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変換なしの雑食夢

ran

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萩と鹿 2

「お、い!」
「はい?あ、石田様」
「その縁に寝るのはやめろ」
「?」
「風邪をひくと」
「私も一応、野宿もしておりますから」
「?!」
「大事はないかと…」
「そ、だが」
「ですがお心遣い痛み入ります」
「?!」
「今日はどの様なご用件で御座いますか?」





そう言って身衣を整えて彼女は坐り直す。私は少したじろいで雨竜と姓を呼べば首を傾げてはいというのだから堪らない。昨日まで男だと思っていた自分を殴ってしまいたい。
彼女は華奢で可憐で…愛らしいのだから。




「!」
「い、いかがしましたか?急に頬を叩くだなんて」
「いや、己が気持ち悪くなっただけだ」
「?」
「気にするな」
「ですが…少しお待ちください」
「?」
「少し触れますよ?」
「っ?う、あ」
「叩きすぎですよ。腫れてしまって…少しでも冷やしたほうがよろしいですよ」
「すまない」
「桶に水をはってまいります。中座をお許し下さい」
「構わん!此れで十分だ」
「良いのですか?」
「ああ」
「ならば、白湯でも用意させます。誰か」
「…」
「で、ご用件は?」
「…」
「?」
「こ、れをだな」
「箱?」
「半兵衛様からだ」
「ああ。香」
「渡すように言付かって来た」
「其れは御足労をおかけいたしました」
「いや、そのだ」
「?」
「此れは私からだ」
「石田様から?」
「萩の礼だ」
「え?!あの…」
「気に入らないか?」
「櫛など、私の様なものに贈らずとも…良き方がおられますでしょうに。」
「おらん」
「石田様?」
「私は、この櫛がお前に似合うと思ったから渡した迄だ。」
「?!」
「気に入らんのなら、捨ててくれ」
「い、え」
「?」
「この様な、素敵な物をお送り頂いたのは初めてで御座います」
「そ、うか」
「ありがとうございます、石田様」
「三成だ」
「三成様?」
「また、この庭を見に来て良いか?」
「ええ、是非。心よりお待ちしております」







萩と鹿 2






「やれ、三成」
「何だ?刑部」
「従兄弟殿とは?」
「な?!」
「ひひひ。主とて人の子。」
「何を…私は」
「今度あれの縁談を叔母から頼まれた」
「?!」
「弟もそろそろ跡を継げる故」
「どういう意味だ?」
「あれは一時の繋ぎよ」
「!」
「来年には元服する故なぁ。とは言え一角以上の武人故縁組がないのも事実よ」
「なら」
「?」
「私が貰う。秀吉様と半兵衛様にご許可いただいてくる」
「ひひひ」
「不服か?」
「いや何。不服も何も我は歓迎よの」
「そうか」

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