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変換なしの雑食夢

ran

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ゆらりゆらあり 5

「…」
「…」
「…」
「黙ってないでなんか言いなさいよ!」
「い、や。そのだ」
「?」
「起きていたんだな」
「言うに事欠いて!」
「…いや、あのだ」
「?」
「話をしたい」
「話すことなんてない」
「…」
「私のことなんて気にしないで比べた女のとこ行けばいい」
「馬鹿を言え」
「そこより近づかないでよ」
「無理だ」
「?!」
「泣いてるお前を放置できない」
「嘘つき」
「嘘はつかん」
「じゃあ」
「…」
「ほら!」
「笑わんか」
「知らないわよ!帰って」
「帰らん!」
「人を呼ぶわよ!」
「知らん!…私は!その、だ」
「?」
「お前が痛がったり苦しかったりしているのではないかと」
「…は?」
「それならば自重しなくてはと思っていた、だけだ!」
「他の」
「他の女は…そのだ。お前のところに夜這いたいと刑部に言ったときに気の迷いだとか女の抱き方も知らんでとか言われてだな。その、半兵衛様と二人で用意された女だから」
「…」
「恋しい交わりはお前だけだ」
「…」
「顔を上げてくれ…そんなに嫌だったか?私の顔は見たくもないのか?」
「馬鹿」
「?」
「他の女と比べるし、追いかけてもくれないし!…部屋も全部捨てたし」
「それは、謝る。お前が…男なんて買うというから」
「三成の馬鹿」
「う、な、泣くな」
「わーん」
「…触れるぞ」
「私は…」
「すまん」
「三成の馬鹿!」
「ん」
「…」
「何だ?」
「声、とか」
「?」
「その、顔とか」
「何の話だ?」
「変だもの」
「!」
「私、そんな女のように育ってないし…三成?」
「変ではない!」
「?」
「その、だ。美しいと、」
「は?」
「そう思う」







ゆらりゆらあり 5







「…ん」
「起きたか?」
「みつ、なり?」
「ん?」
「…」
「顔が赤い」
「だって!」
「愛らしい」
「!?」
「もっと近づけ」
「…」
「おい」
「そ、の。三成」
「?」
「ごめんなさい」
「私の方がだ」
「三成」
「泣くな」
「もう!好き!!」
「…」
「え?!あの…三成?」
「すまん」
「?」
「抱きしめて眠る」
「?!…ふふ」

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ゆらりゆらあり 4

「何の香り?」
「姫様?」
「おはよう」
「遅いくらいですよ」
「なんか、ね。懐かしい夢見た気がするの」
「?」
「今は昔ね…にしても何の香り?懐かしいけど思い出せない」
「ふふ」
「?」
「朝餉の支度をしてきます。ご用意くださいね」
「え?ああ。うん」




ぱたりと閉められたのちきょろきょろと周りを見渡す。ふと床の方を見てみると梅の花が生けられている。昨日なかったのにと思いながらはってそちらに行くと枝野一本に薄紫の紙が結ばれている。何が如何なっているのだろう。思考が停止してしまう。



「桐箱?もなかったよね」




小さな桐箱には髪紐が一つ。ゆっくりと触れて文をとる。






《波流奈例婆 宇倍母佐枳多流 烏梅能波奈 岐美乎於母布得 用伊母祢奈久尓》





「馬鹿みたい。名前書かないで」





自分の文字で書かないのは私が一度怒ったからだろう。仕事のようだと言ったっけ。にしても寝所に忍び込んであいつは何をしてるのか?お茶の趣味は知っていたけど花まで生けられるとは…。





「眠れないのは私のせいじゃないだろう」




筆をとる。本音を言えばいいのに。馬鹿みたい。




「誰か」
「はい…まだ召し替えていなかったのですか?」
「これを治部殿に」
「あら」
「…手引きをしたのはあなたか?」
「正確に言えば半兵衛様でございますよ」
「ん?」
「あと大谷様」
「そう」
「花も用意しておきますね」
「そのままでいいわ。」
「?」
「お願いね」









