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変換なしの雑食夢

ran

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牡丹色

「兄様」
「ん?」
「お呼びで御座いますか?」
「ああ。今日からこの屋敷に住まわす事になった。」
「ああ。仰っておりましたね。」
「紹介する。石田三成だ」
「石田三成です。」
「初めまして。大谷様も一緒にいらっしゃると聞きました」
「はい。刑部は後から参ります」
「今まで兄様と半兵衛と三人でしたから賑やかになりますね。」
「…」
「姫様。お箏の時間で御座います」
「はい。では私はこれで」
「ああ。」





ぱたりと閉まった扉を振り返ってみてしまう。松が如何しましたかと不機嫌そうに聞くものの私自身。理由がわからない。何故、あんなに悲しそうな瞳で私を見ているのだろう?理由がわからない。
兄様は何百年と続く豊臣の中でも始祖以来の覇王と呼ばれる人だ。その人の左腕候補なのだよと笑って半兵衛がいっていた気がする。もっと兄様の様な人かと思っていたのに。どちらかといえば半兵衛に似ている。細さといい兄様への忠義心と言い。とてもお強くてあられるのが不思議な程儚く見えてしまったのだ。





「姫様」
「松?如何したの?怖い顔をして」
「い、え」
「石田様はお笑いになるのかしら?」
「は?」
「お辛そうでしたから」
「…あの方は軍人であられます故。お笑いにならないかもしれませんね」
「そう…」
「如何か?」
「いえ。私は別棟に移動いたしましょうか?兄様にご奏上してみます」
「如何したのです?急に」
「いえ。私の様な女が居ては目障りでしょうから」
「姫様は陛下の第一の妹君であらせられまする。その証拠にご兄弟で唯一この宮殿にお上り遊ばしているのです。」
「何故松がそこまで怒るの?ね?怒らないで」
「…姫様は自分を軽んじ過ぎです!」
「うふふ。そうかしら?それは松のおかげね。私の代わりに怒って行動てくれるから」
「…」
「松は私のお母様ね。」
「な」
「大好きよ松」
「…」






牡丹色







「三成」
「矢張り、私はここにいてはいけないのではありませんか?今までの様に宿舎から」
「姫は何も覚えておらん。」
「覚えていたならばお会いしてくださいませんでしたでしょう」
「あの時と同じよ」
「?」
「あれが貴様の許嫁。」
「な?!」
「でなければならんのだ」
「其れだけは」
「三成君の部屋。用意できたよ」
「半兵衛様。」
「何?姫では駄目なの?」
「お許しください。また、あの様な」
「あれはね。君の所為でも姫のせいでもない。僕の所為だ」
「その様な!?」
「姫の価値を根付かせてしまったのだから。」
「違います!あれは私が!!!」
「もう良い。今の姫はあの時の姫と違う。お前がそうである様に」
「秀吉様」
「兄上様?開けてもよろしいですか?」
「?!」
「姫かい?開けても良いよ。ね、秀吉」
「ああ」
「失礼いたします。お食事の支度が整いました」
「今行く。三成」
「私は…」
「石田様の分と大谷様の分も。」
「ですが姫様にも御不快を」
「私は時間をずらしますのでお気になさらないで下さい」
「は?」
「お仕事の話などありましょうから。では失礼いたします」
「姫」
「はい兄様」
「一緒に食す」
「ですが」
「遠征があればまた一人で食べる日々だ。ここに居るとには共に」
「半兵衛」
「食事の時には話さないから安心して」
「…」
「私は…秀吉様の命に背く事は出来ません」
「そう、ですか。」
「はい」

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