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変換なしの雑食夢

ran

落ち着かない三成 4

あれから数日。
怪我な痛いものの、命には別状はないらしい。思いの外怪我が浅かったのは藤川のお陰だと医師が言っていた。咄嗟に出した手で威力が削がれたという事らしい。それが無ければ死んでいたという事。本当に感謝しても感謝しきれない。
意外と言えば意外なのが島様で怪我をした藤川を懇ろに看病しているらしい。昨日より半ば無理矢理復帰した藤川曰くうざったいそうだけれども、見ている分には可愛らしいのでそう伝えておく。その時の嫌そうな顔が忘れられない




「奥方様」
「はい。渡瀬殿なのね。今日は。何ですか?」
「包帯をかえます」
「はい」
「…」
「藤川は?島様のいう事を聞いていますか?」
「…島様も頑張っておいでです」
「そう。気の付く女子だけども気の強い子だから」
「はぁ」
「私がぼぅっとしているからいつも盾になってくれるの。本当は優しい子なのですよ。渡瀬殿も嫌わず仲良くしてやってね」
「え?!あ…はい」
「それにしても」
「それにしても?」
「旦那様と刑部様が来ないわね」
「?!」
「ふふふ。」
「奥方様」
「貴方は刑部様の妹君と聞き及びましたが、とても可愛らしいかたね」
「!?」
「いえ、ね。特に何もないのよ。ご迷惑をおかけして逆にお詫びしたいくらい」
「そ、うですか」
「…」
「…な、何か?」
「貴方は私の侍女ではないし、里との密通を疑う方々の間者を兼ねている事は知っています。ただ、」
「ただ?」
「隠し事をするのなら、気づかれないようにしてほしいわね」
「え?!あ、あの!隠し事なんて!」
「…いいのですよ。きっと旦那様たちも私の耳に入れたくない事も沢山おありでしょうから」
「そのような事は」
「渡瀬殿」
「は、はい!」
「包帯、終わっているわ。」
「っ!」
「ご苦労様でした」
「奥方様!…い、え。失礼致します」





嫁ぐというのは敵陣に乗り込むようなものだと兄たちは言っていた。そのつもりで励めと。もし裏切れば死罪になってもおかしくはない。今まで、姉達が嫁いだ先は武家と言っても日頃は気の優しい義兄様達だったのにと思ったものの仕方がない。豊臣の縁がどれほど重要なものか、女子供でも分かる。年頃の合うのは前正室の子である兄達と同腹の私か、継室の異腹の妹等か。私が嫌と言えば妹達が今の私のようになっていたのだろう。怯えて色を無くしたこの子達だ。きっと涙に濡れて泣いて使える事ができないだろうし、何より。いらぬ疑惑を生むかもしれないただろう。何より次期当主の兄達と同腹の姉妹の方がより良いはずだと私が自ら願い出たのだから悔いも後悔もない。
私は。私という者は母が死んだのち49日の済んだすぐに継室が決まった時、死ぬほど泣いた。そして道化でもいい、泣かずに過ごそうと思って今日に至る。だから泣かないだろうし、逆に粛々と対応出来るはずだ。

でもふと思う。母の死んだ折。そのあと病のたびに。何より、今強く思うのだ。あの時、死ねれば楽だったかもしれない、と。







「…様」
「…」
「奥方様!」
「え?!ああ。ごめんなさい」
「傷が痛むのですか?」
「藤川?貴方休むと約束したでしょう?」
「奥方様の側にいるのが藤川の役目でございます」
「そう」
「それに」
「ん?」
「何やら私どもの耳に入れたくない事が有るようです。居心地は悪いし、うざったい!」
「うちに仕掛けるのかもしれないわね」
「奥方様!」
「冗談よ。父も兄も心酔しているもの。太閤殿下を」
「そうで、ございますよね」
「藤川」
「はい」
「手を握っていて」
「奥方様?」
「隠し事も陰口も…どうでもいいの。そんなことで乱れたりしないわ。でも、」
「?」
「少し、疲れたわ」
「お休みくださいませ。この藤川。ずっとお側にいますから」






落ち着かない三成 4






「行かぬのか」
「…」
「…言えぬのか」
「?!」
「…」
「…」
「そのような顔をするのだな、ぬしも」
「黙れ、刑部」
「ひひひ。主とて辛いのになぁ」
「…私のせいだ」
「あの小姓のせいよ」
「それでも、だ」
「不幸、よな」
「…」
「なれば、手放しゃれ」
「…」
「それも無理か」
「私は」
「どうしたいとわからぬほど愚図ではあるまいに」
「時間を戻したい」
「三成」
「奥…」

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