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変換なしの雑食夢

ran

落ち着かない三成 9

「辛くないか?」
「はい。ですが…旦那様」
「?」
「歩いても大丈夫ですよ。皆、歩いておりますし」
「…」
「わかりました。此処におります」
「そうしていろ」
「はい」




山深い場所かと思えば、太閤殿下が愛し整備されておられるので、眼前は華やかで賑やかだ。ふふふと笑いながらキョロキョロしていると不思議そうな顔をされるので私はふふふと笑ってしまう。




「今日は楽しそうだな」
「はい」
「そうか」
「ありがとうございます」
「まだ、着いてもいない」
「あ!」
「…」
「そうでした」
「…本当に変わらん」
「え?」
「何でもない」
「???」










「藤川ちゃん」
「…」
「うひゃー。冷てぇ」
「何ですか?」
「三成様と奥方様。本当にお似合いだよな」
「…」
「あんなに優し気な三成様。初めて見たぜ!」
「そうですか」
「ななっ!奥方様は?三成様についてなんか言ってる?!」
「ご縁があったと。」
「縁かぁ…それだけ?」
「…」
「黙りまぁす」
「大体、」
「んー?」
「私は認めてません!」
「そっかー…」
「…何も言わないんですね」
「三成様も超不器用な人だからね。実はさあ。三成様、ずっと供養してるんだよね」
「何をです」
「お二人の子」
「…は?」
「奥方様もお辛いるだろうけど、三成様も辛いんだよ。ただでさえ忙しいのに。ご自分で行かれるから、時間足りなくてさ。」
「…」
「言い訳すりゃいいのにね。」
「知りませんよ」
「可愛いなぁ」
「なっ?!」






後ろの方で藤川と左近殿が叫んでいるらしく騒がしい。ちらりと旦那様のお顔を見ると今にも怒り出しそうなので私は困ってしまう。




「如何した?」
「え?」
「困ったことでもあるのか?」
「いいえ。後ろが」
「ああ。後で左近は仕置きしておく」
「いえ。道中無言より楽し気な方がよろしいでしょう?にしても」
「?」
「左近殿は藤川が好きなのですね」
「のようだ」
「うふふ。可愛らしい」
「あれはお前の乳兄弟か…」
「はい。実の兄弟以上に仲良くしてまいりました」
「そう、か」
「?」
「…左近に添わせるか?」
「!」
「いや、気に入らないのならば」
「素敵ですね」
「そ、うか?」
「それと真田様と渡瀬殿も」
「???」
「きっと相思相愛ですわ」
「…刑部に言ってみる」
「ええ。先にそちらの方がいいかもしれません」
「家柄の釣り合いもいいしな…それより」
「まぁ」
「着いたな。」
「美しいところですね」
「秀吉様は天下一等の温泉と仰った。輿から降りるか?」
「はい」
「手を出せ」
「…です、が」
「早くしろ」
「はい」
「…」
「旦那様?」
「いや、いい。行くぞ」








落ち着かない三成 9








「如何だ」
「広い、のですが…」
「?」
「ご一緒に入ってよろしいのですか?」
「不服か?」
「いえ、その」
「他は入ってこない」
「はぁ。」
「何だ?」
「その」
「?」
「恥ずかしい、です」
「?!」
「…」
「そ、そうか!そうだな。すまない!!」
「だ、旦那様?!何処に???」
「私はそう身分も高く無い出だから…すまん」
「?!ち、違います!!兄達はどうか知りませんが…父達も…嗚呼よく知りませんが」
「おい」
「私は、石田の家に嫁いだのです。旦那様のおっしゃる通りに致します」
「?!」
「旦那様?」
「湯着は着たな」
「はい」
「行くぞ」






「ひひひっ。初々しい話よ。些か面倒臭い」
「…」
「ほら!藤川ちゃん!!!落ち着いて」
「仲のよろしいことですね」

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