忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

1

「治部殿は?」
「今はおらぬよ」
「左様か。それは上々。刑部殿、すまぬが継ぐ間を貸してくれ」
「主はここの姫君ぞ。一々言わずともよいがの」
「ふふふ。親しき仲にもというだろう」
「如何した?」
「刑部はいいな。要らぬことを聞かんでくれる。治部や徳川が見れば五月蠅くてかなわん。」
「ヒーヒヒヒッ」
「眠いな、刑部」
「寝りゃれ。さすれば世は安穏よ」




酷い男だと悪態をついて私は寝転ぶ。薬草の匂いと墨の匂い。存外私はここが好きなのだ。よい夢が見れなくともそれで良い。静かに休めれば。刑部は其れをよく理解してくれている。だから無言で火鉢を用意してくれるのだろう。ありがとうといえばひひひと笑うだけだ。




「刑部!!!」
「やれ三成。静かにせよ」
「?」
「次ぎの間で姫が寝ておる」
「…」
「探しておったのではないのかえ?」
「…体調が思わしくなられないのか?」
「いや、疲れだろう。三成」
「何だ?」
「起こすのかえ?」
「いや、ここで控えさせてもらうぞ?」
「ひっひひひ!忠犬よ。チュウケン」
「当たり前だ。秀吉様のご息女だ」
「親戚筋だがほんの少ししか血は繋がっておらぬがな。」
「刑部。貴様まで下衆な戯言を!!!」
「やれ、静かにせぬか。起きるぞ、オキル。」
「ぐぅ…」
「言いたいことはそうでは無い。我とて姫は可愛い。そなたと同じで幼き頃よりの好ぞ」
「…」
「やれ睨みよるな」
「ふん」
「其方も寝りゃれ。」
「…家康がもしきたら追い返してくれ」
「あいわかった」
「姫は」
「寝ておられるな。肝が太いというか、慣れよの」
「顔色がお悪い」
「そうよな。」
「…」
「やれ、起こしやるな」
「わ、わかっている!」
「ひひひっ。懸想とはなぁ」
「けっ?!」
「幼き砌より見ておったが。愉快ユカイ」
「…」
「ん?」
「刑部は、」
「やれ如何した?」
「姫の事は」
「好いておる」
「!!?」
「がな、少し違うな」
「は?」
「早う、孫の顔が見たい気持ちよ」
「まっ?!」
「ひひひっ。愉快ユカイ」





からんころん




「ん、」
「…」
「ひひひ。起きられたかえ?」
「眠い…、寒い」
「寝ぼけられるな。やれ、姫。」
「…治部がいるな」
「はっ!」
「うふふふ。治部や、治部」
「っ」
「初心な男を揶揄うでない。…寝ぼけられているな?」
「何?!こんなに明確に寝ぼけられるなど」
「治部は猫のようだな」
「わっ、ひ、姫!!?」
「暖か、い」
「ひひひひひ。観念して其方も寝りゃれ。隣に我もおるし、状況は軍師殿に伝えておくゆえ」
「だ、だがな」
「んー…」
「っ」
「諦めが肝心ぞ、やれ誰か。」
「…」
「治部、」
「…秀吉様!お許しください」

拍手

PR