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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

部屋から出るといつもの3人が所在なさげに立っていて笑ってしまう。あのビッテンフェルト提督まで静かなのだから不気味だ。夫は中で寝ていますわ。といえばうなづいて。そして何か言いたそうなのを手で制して「陛下には秘匿で」というと再びうなづいてくれる。
私はありがとうございますと言って一礼すると玄関に向かう。



「オーベルシュタイン夫人」
「ミュラー提督」
「お送りします。」
「大丈夫。心配なさらないで」
「ですが」
「ではこれを皇妃殿下に」
「え?」
「ミュラー提督」
「はい」
「お腹が空いたわ」
「はい」
「きっと眠たくなるし眠るのね」
「はい」
「そしてあの人が居ないのに、私は」
「オーベルシュタイン夫人」
「ごめんなさい。ミュラー提督」
「いえ」
「ダメですね。」
「当たり前です」
「あの人に怒られるかしら?」
「いいえ。」
「そう。」


そう言って私は手紙を渡すと車に乗り込む。ありがとうございますとミュラーに言えば手を握られる。



「提督?」
「必ず」
「?」
「必ずお帰りください。」
「戦地に行くのではないですよ」
「それでも」
「?」
「必ず。」
「…はい」



うなづいて、ミュラー提督を見ると少し安心して送り出してくれる。走り出す車。ミラー越しに運転手と目が合う。気がつくだろうなと思いながら首を横に降ると悲壮な顔になる。誰にも言ってはいけないと言えば当たり前ですと返す。なる程彼が信用していたはずだ。
あの人は嫌われていたけど家のものには慕われていた。不器用でやさしい人。これをだったと過去形にするのには余りにも時間が足りない。半身を抉り取られな感覚だった。
いつの間にか着いた我が家もどこか余所余所しい。5年という年月は長かった様な短かった様な。


「何かありましたら奥様を部屋にお通しする様にと」
「ん」
「葬儀は?」
「わからないの。まず部屋に」
「はい」


そう言ってとおされた部屋は思った以上に閑散としていてあの人らしい。黒い机の上に不自然なほど白い封筒は私の名前が書かれている。



「用意周到ね。」


よく見れば何枚か重ねてあって一番下は少し変色している。
どれを読んでも業務的で、葬儀のこと遺産のこと残された使用人のこと。何よりも愛犬のこと。事細かに書かれていて思わず笑ってしまう。私に対しては最初はこれらを守るなら後見をつけて好きにしろと書かれ、次は貢献は要らず文が同じ。そして最近はミュラー提督を頼って長生きすることと結ばれている。
最後の一番新しい手紙を読む。


「奥様?」
「ずるい人」
「?」
「愛されてるか心配してたの。好きと言ってくれてもああでしょ?」
「はい」






誰よりも先にお前を助けに行きたかった。
愛していると公然で言えるミッターマイヤーが苦々しく思えた。
お前を不安にさせ傷つかせたことを後悔している。どうか泣かないでほしい。墓にはお前の絵を入れてくれ。それで十分だ。後は幸せになってくれ。

この世で唯一愛した女へ


愛を込めて




「口で言えないからって伝わらないと思ったのかしら?」
「…」
「馬鹿ね。」
「奥様」
「私を幸せにできるのも不幸にするのも貴方次第なのに」
「っ」
「ラーベナルトさん。葬儀の手配を」
「はい」
「静かなのが好きな人だったから」
「わかっています。」
「私は王宮に一度帰ります。」
「はい」



そう言って机を撫でる。ふと、私の名前をあの人が呼んだ気がした。





最期の告白

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