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変換なしの雑食夢

ran

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22

「…姫」
「大谷殿」
「なんと、まぁ。いやそれより、髪が…。いや、出立か…。ぬぅ」
「ふふふ。貴公を困らす事はなかなか出来ぬからな」
「…ひひひ。にしても大谷殿とは無粋よのう」
「大層な身分ではないから当たり前だ。妹は?」
「うちのは元気だ。子も出来た、あいとうないか?」
「会いたくないといえば嘘になるな。唯、今は会えんよ。よろしく伝えてくれ」
「あいわかった」
「大谷殿」
「それは無粋と言っておるに」
「仕方あるまい」
「ひひひ。身分でいえば其の儘よ。内大臣よな。我と比べてずっと上よウエ」
「は?…影武者か」
「如何にも。」
「手の込んだ…いや。それが豊臣か」
「ん?」
「私が逃亡する際貴方から手紙が来た。」
「帰ってきたら策を授ける。だったな」
「竹中殿も文をくれてなぁ。まぁ私もひどく長い手紙であったがあれも酷い。知っているか?」
「同封したまでは…いらぬことを書いてあったか?」
「多夫一妻は強い子孫を残すのに最適であり、君が産む豊臣の子として申し分ないとな。私は末に関白、国母とならねばなるまい。故に2名以外にも強き男と交わって強き子を作れとな。育成は乳母が教育は竹中殿か行うから心配せぬ様にと。まぁ要約すればなこんなとこだ。」
「…ずれておるなぁ」
「そのズレを知らぬものが多いのだ。昔から感じていた齟齬がようやくわかったな」
「ひひひ。生きづらいか」
「ああ。大谷殿。」
「其れは好かぬ」
「意外と頑固だな」
「内大臣と呼ぶぞ」
「刑部と呼ぶのは其れに近いだろう?」
「ひひひ。色気がなかろう?我を吉継と呼ぶ女は妻だけで良い」
「とんだ惚れ気を聞かされた」
「それと刑部と呼ぶのは姫だけよ」
「そりゃ光栄だ」
「どれ。誰かおらぬか。鋏を持て」
「ん?」
「これは余りにもなぁ」
「石田殿が貸してくれぬでな。剃刀で剃ってしまう気でいたから尚の事な。自害しては叶わぬらしい。舌を噛むと言ったら其方が来た。本にあの男は」
「姫を好いておるからなぁ」
「どうだか」
「ん?」



ざくりという音ともにハラハラと髪が落ちる。櫛が飾れぬなぁというものだから私は笑って飾ったことがないという。くれるものも居らぬでなと言って下に落ちる髪を見る。黒髪。大事ない。また伸びる。し、心配せぬとも価値はない。


「そうか?」
「ああ」
「にしても」
「石田殿が掴んでなぁ。」
「…」
「腹が立った。私の軍は乱取りをきつく禁じていた。昔一度乱取りで犯される女性を見た。あの遣る瀬無さが蘇ったよ。」
「左様か」
「あれは何なのだろうかなぁ。刑部」
「ん。」
「私は機械だ。子を成すための。子は豊臣の子として崇められ、それ以外のものでなくなる。男なら武士に女なら子を成す道具に。」
「姫」
「哀れよなぁ。この世は私には優しくない。ほっておいてくれれば良かった。父の為に命を捨てるのに巻き込んでほしくなかった」
「ほんに好いておったからのう」
「初恋は実らぬよ。」
「我は実った」
「本当になぁ」
「姫」
「あれはどこまでいっても父の為よ。私のためには心を割かんよ。」
「その様なことも」
「まぁいい。刑部。長きに渡って良き友でいてくれて感謝する。」
「これからもよ。」
「妹を頼む」
「…」
「これ以上の我儘父も竹中殿も赦さぬだろう。何より石田殿がな」
「姫。」
「私が其方にとっての禍になるのならば直ぐに打ち捨ててくれ。刑部」
「…」
「今日は楽しかった」





からんころん





「姫様」
「…」
「食事を」
「…」
「お召し替えも」
「…」
「何をして居る!」
「ひっ?!」
「…食事を取られておらぬと聞き及びました。」
「…」
「仕方ありません」
「?!」
「姫、様」
「下がられよ。侍女の方。もうこの部屋には入る事まかりならん。殺されてしまうぞ。」
「何を仰せですか?背中に…今直ぐ医師を!!!」
「よい。下がりなさい」
「…」
「ならばお座りにならず、横に」
「…」
「姫、様」
「…」
「私をお見捨てに」
「…」
「姫様」
「石田殿」
「?!」
「早く楽にしておくれ。」
「…」

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