basara 片倉 野菊と荊棘 終 2015年07月24日 部屋に帰って食事もそこそこに私は喜多様の部屋に行くと談笑されていて戸惑う。いや待てよ。この声はと思ったものの仕方ないと思案して声をかける。ピリッと空気が揺れる。妙な緊張感が流れるのは気のせいではないだろう。「入りなさい。」「いえ、廊下に置いておきますので。失礼いたします。」「あ、おい!」脱兎の如くその場を立ち去る。当たり前だ。いくら私が厚顔無恥と雖もああまで嫌われた人の元へ参じるのは憚られる。本当は嫌な人でも強い人でもないことは知っているのだが私は対象外らしい。本気で転職を考えようかとも思ったものの。私はここが好きなのだ。だから離れられないとはいうものの喜多様の側近として働くには些か障害がある。やりにくくありませぬかと以前お尋ねした折微妙な顔で笑われてしまったのだから。やはり喜多様にもご迷惑をかけしているのだろう。帰る里も私はないし、如何したものかと思案して食器を洗い終える。見合いでもあればいいけど私は器量が良くないのだろう。特に浮いた話も出たことがない。ここに住んで10年。18にもなってと父母も草葉の陰で泣いているだろう。「一度お話ししたほうがよろしいか」独り言に返事を返してくれる人もなく。私は次の仕事に移るのだった哀しむ野菊 PR