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変換なしの雑食夢

ran

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銀英伝

絵筆を取りながら何が起こったのだろうと思案して眼下の人たちを見る。元帥閣下とキルヒアイス大将閣下。楽しげな雑談中である。ただ何故そのに私が行かなくてはならないのか?呆然としながらスケッチブックと鉛筆を出そうとした瞬間銃口がこちらを向く。2人のではなく護衛と呼ばれる軍人さんから。もう無理。


「銃をさげなさい」
「しかし、」
「鉛筆とスケッチブックで殺せるものなら見ものだな。ただし、オーベルシュタイン夫人だからな」
「は?」
「些か見ものではあろうがな」
「…」
「ああ。大丈夫ですよ。夫はここで私が殺されても眉毛ひとつ動かさずに仕事を続けますから。ただ、私としても銃口は向けないでいただければうれしいかぎりです。」
「それも如何なのだ」
「…」
「オーベルシュタイン夫人?」
「…」
「喋らぬか!」
「ラインハルト様」
「だって、」
「「???」」
「私は庶民ですから。こう、高貴な方と話せるエスプリなど持ち合わせていませんし」
「はぁ?」
「大丈夫ですよ。私は元々庶民の出ですから」
「私もそのような…ここはいい。下がれ」
「は」


パラパラとちってこのだだっ広い部屋に3人とは如何なものか。そう思っていたら顔に出ていたのだろう。くくくと元帥閣下が笑われて、これで堅苦しくないといわれる。少々の警戒を持ちながら道具を取り出しても?と尋ねる。燃えるような赤い髪の人がニコリと笑うのだから良いのだろう。談笑でもなんでもしててくださいと言いながらスケッチをすすめる。



「そちらを見なくてもオーベルシュタイン夫人」
「今日はスケッチの予定ですから」
「ほう」
「あっでも聞いておきたいことが。大将閣下」
「何ですか?」
「これは私的なものですか?公的なものですか?」
「?」
「私的なものなら…まあ必要はないのですがある程度の美化をお尋ねします。」
「美化?」
「ええ。女性に送られるのなら雄々しくとか。まあ色々。背を高くとかいう詐欺まがいな事をする者も居ましたが。」
「そうですか」
「ただ、凛々しく書いていいものか雄々しく書くのか自然に描くのかによって描き方が変わりますから。」
「自然でいい」
「わかりました。」
「それと至極私的なものだ。姉上にお送りするものだから」
「そうですか」
「…」
「?」
「何も言わぬのだな。流石オーベルシュタイン夫人という事か」
「ラインハルト様!」
「何がですか?」
「寵妃に贈るとなると大口のパトロンを得るに等しい。世辞を言うか悪言を言うか楽しみにしていたのだがな」



そうやってくつくつ笑うものだから私は片眉を吊り上げじっとそちらを見る。灰汁の強い我が主人の上司はなるほど意地が悪いらしい。スケッチブックを閉じて鉛筆を片付けると何故か慌てたような顔をする大将閣下がそれを制す。


「何を」
「帰ります」
「ほう」
「元帥陛下は場末の娼婦書きの女絵師で遊びたいとお見受けいたします。そういうのはどうぞ他で!」
「何?!」
「ラインハルト様!貴方も落ち着いて」
「落ち着いて入られますか!手を離しなさい!!!」
「「は?」」
「世辞を聞きたいなら言う人を悪言が聞きたいなら言う人を連れて来なさい!だから軍人なんて嫌いなのよ。」
「…」
「私はただ絵が描ければそれでいいの。もし公的なら辞退するつもりだったし」
「如何いう意味だ?」
「言わない!」
「そう臍を曲げるな」
「私が男でないから。女だというだけで描かれたものまで足蹴にされるんですよ。」
「そうなのか?」
「私のない頭で必死に考えてきたのに試すような事言われるし。鉛筆を出そうとしたら銃口をこっち向けられるし。もう、嫌!帰る!!!」
「お、おい」
「お待ちください。決してそういうつもりは」
「…」
「ラインハルト様も!だから申し上げたのです。幾らオーベルシュタイン卿の夫人といえども一般のご婦人にしていい行為ではないと」
「…」
「すまない」
「!」
「なんだ?」
「大将閣下、謝りましたよ」
「私も己の過ちに対して謝罪くらいする。」
「…私こそすいませんでした」
「何故謝る?」
「いや、軍人と一括りにして嫌いましたから。」
「そうか」


そういうと椅子に座って頬杖をつく。絵になるなぁと思いながら鉛筆を出していいか再び許可を得る。


「…」
「…」
「…」
「…何が話せ」
「談笑でもしててください」
「何かあるか?」
「あるでしょう?隣の家のあの子が可愛いとかこの子のスタイルがいいとか。」
「はぁ?」
「軍事機密はやめてくださいよ。貴方たちより夫に殺されます」
「…変わっているな」
「だからあの人と結婚できたのですよ」
「っ」
「あっ大将閣下が笑いましたよ。陛下」
「ラインハルトだ。」
「は?」
「ラインハルト様?」
「それでいい」
「嫌ですよ。それこそ夫にミンチにされる」
「…」
「あら、怒っても麗しい」
「オーベルシュタイン夫人」
「大体親しさを名前で表すなんてナンセンスですよ。どんな呼び方をしても友はともでしょ?キルヒアイス大将閣下」
「…」
「訂正する」
「?」
「壊滅的に変わっているな」
「よく夫に言われます。」



そういうと少し柔和な顔をなさるものだから私もつられてヘラリと笑う。後でお茶にいたしましょうというキルヒアイス大将閣下がその姿を如何思ったのか知らないが此処に夫が居なくて(お仕置き的な意味で)本当に良かったと思うのだった。




変わり者のオーベルシュタイン夫人

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