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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

「ミュラー提督」
「はい」
「オーベルシュタイン夫人の様子は如何でしょうか?」
「高熱がようやく下がりました。まだ熱は高いですが。心配はいらないだろうと。」
「それは良かった。」
「其れに食欲も出てきたみたいです。スープ程度なら飲める様になりました」
「彼女らしい」
「これは?」
「蜂蜜とシトラスを漬けたものよ。熱の後にはよく効くの。彼女が作ってくれたのよ。」
「家に持って帰って飲んでいただきます。」
「ええ」
「ミュラー提督」
「ミッターマイヤー閣下」
「これはエヴァから。」
「服ですか?」
「覗くなよ。下着とか色々。」
「!」
「まぁうっかりしてたわ。寝衣もあるかしら」
「私の使用人が…」
「なら。あの人意外となんでも食べるわよね。」
「其れが食べないのですから世も終わりですな」
「ビッテンフェルト提督」
「これを。」
「?」
「肉だ。栄養不足と言っていただろう?赤身にしたと言っていたからなスープにして出してやればいいかと思ってな」
「ありがとうございます」
「卿と夫人は犬猿だったのにな」
「昔の話だ」
「絵を描いた後から仲良くなっていたわね。」
「この奥手のために情報を集めていましたから」
「…」
「其れが今回の様に…感動してるんだ。なんでも言ってくれ」
「俺もだ。」
「ありがとう。ミッターマイヤー閣下。ビッテンフェルト提督」



かちゃりという音がして微睡みから意識を解放する。ただし高熱が昨晩ようやく下がったため体が言うことを聞いてくれない。ぱちぱちと瞬きをすると砂色の髪が見える。あと、コロンも。すごく控えめで彼らしいなぁと思いながら視線を動かす。
花を飾っているのだろう。重そうな花瓶を軽々と。あの人もそうだったけどやっぱり男の人だなと実感してしまう。腕も手も指先も私と同じ様で全然違う。
私が寝ていると思っていたのだろう。なるべく音を立てず進められる其れを私はずっと見ている。本当に優しくて親切な方だと思う。何故、私なのだろう。きっと何か勘違いしているのではないのかと思案していたところで目が合う。
ビックリして、瞬いて、困った様にはにかむのだ。

「起こしてしまいましたか?」
「いいえ」
「何か飲みますか?皇妃殿下が蜂蜜漬けを下賜して下さいました」
「そう、ですか」
「あまり無理に声を出さなくとも大丈夫です。少し待ってて」


そう言うと部屋を出て行く。少しだけ、寂しい。そう思いながら横を向く。白いアザレアの花。綺麗だなぁと思っていたらこんこんとノックされる。本当に律儀な人だ。


「薬は?」
「苦いから嫌い」
「子供みたいなこと言わない。」
「うー…」
「はい口を開けて」
「はーい、…苦い」
「薬ですものね」
「ん、甘い」
「下賜が蜂蜜漬けという所が彼の方らしいですね。溶き方まで細かく描いていただきました。熱くないですか?」
「あい」
「…」
「?」
「え、いや。顔がまだ赤いですね。」
「すいません」
「?」
「お手を煩わせてしまって」
「声」
「?」
「少し戻ってる。やはり水分をしっかり取ったほうがいいですね」
「はい」
「口を開けて」
「自分でいたします」
「座れないのに?」
「…知りませんでしたけどかなり意地悪ですよね。」
「そうでもしないとあなたは私に甘えてくださらないでしょ?」
「は?」



好きでやっていることですしと言いながら匙を出してくる。
如何したものなのだろう。この人の善意を受け取ってしまったらと考えて匙を口に含む。甘い。


「夫人?」
「はい」
「辛いですか?」
「え?」
「泣いてらっしやる」
「熱が出ているから」
「其れだといいのですが」
「ミュラー提督」
「皆が心配しているのです。ミッターマイヤー夫人は衣類を。ビッテンフェルト提督は肉を貴方にと」
「元気になったらお礼をしないと」
「はい。」
「アザレアの花は?」
「アザレアと言うのですか?」
「ええ。」
「知らずに。なんせ花など買ったことがなかったものですから。」
「ミュラー提督が?」
「はい。私の家は調度品も無くて。今はでずっと寝に帰ってきただけでしたから。流石に申し訳ないと」
「…」
「匂いの強いものなどは避けたつもりでしたが…お嫌いな花でしたか?」
「いいえ」
「夫人」
「ありがとうございます」
「?」
「とても綺麗だわ」


そう言って微笑むとミュラー提督は少しホッとした顔をして笑うのだ。




貴方に愛されて幸せ

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