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変換なしの雑食夢

ran

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黄金色

「最近」
「如何した?」
「奥がよく笑いよるなぁ。童の折のの様よな」
「そうか」
「その分ぬしの悩みも多そうよな」
「…」









「…」
「はぁ」
「(泣こうが喚こうが大なり小なり強引さもいようものを。手を出さぬと決めたら徹底するヘタレめっ!)奥」
「何松?」
「一層のこと…あ」
「?」
「媚薬を飲みなされ」
「…何ですか?それは」
「男の野望の薬ですよ」
「は?」
「確か…えーと」
「時々貴方が忍びなのだと実感いたします」
「元になってしまいましたけどね」
「…」
「如何しましたか?」
「松」
「?」
「嫌われたりお叱りを受けたりいたしませんか?」
「ないと思いますが…ああ。刑部様のところへ行ってきます」
「?」
「執務の調整がいりましょうから」






そう言うと松は部屋を出て行ってしまう。手の中には丸薬が数個あってこれを飲めという事だろう。媚薬と言うものがどの様なものなのかいまいちわからないけれども…話の流れとしてはそのための薬なのだろう。
致したいのかといえば分からない。ただ、優しく抱きしめていただくだけで私は幸せだ。けれども殿は違うのだろう。
あの行為は痛くて恐ろしかった。再びあれをしなければいけないかと思うと背筋が凍るものの殿は痛くしないと約束してくださった。
先日も泣いてしまった私に無理意地はしまいよと仰った殿と無慈悲は殿は違うと思いたい。

何より、あの悲しそうな辛そうな殿の顔は見たくない。




「悩んでいても仕方がない」







丸薬をすべて飲み込む。と同時にからりと開かれた障子の向こうにはびっくりした顔の松と刑部様がいる





「の、まれましたか?」
「え、ええ」
「やれ松殿。急いだ方がよろしいか?」
「ええ。悪い虫が寄る前に」








黄金色










「やれ三成」
「如何した刑部」
「奥が一大事よ」
「?!」
「呼んでおりゃれるそうだ。早くいかしゃれ」
「奥!」
「やれやれ。解決すればいいがのぅ」

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土留色

「結局泣いてしまって殿が見かねて何もなかったと」
「松」
「致し方ないといえば致し方ないですが…」
「如何しましょう。殿が他の女へ」
「ないでしょうね。ただ、据え膳は…」
「???」
「己で如何とでもしましょうけど…まぁいいです」
「松」
「執務室の隣の…例の部屋に移りますから御支度を」
「はい」
「話はそこからです」
「?」









「やれ、三成」
「何だ」
「事を急くな」
「分かっている」
「奥の心身が一致してからに致せ。」
「…」
「ぬしらの寝室に越してきりゃるのに…いつまで持つか」
「はぁ」









土留色







「奥」
「御政務ご苦労様でございます」
「その、だ」
「?」
「いや、いい」
「お酌いたしましょうか?」
「ああ」
「やはり殿方ですね」
「?」
「私はお酒飲んだ事ございませんが…にごうございましょう?」
「いや、それ程は。舐めてみるか?」
「はい」
「…」
「苦っ?!御前様苦うございます」
「くくく…」
「?」
「いや、ころころと表情が変わるなと」
「…」
「奥?」
「その、です」
「?」
「御前様は静かな女の方が好きですか?」
「?」
「…」
「私は奥が好きだが?」
「?!」
「赤くなったな」
「…昔半兵衛に」
「半兵衛様に?」
「清楚で物静かにしている女性が好きと聞いてましたので」
「…???」
「違うのですね」
「私は結婚など興味はなかったので。貴方は高嶺の花でしたし…添えるなど思っていませんでしたから」
「?」
「奥」
「はい」
「ここの暮らしは楽しいですか?」
「?」
「以前、苦しいと」
「あ、ああ。今は随分と。」
「なら、良かったです」
「…御前様は?」
「?」
「いえ」
「嬉しい、が近いな。」
「…」
「この間頂いた着物だが」
「お気に召さなかったのでしたら無理をなさらないでくださいませ」
「?違う。あれを着たら汚れてしまうと思って着なかったのだが刑部に叱られた」
「え?」
「今度着て城下へ行かないか?」
「…」
「奥?」
「良いのですか?」
「ああ」
「なら、」
「っ」
「喜んで」

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唐紅

「奥?」
「…」
「?!」




目を覚ますと眼前に奥がいて思わず飛び起きる。美しい寝顔だと思う反面、手を出してはならんという戒める。にしてもと己の出で立ちと奥の出で立ちを見てため息ともつかない息を吐く。昨日、結局の所私の腕中で寝てしまった奥を離すこともできず私自身寝てしまったらしい。
いつぶりか分からない程度に熟睡した。




