死屍累々 11 死屍累々 2016年07月15日 「三成とあれはどうだ?」「んー…知らないみたいなんだよね。説明したと思ってたけど忘れてたかな?」「そうか」「別にそれはそれで良いけど…なんだかね」「如何した?」「何でもないさ。…思い過ごしだろうからね」庭に出て花を摘むと旦那様が現れる。明らさまに嫌そうな顔をして、歯ぎしりをして。そこまで嫌ならこっちに来なきゃ良いのに。そう思いながら私は一礼してその場立ち去ろうとするものの腕を掴まれてしまう。振りほどさずにいればあからさまにホッとした顔をされるので私は少しイラっとして掴まれた腕を見る。この人は何がしたいのだろうか「離してください」「…だな」「?」「食べてないそうだな!」「貴方様も。」「私は良い!だが、貴様は病み上がりだろう!倒れるぞ!!!」「大丈夫です」「何を根拠に…」「旦那様?」「毛利が居ないからか?」「何故そこに松寿丸様の名前が出て来るのですか」「あいつがいた時には食べていたからだ!」「言うほど食べておりませんでしたよ。」「嘘をつくな!」「偽りを申して如何するのですか」「貴様は、嘘をつくからな!」「あなた様は何をおっしゃりたいのですか」「…貴様は私にではなくあれに嫁したかったのだろう。」「好いた腫れたで正室は嫁げません」「其れで…。仕方なく私の元に来たのだろう」「…」「何か言え」「仮に、そうだとして何か問題でも?」「なっ!ない!問題など無い!!!」「ならば良いではありませんか」「そういう話ではない!」「貴方様も」「私がなんだ!」「惚れた腫れたで私を娶ったわけではないでしょう」「!」「例え、昔の初恋に怒られようとも私はここに嫁いでこの方貞節を守ってきております。」「おい」「そんなにお嫌いならば郷にお返しください」「貴様は!恐れ多くも秀吉様から命じられて娶った妻だ!私情で別れられるか!」「…命じられたから、ですか」「!?」「わかっております。あの誓約もなにもかも私情がひとかけらも入っていない事を」「泣い、て」「私は」「!」「確かに無表情ですが、心がないわけではありません。泣きますし怒りますし、嫌うこともあります」「…」「一々言わなくともわかっております。私は正室としての務めを果たしますれば、安心してくださいませ。側室も太閤殿下の許可がおりましたらお好きにしてくださいませ。」「側室など!」「以前仰った話は聞かなかったことに致します。一時の気の迷いを言質にする事はありません故御心配致しませぬように」「何故だ!何故」「…」「私は貴様でなくてはならないと言ったはずだ!何故…私を裏切るのか!!!」「失礼いたします」「奥!」死屍累々 11『本当にこの子が男だったら』『致し方ない。ただの家ではないからこそ女子のこれにも活路がある』『にしても、殿様があまりに熱心で御座いますから顔が…』『ああ、それなら他の姉妹をつければ良い。幸い器量は良いが才能が褥しかないのがいたはずだ。それを侍女にしておいて後に側にしてもらえば良い』『良いですか?父上に言われた通りなさいなさい。我らはこうして今の世を生き抜いているのですから』如何言って笑う母の顔が歪む。夢、だったのかと思ったのは飛び起きて後で、冷や汗で濡れた寝着が肌張り付いて気持ちが悪い。着替えるかと床を離れた瞬間声が聞こえてくるのでそちらに顔を向ける。旦那様と五島の声。帰ってきた途端なのだから仲の良い事だと思うきっと私は無表情だろう。五島やほかの姉妹、女子たちの一部でも良いから表情を作れば良いのにと嘆くことがでくたらばどんなに楽だろうか「着替えよう」益々大きくなる嬌声。やはり、この部屋は五島にやって私は北へ向かおう、 PR