忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

落ち着かない三成 2

完璧な目覚めと準備、天気。さぁ、佐和山に行こう!と経とうとしたその瞬間、旦那様の上司にあたる竹中様が「三成君と吉継君に頼まれて許可を出せなくなったんだ。君たちは佐和山ではなくて石田の屋敷に留め置くことになったよ。…え?!名前だしてはいけなかったの???…ん!僕の命令だよ!」と言って中止になった。…中止になったのだ。






「姫様」
「今は奥方よ」
「ああ、そうでした。後朝の文も頂けぬ奥方様で御座いましたね」
「草子の中の話を持ってこない。…何がしたいのかわからない方だわ」
「私自体、乳兄弟といえどもあなた様がいまいちわかりませんもの。…以前に見てしまった小姓との情事も顔色ひとつ変えなかったでしょ?宜しいので御座いますか?」
「???」
「殿様の御寵愛を」
「頂きたくて頂けるものではないし、あなたは男兄弟いないから見たことないかもしれないけど、兄様達も普通にしてましたよ。」
「は?」
「戦仕度が始まれば女なんて要らないものだし。産んで育ててならば側室で足りるわ。大体、家と家との結びつきの正室なんてこんなものよ。母上もそうでしたし」
「達観、しておいでですね」
「あーあ。息をして此処で死ぬのかしら?まるで金魚ね。金魚の方が美しい分マシな所かしら?」
「奥方様も十分お美しいですよ」
「ははは」
「…本当ですよ?もっとご自分に自信を持って下さいませ」
「自信、ね」
「何かなさいませんか?」
「とは言っても嫁入りの反物も全て縫い上げてしまったし、草子も読んだわ。庭も見た。義父上様達の文ももう書いてしまったし、何をするの?」
「琴などは?」
「嫁いだ早々に琴を弾いて怒られ、笛を奏でて叱られたでしょ?五月蝿いものは駄目よ。賄方は立ち入り禁止だし」
「本当に…」
「だから寝ます」
「体に悪いですよ」
「やる事ないもの」
「殿様に文でもお書き遊ばしたら?」
「其れも書いて怒られたでしょ着物も手紙もその場で破られたじゃない。」
「…」
「何故、私は此処にいるのかしらねぇ。」
「お家の為で」
「そうよ。家の為。早く子供ができれば良いのに」
「奥方様」
「そうすれば少しは解放されるのにね」
「…」
「?」
「逆にひどくなる様な」
「あー…否定できない」






そう言って私は庭を見る。咲いている花もない殺風景な庭。高い壁。少し広い座敷牢ねと言えばなんとも言えない顔をされる。





「寝るわ」
「はい」
「何かやる事がないか…大谷様に聞いてみて」
「何もないそうです」
「益々寝るわ」
「失礼致します」
「なんですか?」
「大谷様がお目通りをと」
「奥方様はもうお休みと申しなさい」
「ですが…」
「何か?!」
「い、いえ。昼餉をとおっしゃっておいでで…」
「奥方様?」
「え…と」
「寝ておいでです」
「え?」
「寝ておいでです!」
「…」
「そうお伝えください。昼餉は要りません」
「は、はい!」









「ちと、やり過ぎたなぁ。怒っておいでか?」
「あちらは皆様ご立腹の様子で御座います。」
「はてさて。賢人も我らの名を出すとはなぁ。困った、こまった」
「にしても。殿様、本当に宜しいので御座いますか?」
「何がだ!」
「女と言うものあの様にされると頑なになりまする。祝言を挙げた後もお相手なさらなかったのに、行く場所を規制して行う事を禁止すれば御心を乱す事は必定」
「っち!」
「一事が万事その様では御心を開いては下さいませぬ!奥方様の家は名門中の名門!何より太閤殿下も竹中様もお望みの相手!とっとと子を成しなされ!」
「刑部!貴様の姉だろう!!!黙らせよ!」
「姉上に意見するなど無理よ、無…ひひひ。ちとまずい」
「どうしましたか?」
「姉上、彼方」
「見なくてよろしゅうございます」
「「?!」」
「やれ、奥方。」
「大谷様」
「主は本に間の悪い」
「間も何も御座いませんよ。」
「?」
「私は左馬の様に武に秀でた美男子でも無ければ、美しい才女でもありません。」
「…何故左馬を?」
「天性でしょうね。私の間の悪さは」
「お、おい」
「色々お伝えしたかった事を思い出して起き出したのですがご迷惑をおかけ致しました。其れでは」
「ま、待て!」
「?」
「やれ、三成?」
「ひ、昼餉を食べていけ!」
「…」
「…な、なんだ?」
「外で左馬が待っておいででしたよ。」
「は?」
「昼餉を共に食べる約束をしたと。可愛らしい事です」
「?!」
「私は朝食べ過ぎましたのでご遠慮いたします。其れでは」
「ま、おい!」
「…また取次がやりにくくなる」
「左馬と約束などしておったのか?はてさて」
「他家に行く前に最後と思っただけだ。」
「忘れておったのに偉そうに申すな!」
「…はぁ。正室には嫌がらせをして小姓を可愛がる夫なんて結婚したくないわね。」
「ぐ…」
「ひひひ。女子に惑わされるとはなぁ」
「なっ?!あんな女!!!」
「…奥方様より預かった手紙です」
「「?!」」
「ぬ…」
「藤川殿?!いつの間に」
「先程からおりましたよ、渡瀬殿。」
「聞いて」
「おりましたが、何か?」
「い、いえ」
「佐和山に居られる大殿様宛の文です。確かにお渡しいたしましたよ」
「た、確かに」
「あ、そうです」
「何かありますか?!」
「奥方様も外に居られますよ」
「「「?!」」」
「其れでは失礼致します」












落ち着かない三成 2








「琴などは奏でても良い。従者を出すため事前に言っておけば城内の一部は言っても良い…とありますね」
「良いわ。遠慮しておく」
「そうですね」
「昨日の夜お渡りの時に言えば良いのに」
「来てすぐに抱いてそのまま帰るなんて…!!!」
「私よりあなたの方が怒っているわね」
「当たり前です!下女ではないのですよ!」
「怒っていても仕方がないわ。下げて頂戴」
「また召し上がらないのですか?」
「欲しくないのよ。仕方がないわ。」
「汁物だけでも」
「そうね」
「奥方様?」
「何?」
「何処かお悪いのですか?真逆!」
「月の物は在るのよ。何処も悪くはないわ」
「顔色も」
「大丈夫よ。平気平気」
「なら、良いのですが」

拍手

PR