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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

絵を描いていた。娼婦の絵だ。以前頼まれていた自画像は半裸の美しい金髪の女性で娼婦館に飾る為に頼まれたものだ。サディスティックでアンニュイな雰囲気はきっと彼女の内面から出ているのだろう。もう少しで完成といった所でワンという声がした。主人のお帰りらしい。
結局あの後情にほだされてここに住み着いた。大口のパトロンと思えば良いですかねと入った瞬間の凶相を私は忘れられない。冷凍人間とかなんとか。あれは嘘だ。この人は不器用なだけだ。壊滅的に。現に疲れているだろう体は寝室でもダイニングでもなく私のアトリエと化した一室にやってきては座っているのだから。


「出来たか?」
「もう少し」
「食事は?」
「待っていました」
「そうか」
「先食べますか?」
「いや後で良い」
「食べられなくなりますよ」
「ああ」


そう言って私の後ろにいつの間にか置かれた椅子に腰掛ける。
奇妙な雰囲気。本当に変わった人だなこの人はと思案して筆を置く。もう終わったのかという台詞の前に膝の上に座ってぎゅーと彼の頭を抱きかかえる。犬と飼い主のそれのようだなと思いながらもどちらが犬でどちらが飼い主か?存外私が飼われている方なのだろう。恋愛なのか何なのか。分からないけれどもこの人が居ないと思いの外寂しい。だからたまに帰ってくるとこうしてしまうし。中々帰ってこない時でも椅子は片付けない。劇物のような人だ。


「重い」
「言うに事欠いて!」
「出来たか?」
「ええ。」
「そうか」
「すごく美人で今一番の売れっ子ですよ。」
「それが如何した?」
「こっちの方が良いんじゃないかと」
「趣味ではないな」
「そうですか」
「如何した?静かだと不気味だ」



いやですねぇと言いながら膝から降りる。降りてじっとオーベルシュタインさんを見てお腹が空きましたといえば呆れられた。
如何言えば良いのだろうか?好きとか愛しているとか???
なんかズレているようなそうでないような。


「気持ちが悪いな」
「そう冷静に言わないでください。」
「事実だ」
「はぁ」
「?」
「婚約って嘘でしょう?」
「如何いう意味だ」
「今一番のキラキラしている時期じゃないですか。うふふあははの時期なのに!」
「…」
「何が目的ですか?何もできませんよ、私」
「想像できるか?」
「?」
「お前が言う頭の中が湧いたような高揚感に満ちた私とお前の図だ」
「…」
「如何だ」
「それこそこの世の終わりだわ」
「そういうことだ」


そういうとオーベルシュタインさんは何故か私の手を取ってするりと金の指輪をはめてくださる。


「何ですかこれ?」
「首輪だ」
「わん!」
「老犬と駄犬の世話か…」
「如何いう意味ですか」
「…」
「ええいっ!もっと優しくて良い人見つけ…」
「何か言ったか?」
「いえ何も」
「人には向き不向きがある。私のお前もそういうのは無理だから早々に諦めろ」
「そう言われると厳しいですが否定できない!」
「これでお前もオーベルシュタインだ」
「は?」


妻になれと抑揚のない声で言われてうなづく奴がいたら見てみたい。


「はい」
「食事だ」
「手、洗ってきます」
「顔もだ」
「ひっ」
「洗ってこい」
「はいっ!」



ああ、バカは私自身らしい




金の指輪

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