついてくるのだから可愛くて仕方がない。
成美あたりを生贄にしてと思いながら歩いていると篠笛の音が聞こえる。きっと小十郎のやつだろうと執務室に目をやれば、傍に彼女を寝させて笛を吹いているらしい。
鬼の霍乱だなと笑いながら、弥左衛門を見る。嬉しそうに笑うので思わず頬が緩んでしまうのだった



小菊と独眼竜




「…」
「如何致しました?」
「いや、政宗様が逃げられたらしい。」
「あら。」
「弥左衛門を連れて城下に行かれるのだろう」
「ふふふ。弟分が出来てお喜びなのはあの方ですね。」
「…」
「小十郎様?」
「ん」
「私の事は御案じ召されますな。」
「いや、いい」
「ですが」



そういうと小十郎様は頬を撫でて静かに笑う。
ああ、いつ言おうかしらと思案しながらその手に甘えるのだった。

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