「文が帰ってきたというのは本当か?!」
「やれ、落ち着きゃれ」
「…」
「ほれ」
「ああ」
「結び文ではないのよな」
「そうだが…ん?」
「やれ、何か落ちた」
「…」
「これはヌシが渡した」
「っ」
「なんと?」



《萬世尓 得之波岐布得母 烏梅能波奈 多由流己等奈久 佐吉和多留倍子》




「?」
「如何いう意味だ?!どう取ればいい!」
「…この梅は秀吉のことかな?三成くんの寝られないのは秀吉のためだろうと言いたいみたいだね」
「半兵衛様!」
「あー…こうきたか」
「左様か。あれは頑固故」
「こうなる事をみこうして?君は反対していただろう?僕としてはいい縁組だと思うけど」
「というよりなぁ。我としては中途半端な感情なれば良かったのだが三成は本気故…色々面倒と」
「何が面倒だ!」
「そういうとこよ。ひひひ。主は昔からあれの前では及び腰よ」
「そう言えば」
「力づくでものにしりゃれ」
「無理を言うな!」
「無理か…」
「ふふふ。三成くんのベタ惚れだったものね」
「ひひひ」
「行って」
「「?」」
「拒否されたら」
「大丈夫だよ。怒らずゆっくり話してごらん」
「…はい」
「やれ賢人。」
「わかっているよ。今日は起きているだろうから。夜這っておいで」






ゆらりゆらあり 4








「見事なまでに惚れ気よな」
「本当にね。」
「…馬に蹴られるかなぁ」
「ふふふ。凄く蹴りにくそうだけどね」

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ゆらりゆらあり 3

「半兵衛様?!」
「良かった!短慮は…」
「も、申し訳ありません。直ぐに」
「泣いていたんだね」
「もう泣くことなんて無いと思っておりました」
「君は我慢強いから…ああ。そんなに擦ってはダメだよ」
「はい」
「…落ち着いて聞いてね」
「?」
「君を要らないなんて誰も言っていないよ」
「ですが」
「?」
「私の部屋は壊されて全ての荷物は捨てられたと」
「あー…」
「本当のことをおっしゃって下さい」
「あの、ね」
「私は…本当に、いらな、く」
「わー!違うから!落ち着いて」
「…」
「君はね。豊臣になくてはならない子だよ。僕の自慢の弟子の一人さ」
「半兵衛様」
「現に秀吉だって直ぐに様子を見てって。ほら、文も預かったよ」
「秀吉様」
「三成君が、ね。」
「?!」
「君が男を買うって笑えない冗談言っただろう?だからね…悋気で」
「…」
「そんな顔しないで」
「追い出したいたら口で言えばいいんです」
「え?」
「…」
「えー、と。あ!これ」
「?」
「三成君からの文…なんだけど」
「見たくありません」
「…少しでいいからさ」
「半兵衛様に頼むなんて?!卑怯です!!!」
「こうでもしないと見ないだろう?」
「…」

《見せばやな雄島のあまの袖だにも濡れにぞ濡れし色はかはらず》


「…」
「ほら、さ。すごく反省してるみたいだし!…何をしているんだい?」
「返事を」
「良いのかい!」
「…」
「よかった。ダメなら如何しようかと思案していたところだよ。…君も隠居なんて考えないで。部屋は直ぐに用意するから。ね」
「はい」









「半兵衛様!」
「返事もらえたよ。…君もやるね。和歌とは」
「…」
「やれ、返事はなんと書いてある?」
「ま、まて刑部!」

《月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは もとの身にして》

「…」
「…」
「…」
「さすが、と言えば良いのかな?」
「本にな」
「完全に拗れたね」
「?!」
「あいにいかしゃれ」
「だが」
「本にいろいろ面倒よ。主の真意を伝えしゃれ」
「…」
「真意?」
「そう。真意よ」
「如何いうことだい?」
「は」
「?」
「発言する許可を」
「(馬に蹴られろ系なんだろうな)いいよ。言ってみて」
「あれはその。」
「?」
「苦しそうなので」
「苦しそう?」
「私が至らないのではと…他の者の時はありませんでしたから」
「…」
「ひひひ」
「大谷君。面倒なんでしょ?」
「そうよなぁ。」
「血の涙流すほど恋しいのなら」
「…」
「会いに行ってきちんと話しておいで。侍女には話しつけておくから」
「は?」
「夜ばっておいで」