(美しい髪だ)





髪を撫でるとすり寄って来られる。愛しさが自然とこみ上げてくる。
以前前後不覚に陥って手酷く抱いた時には気がつかなかった。華奢な肩にも丸みと柔らかさがある。私とは違う体。いや、それよりも


不味い




雑念を捨てなくてはならない。このままでは折角手を取れたのに再び嫌われてしまう。





「ん…」
「お、く?」
「との?」





掠れた声、潤んだ瞳。肌けた襟元。
どれ一つとっても私の理性を断ち切るには十分すぎる




「奥」
「…おはようございます」
「あ、ああ」
「殿?」
「すまん。理性が持ちそうにない。離れてくれ」
「?」
「貴方が怖がることはしたくないが…そのだ」
「っ?!」
「す、すまない」
「殿?」
「一度自室に帰る」
「?!」
「奥?」
「自室に帰って他の女を呼ぶのですか?」
「は?」
「…それならば。殿が嫌でなければ…」
「…は?」
「私以外に殿を渡したくない、です」
「…」
「はしたなくて申し訳ありません」
「寝ぼけているわけでは」
「ないです」
「…途中で止まらぬかもしれんがいいのか?」
「い、以前みたいなのは。痛いのは」
「それは!勿論だ。できるだけ優しくする」
「…なら」
「奥」
「…貴方様の御心のままに」






唐紅









「しばし待っていろ」
「え?」
「おい!誰か」
「はい…何かお呼びですか?」
「床の支度と刑部に今日は」
「御やすみ遊ばすと伝えておきます。取り敢えず、人払も。」
「あ、ああ。頼む」
「無理をなさらず。怖がらせませぬように」
「わかっている」
「…ようございました」

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薔薇色

「奥が大阪に帰りゃれるそうだ」
「何?!」
「ぬしの余所余所しさと花街の馴染みとがあいまって嫌になったそうよ」
「?!」
「刑部様」
「三成の不器用さもいかぬがぬしの言わなささもよろしくない。決裂するもしないも話しあってからにしりゃれ。何我もここにおるでな。このあいだの様な事はさせぬ」
「…殿」
「馴染みなどはいない。ただ、貴方を眼前に邪な事を考えてはならないので…」
「っ」
「そのだ。あなたを傷つけたのだからもう二度と触れぬつもりでいる。…貴方がいいというまでは。だが一度の触れてしまったので他の女を触れたいとは思わないのだが…浅ましい限りで言いたくはなかった」
「???」
「要約すると一度ぬしを抱いたので他の女は抱きたくないが、抱いて適度に欲を出さぬとまた理性が切れて傷つけるのが恐ろしいのだと言っている」
「え?!」
「ひひひ。そう言う初心なところがいかぬのだろう」
「…貴方を守ると誓ったのに。」
「目を合わせられぬもその所為よな」
「刑部!」
「言わず去られるよりよかろう」
「ぐ…ああそうだ!私は貴方をお慕いしている。抱きたい欲と守りたい欲が拮抗しているのが事実なのだ。ふいに目を合わせてしまったら…理性が保てる自信がない」
「…」
「奥」
「はい」
「私は貴方が如何思おうが貴方の事を慕っています。」
「?!」
「愛でて寄り添い、生涯共に生きていただきたい」
「あ、の」
「もう我は邪魔よの」
「手を、離して。刑部様!」
「ぬしも素直にならしゃれ。いい加減面倒よなぁ」
「奥」
「…」
「私は貴方にとって酷い男である事至らないところばかりなのもわかっている。だからこそ言ってほしい。私は貴方を愛している。笑っていて欲しい。何か私に至らぬ点はないか」
「…私は」
「…」
「弱き女です。貴方にとって何の役にもたちはいたしませぬ。今、私が離れ、強き女を室に入れるのなれば」
「私の室は貴方以外にいない」
「ですが」
「妹御なれば断っていました。私には戦さ場にかける両腕があります。戦さ場をかける室が欲しいのではないのです。貴方が、」
「御前様?」
「貴方が私の室になってくださればとどれほど願ったか…室になった折どれほど嬉しかったか」
「っ」
「言ってくれ貴方の望みを」
「望み?」
「生きている事が辛く悲しいものではなく、楽しいもので…あの、笑みを」
「…」
「奥」
「私は」
「はい」
「家族が欲しいのです。半兵衛に言われた豊臣の為の縁ではなくて…立場上無理な事とは知っています。貴方にとって家族など必要ないともわかっています」
「…」
「私は弱いです。捨て石に人形にならない事もわかっています。けれども。縁あって夫婦になったのです。愛されたいし愛したいと…殿?」
「…」
「申し訳ありません。私みたいなものが望んではならない事を」
「奥!」
「っ」
「私は貴方の理想の夫ではないかもしれません。短慮で貴方を傷つけてばかりです。ですが、貴方の家族になりたい切に願っています」
「は」
「秀吉様とも半兵衛様とも違う。これは弱さなのかもしれない。お二人の意に反するかもしれませんが私も貴方と同じことを願っています」
「貴方様も兄上が好きでしょう?」
「畏怖、忠誠の念であれば。それは一兵卒としてです」
「一兵卒」
「一人の男としては貴方以外は愛していません」
「なら」
「?」
「兄上や半兵衛に向ける視線の一雫を私には下さいますか」
「はい」
「っ」
「愛しています。嘘偽りなく。私の唯一の妻になってくれ」
「…はい」










