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変換なしの雑食夢

ran

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鼠色

「姫様、おはようございます」
「あ、石田様。おはようございます。」
「ひひひ。おはよう」
「大谷様。おはようございます」
「おはようおはよう。やれ姫」
「はい?」
「ぬしが洋装とは珍しい。靴も。歩き難かろう」
「お手を」
「い、いえ。大丈夫でございます。」
「しかし」
「兄上が支配地域を増やしたので、洋装も増えてきたのですが。ああ。大丈夫です。倒けるほどではありませんから。」
「…」
「今から歌舞の時間なので…」
「あ、ああ。」
「洋舞までされるのか?」
「此方は人様に見せられるほどのものではないので。本当に情けない話なのですが…お二人は後出仕されないのですか?」
「今日は珍しく休暇よ。」
「そうですか」
「やれ、三成。」
「なんだ?」
「我らも暇故、見学させて頂こうか」
「は?」
「ならば、石田様と大谷様もなさいませんか?」
「え?!」
「我は足が悪い故。三成にして貰うが良かろう」
「ぎ、刑部!!!」
「如何でしょう?石田様」
「…」
「?」
「も、申し訳ございません。今日中に終えたい仕事を持って帰っておりますので。刑部、貴様もだろう!」
「ひひひ。そうよなぁ〜」
「其れは残念です。」
「本当に…」
「では失礼いたします。大谷様も。あまり無理をなさらないでくださいませ。其れでは」






そう言って立ち去る姫の後ろ姿を見ていると後で覗きに行けば良かろうと言われる。見に行けるはずはないと言って自室に向かう足取りは重い。
姫、は私になぜ声をかけて下ったのだろう。美しく優しい姫。その姿は時の中で変わるかと思ったのに一層清廉にある。あの時死んだ姫。石田の為と言われ三の姫様を召し、子をなして今日に続いた私。浅ましい私はあの方に近づけるはずはない。ご辞退申上げよう。其れが良い。




「姫との婚約は如何する?」
「ご辞退申し上げる。降格も致し方ない。荷物も纏めている。」
「頑なよな」
「言ってくれるな」
「されど。」
「今生においてはただ姫様の安寧のみ。影で見守る予定だ。私も」
「やれ」
「もう誰とも番わん。石田の後は兄と弟の子より有能なのを養子にもらう」
「左様か」
「怒らんのか?」
「怒る?何故、我が」
「いや。何故かそう」
「我とて何が正解か知らぬ。」
「そうか」
「第一姫死後の姿はあまりにも痛々しい。三の奥殿が居なければ大変なことになっていたのは明白よ。何より、恋い焦がれぬ分三の奥殿の方が見た目のバランスが取れていた。」
「…あの方にも御不快をかけてしまった。私と添うと誰彼不幸になる。もう、たくさんだ」





鼠色






ドアをノックして声をかける。とものすごい音が中から聞こえるので一歩引いてしまう。松が慌てすぎですとぼそりというのが生々しい。本当にそんな感じだ。かちゃりと扉の開くと髪の毛が跳ねている石田様がいらっしゃって二重に驚くのだ。




「ど、うかなさいましたか?」
「いえ、従者の島様という方がお目通りをとの事です。お休み中でしたか?」
「そ、の」
「いつも遅くまでお仕事なさってますから。お休みの自分はご自愛くださいませ。島様にはお引き取り頂きますか?私用との事でしたが」
「…いえ。会います。」
「応接間にお通ししています。その前に」
「姫様?」
「御髪が。ふふふ。石田様の髪は月の様に美しいですね」
「…」
「櫛があれ、ば…石田様?」
「いえ。松殿」
「姫様。」
「あ、はい」



『御前様の髪は美しくて宜しいですね。瞳と合わせて月の様です』






「近づいてはならない。自戒しろ。」







「ねぇ松?」
「はい」
「石田様は何故泣いていらっしゃったのかしら?」
「さぁ。見間違えではないのですか?」
「そう、ね。」

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