ゆらりゆらあり 3







「…」




寝ている。
夜這あてみたものの本人は気持ちよさそうに寝ているのでため息をつく。こいつの寝付きは物凄くいいいからな



「っん」
「?」
「や、だ」
「…」
「みつ、なり」
「?!」
「置いていかないで」
「…捨て置けるものか。」
「…」
「(いかん。時間が足りなくなる)」
「むにゃ」
「無防備に寝て」
「…みつなり」
「(くそっ!そば寝したいが…今は我慢だ)」

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ゆらりゆらあり 2

宿を出て下屋敷に入る。今日からはここから登城かと眠い目を擦りながら面倒くさとおもう。何時もより随分と早く起きないといけない。従者たちも大変だわと思いながら着物を着替えていると侍女が入ってくるのでおはようと言っておく。手に持った文を指差しながら


「半兵衛様から?」
「文が」
「そう」
「?」
「登城しなくて良いみたいね。…早起きして損したわ」
「姫様」
「御下知があるまで下屋敷に待機。これが私の仕事みたい」
「今まで休みなく御働き遊ばされたからですよ。」
「まぁ向こうは後継者で私はどこの馬の骨かわからない程度の泥棒猫だから。こうなることはなんとなく予想していたけど」
「…」
「陰口は慣れてたけど…正式の文なら流石に堪えるわ」
「何方に?」
「…」
「?」
「久々の暇で何をすれば良いのかわからないの」
「街に行かれましては?」
「昨日行ったけど…ね。みんな困っているみたいだし。やめておくわ」
「でしたら詣でられてみたら」
「そう思ったんだけどね。…謹慎中みたいなものだから。家でおとなしくしたほうが良いかなぁと」
「そんな」
「元々そのつもりよ」
「ならば新しい草子でも」
「お願い」
「姫様」
「ん?」
「…」
「なんて顔しているの。私よりあなたが悲しそうね。」
「それは!…姫様が軽んじられて喜ぶはずはありません」
「ありがとう」
「っ」
「目下服を改めるわ。やっぱり少し横になる。」
「はい」









「…」
「主のせいよ主の。左近に戯れで言った台詞を間に受けて暴れるだけ暴れて…あれの部屋は全壊よ全壊」
「ぐ…」
「その原因が褥でよもや他の女と比べたならば完全に主が悪い」
「黙れ」
「土壁まで壊しよって。数ヶ月は無理と知りゃれ」
「な?!…大体だ!」
「?」
「そんなに怒ることか!」
「それは主に言いたい」
「刑部!」
「しからばちと尋ねるが」
「なんだ」
「あれが主より昔の男のほうがよかったと言えば如何する?」
「…」
「憎悪はしまいしゃれ。」
「…そういうつもりに聞き取ったのか?」
「10人が10人。そう聞き取ろう」
「私はそういうつもりで言っていない」
「はてさて。主のつもりはあれのつもりではないということよ」
「訂正してくる!」
「左様か」
「…止めないのか?」
「止めて欲しいのならそういたすが…ひひひ。主は本にわかりにくい」
「…あれの部屋を壊してしまった」
「左様よのう」
「代わりを整えてから行く」
「行くなら早くいかしゃれ」
「…なら早く用意させろ!」






はと声が出たのは随分と日が上がってからの話だ。
部屋に残した仕事道具を持ってきて欲しいと言えばとても言いにくそうな顔をして部屋がないと言われる。なんでも私の部屋は全て取り壊して私物も何も捨てられたらしいとのこと。ですから無いのですと言った部下が可哀想だった。あなたが悪いわけでは無いからと言いながらとりあえず笑う。笑うしか無い。豊臣の、秀吉様の一兵としても存在価値が無いと言われたのだから。



