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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

しっかりと養生しなければいけませんね。動かす?治りを遅くしたいのですか?大体王宮に戻られたらこそこそと絵をお描きになるでしょう!良いですか?皇妃殿下の伝言でこざいます。ミュラー提督閣下の監視下の元、私が完治したというまでという辺りから頭を抱えていたのでよく聞けていない。こそこそって納期が迫ってて頑張っていただけだもんとブツブツ言っていたら注射を刺してきた。鬼!と叫ぼうとすれば苦い薬と不味い薬どちらがお好みかと言われて普通のにして下さいと頭を下げた。


「閣下が泣いておられる」
「あの人が生きてたら無理矢理寝さされてたもの」
「貴方が以外と小市民であり寂しがりやで頑張り屋、後のことをよく考えずに突っ走る性格であることをよくご存知でしたからね。」
「そう言ってたの」
「要約して優しさを加味すれば。実際言った言葉を言いましょうか?」
「いい。大体わかるから」
「全く。閣下はご自身の死後の貴方をよくお当てになられる」


あの人らしいといって私は笑う。あの人は私が唯一言うことを聞く先生をヒルダに教えていたらしい。ミュラー提督の邸宅に着いた瞬間に彼の顔を見て負けを認めた。

「あの人の代わりを十分担えるわ」
「担えるのではなく担わなければならないのでしょう」
「そうね」
「だからどんな形であっても貴方がそばにいて欲しいのでしょうね。」
「?」
「たわいなく自分で居られる瞬間は誰にでも必要ということです。あの閣下が唯一褒めていましたから」
「え?」
「何気ないかけがえのない時間をくれると。」
「初めて聞いた」
「口止めされていましたから」
「…」
「大切だから残していったんですよ」
「ん」
「死ぬ事はそのうち出来ます。彼の方が貴方を残した意味を理解するのも彼の方の為ですよ。」
「そうかも知れないわ」


そう言うと聴診器を下ろす。肺の音は正常ですと言って服を戻す。


「目下」
「?」
「ヴァルハラで貴方を巡って決闘をするは半世紀以上後でいいという事です。」
「…」
「いい御仁と同僚に聞いてましたが。いやはや、診療中も横にいるのかと思いましたら夫人の肌を見るわけにはといって走り去っていく様はまだまだお若い」
「悪趣味だわ」
「老体には人の恋路を横で見るしかありませんから。」



呼んできますと言って部屋を出る。ベッドの上に座って周りを見るとうちの人ほどではないにせよ殺風景だ。軍人さんとはそう言うものかも知れない。
物音一つ立てずにこそりと入ってくる。手には薬とお水。先生帰られましたかと尋ねるとええと返された。



「何も無くて」
「うちの人の部屋もそうでした」
「薬を」
「ありがとうございます」
「夫人はこの部屋を使ってください」
「本当に迷惑をかけて」
「いえ」



薬が苦い。そういえば少しわらわれる。安心しましたと言いながら椅子を持ってきて横に座られる。自分の家なのに丁寧に許可を得て。
貴方の家だわと言えば少しだけ苦笑される。


「では」
「ミュラー提督」
「顔色が良くなってきましたから」
「そう」
「しっかりと養生して下さい」
「1日も早く復帰致しますわ」


そう言えばグラスを取られる。
不意に顔を上げると砂色の髪が見える。それ以上に耳まで真っ赤になっていて目を丸々にしてしまう。



「貴方が良ければ何時迄もいてくださって結構です。」
「え?あの」
「先程言いました事」
「…」
「私は本気です」
「…」
「私は貴方が好きです。」
「ミュラー提督」
「今すぐに答えはいりません。」
「私は」
「貴方が彼の方をどれだけ御慕いしていたかよく知っています。6年も貴方を見ていたのですから」
「は?」
「ですから何時迄も待つつもりです。ただ今は」
「ミュラー提督」
「体を治す事だけ考えてください」



そう言うと部屋を出る。どうしたらいいのだろうと思案して、使わない頭を使った所為だろう。翌日高熱を出して先生に怒られてしまうのは別の話だ。




愛を囁く

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