薔薇色











「…」
「御前様?」
「嘘偽りなく?」
「貴方様がそうであるならば」
「奥!」
「きゃ」
「此の暖かさをどれほど欲していたか」
「っ」
「耳まで赤い」
「私は慣れておりませんので」
「…震えているな。やはり怖いか?」
「少し」
「…」
「ですが離れるのは嫌です」
「っ」
「御前様?」

拍手

土色

「奥は?」
「今、お召し替え中でございます」
「ならば、」
「三成様ー!」
「ご用意が…御用がお出来あそばしたとお伝えしておきます」


「奥!」
「今、賄い方に。」
「何故その様なところに?!」
「お礼をと…時々参っているのですよ」
「…また後で来る」



「奥!!!」
「今、うたた寝て」
「ぐぅ…起きたら呼びに来てくれ」



「殿は?」
「おお、松殿。三成は城下に行ったが?」
「奥方様が起きられたので呼びに来たのですが」
「此の所間が悪いが…わざとか?」
「私がそう思っていた所です」
「左様か」





「奥…」
「待っておいでだったのですが…おやすみ遊ばしておいでです。」
「…」
「とりあえず、紅と白粉の匂いを落としておいでください」
「う…此れは」
「側がおらず、奥方様に怯えられるから致し方ないのはわかっておりますが…やるならばれぬ様になさいませ」







一週間会えていないという三成は端から見ても腫れものだ。







「やれ、三成」
「なんだ」
「主に客よ」
「今忙しい!秀吉様と半兵衛様の件以外は送り返せ!!!」
「しかし」
「諄い!他のものに会う間など」
「…刑部様。また後で参ります」
「お、奥?」
「お忙しい様でしたので…此れは合間で召し上がってくださいませ」
「ま、」
「では失礼します」
「…」
「相手を確認してから叫ばりゃれ。」
「ぐ…」
「ほんに主は致命的に言葉が足りぬ」
「…」
「こと奥に関しては」
「わかっている。」
「せっかく歩み寄ったかと思えば…主は如何でもない女と添った方が上手くいくのかもしれぬなぁ」
「…」
「一層妹御を頂き直すか?」
「それは…ん?」
「如何した?…奥?!」
「お茶もと思ってきただけですから。お気になさらず。」
「いや、今のは」
「婚前にもありましたな」
「脅しの様なものよ」
「では失礼致します」





完全にふりだしよりより前に戻ってしまった










土色








「奥!」
「今はおられますよ…と言っても刑部様ですか」
「入るぞ!」
「っ?!」
「すまぬすまぬ。またぬしを泣かせてしまった」
「泣いてなど」
「強がられるな」
「私は大阪に帰ります、兄上に」
「ならぬよ。奥、少しおちつきゃれ」
「私は…いえすいません。私にその様なことを言うことはできませんのに。」
「奥」
「…矢張り殿には側が必要でございます。」
「またいわしゃるか。あれは三成自身が決めた事」
「ですが…良い方が花街にお有りですので」
「は?」
「側を持てる立場のあの方をわざわざ」
「ヌシとしては聞きたくないかもしれぬが男としての生理現象よ」
「だからこそ」
「ぬしを抱きさえすれば万事解決よな」
「それ、は」
「あれは可哀想な男よ。愛しい事を上手く伝えられぬ」
「皆様そう言って私を謀ります」
「謀ってはおらんよ。本にあれは」
「奥!!!!!」
「常軌を期す程度に不器用なのよ」

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