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変換なしの雑食夢

ran

片思い男とクラッシャー女 6

「わぁ!雫ちゃんと清春くん。如何したの?」
「葵さん、それはこちらの台詞です」
「これ。」
「わ!マリサさんから?美味しそう。お礼言っておいてね」
「ん」
「あのまま入院って…足、酷くなったんですか?」
「まぁ。無理しちゃったから仕方ないね。」
「仙石さんと踊ったって聞いたけど」
「うん。5小節位ね」
「ふーん」
「流石というか何というか。」
「千鶴さんのパートナーだから気になる?」
「んー…そういうわけじゃないの。何て言えばいいだろう。ほら、ダンス楽しいでしょ」
「?」
「千鶴と踊っていた時は今の私にとってキラキラした宝ものだから」
「そうか」





即入院した次の日、やってきた清春くんと雫ちゃんに私は足をさすりながらそう言うとお土産と悠が持ってきたバナナを食べながら彼が頷く。その姿は相も変わらずで笑ってしまう。




「仙石さんは?」
「昨日あれから夜中に2人で来てめっちゃ怒られて会えずに帰って行きました。大体、試合でしょ?今来たら軽蔑する」
「今日のリハした後すぐに行ってたけど…そう言うわけか」
「如何いうわけ?プロなんだから私の足の具合で一喜一憂しちゃ駄目よ。今から行くんでしょ?頑張ってって伝えておいて。元気でお腹すいたって言ってたって」
「横に太るぞ」
「清春!」
「あはは。本当に。」
「?」
「如何した?」
「如何もしてないよ」






そう言いながら足をさする。騙し騙しだった靭帯がいよいよ伸びきってしまったらしく今一人では立てないし歩けない状態らしい。ただ、それだけで命に別条はないし、痛みも薬で何とかなっているから大丈夫よと言えば、大丈夫じゃあないですよ、それと続けられる。

「良くなったって」
「あれ嘘」
「は?」
「先生にばれて凄く怒られた。ふふふ」
「そりゃ…足、如何なんですか?」
「もう一回手術」
「…治るのかよ」
「治らないよ。足切るか、手術するかだもん。」
「は?」
「どうせ動かなくなるならって…ついね。あ!二人には秘密にしておいてよ!言ったら怒るからね」
「…馬鹿だろ」
「否定しないけど!でも良いの。私ね、夢見てるみたいで楽しかったから」
「…」
「今からもきっと楽しいよ」









片思い男とクラッシャー女










「葵!」
「わー!二人とも。お疲れ様」
「足!」
「大丈夫。無理しすぎただけだもん」
「可愛いけど!無理しちゃ駄目じゃない!」
「ふふふ」
「葵」
「要くん?」
「すまん」
「謝ってばっかりだよ」
「…」
「嬉しかったのになぁ。」
「は?」
「5小節」
「たったそれだけだろう?」
「それでも。凄く楽しかったのよ」
「…」
「笑って」
「馬鹿だろう」
「千鶴も」
「うん」
「これ」
「わ!ケーキ!!!要くんありがとう」
「怪我如何だ?」
「如何って言ってももう10年近くの付き合いだし。折り合いつけるしかないよ」
「…そうか」
「私、売店でいろいろ買ってくるわ」
「助かる、千鶴」
「要ちゃん、葵のこと見ててね」
「おう」
「…行っちゃった。千鶴らしい」
「王子様かよ」
「うん。…要くんは王様って感じだね」
「そうか」
「試合疲れ大丈夫?」
「昨日死ぬほど寝た」
「そっか」
「お前の飯が食いたいな」
「早く退院しないとね」

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