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変換なしの雑食夢

ran

片思い男とクラッシャー女 7

「葵が手術?!!」
『やっぱり知らせてなかったのかぁ』
「え?!如何いうこと」
『いや、手術自体終わってるし。命に関わる事じゃないから安心して。当分、うちのばあちゃん所で面倒見るってなってるから。』
「かるさんとこ?…足?」
『そ。自分で立つのもままならないらしいのよ。俺にも詳しく言ってくれないし…千鶴ちゃん帰ってくるって言ってたから居場所伝えないと周りが迷惑するじゃん』
「如何いう意味よ?!」
『彼氏君も近くにいるんでしょ?伝えておいて』







「たーま」


ニャアと鳴く猫を呼ぶと素気無く振られる。そう言うところも可愛いのよねぇと言えば、かるさんに笑われる。かるさんは私の師匠であって悠のおばあさん。何より、私の亡き母親の叔母にあたる。
大叔母様と言ったら凄く怒られたのでかるさんのままだ。




「にしてもあんたはいつも誰にも頼らないねぇ」
「今、カルさんに頼ってますよ」
「そう言う話じゃなくてだよ。うちの馬鹿孫が首つっこまなきゃ、私ですら知らなかった…水臭い女だよ」
「ふふふ。苦手なの」
「昔からそうだね。人の顔色伺って生きてるあたりは本当に」
「酷い言われよう!」
「良し悪しってところさ。過ぎりゃいいもんも悪くなるだろ?」
「…だって」
「なんだい?」
「頼り方なんて知らないもの」
「まぁね。」
「…かるさん。」
「ん?」
「色変」
「ああ?!…本当だ。嫌だね。白内障は!」
「それでここまで縫うんだから恐ろしい」
「なんだい?」
「いえ。…呼び鈴」
「誰か来たね」
「行かなくていいの?」
「用がありゃ離れの庭に来るだろうよ。私がいつもここで居るの知ってるからね」
「そりゃそうね」
「そうさ」
「…ねぇ、かるさん」
「ん?」
「寂しいと思うときない?」
「あるさ」
「いつ?」
「脚が悪くなって総さんの墓参りに行けなくなったときかね。」
「総一郎お爺様の?」
「いやだね、爺臭い。総さんとおいい」
「総さんの事好きだね」
「当たり前だよ。世界で一番愛した男だからね」
「ふーん」
「放蕩男でちゃらんぽらんだったけどね」
「それが一番信じられない」
「まぁね。何度家から追い出した事か。でも、私が唯一頼ったのは総さんだけだね」
「羨ましい話です」
「あんたも」
「ん?」
「未来永劫一緒にいたけりゃ、後悔する前に頼っておやり」
「んんん?」
「男の甲斐性を奪う女なんて粋じゃないからね」
「…」
「その着物を着せたい男がそうならいいんだけどもね」
「ん。私も、そうなら良いなぁと思うよ」






そうかいといってかるさんは頭を撫でてくれる。私はこの手が好きだ。この手に何度も救われた。




「嫌にうるさいね」
「んー?」
「ちょっと見ておこうかね」
「いってらっしゃ、い?」
「葵!」
「千鶴?!」
「おやまぁ。じゃじゃ馬娘。元気かい?」
「私はね!葵!!!」
「え?…あ」




「葵」
「要くん」









片思い男とクラッシャー女






「…」
「(怒ってる!?)」
「何時だ」
「?」
「足の手術決めたの」
「えーと先月?」
「踊った後か」
「ん」
「…」
「元々手術しなきゃいけなかったの。原因が原因だから絶対普通に歩けなくなるって言われてたから」
「…そうか」
「だから、最後のダンスがあなたでよかった」
「馬鹿だろう」
「そうだよ」
「いえよ」
「言えないよ」
「なんで?!」
「別れたくないもの」
「…はぁ?」
「このままあなたが部屋を出て行っても私は追いかけることができないのよ?それがずっとこれから」
「…」
「そっか…そうだね。」
「葵?」
「大好き」
「…は?」
「だから別れましょ?」

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