これから如何したものかと思いながら筆をとる。




半兵衛様に文を書こう








ゆらりゆらあり 2






「え?!ちょっと!!!大谷君は何処だい?!」
「…やれ落ち着きゃれ。先より眼前に居るよ」
「文が!」
「先程の文か?」
「彼女から!」
「ん?」
「如何つながってこうなったの?!」
「…隠居?」
「あの子は僕の腹心なんだよ!いなくなるといろいろ大変なの知っているだろう?!」
「ぬ…豊臣の総意で部屋が潰されたとおもうたらしいな。これはちと厄介よ」
「本当に…僕は彼女のところに行ってくるけど君は君で三成君を頼むよ!」

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ゆらりゆらあり 1

「おい」
「…ん。みつな、り」
「何故眉間にしわを寄せる?」
「っん」
「今もだ。」
「だっ、て」
「今までのどの女も、貴様のような表情はしなかった」
「は?」
「縋ったりもしないな…」
「…」
「おい」
「…」
「ま、待て!何故着物を?!」
「…」
「今日はここで休むのだろう?!」
「…オヤスミナサイ」
「え?!お、おい!」





地雷を踏み抜いた。完封な気ままに。

男だったら萎えたと言えば良いのか?私にしても萎えたのだ。そういう最中に普通比べるかと言いたいが、言ったところでこいつはわからない




「三成と何かあったか?」
「何刑部?」
「すこぶる機嫌が悪い」
「誰の?」
「三成よ」
「知らん」
「また主絡みよな」
「なにその言い方!」
「だいたいはそう故」
「本当に刑部は私嫌いよね」
「好き嫌いではなかろう」
「嫌いでしょ?」
「普通よ、ふつう」
「…ドロボウ猫呼ばわりしたくせに」
「ひひひ。何のことか」
「良いとこのお嬢さんとの縁談が流れたんでしょ?その為じゃないの?」
「?」
「私とそういう感じになったの」
「如何した?」
「言ってもわかんないよ。まぁ良いわ。ちょっと出掛けるから」
「話が終わっておらん」
「…なに説明すれば良いのかさっぱり」
「…三成曰く急に怒り始めたと」
「ならそうなのよ」
「やれ」
「もう良いでしょ?失礼するわ」
「…」




行くあてなんてあるはずがない。逃げの一字なのだから尚のこと。疲れたなぁ思いながら厩に行く。




「あ!居た!」
「五月蝿い」
「ままっ!そう言わないでくださいよ!三成様すっげぇー!機嫌悪いんっすよ!責任とってくださいよ」
「あ?!」
「怖っ!」
「刑部といい左近といい…良いわ。少し街に行ってくる」
「ちょ!?逃げないで〜!」
「男買いに行くだけだから」
「は?!」
「踏み潰すわよ!」
「げ?!逃げ!!わー!!爆弾落としていかないでくださいぃぃぃ!!!」







ゆらりゆらあり








「物々しい…何事か!」
「ああ良かった。帰ってきたんだね」
「半兵衛様?!申し訳ありません、騎乗したままで!」
「いや、それは良いよ。それよりね」
「?」
「今日は城下で休んで」
「は?…三成ですか?」
「ご明察」
「はぁ…」
「左近君に下手な冗談を言うからだよ」
「まぁ、本気でしたけど」
「え?!」
「みんな三成を恐がって店に入れてくれませんでした。普通に食事して買い物をして帰ってきました」
「そうなの?てっきり…」
「男の浮気は甲斐性という風習が確かにありますけど逆はありませんし、何よりリスクが高すぎでしょ?あの馬鹿人の話なんて聞きませんから」
「ま、ね」
「城下にいます。いつもの宿ですので何かありましたら…どうせ部屋がボロボロなのでしょ?当分下屋敷におります。」
「早く仲直りしてね」
「…」
「君にしては珍しい。原因は何?」
「刑部ですか?」
「ふふふ」
「半兵衛様の命とあれば」
「そんな嫌そうに言わなくても…」
「褥で他の女と比べられました」
「…え?」
「萎えただけです。…男なら分かりやすかったでしょう。」
「…痴話喧嘩もここまでくればどうしたものかね」
「では失礼いたします」





「だって」
「ひひひ」
「まぁ。怒るのも無理ないか」
「我は三成のとこへ行って参る」
「屋敷の修繕よろしくね」
「あいあい」







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